最終更新日:2026年8月7日
Acrovisionでは2026年7月、「Claude Code でシステムを作ってみよう」と題した社内勉強会を開催しました。
この記事では、当日のスライド内容を掲載し文章としても書き起こしており、AIコーディングの現在地と実践的な使い方が学べます。
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PART 1|AIの現在地を知る
ここ数年で何が起きたのか
AIの歴史を振り返ると、ほんの数年で世界は大きく変わっています。
2017年、Googleが「Attention is All You Need」という論文を発表しました。これがトランスフォーマー(Transformer)と呼ばれる技術の誕生で、現在のすべてのAIの基盤となっています。
2022年11月、OpenAIがChatGPTを公開。わずか2ヶ月で1億ユーザーを達成という、史上最速の普及を記録しました。
2023年3月、GPT-4とClaude 1が公開され、高性能AIが一般利用できる時代が始まりました。
2023年12月、GoogleがGeminiを公開し、本格的なAI競争がスタートします。
2025年4月、Claude Codeがリリース。AIが自律的にコードを書く時代の幕開けです。
2026年5月、ChatGPTがついに市場シェア50%を初めて下回りました。AIツールが群雄割拠の時代に突入したことを示す象徴的な出来事です。
AIチャット、今何が使われているのか
Sensor Towerの調査(2026年5月・グローバルAIチャットアプリ)によると:
- ChatGPT:MAUシェア 46.4%(月間アクティブユーザー11億人)
- Gemini:MAUシェア 27.7%(6.62億人)
- Claude:MAUシェア 10.3%(2.45億人)
かつて独占状態だった市場に、真の競合が生まれました。ChatGPTがシェア50%を下回ったのはこれが初めてのことです。
AIの「頭の大きさ」と「記憶の広さ」が桁違いに拡大している
AIの性能を左右する指標として「パラメータ数(頭の大きさ)」と「コンテキストウィンドウ(一度に処理できる情報量)」があります。
パラメータ数の推移(GPTシリーズ)
| モデル | 年 | パラメータ数 | 前モデル比 |
|---|---|---|---|
| GPT-1 | 2018年 | 1.17億 | — |
| GPT-2 | 2019年 | 15億 | 13倍 |
| GPT-3 | 2020年 | 1,750億 | 117倍 |
| GPT-4 | 2023年 | 約1〜1.8兆(推定) | 約10倍 |
GPT-3はGPT-2の117倍の規模を、わずか1年で達成しています。
コンテキストウィンドウの推移
| 時期 | モデル | トークン数 | 換算目安 |
|---|---|---|---|
| 2022年 | GPT-3.5 | 4,096 | 原稿用紙 約8枚 |
| 2023年5月 | Claude 2 | 100,000 | 文庫本 約1冊 |
| 2024年 | Gemini 1.5 Pro | 100万 | 文庫本 約10冊 |
| 2026年6月 | Claude Fable 5 | 100万(標準) | — |
| 2026年 | Meta Llama 4 Scout | 1,000万 | 文庫本 約100冊 |
2022年には原稿用紙8枚分しか読めなかったAIが、2026年には文庫本100冊分を一度に処理できるレベルになっています。
2026年、AIモデルの最前線はここまで来た
Anthropicの最新モデル
- Claude Fable 5(2026年6月9日リリース):コンテキスト100万トークン、最大出力128Kトークン、常時「思考モード」ON。価格は入力$10・出力$50 / 百万トークン。
- Claude Mythos 5(同日・限定公開):Fable 5と同スペック・同価格だが、セーフティ制限なし。特定組織のみアクセス可能。
OpenAIの最新モデル
- GPT-5.6(2026年7月9日リリース):3つのバリアントがあります。
- Luna(軽量・低コスト):入力$1 / 百万トークン
- Terra(標準):入力$2.50 / 百万トークン
- Sol(最高性能・コーディング特化):入力$5 / 百万トークン
- コンテキストは全バリアント共通で105万トークン
もはやAIが「コードを書く」時代から「プロジェクトを担う」時代へと移行しつつあります。
トップたちは今、何と言っているのか
AI業界を率いるCEOたちの発言も、AIの急速な進化を裏付けています。
Dario Amodei(Anthropic CEO)
「AIがコードの90%を書く状況は、すでに一部で実現した」Sam Altman(OpenAI CEO)
「我々は従来の意味でのAGIを構築する方法を知っている」Sundar Pichai(Google CEO)
