【AWS】RDSはまとめる?分ける?効率的なDB運用のポイント

AWS上でRDSとEC2を使ってシステムを構築するとき、「データベースは1つの大きなRDSにまとめるべきか、それとも用途ごとに複数のRDSに分割すべきか?」という疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。

本記事では、それぞれのメリット・デメリットや検討ポイントを整理しながら、**“最適な選択肢の見極め方”**を解説します。


1. RDSを1つにまとめるメリット・デメリット

メリット

  1. 運用のシンプルさ
    • 運用・監視対象が1つにまとまるため、パラメータ変更やバックアップ設定などの管理が楽になります。
    • 運用担当者の工数削減につながりやすいです。
  2. コスト最適化(場合による)
    • 大きなインスタンスタイプを1台使ったほうが、複数インスタンスを合計した場合より安くなることもあります。
    • 余剰リソースを複数アプリケーションで共有しやすい点もメリットです。
  3. データ連携のしやすさ
    • 複数のアプリケーションが同じデータベースを利用する場合、データのやりとりやJOINが簡単です。
    • 一貫したトランザクション管理がシンプルになります。

デメリット

  1. 単一障害点 (SPOF) となる
    • 1つのRDSに障害が発生すると、関連するすべてのアプリケーションが影響を受けてしまいます。
    • Multi-AZ構成やリードレプリカの導入で可用性を高める必要があります。
  2. パフォーマンスのボトルネック
    • 同一インスタンス上で複数のアプリケーションが高負荷をかけると、リソースが競合しやすく、パフォーマンスが低下する恐れがあります。
  3. スケーリングの柔軟性が下がる
    • 単一インスタンスでは、スケールアップがメインの対策となり、限界に近づいたときの対応が難しくなります。
    • 将来的にシャーディングやマイクロサービス化する場合に制約が出る可能性があります。

2. RDSを用途ごとに分割するメリット・デメリット

メリット

  1. 障害の影響範囲の切り分け
    • あるアプリ用のDBがダウンしても、他のDBには影響が及ばないため被害が最小化されます。
  2. 独立したパフォーマンスチューニング
    • 各アプリの特性に合わせて最適なRDSインスタンスタイプやパラメータを選択できます。
    • 一部のアプリだけリソースを増強したい、といった柔軟な対応が可能です。
  3. セキュリティ制御のシンプル化
    • DB自体を分割しておけば、アプリごとのアクセス権限をより明確に設定しやすくなります。
  4. スケーリングの柔軟性
    • 需要が増えたDBだけスケールアップ/スケールダウンすればよいので、運用やコストの調整が行いやすいです。
    • 将来的にマイクロサービス化が進んだ場合、データベースの独立性が利点になることも多いです。

デメリット

  1. 運用の複雑化・コスト増
    • インスタンス数が増えるほど、モニタリングやメンテナンスが複雑になります。
    • RDSインスタンスが増えれば、その分のリソースコスト・管理工数も増大します。
  2. データ連携の複雑化
    • もしアプリ同士でJOINや集計が必要なケースでは、データが分散されているため連携処理が煩雑になります。
  3. リソースが分散して無駄が生じる可能性
    • アプリケーションごとのピークタイムが異なる場合、個別に最大スペックを確保すると非効率な場合があります。
    • “無駄な余力”がアプリ間で融通できない点は考慮が必要です。

3. 検討すべきポイント

  1. アプリケーションごとの負荷・リソース消費量
    • 書き込みが多いアプリと読み込みが多いアプリが混在する場合、リソース競合が起こりやすいため分割が有効なことがあります。
    • 逆に、全アプリの利用規模が小さいうちは1つにまとめても十分運用できるケースも多いです。
  2. データの連携要件
    • システム間のデータ連携が頻繁に必要で、一貫したトランザクションが求められるなら、1つにまとめたほうが管理が楽になります。
    • 完全に独立しているデータなら分割のデメリットは少ないでしょう。
  3. 可用性とリスク許容度
    • ダウンタイムがどの程度許されるのか、システムのビジネス重要度がどの程度高いのかを考慮する必要があります。
    • 全部が同じ重要度とは限らないので、切り分けたほうがリスク分散できる場合もあります。
  4. コスト構造
    • 「大きいインスタンスタイプ1台」 vs 「小さいインスタンス複数台」でどちらが総コストを抑えられるかはケースバイケースです。
    • AWSのリザーブドインスタンスやセービングプランを活用する場合は、そちらの料金体系も加味して試算するとよいでしょう。
  5. 将来の拡張性
    • すぐには必要ない場合でも、将来的にマイクロサービス化や機能追加が進むと、DBを分割したアーキテクチャが有利になる可能性があります。
    • 長期的視点での拡張性やチーム体制の変化も考えておくと安心です。

4. 結局どちらがベスト?まとめ

  • シンプルに始めたい場合データを厳密に一つにまとめて管理したいケースでは、まずは「1つの大きなRDS」にするのも有力な選択肢です。
  • ビジネス重要度が異なるサービスリソース競合が起こりやすいアプリが混在している場合は、用途ごとにRDSを分割するメリットが大きくなります。
  • 段階的アプローチもおすすめです。最初は1つにまとめて運用し、パフォーマンスボトルネックや運用負荷が問題化してから分割を検討する方法もよく取られます。

また、最近はAurora Serverlessなどのサーバーレスオプションも登場しており、オンデマンドでスケールする仕組みを利用する手段も増えています。AWSの豊富なサービスを活用しつつ、最適なDB運用の形を見つけてください。


参考

もし「どの構成がベストかわからない!」という方は、まずは小さいインスタンスタイプで試してみて、モニタリングしながらスケールや分割を検討していくのがおすすめです。

以上、AWS上でRDSとEC2を使ったDB構成をどうするべきか悩んでいる方へ、メリット・デメリットを整理してみました。ぜひプロジェクトの要件に合わせて最適な構成を見つけてください!