アジャイル開発とウォーターフォール開発のポイント比較8つ|メリットなども紹介
最終更新日:2026年8月6日
アジャイル開発とは

アジャイル開発とは、システムやソフトウェアの開発手法の1つです。要件定義、設計、コーディング、テスト、リリースを短い期間で繰り返していく手法になります。
一度で全ての要件を達成できるわけではないので、定期的に顧客と話し合い、次の開発期間で何を作るかを決める必要があります。
ウォーターフォール開発とは

ウォーターフォール開発とは、アジャイル開発と同じく、システムやソフトウェア開発手法の1つです。
要件定義、設計、コーディング、テスト、リリースを、水が上から流れ落ちるように逆戻りせずに綺麗に順番にこなしていく手法です。シンプルな構成で、採用しているプロジェクトがとても多くあります。
アジャイル開発とウォーターフォール開発のポイント比較8つ

アジャイル開発とウォーターフォール開発は、それぞれ真逆の立ち位置にいる開発手法です。対応できるプロジェクトも、真逆の性質のものになります。
| 比較ポイント | アジャイル開発 | ウォーターフォール開発 |
|---|---|---|
| 開発計画 | アウトライン的な計画(柔軟) | 事前に綿密な計画(固定的) |
| 途中仕様変更 | 次のイテレーションで柔軟対応可 | 振り出しに戻り時間・コストのロスが大きい |
| サービス提供 | イテレーションごとに小刻みに提供 | 製品完成後(数ヶ月〜数年後) |
| テスト確認 | イテレーション単位で繰り返し実施 | 最終テストのみ(基本1回) |
| ドキュメント | 必須ではない(次のイテレーションでもよい) | 各ステージごとに提出必須 |
| 開発者対応 | 1人が全ステージを担当(スクラム型) | 各ステージに専業担当者あり |
| プロセス改善 | イテレーションごとに継続改善 | 基本的に完成後に判明。事前計画で対応 |
| 人材育成 | 全行程のスキルが必要(難度高) | 担当ステージのスキルのみで対応可 |
ポイント比較1:開発計画
ウォーターフォール式は基本的に前の工程に戻る事が出来ないので、まず綿密な計画を立てます。それに対してアジャイル式は定期的に顧客と要件を話し合う事、小さなプロジェクトを何度も繰り返す手法であることから、アウトライン的な計画になります。
開発計画の立て方はそれぞれ全く違う物になるので、プロジェクトの性質によってそれぞれ向き不向きがあります。
ポイント比較2:途中仕様変更
途中仕様変更をする場合、アジャイル式とウォーターフォール式ではコストに大きな差が生じるので、注意する必要があります。
アジャイル式の場合、次のイテレーションから対応可能なので、途中仕様変更にも柔軟に対応する事が出来ます。対してウォーターフォール式の場合、振り出しに戻りますので、時間とコストの損失が激しく、途中仕様変更をする場合は慎重な判断が求められます。
ポイント比較3:サービス提供
サービスの提供時期はアジャイル開発はイテレーションごとの、小刻みな期間で提供可能です。それに対してウォーターフォール開発は製品の完成後になり、プロジェクト発足からかなり長い期間を経た後になります。
従って、アジャイル開発はモバイル関連のプロジェクトなど、毎日少しずつ技術が進化し、サービスの方向性を調整しなければならないようなプロジェクトに適しています。
ポイント比較4:テスト確認
テスト確認については、ウォーターフォールは最終テストでの確認になり、基本的に回数は1回のみです。それに対してアジャイル開発はイテレーション単位ごとに短い期間でテストを繰り返していきます。
一見するとアジャイル開発のテスト確認は面倒に見えますが、バグを早期に発見するチャンスが多く、長期的なサービスの停止を防げるというメリットがあります。
ポイント比較5:ドキュメント
基本的にウォーターフォール開発はステージ毎にドキュメントの作成と提出が必要ですが、アジャイル開発の場合、必ずしもドキュメントの作成は必要ありません。
ウォーターフォール開発の場合、事前に綿密に計画を立てる事、基本的に前の工程に戻らない事から、顧客側としても開発チームの進捗を綿密に確認したいと考えます。それぞれの工程ごとにドキュメントの作成と提出が求められます。
アジャイル開発はイテレーションを反復するシステム開発の手法なので、次のイテレーションでドキュメントを作成する事も許されます。
ポイント比較6:開発者対応
開発者の対応としては、ウォーターフォール開発はそれぞれのステージごとに専業の担当者がいます。それに対して、アジャイル開発は一人の担当者が全てのステージを担当します。
アジャイル開発においてはチーム一丸となり1つのプロジェクトに立ち向かうので、開発の枠組みを指すとき、まるでラグビーの戦術の1つであるスクラムを組む様である事から、「スクラム」と呼ばれることもあります。
ポイント比較7:プロセス改善
プロセス改善において、ウォーターフォール開発は基本的に前の工程に戻ることが無いので、改善点がわかるのは完成後ですが、アジャイル開発であればイテレーションごとに改善点がわかり、イテレーションの数をこなすごとにプロセスを洗練させる事が出来ます。
人の入れ替わりが無ければ、アジャイル開発を開発方法に採用している組織は、時を経るごとに高い生産性を誇るようになります。
ポイント比較8:人材育成
人材育成に置いて、ウォーターフォール開発はそのステージに対応したスキルを習得すれば対応可能ですが、アジャイル開発は全行程でのスキルの取得が求められます。
ウォーターフォール開発は人材育成がアジャイル開発よりも簡単かつ短期間で出来ますので、途中で新しく参画したメンバーを戦力にしやすいです。
アジャイル開発に対応するには幅広い知識と経験が必要なので、対応できる人材は組織にとって需要が高く、市場価値は高くなる傾向にあります。
アジャイル開発とウォーターフォール開発のメリットについて