「3年後には非常に強力になり、社会はそれに備える必要がある」
開発者が実際に使っているAIツール
JetBrains AI Pulse(2026年1月・世界の開発者1万人以上)の調査では:
| ツール名 | 認知率 | 採用率 | トレンド |
|---|---|---|---|
| GitHub Copilot | 76% | 29% | 成長鈍化 |
| Cursor | 69% | 18% | 横ばい |
| Claude Code | 57% | 18% | 6ヶ月で6倍・急成長中 |
同じくJetBrains AI Pulse(2026年4月)では:
- 最も愛されるツール:Claude Code 46%(Cursor 19%、Copilot 9%)
- 満足度CSAT:91%(業界最高)
- NPS:54(業界最高)
Claude Codeは認知率ではまだ3位ですが、満足度では他のツールを大きく引き離しています。
主要AIコーディングツール、何が違うのか
| 比較項目 | GitHub Copilot | Cursor | Codex(OpenAI) | Claude Code |
|---|---|---|---|---|
| 起動方法 | IDEプラグイン | 専用エディタ | ターミナル | ターミナル |
| 動作スタイル | 提案型 | 対話型 | エージェント型 | エージェント型 |
| Git操作 | △ | △ | ○ | ◎(自律実行) |
| AWS・サーバー操作 | × | × | △ | ◎(自律実行) |
| ファイル横断理解 | △ | ○ | ○ | ◎ |
Claude Codeは「補助ツール」ではなく「自律エージェント」です。ゴールを伝えれば、計画から実行・確認まで自分でやり遂げます。
AIとの関わり方が根本から変わった
AIの進化によって、エンジニアとAIの関係が大きく変化しています。
従来の対話型AI
人間がAIに指示を出す → AIが回答する → 人間が次の指示を出す……というサイクルで、AIは「答えるだけの存在」でした。細かな修正も毎回指定が必要でした。
現在のエージェント型AI
人間は最初の「ゴール指示」と最後の確認だけ行います。AIが自律的にコードを読み、計画から実装、動作確認、修正までのサイクルを全て完遂します。
使われているが、疑いながら使っている
Stack Overflow Developer Survey 2025(世界の開発者 n=49,000人以上)によると:
- AIツールの使用/予定割合:84%(前年76%から増加)
- 毎日使用している割合:51%(プロ開発者に限定)
- ツールを信頼している割合:わずか 29%
採用スピードが信頼の構築を大きく上回っているのが現状です。「とりあえず使う」から「正しく使いこなす」へのフェーズに移行中です。
PART 2|Claude Codeを見る・触れる
AIは自分で考え、自分で確認する
Claude Codeにゴールを渡すと、以下のサイクルを自律的に回します:
- ゴール受け取り:何を達成すべきかを理解
- 計画:何をすべきか考える
- 実行:ファイル読み込み、コード作成、コマンド実行
- 確認:意図通りかどうかを検証
- 再修正:問題があれば自律的に修正
ファイル操作からGit連携まで、指示なしで完遂します。
複数のAIが並列で動く
Claude Codeはさらに高度な使い方として、複数のAIエージェントが同時に並列で動くことができます。
たとえば「この機能を追加して」という指示に対して:
- AI 1(調査担当):既存コードの仕様・制約を理解
- AI 2(実装担当):コード記述・テスト実行
- AI 3(レビュー担当):品質・セキュリティ・バグチェック
これらが同時並列で動くため、直列処理では数時間かかる作業を数分へと大幅に短縮することができます。
エンジニアの仕事は「設計と判断」へ
AIがルーティン作業の平均46%を代替できるようになりました。
AIに任せられること
- コーディング(コード生成・バグ修正・リファクタリング)
- テスト生成
- ドキュメント整理
人間が担う価値
- 判断
- ユーザー価値の設計
- アーキテクチャの決定
- 品質確認
AIを使いこなすか否かで、エンジニアとしての価値の差が急拡大しています。
これ、全部Claude Codeで作りました
Acrovisionでは実際に、以下のシステムをClaude Codeを活用して構築しています:
- 社内管理ツール:社員向け業務システム一式
- 外部公開デモサービス:www.acrovision.jp/demo/
勉強会の参加者には「今日の勉強会が終わる頃には、皆さんも同じことができるようになります」とお伝えしました。
ライブデモ:起動からAWS操作まで一気通貫
当日は参加者からリアルなお題を募集し、以下の5ステップを実演しました:
- STEP 1:Claude Code起動(コマンド入力)
- STEP 2:参加者からその場でリアルなお題を募集
- STEP 3:AIが既存コードを理解して実装
