Amazon AppSyncについて
最終更新日:2026年8月10日
この記事でわかること
AWS AppSyncは、 GraphQLをベースとしたアプリケーションのバックエンドを提供するAWSのフルマネージドサービスです。AppSyncを使用すると1つ以上のデータソースからのデータに安全にアクセス、操作、結合するためのAPIを作成でき、よりシンプルなアプリケーション開発をすることができます。AppSyncは必要なデータをGraphQLを使用して正確に取得し、リアルタイムアプリケーションの作成をすることができます。
AppSyncを理解するにはGraphQLの理解が必要です。GraphQLについて簡単にみていきましょう。
GraphQLとは
| 項目 | AWS | Microsoft Azure | Google Cloud |
|---|---|---|---|
| 世界シェア | 約33%(首位) | 約22% | 約11% |
| 強み | サービス数・実績 | Microsoft製品連携 | データ分析・AI |
| 無料枠 | 12ヶ月+常時無料 | 12ヶ月無料 | 常時無料枠あり |
| 主な資格 | CLF / SAA / SAP | AZ-900 / AZ-104 | ACE / PCA |
GraphQLは、 Facebook(現Meta)が開発したWeb APIのためのオープンソースのQuery言語とSchema言語です。かつてスマートフォンの台頭によりスマートフォンやタブレット、PCなどのクロスプラットフォーム対応が必要となりました。RESTful Web API(REST API)が使われていましたが、RESTが苦手とする処理を解決するためにGraphQLが開発されました。
Query言語はGraphQL APIのリクエストのための言語です。定義に従ってクエリを書きサーバーからJSONとしてデータを取得します。処理形態は3種類で、データ取得のQuery、データ変更のMutation、データ更新のSubscriptionです。
Schema言語はGraphQL APIの仕様を記述するための言語です。リクエストされたクエリは、スキーマ言語で記述したスキーマに従ってGraphQL処理系により実行されて、レスポンスを生成します。
GraphQLの特徴
・型指定されたスキーマ
APIドキュメントを主導で記述する必要がなくなり、APIを定義したスキーマをベースにドキュメントを自動生成してくれます
・クライアントからのレスポンス形式の指定
決まった形でしか返さないREST APIに対して、GraphQLは呼び出し元であるクライアントがレスポンス形式を自由に指定することができます。
・サブスクリプション利用したリアルタイム処理
Mutationで更新した際にそのイベントを取得しリアルタイムで通知を行う処理がSubscriptionとして定義されています。
AWS AppSyncのメリット
【要注意】Amazon Elasticsearch Serviceは名称変更されています
本記事で言及している「Amazon Elasticsearch」は、2021年9月に「Amazon OpenSearch Service」へ名称変更されています。AppSyncとの統合先としては現在はOpenSearch Serviceとして提供されている点にご留意ください。
・ビジネスに合わせたスケーリング
AWS AppSync は Amazon DynamoDB、Amazon Aurora、Amazon OpenSearch Service(旧Amazon Elasticsearch Service)、AWS Lambdaなど沢山のAWSサービスと統合することによって、事実上無制限のスループットとビジネスニーズに合わせて拡張縮小するストレージを持った、非常に高度なアプリケーションを開発することが可能となります。
・リアルタイムサブスクリプションとオフラインアクセス
AWS AppSyncでは数百万台のデバイスとの間のリアルタイムサブスクリプションや、アプリデータへのオフラインアクセスも可能となります。データ競合の検出と解決も可能で、ユーザーがカスタマイズ可能なサーバーサイドでの競合検出と競合解消手段が提供されるので、ユーザーが対応する必要はありません。
・安全なデータアクセス
Amazon AppSync は Amazon CognitoおよびAWS Identity and Access Managementと統合されているため、GraphQLオペレーションにアクセス許可を設定し、ユーザーとアプリのデータを安全に保つことができます。
・複数のソースからのデータを結合
AWS AppSyncではアプリはAmazon DynamoDBのデータにアクセスしたり、AWS Lambda関数をトリガーしたり、Amazon OpenSearch Service(旧Amazon Elasticsearch Service)のクエリを実行したりします。これらのソースからのデータを組み合わせて、アプリに必要な正確なデータを得ることができます。