アジャイルとウォーターフォールは、それぞれ異なったメリットとデメリットがあります。プロジェクトや顧客によって、適切な物を選択する必要があります。
アジャイル開発の場合
アジャイル開発の場合、大きな特徴として、早いスピードでサービスや製品を顧客に届けられ、顧客の意見に合わせてサービスや製品の質や方向性を調整できる事があげられます。つまり、顧客の生の声を聞きながら開発が出来る、と言うのがアジャイル開発のメリットの根本です。
開発期間を短くすることができる
アジャイル開発の開発期間の短さにより、納期の短縮の他に、早い時期から顧客側がサービスや製品を操作できるので、顧客側のシステム開発の知識を上げやすい、と言うものがあります。
また開発期間が短い事で、費用に小回りを利かせる事が出来、人員や設備の確保の契約に柔軟性を持たせる、というメリットもあります。
可変的で双方向的である
アジャイル開発のメリットとして、可変的で双方向的であるという点が挙げられます。アジャイル開発はサービスの提供と開発が平行するので、サービスのフィードバックや意見交換が顧客と開発チーム側で多く出来ます。
イテレーションごとに仕様変更が可能である
アジャイル開発は出戻りが発生してもそこまで工数を無駄にしないので、イテレーションごとに仕様の変更が可能になります。
出戻りが発生してもシステム全体の開発やテストをやり直す必要はないので、顧客側の要望に柔軟に対応する事が出来ます。
試作品を迅速に作成できる
アジャイル開発は開発期間の短さから、試作品を迅速に作成し、顧客に見てもらう事が可能になります。
開発途中でのデモ確認ができる
アジャイル開発は開発途中でデモ確認が出来ます。これにより、顧客側と開発チーム側の認識の齟齬を早い段階で解消する事が出来ます。
開発途中でもユーザー要望を反映できる
アジャイル開発は開発途中でもユーザー要望を反映する事が可能です。そもそも計画段階で綿密に計画を立てずに変更の余地を残しているからです。
アジャイル開発は製品やサービスのリリースと製品開発が並行して行われるので、ユーザーの生の声を反映する事で、よりユーザビリティの高い物を作り事が出来ます。
ウォーターフォール開発の場合
ウォーターフォール開発の大きな特徴の1つとして、計画の構成がわかりやすいという点が挙げられます。
簡潔で分かりやすい
簡潔でわかりやすい点はスケジュールやチームの進捗状態の管理のしやすさに繋がります。その時点で取り組んでいるステージがチームメンバーは皆共通なので、仕事に融通も利かせやすくなります。
高品質が確保しやすい
ウォーターフォール開発は高品質が確保しやすいです。事前に目標だけでなく、目標に進むための道筋や進み方まで綿密に計画を立てるので、プロジェクトに参画したばかりの人間でも業務やプロジェクトへの理解が容易になります。
広い適用性
ウォーターフォール開発は適用事例が過去に沢山あります。その事から、広い適用性があり、様々な状況に応用できます。
アジャイル開発とウォーターフォール開発のデメリットについて