- STEP 4:
/commitで適切なコミットメッセージを自動生成 - STEP 5:Git push・AWS操作まで一気通貫で実演
実際の運用環境を想定したシナリオで進行しました。
PART 3|自分で作ってみる
Claude Code のインストール手順(Windows)
STEP 1|Node.js のインストール
以下のサイトから「LTS版」をダウンロードしてインストールします。
https://nodejs.org/ja/
STEP 2|Claude Code のインストール
PowerShell(またはコマンドプロンプト)を開いて以下を入力:
npm install -g @anthropic-ai/claude-code
STEP 3|起動確認
同じくPowerShellで以下を入力:
claude
※APIキーの入力を求められます。
Mac をお使いの方:ターミナルを開いて同じコマンドをそのまま実行できます。
VS Code をお使いの方(エンジニア向け):拡張機能「Claude Code」をインストールするとエディタ内からも使えます。
ハンズオン前に必ず守ってほしいこと
限られたリソースで最大限のパフォーマンスを引き出すための4つの必須ルールです。
1. 会話履歴の管理
タスクが変わるたびに /clear でリセットしましょう。前の作業の文脈が残っていると、AIが混乱してトークン(費用)を無駄に消費します。
2. データ入力の最適化
プロジェクト全体を丸ごと読み込ませるのではなく、必要な部分のみ指定して読ませます。これだけでコストが大幅に下がります。
3. 指示の明確化
曖昧な指示は品質を下げます。「直して」ではなく「○○ファイルの△△関数で、××という条件のときに□□するよう修正して」のように、具体的かつ明確に指示します。
4. モデル選定
- ✅ Sonnet:標準的な作業に最適(バランス型)
- ✅ Haiku:軽い作業に(低コスト)
- ❌ Opus:会社支給環境では使用禁止
- ❌ Fable 5:会社支給環境では使用禁止
ハンズオンのお題:「QRコード生成ツールを作って」
参加者が実際に手を動かした4ステップです:
- STEP 1:SSHでEC2サーバーへ接続
- STEP 2:Claude Code 起動・APIキー設定
- STEP 3:「QRコード生成ツールを作って」と指示を入力して待機
- STEP 4:URLで完成品を確認
追加指示を出すだけで、色の変更・サイズ調整・デザイン変更など即座にカスタマイズが可能でした。
Claude Codeでできること・慎重な操作が必要なこと
できること(APIがあればほぼ何でも可能)
| カテゴリ | 具体例 |
|---|---|
| Git | commit / push / branch作成 / PR作成 |
| AWS | EC2起動・停止 / S3操作 / セキュリティグループ変更 / CloudFront設定 |
| サーバー操作 | SSH経由でのファイル配置・コマンド実行・ログ確認 |
慎重な対応が必要な操作
一度実行したら取り返しのつかない操作には注意が必要です:
- EC2インスタンスの削除
- 本番DBへの書き込み・削除
- 大量メール送信
git push --force
これらは CLAUDE.md というファイルに禁止事項として書いておくことで、AIが誤って実行するリスクを減らせます。実行前に --dry-run で確認する習慣も重要です。
既存プロジェクトに Claude Code を入れるとどうなるか
既存のシステムにClaude Codeを導入する場合、プロジェクトフォルダで起動するだけで、コードを読んで理解し、その前提でコーディング・仕様書出力ができるようになります。
手順
- プロジェクトフォルダで起動
ターミナルでcd <プロジェクトのフォルダ>→claude - プロジェクトを理解させる
以下のようなプロンプトを使います:
このプロジェクトのコードをすべて読んで、以下をまとめたMDを作成してください:
1. プロジェクト概要(何をするシステムか)
2. ファイル構成と各ファイルの役割
3. 主要な機能一覧
4. データベース・テーブル構造(あれば)
5. 開発時の注意事項
- 出力されたMDを確認・修正(※人間のチェック必須)
ハルシネーション(事実と異なる記述)が起きることがあるため、必ず内容を確認します。 - 理解したうえでコーディング・仕様書出力
「上記の理解をふまえて、○○機能を追加して」「このシステムの仕様書を作成して」のように指示できます。
得意なことと、そうでないことがある
Claudeはもともと企業向け・プログラミング支援を主眼に設計されています。論理で解ける問題は非常に得意な一方で、感性で勝負する領域には課題があります。
Claude Codeが得意なこと
- プログラミング(コード生成・バグ修正・リファクタリング)
- Webページ作成(HTML/CSS/JSの実装・機能ページ構築)
