Amazon S3 Glacierとは

最終更新日: 2026年8月7日

Amazon S3 Glacierとは|低コストで大量データをアーカイブ

Amazon S3 Glacierは、極めて低コストで大量データをアーカイブ・長期バックアップできるクラウドストレージサービスです。安全性と耐久性に優れ、コンプライアンス要件を満たしながら数年〜数十年にわたるデータ保管が必要なケースに適しています。

名称変更のご注意(2021年11月):
Amazon S3 Glacierは2021年11月に、新設の1クラスを含む以下の3クラス構成に整理されました。
S3 Glacier Instant Retrieval(新設のストレージクラス)
S3 Glacier Flexible Retrieval(旧:Amazon S3 Glacier)
S3 Glacier Deep Archive(名称変更なし)
本記事では主に S3 Glacier Flexible Retrieval について説明します。

Amazon S3 Glacierとは

Amazon S3のサービスの一部で、安全性と耐久性に優れた低コストのクラウドストレージクラスです。データのアーカイブや長期バックアップに特化しており、頻繁にアクセスしないデータを非常に低コストで保存できます。

基本的な仕組み

S3 Glacierストレージクラスは独立したサービスではなく、Amazon S3の一部です。データは通常のS3オブジェクトとしてS3バケットに保存され、S3コンソール・API・SDK・S3ライフサイクルルールを使って管理できます。

データの保存とアクセス

既存のS3オブジェクトにストレージクラスを指定するだけで利用でき、S3ライフサイクルルールで自動的にS3 Glacierへ移行することも可能です。

  • S3 Glacier Flexible Retrieval・Deep Archiveのオブジェクトは「アーカイブ」状態となり、リストアリクエストを行って一時的なコピーを取得する方式でアクセスする
  • S3 Glacier Instant Retrievalはアーカイブ化されず、通常のS3オブジェクトと同様にミリ秒単位でリアルタイムアクセス可能
  • S3 Glacier Instant Retrievalの最小オブジェクトサイズは128KB
  • S3 Glacier Flexible Retrieval・Deep Archiveはオブジェクトごとに40KBの追加メタデータが必要(うち32KBはGlacier料金、8KBはS3標準料金で課金)

旧Amazon Glacierサービスとの違い

2012年に登場した独立サービス「Amazon Glacier」は、データを「アーカイブ」として「ボールト」に保存するモデルでREST APIのみに対応し、S3の機能は利用できません。AWSは新規利用者に対してこの旧サービスの利用を推奨しておらず、長期保管データにはS3バケット内で完結する現行のS3 Glacierストレージクラスの利用を推奨しています。

Amazon S3 Glacierのメリット

多彩なデータ取得オプション

S3 Glacier Flexible Retrievalでは、ニーズに応じた3種類のデータ取得オプションがあります。

  • 高速取得(Expedited):通常1〜5分でデータ取得可能。アクティブアーカイブの緊急取得に最適。
  • 標準取得(Standard):3〜5時間でデータ取得可能。バックアップデータ・メディア編集・長期分析などに適しています。
  • バルク取得(Bulk):5〜12時間でデータ取得可能。最も低コストのオプション。大量データの取得に適しています。

高い耐久性(イレブンナイン)

S3 Glacierのストレージクラスは世界最大のグローバルクラウドインフラで実行されており、99.999999999%(イレブンナイン)の耐久性を実現するよう設計されています。1つのAWSリージョン内で地理的に分離された最低3つの物理アベイラビリティーゾーンにデータが自動的に分散されます。

強固なセキュリティ

AWS CloudTrailとの統合によりストレージAPIコールのログを監査・モニタリングできます。3種類の暗号化形式をサポートし、多数のセキュリティ標準とコンプライアンス認証に対応しています。

また、WORM(Write Once Read Many)機能を実現するAmazon S3オブジェクトロックを使えば、書き込み済みデータの消去・書き換えを防ぎ、規制機関のコンプライアンス要件を満たすことができます。

業界最低水準のコスト

AWSのストレージサービスの中でも極めて低コストです。大量のデータを最低限のコストで長期保存できます。

注意:料金は変更される場合があります。最新の料金はAmazon S3料金ページでご確認ください。

充実したサポート体制

AWSのサービスやソフトウェアとS3ストレージクラスを連携させた、バックアップ・復旧・アーカイブ・災害対策ソリューションが多数提供されています。

Glacierストレージクラス比較

項目 S3 Glacier Instant Retrieval S3 Glacier Flexible Retrieval S3 Glacier Deep Archive
データ取得時間 ミリ秒 1分〜12時間 12〜48時間
最小保存期間 90日 90日 180日
ストレージ単価 最低
向いているデータ 月1回程度アクセスするデータ 年1〜2回アクセスするデータ 7〜10年以上の長期保管
代表的な用途 医療画像・ニュースメディア バックアップ・災害対策 コンプライアンス・規制対応

よくある質問

Q. Amazon S3 GlacierとAmazon S3の違いは何ですか?
A. 主な違いはアクセス頻度とコストです。Amazon S3標準は頻繁にアクセスするデータ向けで即時取得が可能ですが単価が高めです。S3 Glacierはほとんどアクセスしないデータの長期保管向けで、取得に時間がかかる代わりに大幅に低コストです。
Q. S3 Glacier Flexible Retrievalで緊急のデータ取得が必要な場合は?
A. 高速取得(Expedited)オプションを使用すれば1〜5分でデータを取得できます。ただし通常より取得コストが高くなります。高速取得を確実に行いたい場合は「プロビジョンドキャパシティー」を購入することで取得能力を事前に確保できます。
Q. S3 Glacierのデータは暗号化されますか?
A. はい。S3 Glacierはデータをサーバーサイドで自動的に暗号化して保存します。転送時もSSL/TLSで保護されます。AWS KMSを使ったカスタマー管理キーによる暗号化も利用可能です。
Q. S3 GlacierとS3 Glacier Deep Archiveはどちらを選べばよいですか?
A. 数年のうちにアクセスする可能性があるデータはS3 Glacier Flexible Retrieval、7〜10年以上全くアクセスしない長期保管データ(規制対応・コンプライアンス目的など)はS3 Glacier Deep Archiveが適しています。Deep Archiveはより安価ですが取得に12〜48時間かかります。

まとめ

  • Amazon S3 Glacierは安全性・耐久性に優れた低コストのアーカイブ・長期バックアップ向けストレージ
  • 2021年11月にS3 Glacier Instant Retrieval / Flexible Retrieval / Deep Archiveの3クラスに整理された
  • 99.999999999%(イレブンナイン)の耐久性で、3つ以上のAZにデータを自動分散
  • データ取得オプションは高速(1〜5分)・標準(3〜5時間)・バルク(5〜12時間)の3種類
  • WORM機能(S3オブジェクトロック)で規制コンプライアンスを満たした不変ストレージが実現できる

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