Amazon EFSとAmazon S3の違い
最終更新日:2026年8月5日
目次
クラウド化するストレージサービス
近年クラウド化が進み、インターネットさえ繋がっていればあらゆる物事がクラウド上で行われるようになりました。しかしAmazonのAWS、マイクロソフトのAzureなどのクラウドサービスが広まった結果、似たようなサービスがいくつも存在し、どのサービスを利用するべきか迷ってしまうことも多くなっています。AWS内でもストレージをクラウド上で利用できるサービスがいくつかあり違いが分かりにくくなってしまっています。そこでこの記事では違いの分かりにくいAmazon S3とAmazon EFSの違いについて紹介していこうかと思います。
クラウドサービスの利点
Amazon S3とAmazon EFSの違いの前にそもそもクラウド上でストレージを利用することでどのような利点があるのか紹介していきます。WebサイトやWebシステムを構築するにはほとんどの場合共有ストレージが必要になります。オンプレミスのWebサイトの運用の例にあげるとサーバー1台での運用は問題はなくても、開発規模の拡大やカスタマイズ性を向上させるためにサーバー複数台での運用に切り替えようとした場合、アップロードした画像やプラグインなどのファイルをサーバー間で共有することが求められます。このような状況においてはオンプレミスのNetwork File System (NFS)を自前で構築運用することもできるのですが、マネージドNFSサービスを利用することによってNFSサーバーの構築・運用の負荷を軽減することができます。
※NFSとはネットワーク上のコンピュータが持つストレージを共有するための仕組みです。LinuxをはじめとするUNIX系OSの多くに標準で組み込まれており、Windows ServerやmacOSでもサポートされています。
ネットワークを介してサーバ上のストレージ領域をローカルストレージと同様にマウントして使える点とローカルストレージと同様に読み書きすることが可能なため、幅広い用途で使える利点があります。
Amazon EFSの概要
ではAmazon EFSはどのようなサービスか記載していきます。Amazon EFSはシンプルでスケーラブル、かつ伸縮自在な完全マネージド型の NFS ファイルシステムを提供しているサービスです。ファイルが追加されたり削除されるのに合わせて自動で拡大および縮小されるため、拡張に合わせて容量をプロビジョニングおよび管理する必要がなくなります。Linuxワークロードに共有のファイルシステムストレージを提供するフルマネージドサービスなので、複雑なデプロイ、パッチやファイルシステムの基盤メンテナンスを無くすことができます。
Amazon EFSでは、アクセス頻度にあわせて複数のストレージクラスが用意されており、ライフサイクル管理機能を使うことでファイルを自動的に低コストなクラスへ移行できます。2023年11月には新たに「EFS Archive」ストレージクラスが追加され、年に数回程度しかアクセスしないような長期保存データを、EFS IAよりもさらに低コストで保存できるようになりました。
| ストレージクラス | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| EFS Standard | 日常的にアクセスするファイル | 複数のAZにデータを保存し高い可用性・耐久性を実現する標準クラス |
| EFS Standard-IA | 四半期に数回程度しかアクセスしないファイル | Standardより保存コストが低く、アクセス時に取り出し料金が発生 |
| EFS One Zone / One Zone-IA | 複数AZ冗長化が不要なファイル | 単一AZに保存することでStandard系よりコストを抑えられる |
| EFS Archive(2023年11月追加) | 年に数回程度、またはそれ以下の頻度でしかアクセスしない長期保存データ | EFSストレージクラスの中で最も低コスト。既定ではStandardで90日間アクセスがないファイルが自動移行対象になる |
※ライフサイクル管理のポリシーでは、既定で「Standardで30日間アクセスがなければIAへ」「Standardで90日間アクセスがなければArchiveへ」といった移行条件が設定されており、必要に応じて変更が可能です。詳細な料金・仕様は変更される場合があるため、導入時は最新のAWS公式情報もあわせてご確認ください。
Amazon S3の概要
次にAmazon S3のサービス内容です。Amazon S3のS3とは「Simple Storage Service」の略称で、スケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスの高さをウリとしているオブジェクトストレージサービスです。ウェブサイト、モバイルアプリケーション、バックアップおよび復元などのユースケースのデータを容量に関係なく保存して保護することができるサービスです。99.999999999%(イレブンナイン)の耐久性を実現するように設計されており、世界中の企業向けに何百万ものアプリケーションのデータを保存しています。
S3もEFSと同様にアクセス頻度にあわせて複数のストレージクラス(S3 Standard・Intelligent-Tiering・Glacierシリーズなど)が用意されており、用途に応じて使い分けることでコストを最適化できます。S3のストレージクラスの詳細については、後述の関連記事「Amazon S3サーバーとは」で詳しく紹介しています。
