運用と保守のために必要な資格4選|キャリアパス3選なども紹介
最終更新日:2026年8月4日
この記事でわかること
運用と保守の違いとは

企業の業務システムなどを構築するシステム開発の工程は「要件定義」「設計」「プログラミング」「テスト」「リリース」「運用・保守」に大きく分けられます。
運用と保守は、どちらも新システムに移行した後に行われる作業です。これら2つは運用がシステムの正常動作を確認する作業で、保守は異常動作に対応する作業という点が違うと言えるでしょう。
運用業務と保守業務の詳細

システム開発は構築して納品すれば終わりというものではなく、実際の業務で使用してみて何か問題が生じていないか確認することも大切な作業工程に含まれます。
システム開発は「上流工程」と「下流工程」に大別されますが、運用と保守は両方とも下流工程に属しています。システムリリース後のフォローが、運用と保守の主な業務と言えるでしょう。
毎日管理する「運用業務」
運用では、トラブルが発生していない平常時の業務を主に担っています。
滞りなくシステムを機能させるため日々のシステム動作状況をチェックしたり、OSやアプリケーションのバージョンを管理したりするのも大切な運用の業務内容です。
日々のルーティン業務
システムの運用業務には、毎日行う必要があるルーティン業務というものが存在します。システム運用レポートの作成やデータのバックアップ、OSやアプリケーションのバージョン管理がルーティン業務に相当するでしょう。
システム運用レポートで報告すべき項目は企業によって違いますが、一般的にディスクの使用率やユーザーからの問い合わせ状況、トラブル発生件数などが含まれます。
ルーティン業務以外の業務
インシデント発生時の原因究明やその対策、構成管理がルーティン業務以外の業務です。
構成管理とはハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク・サーバーといったシステムを構成する各要素が正常に機能するかを把握して管理することを指します。システムの正常動作を維持することが、運用業務のカギと言えるでしょう。
イレギュラー対応が多い「保守業務」
保守では、障害やトラブル発生時の対応業務を主に担っています。運用が平常時の対応をメインに行うのに対し、保守は異常事態に対応するスペシャリストと言えるでしょう。
保守の仕事はトラブル対処に加えて、大きな障害を引き起こさないようバグ発見時の修正や、システムのアップデートも業務に含まれます。保守と運用両方に共通する業務も多く、相互協力が欠かせないでしょう。
システムの改善業務
保守の業務にはシステム改善も含まれます。OSやミドルウェア・アプリケーションのバージョンアップデートといった業務が該当します。コンピューターを常に最新のバージョンにしておくことは、セキュリティの面からも重要でしょう。
緊急時の対応業務
緊急時の対応は保守の大切な業務です。特にシステム障害を引き起こすような大規模な障害発生時は、早急に問題を解決する必要があるでしょう。トラブルが発生した時は、まずその原因を突き止めて適切な対処行動をとれるようなITの知識やスキルが必要です。
運用と保守の業務比較表
| 項目 | 運用 | 保守 |
|---|---|---|
| 主な対応タイミング | 平常時(毎日) | 障害・トラブル発生時 |
| 目的 | システムの正常動作を維持・確認 | 異常動作の修正・障害対応 |
| ルーティン業務 | ◎ 多い(日次レポート・バックアップ) | △ 少ない(イレギュラー対応中心) |
| 緊急対応 | △ 少ない(インシデント記録等) | ◎ 多い(障害復旧・バグ修正) |
| 必要なスキル | 監視・バージョン管理・構成管理 | 障害解析・プログラミング・セキュリティ |
| 兼任の可能性 | ◎ 共通業務が多く兼任しやすい | |
運用と保守のために必要な資格4選