- ロジック・構造(データ処理・API連携・DB設計)
- ドキュメント(仕様書・README・マニュアルの生成)
- Git・クラウド操作(commit・AWS・デプロイ実行)
- 調査・分析(コード解析・セキュリティチェック)
課題があること
- ビジュアルデザイン(顧客向けプレゼン・ブランドデザイン・おしゃれな配色)
- 感性的な表現(「インパクトのあるビジュアル」など)
- 最新情報(知識カットオフ以降・ハルシネーションが起きやすい)
- 大規模な自律作業(タスクが大きすぎると方向を外れることがある)
使い分けのイメージ
- Claude Codeに向いている:社内システム・管理ツール・API・バッチ処理・Webアプリの実装
- 人間または専門ツールが向いている:顧客向けプレゼン(PowerPoint / Canva)・ブランドロゴ・グラフィックデザイン
Claude Codeをチームの道具にするために
ツールを入れるだけでは半分です。4つの機能を整備して初めてチームの道具になります。
CLAUDE.md
開発ルール・フローをAIに教えるドキュメントです。チーム固有の文脈(使っているフレームワーク、禁止事項、デプロイ手順など)を事前にAIへ共有することで、毎回同じことを説明しなくてよくなります。
スキル
スラッシュコマンドで手順を再現可能にする仕組みです。たとえば /commit を実行するだけで、適切なコミットメッセージの自動生成からGit pushまでが自動化されます。定型作業の標準化に効果的です。
メモリ
過去の判断を保持し、対話の文脈を引き継ぎます。「前回こうしたから今回もこのやり方で」という文脈をAIが保持するため、毎回ゼロから説明する必要がなくなります。
パーミッション設定
AIが実行できる範囲を制御します。「本番DBへの直接書き込みは禁止」「EC2インスタンスの削除前に必ず確認を取る」といったルールを設定できます。
トークン消費を抑えるコツ
同じ作業でもやり方次第でコストが10倍変わります。
やりがちなミス(コスト増)
- プロジェクト全体を丸ごと読み込ませる
- 一つの会話を長く続ける(/clearしない)
- 「いい感じにして」などの曖昧な指示
正しい使い方(コスト最適化)
- 必要な箇所・ファイルだけを指定して読ませる
- タスクが変わったら
/clearでリセット - 具体的かつ明確に指示する
鉄則は「① /clear → ② 絞って読む → ③ 具体的に指示」の3点セットです。
ループ実行という考え方
Claude Codeには「条件を満たすまで同じ作業を繰り返す」ループ実行という使い方があります。
たとえば「バグがなくなるまでデバッグをループして」「セキュリティ問題が0件になるまでチェックを繰り返して」のような指示ができます。動きの速いジュニアエンジニアのようなイメージで、速いけれど間違えることもある点には注意が必要です。
精度を上げるコツ
- 手順化:「デバッグして」ではなく、「エラーログ確認→再現条件特定→修正→再テスト」のように手順を明確にすると精度が格段に上がります。
- スキル定義:手順をスキルとして定義しておくことで、再利用が可能になり精度も安定します。
使いどころ
- 向いているタスク:終わったかどうかを機械的に判定できるもの(バグ0件・テスト全通過・問題0件など)
- 向いていないタスク:「良い感じかどうか」など主観的な判断が必要なもの
実例:今回の勉強会準備でも実際に使用しました。「セキュリティ対策をチェックし、問題がなくなるまでループして」という指示で、実際に7件の問題を発見・修正できました。
ループ実行は特別なテクニックではなく、/loop スキルや /code-review の ultraオプションなど、最初から標準機能として用意されています。
まとめ
勉強会を通じてお伝えしたかったことを4点にまとめます。
1. AIツールはすでに実用段階
実験やお試しの時代は終わりました。84%の開発者がすでに使い、実際のプロダクション環境での活用が当たり前になっています。
2. Claude Codeは自律的にAWS操作まで完遂する
補助ツールではなく、自律エージェントです。コードを書くだけでなく、サーバーへのデプロイ、Gitへのコミット、AWSの設定変更まで、ゴールを渡せば自分でやり遂げます。
3. エージェント型AIで「設計と判断」へ集中できる
ルーティン作業の46%をAIが担えるようになった今、人間がすべきことは変わりました。より本質的な「設計」と「判断」に時間と頭を使う時代です。
4. ハーネス整備でチーム運用へ
CLAUDE.md・スキル・メモリ・パーミッション設定を整備することで、個人の技術ではなくチームの標準ツールとして活用できます。
Acrovisionでは、こうした最新技術を全社員で学び、実際のお客様向けシステム開発に活かし続けています。
当日使用したスライド資料(全28ページ)は、下記のビューアでご覧いただけます。
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