組み込み開発にJavaを使用するメリット3つ!組み込み系業務の将来性は?

ITにおける「組み込み系」とは?

ITにおける組み込み系は、1960年代頃に生まれたシステムです。

組み込み系システムが生まれるまでは、機械はハードウェアのみでできていました。そのため、機械に新しい機能を追加する場合はハードウェアを改修する必要がありました。

しかし組み込み系システムが誕生したことにより、ハードウェアはそのままで中身のシステムのみを修正することで機能を追加できるようになりました。

組み込み系システムの意味

組み込み系システムとは、家電などの機械に組み込まれているコンピュータを制御するためのシステムです。

組み込み系システムは自動車や飛行機、電子レンジや冷蔵庫などの家電、スマートフォン、工業機械や産業機械など、さまざまな機器に組み込まれています。

また、一般的なアプリケーションなどと異なり、組み込み系システムはハードウェアとソフトウェアが組み合わさっているという特徴があります。

組み込み系エンジニアの意味

組み込み系エンジニアとは、組み込み系システムの開発を行うエンジニアです。

組み込み系エンジニアはクライアントからニーズのヒアリングを行い、システムやプラットフォームの設計、開発、テストなどを行うことが主な仕事になります。

組み込み系エンジニアには、ソフトウェアだけでなくハードウェアの知識も求められ、開発にはハードウェアとの相性が良いC言語やC++などの言語が用いられることが多いのです。

制御系エンジニアとの違い

制御系エンジニアとは、機械がどのように動くかをコントロールする制御設計を行うエンジニアです。

機械のシステムを開発する場合、組み込み系の開発と合わせて制御系の開発も必要とされます。制御系は基本的な組み込み系によって搭載した機械の機能の利便性をより高めるもので、電子レンジであれば指定された時間だけ温めが行えるように制御することが可能になります。

Java言語を使用した組み込み系エンジニアの割合

Java言語を業務でよく使用している組み込み系エンジニアは、全体の18.5%となっていました。

組み込み系エンジニアがよく使用している言語は現在、C言語やC++が多いですが、Javaも4番目に多く利用されており、今後学びたい言語として挙げられています。

組み込み系業務の仕事内容4つ

組み込み系業務の仕事内容についてご紹介します。

組み込み系エンジニアの仕事は、さまざまな家電や機械などに組み込むシステムを開発することですが、具体的にどのような仕事を行っているのでしょうか。

ここでは組み込み系業務の仕事内容4つをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1:クライアントへのヒアリング

組み込み系エンジニアはクライアントと打ち合わせを行い、ニーズをヒアリングします。

どのような機械に搭載するシステムなのかによって、必要な機能は異なります。そのため、案件を受注したらクライアントからヒアリングを行い、機能の検討を行います。

また、その際にはクライアントのニーズだけでなくコストや市場の動向、機能が実現できるかどうかなども含めて検討する必要があります。

2:システムやプラットフォームの設計

組み込み系の業務では、組み込み系システムやプラットフォームの設計を行います。

どのような機能を搭載するのか決まったら、具体的なシステム設計やプラットフォームの設計を行っていきます。設計の際には規格への準拠、電子基板の設計、安全性がポイントになります。

また、設計のフェーズでは非常に高度な知識が必要とされることから、経験を積んだ組み込み系エンジニアが担うケースが多いでしょう。

3:ソフトウェアの開発・実装

組み込み系の業務ではソフトウェアの開発作業を行います。

設計が完了したら、設計書をもとにプログラミング作業を行い、実装を進めていきます。このソフトウェアの開発や実装のフェーズによって、組み込み系エンジニアとしての経験を積んでいくことになります。

また、ソフトウェアのプログラミング作業がある程度進むと、安全性や機能面での問題を確認するテスト作業も進めることになります。

4:ソフトウェアのテスト作業

組み込み系の業務ではソフトウェアのテスト作業を行います。

ある程度まで開発が完了した段階で、まずはメモリーに書き込みを行いながら機器単体でのテストを実施します。さらにソフトウェアの開発が終わると、実際の環境を想定したテストを実施し、使用の際の温度や湿度でのテストなどを行っていきます。

組み込み開発にJavaを使用するメリット3つ

組み込み開発にJavaを使用するメリットをご紹介します。

前述のとおり、近年では組み込み開発にJavaを利用することも多いのです。それではJavaを利用することでどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここでは組み込み開発にJavaを使用するメリット3つをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1:Javaの性能が確実に向上している

