最終更新日:2026年8月5日(2025年1月公開時点の内容を、後継モデル群(V4 Flash/V4 Pro)を含む2026年8月時点の最新ベンチマークに更新しました)
2025年1月に登場したDeepSeek-R1は、低コストながらOpenAI o1に匹敵する推論性能を示し、AI業界に大きな衝撃を与えました。本記事では、R1が持っていた基本性能を振り返ったうえで、その後継にあたるDeepSeek V4 Flash/V4 Proと主要な競合モデル(GPT-5.5、Claude Opus 4.7)の最新ベンチマークを比較し、用途別の選び方まで整理します。AIモデルのベンチマーク・料金は改定が頻繁なため、本記事は目安としてご覧いただき、重要な意思決定の前には必ず各社公式サイトで最新情報をご確認ください。
DeepSeek-R1とは(2025年1月公開時点の基本性能)
DeepSeek-R1は、中国のスタートアップ企業DeepSeekが2025年1月に公開した推論特化型の大規模言語モデルです。大規模強化学習(RL)による訓練と、MoE(Mixture of Experts)アーキテクチャの採用により、公開当時のOpenAI o1に匹敵する数学的推論・コーディング性能を、大幅に低いコストで実現したことで注目を集めました。
DeepSeek-R1の基本スペック
- パラメータ数:6710億(フォワードパス時は370億パラメータのみ活性化するMoE構成)
- 学習手法:大規模強化学習(RL)
- ライセンス:MITライセンス(改変・商用利用が可能な形で公開)
あわせて、公開当時に軽量版として提供されていたDeepSeek-R1-Distill-Llama-70B(Llama-3.3-70B-Instructをベースに、R1の知識を蒸留した軽量モデル)とのベンチマーク差は以下の通りです。
| テスト項目 | DeepSeek-R1 | R1-Distill-Llama-70B |
|---|---|---|
| AIME 2024 | 79.8% pass@1 | 70.0% pass@1 |
| MATH-500 | 97.3% pass@1 | 94.5% pass@1 |
| Codeforces Rating | 2029 | 1633 |
出典:DeepSeek-R1論文(2025年1月公開)のベンチマーク結果。R1本体が上位互換の性能を持ちつつ、軽量版のDistillモデルも実用十分な精度を維持していたことがわかります。
DeepSeekモデルの進化:R1 → V4 Flash/V4 Pro
DeepSeekのモデルラインナップは、R1公開後も継続的に世代交代しています。2026年8月時点の経緯は以下の通りです。
- 2025年1月:DeepSeek-R1公開(API名:deepseek-reasoner)
- 2026年4月24日:後継モデル群「DeepSeek V4」のプレビュー版を発表(V4 Pro/V4 Flashの2構成)
- 2026年7月24日:旧API名「deepseek-chat」「deepseek-reasoner」が正式に廃止(廃止後はV4 Flashへ自動転送)
- 2026年7月31日:V4 Flashが正式版としてGA(一般提供)開始
つまり2026年8月時点では、R1という名称のAPIモデルは事実上終了しており、その系譜は「V4 Flash」(軽量・低コスト)と「V4 Pro」(高性能)の2モデルに引き継がれています。V4 Proの主なスペックは以下の通りです。
- パラメータ数:1.6兆(MoE構成、アクティブパラメータは約490億)
- コンテキストウィンドウ:100万トークン(V4 Flashも同様)
- 最大出力:384Kトークン
- ライセンス:R1と同じくMITライセンスを継続
※モデル名・世代は今後も更新される可能性があります。API利用時は必ずDeepSeek公式サイトで最新のモデル名をご確認ください。
【2026年8月最新】主要モデルのベンチマーク比較
2026年8月時点で公開されている評価データをもとに、DeepSeek V4 Proと競合のGPT-5.5(OpenAI)、Claude Opus 4.7(Anthropic)のベンチマークを比較します。いずれも各社の最上位クラスの推論・コーディングモデルです。
| ベンチマーク | DeepSeek V4 Pro | GPT-5.5 | Claude Opus 4.7 |
|---|---|---|---|
| SWE-bench Verified | 80.6% | データなし | 87.6% |
| SWE-bench Pro | 55.4% | 58.6% | 64.3% |
| LiveCodeBench | 93.5 | データなし | 88.8 |
| Codeforces Rating | 3206 | 3168 | データなし |
| GPQA Diamond | 90.1 | データなし | 94.2 |
| Terminal-Bench 2.0 | 67.9 | 82.7 | 69.4 |
出典:各モデルの公開ベンチマーク結果(2026年8月時点の第三者評価を含む)。項目により評価元・測定条件が異なるため、あくまで傾向の把握用としてご覧ください。「データなし」は執筆時点で当該モデルの公開値が確認できなかった項目です。
比較から見える傾向
