SEとSIerの違いを解説!ステップ4つ|必要な資格やスキルとは

SE(システムエンジニア)とは?


SEはシステムエンジニアの略称です。SE(システムエンジニア)とは、システムを構築する「人」のことを指します。顧客の要望に合わせたシステムを考え、スケジュール管理やチームのマネジメントをしながら開発・導入・保守を行う「職種」です。SEの働き方は様々で、SIerに所属する形もあれば、IT企業以外の会社のシステム部門に所属したり、フリーランスとして働くこともあります。

SIerとは?


SIer(エスアイヤー)は、社会に必要なあらゆる仕組みをIT技術を使って実現する情報サービス「企業」のことを指します。SIerはSI(エスアイ/システムインテグレーション)を行う人という意味で、つまりは顧客に代わってコンピュータやネットワークなどを組み合わせてシステムの構築から保守までを請け負う業者です。SIer企業で実際にシステム開発を行うのは、その企業に所属しているSEという構図です。

SEとSIerの違いを解説!ステップ4つ


SEが「職業」で、SIerが「企業」を指す言葉であることがわかりました。次は、SEとSIerの違いを、それぞれの仕事内容と種類の点から4つのステップに分けてみていきます。

ステップ1:SEの仕事の流れ


SEのミッションは「システム開発により、顧客が抱えている業務上の課題を解決に導くこと」です。システム開発は主に、要件定義、設計、開発、テスト、運用・保守という工程に分かれており、SEはこれらすべての工程に携わります。その中でも、いわゆる「上流工程」と呼ばれる要件定義や設計、テストの部分を主に担当します。開発工程はプログラミング作業を行う工程で、主にプログラマという別の職業が行います。SEはこの工程では作業の進捗チェックがメインです。SEはプログラマが顧客の求めるものをプログラミングできるように、前段の要件定義、設計の工程で顧客の要求を正しく引き出し、設計書に落とし込んでいくことが特に重要な仕事です。

ステップ2:SIerの仕事の流れ


SIerは前述したとおり、情報サービス「企業」です。仕事は多岐にわたり、システム関係のことなら全て行います。SIerの仕事はSI事業とも呼ばれ、企業などの情報システムについての企画・コンサルティングに始まり、システム構築のための要件定義、設計、開発、運用、ハードウェアの選定等を一手に請け負います。企画・コンサルティングは、顧客の業務内容や経営方針なども理解した上でどのようなシステムが必要かを検討するとても重要なパートです。ここでは、SEが介入することもありますが、主には営業部隊やコンサルタントが行うことが多いでしょう。コンサルティングを終え、顧客に必要なシステムの概要が決まってからのプロジェクト進行はSEの仕事になります。

ステップ3:SEの種類


システム開発を行うのがSEの仕事ですが、専門分野ごとにさらに職種を分けることができます。ここでは数あるSEの職種の中から、システム開発の際に特に重要となるものを4つご紹介します。

アプリケーションエンジニア

顧客からヒアリングした要求をもとに、要件を定義してシステムを設計・開発していくのがアプリケーションエンジニアです。システム構築から導入まで一連のシステム開発工程に関わり、稼働後のサポートも行います。みんながイメージする一般的なSEの種類でしょう。ソフトウェアやデータベース、ネットワークなどの技術面の知識はもちろんのこと、チームで働くことが多いため、コミュニケーションスキルも必要となる職種です。

ネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアはネットワークの設計、構築、運用・保守を専門とするエンジニアです。ネットワークはシステムを動作させるためのコンピューターやサーバー間を繋ぐ重要な技術です。ネットワーク機器に関するファイヤウォールやルータなどの知識をはじめ、ネットワークを使った外部攻撃を防ぐため、セキュリティの知識も重要です。さらに、近年主流となっているクラウドに関する知識も必須でしょう。