・リアルタイムの共同モバイルおよびウェブアプリ
AWS AppSyncでは、リアルタイムで更新される共有データを使用してコラボレーションアプリを構築できます。アプリケーションコードでGraphQLステートメントを使用して、アプリケーションデータのどの部分をリアルタイムで更新するかを指定するだけで、必要なデータのみがフェッチされるため、メッセージトラフィックが削減され、アプリケーションのパフォーマンスとバッテリー寿命が向上します。
ユースケース
AWS AppSyncはこれらのメリットを活かして以下のユースケースに適しています。
・ソーシャルメディア、チャット、マッチング
AWS AppSyncは、ソーシャルメディア、チャット、マッチングなどのアプリの構築に最適です。これらのアプリには、さまざまなデータタイプとソースを持つ複数のユーザー間でメッセージをやり取りする必要があります。ユーザーはオフラインのときでもアプリの使用をすることができ、ネットワークに再接続したらその時点でデータが更新され、メッセージを送信することができます。
・コラボレーションアプリ
AWS AppSyncは、数百万台のデバイスとの間のリアルタイムサブスクリプションや、アプリデータへのオフラインアクセスも可能という利点を活かし、複数の関係者間のコラボレーションを伴うアプリの構築に特に適しています。リアルタイム機能により、アプリのすべてのユーザー間でデータを共有し、ほぼ即時に更新できます。これらのアプリには、ドキュメント、画像、テキストメッセージ、共有ホワイトボードなど、複数の種類のデータを含めることもできます。AppSyncを使用すると、複数のデータストア間でこれらの異なるデータタイプに簡単にアクセスして更新できます。
・ARおよびVRトレーニングアプリ
AWS AppSyncは ARやVRの医療、教育などのトレーニングアプリケーション開発にも適しています。トレーニングアプリケーションは、データが他の情報に組み込まれ、レッスンのような手順やインタラクティブセッション中にリアルタイムで更新する拡張現実と仮想現実をサポートする必要があります。AppSyncはレッスンのような手順やインタラクティブセッション中にリアルタイムで更新することができます。
押さえておきたいポイント
- AWS AppSyncはGraphQLベースのフルマネージドAPIサービスで、DynamoDB・Aurora・OpenSearch Service・Lambdaなど複数のデータソースを1つのAPIに統合できる。
- リアルタイムサブスクリプションとオフライン同期を標準機能として備えており、チャットやコラボレーションアプリ、IoTなど更新頻度の高いアプリケーションと相性が良い。
- 登場から年数が経過し、開発事例や日本語ドキュメントも増えているため、REST APIとの比較検討時は情報の鮮度(AWS公式ドキュメント)を確認しながら設計するとよい。
よくある質問
AWS AppSyncとAmazon API Gatewayはどう使い分ければよいですか?
API GatewayはREST/HTTP APIやWebSocket APIを構築する汎用的なサービスで、AppSyncはGraphQL APIに特化したサービスです。複数のデータソースを1つのクエリで柔軟に組み合わせたい場合や、リアルタイム更新・オフライン同期が必要なアプリではAppSyncが、シンプルなREST APIやWebSocket通信であればAPI Gatewayが適しています。
AppSyncの料金体系はどうなっていますか?
クエリ・データ変更・リアルタイム更新(サブスクリプション)の処理量に応じた従量課金が基本です。料金は改定される場合があるため、最新の料金はAWS公式サイトでご確認ください。
GraphQLの学習コストは高いですか?
REST APIの経験があれば、スキーマ定義やクエリ・ミューテーション・サブスクリプションという基本概念を押さえることで比較的スムーズに移行できます。AWS AppSyncのコンソールやAWS公式のチュートリアルを使うと、スキーマからリゾルバーまで一通り試しながら学習できます。
まとめ
いかがだったでしょうか。AWS AppSyncについて少しでも理解を深めることができれば幸いです。AppSyncはGraphQLベースのAPIをフルマネージドで構築できるサービスとして、リリースから年数を重ねて事例やノウハウも蓄積されてきています。REST APIに比べると情報量ではまだ及ばない部分もありますが、リアルタイム性やオフライン対応が求められるアプリケーションでは有力な選択肢です。ぜひ、機会があればAppSyncを使用してみてはいかがでしょうか。
▼ アクロビジョンについて