Amazon EFSとAmazon S3の違い
では、2つのサービスにはどのような違いがあるのかを記載していきます。Amazon EFSは「ファイルストレージ」というタイプのストレージサービスであり、LinuxなどのOSでマウント可能なファイルシステムを提供しています。一方Amazon S3は「オブジェクトストレージ」というタイプのストレージサービスで、データを「オブジェクト」と呼ばれる単位で読み書きするためのHTTPSなどでアクセス可能なエンドポイントを提供しています。
つまりAmazon EFSはストレージデバイスをディレクトリツリーの特定の場所に関連付けるサービスでAmazon S3はHTTPSなどでアクセス可能なエンドポイントを提供するサービスということです。なので、LinuxなどのOSで、ストレージデバイスを関連付ける操作を多用する場合はAmazon EFSを、純粋にストレージを確保したいという場合にはAmazon S3を利用するという選択をすればよいということになります。
用途別の選び方
どちらを選ぶべきか迷った場合の目安を以下にまとめました。
| やりたいこと | 向いているサービス | 理由 |
|---|---|---|
| 複数のEC2インスタンスで同じファイルを共有したい | Amazon EFS | LinuxのファイルシステムとしてOSからマウントでき、複数サーバー間でリアルタイムにファイル共有できる |
| 静的なファイル(画像・動画・バックアップ等)を保存・配信したい | Amazon S3 | HTTPS経由でのアクセスに最適化されたオブジェクトストレージで、容量無制限かつ低コスト |
| CMSやアプリのアップロードファイルをOSのディレクトリのように扱いたい | Amazon EFS | 既存アプリの実装を大きく変えずにファイルシステムとしてマウントできる |
| Webサイトのホスティングやアーカイブ保存をしたい | Amazon S3 | 静的サイトホスティング機能があり、Glacier系クラスで長期保存もコスト最適化できる |
よくある質問(FAQ)
Q. Amazon EFSとAmazon S3を同時に使うことはできますか?
可能です。例えばEC2上で動作するアプリケーションの共有ファイルシステムとしてEFSを使いつつ、画像やバックアップデータの保存先としてS3を併用するといった構成はよく用いられます。両者は用途が異なるため、排他的に選ぶものではなく組み合わせて使うケースが多いです。
Q. EFSにもS3のようなストレージクラスはありますか?
あります。EFSにはEFS Standard、EFS Standard-IA(低頻度アクセス)に加えて、2023年11月に追加されたEFS Archiveがあり、アクセス頻度にあわせて自動的に低コストなクラスへ移行するライフサイクル管理機能も備わっています。
Q. WindowsサーバーからEFSをマウントできますか?
EFSはNFSプロトコルをベースとしたサービスのため、標準ではLinux向けのファイルシステムとして提供されています。Windows環境でファイル共有ストレージが必要な場合は、Amazon FSx for Windows File Serverなど別のマネージドサービスの利用を検討するのが一般的です。
Q. S3は動的なWebアプリケーションのデータ保存にも使えますか?
S3はオブジェクトストレージであり、ファイルの読み書き自体は可能ですが、OSのファイルシステムのようにディレクトリ構造をマウントして使う用途には向いていません。動的なアプリケーションで頻繁にファイルの読み書き・共有を行う場合は、ファイルシステムとして扱えるEFSの方が適しています。
Q. コストが安いのはEFSとS3どちらですか?
単純な保存コストではS3の方が低価格な傾向にありますが、両者は提供する機能(ファイルシステムかオブジェクトストレージか)が異なるため、コストだけで比較するものではありません。用途に合わないサービスを選ぶとかえって運用が複雑になりコストが増えることもあるため、まずは「ファイルシステムとして使いたいか」「HTTPS経由のオブジェクトとして扱いたいか」で選ぶのがおすすめです。
まとめ
この記事のポイント:
- Amazon EFSは「ファイルストレージ」、Amazon S3は「オブジェクトストレージ」という異なるタイプのサービス
- EFSはLinuxなどのOSでマウントして使うファイルシステムを提供し、複数のEC2間でのファイル共有に向いている
- S3はHTTPS経由でアクセスするオブジェクトストレージで、容量無制限・高耐久性が特徴
- EFSには2023年11月に追加された「EFS Archive」を含む複数のストレージクラスがあり、アクセス頻度にあわせてコストを最適化できる
- 両サービスは排他的なものではなく、用途に応じて併用するのが一般的
この記事ではAmazon EFSとAmazon S3の違いについて紹介させていただきました。様々な種類のクラウドサービスが出回っている昨今ですが、求めている要件に適切なクラウドサービスを選択し、間違ったサービスを利用しないように気をつけましょう。
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