セキュリティエンジニア

セキュリティエンジニアとは、情報セキュリティに特化したエンジニアです。不正アクセスの制御、サイバー攻撃、ウイルスの感染などを未然に防ぐため、ネットワークやシステムの弱点(脆弱性)を見つけ出し、対策を行うのが仕事です。近年あらゆるものがネットワークでつながるようになり、情報流出のリスクが増えています。それに伴い、資産管理やセキュリティ意識が重要視され、セキュリティエンジニアの需要も高まっています。

データベースエンジニア

データベースエンジニアは、データベースの設計、構築、運用・保守を専門に行うエンジニアです。データベースは、企業が扱う膨大な量のデータを保持し、必要なデータを検索したり抽出したりするシステムの心臓部とも言える部分です。データベース製品に関する知識やデータへのアクセス管理をはじめとするセキュリティ知識はもちろんのこと、企業の経営戦略にも活かせるようなビッグデータ解析に関する知識も必要でしょう。

ステップ4:SIerの種類


SIerも、企業の成り立ちによって大きく「ユーザ系」「メーカー系」「独立系」「外資系」の4つに分類されます。企業の特徴によって、顧客への提案方針やシステム開発のやりかたも異なってきます。

ユーザー系

企業の情報システム部門が独立もしくは分社化し、親会社や関連会社からの仕事を受けて成長し、その後それ以外の外部からの仕事を請け負うことでSIer化したものが「ユーザ系」と呼ばれるSIerです。「通信系」「製造系」「金融系」など、親会社の事業内容に応じてさらにジャンルが分かれます。親会社のシステムに関わる仕事が多いため、システムだけでなく親会社の業界知識も習得が必要です。

メーカー系

コンピューターを中心としたハードウェアを製造していた企業とそのグループ会社が、昨今のIT技術の進歩と普及に伴いSIer化したものが「メーカー系」と呼ばれます。メーカー系の強みは、システム開発を自社のハードウェアで行うことで、ワンストップかつ比較的安価なソリューション提案ができることです。創業当時はハードウェアメーカーだった企業も、近年はSI事業に力をいれているケースも少なくありません。

独立系

独自の経営スタイルでソフトウェア系のシステム開発をメインに行う、システムインテグレーション事業を目的とした企業を「独立系」SIerといいます。独立系は親会社が存在しないため、顧客へベンダーやメーカーに捉われないシステムの提案ができるという強みがあります。そのため、ほかの種類のSIerと比べると、比較的自由度が高い案件に携われるとも言えます。

外資系

グローバル市場でシステムインテグレーション事業を展開する企業が「外資系」と呼ばれるものです。日本法人を含め、世界にグループ会社が存在するような大手企業を指します。外資系SIerとして有名なものは米国発祥の企業が多いですが、近年ではインドの企業の成長が著しい傾向にあります。また、外資系企業は経営母体のある国の影響を受けるため、日本企業での働き方や職場環境とは異なります。

SEに必要な資格やスキル


SEは、医者や弁護士のように必ずしも資格が必要な職種ではありません。ですが、個人のスキルアップや昇進、また対外的なスキル証明として役に立ちます。資格には大きく「国家資格」と「ベンダー資格」の2つに分かれます。ベンダー資格は一般企業が独自に定めている資格のため、これからIT業界に就職を目指す場合は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施している国家資格の取得を目指すのがよいでしょう。

SIerに必要な資格やスキル


SIerもSEと同じく、必須ではありませんがSEに必要な技術資格を取得していると有利に働くことが多いでしょう。ですが、システム開発は資格があればうまくいくものではありません。開発プロジェクトは、顧客の要望を上手に引き出し、予算と期限を守りながら行ってこそ成功と言えるからです。技術面のスキルだけではなく「コミュニケーションスキル」「プロジェクトマネージメントスキル」が必要不可欠と言えるでしょう。

SEとSIerの違いを知ろう!


SEは、システムを開発したり、開発する過程を管理する立場にある「人」のことを指します。これに対してSIerは、社会に必要とされるあらゆる仕組みをIT技術を使って情報システムとして構築し提供している「企業」のことを指しています。IT業界への就職を目指す場合は、SEとSIerの違い・種類を理解した上で、自身が目指す企業や職種の選択をしましょう。