ウォーターフォールとアジャイルにはそれぞれメリットだけではなくデメリットも存在しています。どちらの計画を採用するかは、デメリットも含めてよく考える必要があります。
アジャイル開発の場合
アジャイル開発は開発期間の短さからくる、計画や仕様の変更に柔軟に対応できる点がメリットでした。しかし、このメリットが時にはデメリットに変わってしまい、プロジェクトの進行に支障をきたす場合もあります。
頻繁な仕様変更により品質確認が後手に回る可能性がある
イテレーションごとに開発を繰り返せることから、場当たり的な開発に終始し、システム全体の品質を見落としてしまう可能性があります。プロジェクトの開始段階で開発時の方向性やコンセプトを顧客側としっかり話し合って、お互いの認識をすり合わせていかないと、このような状況に陥る可能性が高いです。
大きすぎる開発規模では制約ができる場合がある
大きすぎる開発規模のプロジェクトで、あまりに多くの人間と活発に意見交換がされすぎると、大事な決定がなかなか出来ず、プロジェクトの進行の足かせになる場合もあります。
仕様変更・改善が延々と続く可能性がある
アジャイル開発の場合、目標や目的がぶれやすいため、延々と仕様変更や改善が続く可能性もあります。最初に大まかなプロジェクトやチームの方向性を決めておかないとこのような状況になる可能性があり、費用や時間を無駄に浪費する事態となってしまいます。
ウォーターフォール開発の場合
ウォーターフォール開発にもデメリットは存在します。前のステージに戻らない、等の単純な構造が時には仇となる可能性があります。
開発に時間を要す
ウォーターフォール開発は、製品やサービスのリリースまで時間がかかりすぎるという点がデメリットにあげられます。リリースまで何年もかかるシステムもあります。
時間に比例して費用がかさむ
ウォーターフォール開発は開発に多大な時間を必要とする事から、費用がそれだけかさみ、会社の経営をそれだけ圧迫します。
途中での仕様変更はロスが大きい
もし成果物を作った後に仕様変更などが発生すると、前のステージを全てやり直すことになり、非常に大きなロスを抱えてしまいます。
膨大なドキュメント作成が必要
ウォーターフォール開発は各工程で成果物が必要になりますが、それはソースファイルだけではなく、要件定義書や設計書、テストのエビデンス等非常に多岐にわたります。
開発途中でのユーザー要望は反映できない
ウォーターフォール開発では基本的に前のステージに戻る事を想定していないため、開発途中でのユーザーの要望を反映する事が出来ません。
アジャイル開発で採用される3つの手法を紹介

アジャイル開発の中にも様々な種類があります。さまざまな状況に対応するために、アジャイル開発のそれぞれの特徴や利点を強調させる幾つかの開発手法が考案されてきました。
アジャイル開発の手法1:スクラム
アジャイル開発の手法の中でもメジャーな部類に入るのがスクラムと言われる手法です。スクラムマスターと言われる役割の人物の元で、計画をチームメンバーで綿密に話し合いながらプロジェクトを進めていきます。
強いリーダーシップとマネージメント力を持った人物が、スクラムマスターになれるかどうかがプロジェクトの成功の鍵です。
アジャイル開発の手法2:エクストリーム・プログラミング(XP)
エクストリーム・プログラミングとは途中の仕様変更にも柔軟に対応できる事を特に重視した開発手法です。柔軟な対応力が求められるため、高いプログラミングの技量持っているかが非常に重要です。
アジャイル開発の手法3:ユーザー機能駆動開発(FDD)
ユーザー機能駆動開発(FDD)は顧客目線での機能開発を重視する手法です。ユーザー側が何を必要としているか、という根本的な要望を重視することから、アジャイル開発の弱点の1つである、品質を担保できる開発手法になります。
まとめ
- アジャイル開発は「短い期間でイテレーションを繰り返す」手法。途中仕様変更に柔軟で、顧客の生の声をリアルタイムに反映しながら開発できる。モバイルアプリ・SaaSなど変化が速いプロジェクトに向いている
- ウォーターフォール開発は「要件定義→設計→コーディング→テスト→リリース」を逆戻りなく進む手法。計画が明確で管理しやすく、金融系・官公庁向けなど仕様が確定している大規模プロジェクトに向いている
- 8つのポイント比較(開発計画/仕様変更/サービス提供/テスト/ドキュメント/開発者対応/プロセス改善/人材育成)のいずれも、「柔軟性を優先するか・品質と計画性を優先するか」という選択の違いが反映されている
- アジャイル開発の主要手法は3種類:スクラム(計画を話し合いながら進める)・エクストリーム・プログラミング(仕様変更への柔軟対応を重視)・ユーザー機能駆動開発FDD(顧客目線の品質を重視)
- プロジェクト発足前に「目標・仕様が確定しているか(→ウォーターフォール)」「顧客の意見を反映しながら進めたいか(→アジャイル)」を判断するのが選択の基本。ハイブリッド開発(両方を組み合わせる)という手法もある
よくある質問
開発に合わせてアジャイル開発かウォーターフォール開発を選択することが大切!

ウォーターフォールとアジャイルの違いには様々な点が挙げられるので、それぞれ使い分けが必要になります。目標やゴールが明確であるならウォーターフォール開発を採用すべきですし、目標やゴールが定めにくく、変更が生じやすい場合はアジャイル開発が良いでしょう。
ウォーターフォールとアジャイル開発を併用する、ハイブリッド開発という手法もありますが、何れにせよ、プロジェクト開始前によく考えてから採用すべきです。
それぞれのプロジェクトの性質にあった開発手法を選べば、最小限のコストで、効率よく良質なサービスや製品を提供できます。
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