Javaの性能が以前よりも上昇していることから、組み込み系の開発にも利用できるようになってきています。

以前であれば、Javaはメモリーを多く消費するうえに動作も遅いことから、リアルタイム性が重視される組み込み系の開発では使用できませんでした。

しかし近年のJavaの性能が大きく上昇しており、CPU性能やメモリー搭載量なども向上しています。そのため、近年はJavaの性能面での課題は大きな問題ではなくなってきています。

2:高いセキュリティを保てる

Javaを組み込み系の開発に採用することで、他のプログラミング言語を採用するよりもセキュリティを保つことができます。

組み込み系の開発では一般的にはC系言語が利用されるケースが多いですが、Javaを組み込み系に利用することでアプリケーション側が自由に任意のメモリー空間にアクセスできなくなるため、システムとしての高いセキュリティが保てるというメリットがあります。

3:異なるハードウエア構成やOSで動かせる

Javaであれば異なるハードウェア構成やOSでも、同じ動作ができるというメリットがあります。

Javaは仮想マシン上で動作するという特徴を持っているため、メーカー違いでハードウェア構成などが異なる複数の機器の上でも、Javaで開発した同一のアプリケーションを動作させることができます。

Javaの組み込み系システム開発事例2つ

Javaの組み込み系システム開発事例をご紹介します。

近年ではJavaが組み込み系の開発に利用されるようになってきたことをご紹介しましたが、具体的にどのようなシステム開発の事例があるのでしょうか。

ここではJavaの組み込み系システム開発事例2つをご紹介しますので、どのような開発事例があるのか参考にしてみてください。

電化製品に使われる場合

電化製品の中では、JavaはBlu-rayプレーヤーの組み込み開発に採用されています。

Javaは「Blu-ray Disc ROM」を再生できるBlu-ray Discプレーヤーに必ず搭載されています。BD-ROMでは映像だけでなくJavaのアプリケーションが記録できるため、Blu-rayプレーヤーで再生することでJavaアプリケーションのコンテンツを表示することができます。

携帯電話で使われる場合

携帯電話では、NTTドコモがJavaを搭載した携帯電話を開発しました。

Java搭載の携帯電話が登場したのは2001年なので、すでに20年前にはJavaは組み込み系の開発に採用されていました。

Javaを携帯電話に搭載することにより、アプリケーションをダウンロードするという使い方が生まれ、有料のアプリケーションを提供するコンテンツ市場が誕生しました。

組み込み系業務の将来性は?

これから組み込み系の開発を行うエンジニアになることを視野に入れている方の中には、組み込み系全体での将来性が気になっているという方もいるのではないでしょうか。

今後、組み込み系エンジニアの需要も拡大していくことが予想されているため、組み込み系には将来性があると言えるでしょう。

組み込み系エンジニアが今後も必要とされる理由2つ

組み込み系エンジニアが今後も必要とされる理由をご紹介します。

組み込み系エンジニアの需要が将来的に増えていくと予想できるのには、いくつかの理由があります。

ここでは組み込み系エンジニアが今後も必要とされる理由2つをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

IoT機器や自動運転システム等の開発がより一層進んでいく

今後はIoT機器や自動運転システムなどの最先端分野の開発がより活発化していくことから、組み込み系エンジニアの需要も高まっていくでしょう。

IoTでも自動運転システムの開発でも、機械にシステムを組み込む、組み込み系の技術は必須となります。特にIoT分野は現在のメインとなっている家電だけでなく、今後は幅広い分野へ拡大していくことが予想されるため、組み込み系エンジニアのスキルは必要となるでしょう。

機器のセンサー設置における設計や開発が増えるため

IoT関連の開発によって、さまざまな危機にセンサーなどを組み込む必要が生まれるため、組み込み系エンジニアの設計や開発スキルが必要になります。

通信技術の発展も進んでいる近年では、あらゆる機器にネットワークが搭載されるようになってきています。今後もIoTの普及とともに、組み込み系エンジニアの力への需要が増していくでしょう。

Javaを使った組み込み系の将来性は?

Javaを使った組み込み系の開発にも、今後高い将来性があると言えるでしょう。

Javaは組み込み系エンジニアがよく使っている言語として第4位となっており、現在学びたい言語としても名前が挙げられています。そのため、今後もJavaを活用した組み込み系の開発は拡大していくことが予想できます。

Javaの組み込み系業務やエンジニアについて理解しよう

Javaは携帯電話や電化製品など、さまざまな組み込み系の業務にも活用されています。

ぜひこの記事でご紹介したJava言語を使用した組み込み系エンジニアの割合や組み込み系業務の仕事内容、組み込み開発にJavaを使用するメリットなどを参考に、Javaを利用した組み込み系の業務について理解を深めてみてはいかがでしょうか。