IT産業では資格システムが整備されており、スキルアップのために自分が携わる業務で必要な資格取得を目指す人も多いでしょう。運用と保守におすすめの資格は、「マイクロソフト認定資格プログラム(MCP)」「Linux技術者認定試験(LPIC)」「JP1認定技術者」「シスコ技術者認定(CCNA/CCNP)」です。
| 資格名 | 提供元 | 対象分野 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| MCP | Microsoft | Windows・Azure等のMS製品 | ★〜★★★(レベルによる) |
| LPIC(1〜3) | LPI(Linux Professional Institute) | Linux OS全般 | ★〜★★★(グレードによる) |
| JP1認定技術者 | 日立アカデミー | IT運用管理(JP1製品) | ★★〜★★★ |
| CCNA / CCNP | Cisco Systems | ネットワーク全般 | ★★〜★★★★ |
資格1:マイクロソフト認定資格プログラム(MCP)
マイクロソフト認定資格プログラム(MCP)とは、マイクロソフトが提供している製品に対するスキルや知識をレベル別に認定する資格試験です。
世界中で通用する資格のため、現在のスキルチェックや技術者としてのレベルアップのために取得を目指す価値があります。
資格2:Linux技術者認定試験(LPIC 1〜3)
Linux技術者認定試験(LPIC)とはLinuxを扱う技術者のレベルを証明する資格で、1から3のグレードに分かれています。
LPIC1はLinuxの基本的知識や操作、LPIC2はLinuxのシステム管理・構築のための応用力を問うものです。LPIC3は専門分野ごとに試験内容が分かれます。OSにLinuxを採用している企業も多く、LPIC資格保有者はLinuxを扱える技術者として重宝されるでしょう。
資格3:JP1認定技術者
JP1技術者資格認定制度とは、日立のJP1製品に対して日立アカデミーがそのスキルを認定する資格試験です。
JP1とは、日立が開発したITシステムの運用管理ソフトウェアで、システムの監視・業務の自動化・インフラやIT資産の管理などを総合的に担うものです。
資格4:シスコ技術者認定(CCNA・CCNP)
シスコ技術者認定とはシスコ製品に対するスキルを認定する資格制度で、シスコシステムズ合同会社によって提供されています。
資格は5つのグレード(エントリー・アソシエイト・プロフェッショナル・エキスパート・アーキテクト)に分かれ、CCNAはアソシエイト、CCNPはその上位のプロフェッショナルに相当します。ネットワーク技術を高めたい人向けの資格です。
運用と保守に必須なスキル

運用と保守業務には、コミュニケーション力やドキュメント作成力が必要となります。
システムのユーザーから要望を聞きだすコミュニケーション力は、システムの改善に欠かせません。ドキュメントとは、マニュアルや設計書を指します。ドキュメントの作成にはIT関連の知識に加えて、ITに対する知識が十分ではない相手にも伝わるような文章を作成するスキルが必要となるでしょう。
運用と保守業務からのキャリアパス3選

運用と保守業務から、別のITエンジニアにジョブチェンジが可能です。運用と保守業務にはネットワーク・サーバー・ハードウェア・ソフトウェアといったIT関連の知識やスキルが欠かせません。これらは他のITエンジニアとして働く上でも必要な知識・スキルと言えます。
| キャリアパス | 活かせる経験 | 次のステップ |
|---|---|---|
| 監視業務スペシャリスト | ログ解析・ネットワーク監視・障害対応 | インフラエンジニア・SRE |
| システムエンジニア(SE) | 運用業務でのシステム管理・要件収集 | 上流工程(要件定義・設計)担当SE |
| プログラマー・開発エンジニア | 保守業務でのバグ修正・コード解析経験 | アプリケーション開発・バックエンド |
キャリアパス1:監視業務の経験を活かす
運用と保守はシステムの監視業務をしています。監視業務にはネットワーク・サーバー・OSといったIT関連の知識に加えて、ログを読む力が必要です。監視業務に用いるITの知識やスキルは、保守や運用以外のITエンジニアにも必要なものとして高評価が期待できます。
キャリアパス2:運用業務の経験を活かす
システムエンジニアはシステム開発の最初から最後まで、すべての工程に関わる必要があります。運用業務で培ったシステム管理の経験は、システムエンジニアに転職したい場合にも役立つでしょう。システム開発工程の一部から、全体を見通せるエンジニアへのキャリアパスも視野に入れてみてください。
キャリアパス3:保守業務の経験を活かす
保守の業務は、バグの修正やシステム障害の復旧作業などトラブル対処が主です。プログラマーやシステムエンジニアといったITエンジニア職は、開発工程でシステムトラブルが生じた際の対処が求められるため、保守の業務経験は役立つと言えます。
運用と保守を兼任する際の注意点

運用と保守はどちらもシステムリリース後の作業で、共通している業務内容もあることから兼任することが可能です。
しかし運用は平常時のシステム管理で、保守はトラブル発生時の対処がメインとなります。業務の方向性の違いを心にとめて、兼任する際は一番に何の作業をすべきか、優先順位を明確にする必要があるでしょう。
よくある質問(FAQ)
まとめ

運用と保守について、改めてポイントをまとめます。
- 運用はシステムの正常動作を日々確認・維持する業務、保守は障害発生時の修正・対応が中心という点が大きな違い
- おすすめ資格は「MCP(マイクロソフト認定)」「LPIC(Linux技術者認定)」「JP1認定技術者」「CCNA/CCNP(シスコ技術者認定)」の4種類
- 資格取得に加えてコミュニケーション力やドキュメント作成力も、運用・保守の現場では重要なスキル
- 運用・保守で得た監視・構成管理・障害対応の経験は、インフラエンジニア・SE・プログラマーへのキャリアパスに直結する
- 兼任する場合は業務の優先順位(平常時→運用優先、障害時→保守優先)を明確にすることが重要
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