- DeepSeek V4 Proは、LiveCodeBenchやCodeforces Ratingといった純粋なコーディング系ベンチマークで最上位のスコアを示しています。SWE-bench Verifiedでも僅差でClaude Opus 4.7に次ぐ水準です。
- 一方、実務に近い複雑な改修タスクを想定したSWE-bench Proや、ターミナル操作を伴うエージェントタスクのTerminal-Bench 2.0では、Claude Opus 4.7・GPT-5.5の方が優位な結果です。
- Claude Opus 4.7は、汎用知識・推論力を測るGPQA Diamondでも最高スコアを記録しており、コーディング以外の複雑な推論タスクにも強みがあります。
- GPT-5.5は、公開データが限られるものの、ターミナル操作を伴うエージェント型タスクで突出したスコアを示しています。
料金の傾向
ベンチマークで競合と肩を並べつつ、DeepSeek V4 Proの料金はDeepSeek公式サイト確認時点で出力100万トークンあたり0.87ドルと、GPT-5.5・Claude Opus 4.7といった各社最上位モデルと比較して大幅に低価格です。より詳細な料金比較(DeepSeek・OpenAI・Claude・Google Geminiの横断比較表)は、下記の関連記事「DeepSeek API:主要AIモデルと同等の性能でコストは10分の1」および「DeepSeek R1の主要APIプロバイダー価格比較」で扱っていますので、あわせてご参照ください。
用途別の選び方ガイド
- コーディング系ベンチマークで高スコアを重視する場合:LiveCodeBench・Codeforcesで最上位のDeepSeek V4 Proが有力候補です。
- 実務レベルの複雑な改修・エージェント型コーディングを重視する場合:SWE-bench Proで優位なClaude Opus 4.7が適しています。
- ターミナル操作を伴うDevOps自動化・エージェントタスク:Terminal-Bench 2.0で高スコアのGPT-5.5が候補になります。
- 汎用知識・複雑な推論を要するタスク:GPQA Diamondで最高スコアのClaude Opus 4.7が有利です。
- コストを最優先し、大量の軽量タスクを処理したい場合:DeepSeek V4 Flashが低コストな選択肢になります。
いずれの用途でも、最終判断の前には必ず自社のタスクに近い条件で実際に試用し、公式サイトで最新のベンチマーク・料金を確認することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. DeepSeek-R1は今も使えますか?
API名としての「deepseek-reasoner」(R1)は2026年7月24日に正式廃止され、以降はDeepSeek V4 Flashへ自動転送される仕組みになっています。新規に開発する場合は、明示的に「deepseek-v4-flash」または「deepseek-v4-pro」を指定することをおすすめします。
Q. DeepSeek-R1とV4は何が違いますか?
V4はR1の後継世代にあたるモデル群で、パラメータ規模の拡大(R1の6710億→V4 Proは1.6兆)とコンテキストウィンドウの拡張(100万トークン)、コーディング系ベンチマークでのスコア向上が主な進化点です。用途に応じて軽量な「V4 Flash」と高性能な「V4 Pro」を使い分けられる構成になった点もR1世代からの変化です。
Q. ベンチマークのスコアだけでモデルを選んでよいですか?
ベンチマークは有力な判断材料ですが、測定条件や評価データセットによってスコアが変動するため、実際の業務タスクとの相性は別途確認が必要です。特に日本語での出力品質や、自社が扱うコードベースとの相性は、ベンチマークだけでは分からないため、可能であれば少量のデータで試用してから本格導入を判断することをおすすめします。
Q. DeepSeekのモデルは商用利用できますか?
R1・V4ともにMITライセンスで公開されており、改変・商用利用が可能な形で提供されています。ただし、ライセンス条件は今後変更される可能性があるため、商用利用の際は必ず利用時点の公式ライセンス表記をご確認ください。
まとめ
この記事のポイント:
- DeepSeek-R1(2025年1月公開)は、低コストながらOpenAI o1に匹敵する推論性能でAI業界に衝撃を与えたモデルだった
- 2026年7月24日にAPI名「deepseek-reasoner」(R1)は正式廃止され、後継のV4 Flash/V4 Proに世代交代済み
- 2026年8月時点、DeepSeek V4 ProはLiveCodeBench・Codeforcesなどコーディング系ベンチマークで最上位クラスのスコアを維持
- 実務レベルの複雑な改修(SWE-bench Pro)や汎用知識(GPQA Diamond)では、Claude Opus 4.7が優位な傾向
- AIモデルのベンチマーク・料金・モデル名は変化が速いため、導入前は必ず各社公式サイトで最新情報を確認する
DeepSeek-R1が切り開いた「低コスト×高性能」の流れは、後継のV4世代にも受け継がれ、AI業界全体のコスト競争を加速させています。自社業務へのAIモデル選定・API活用について相談したい方は、お気軽にアクロビジョンまでご連絡ください。
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