Amazon QLDBとは

最終更新日:2026年8月12日

【要注意】Amazon QLDBはサービス提供が終了しています
Amazon QLDB(Quantum Ledger Database)は、2024年7月に新規サインアップの受付を停止し、2025年7月31日をもって既存顧客向けのサポートも終了しました。現在は新規利用・既存利用ともにできません。AWSは移行先として、台帳機能の拡張を備えた「Amazon Aurora PostgreSQL」を推奨しています(AWSパートナーの台帳ソリューション「ScalarDL」との組み合わせによる移行も案内されています)。本記事はQLDBがどのような設計思想のサービスだったかを知るための記録として、当時の内容を残しています。

この記事でわかること

Amazon QLDB(Quantum Ledger Database)とは、アプリケーションデータのすべての更新/削除を追跡でき、検証可能なトランザクションログを長期間保存する台帳データベースでした。

台帳とは企業の活動履歴や金銭のやり取りを記録するものです。しかし、この台帳を実現する際は、リレーショナルデータベースが利用されていますが、リレーショナルデータベースは台帳を開発するために設計されたものではないため、変更の追跡や検証を実現することが難しいです。

今回は、Amazon QLDBについて解説します。

Amazon QLDBの概要

項目 AWS Microsoft Azure Google Cloud
世界シェア 約33%(首位) 約22% 約11%
強み サービス数・実績 Microsoft製品連携 データ分析・AI
無料枠 12ヶ月+常時無料 12ヶ月無料 常時無料枠あり
主な資格 CLF / SAA / SAP AZ-900 / AZ-104 ACE / PCA

追加専用の変更履歴

前述したとおり、Amazon QLDBはデータの更新/削除を保持できるデータベースです。データの変更履歴についてはイミュータブル(変更不可能)という特徴があり、これは、変更履歴に追加することはできますが、上書きや削除はできません。これにより、イミュータブルジャーナルから読み取ることで、そのデータの変更履歴にアクセスすることができます。

さらにアプリケーションのデータの変更履歴全体にアクセスできるため、履歴の変更をクエリし、取引履歴に関連する具体的な詳細もクエリすることができます。

暗号的に検証

Amazon QLDBは暗号を使用して変更履歴の簡潔なサマリーを作成できます。このサマリーは、ダイジェストと呼ばれており、暗号ハッシュ関数を使用して生成し、変更履歴の証拠として機能します。

これはデータ変更の整合性をさかのぼって見直して検証することができ、ダイジェストをQLDBのAPIで使用して、任意の取引の整合性を証明することができます。またQLDBではデータの履歴のクエリと、データの履歴へのアクセスも可能です。特定の取引に関する証拠が必要な場面では、この検証可能性が役立ちます。

サーバレス

Amazon QLDBは、自動スケーリングを提供していたため、容量や読み書きの限度の設定は不要でした。QLDBはデータベースであるため、ブロックチェーンフレームワークよりも優れたパフォーマンスとスケールを備えていました。

またブロックチェーンフレームワークは分散されるため、台帳への保存前にトランザクションを検証するうえでピアノードが必要ですが、パフォーマンスに影響を与えます。しかし、QLDBでのトランザクションの実行は、他のAWSデータベースと同様のため、パフォーマンスに影響をほとんど与えませんでした。

容易な設定

サーバーやプロビジョニングする容量がないため、QLDBを使い始めるのは簡単で、新しい台帳も数分で作成できました。またQLDBは、AWSのサービスのため、台帳用のAmazon CloudWatchメトリクスを簡単に利用できました。これはQLDBを使用すると、読み書き等の運用上、主要なメトリクスを監視できるという特徴でした。

PartiQLのサポート

Amazon QLDBでは、AWSがオープンソースで発表したSQL互換のクエリ言語であるPartiQLをサポートしていました。PartiQLはデータフォーマットに依存せず、簡単かつ効率的にデータクエリを実行できる問い合わせ言語です。PartiQLは、拡張は必要最小限にとどまっているため、使い慣れたSQL演算子を使用してデータの管理を簡単に行うことができました。

なお、PartiQL自体はQLDB専用の言語ではなく、Amazon DynamoDBなど他のAWSサービスでも現在利用されています。

ドキュメント指向のデータモデル

Amazon QLDBはドキュメント指向のデータモデルを使用して、構造化データと半構造化データを柔軟に保存することができました。これは、ネストされたデータ構造もサポートしており、アプリケーションを簡素化できる特徴でした。

Amazon QLDBの応用

Amazon QLDBが想定していた台帳データベースの活用イメージ

金融

銀行では、銀行口座の貸方、借方取引などの重要なデータを記録するための台帳のような集中型アプリケーションが必要です。

QLDBを使用すれば、監査機能が複雑なアプリケーションを構築する必要がなく、すべての金融取引の記録を簡単に保存することができました。

製造業

メーカーでは、サプライチェーンシステム(原材料供給者から消費者までの商品の流れ)間のデータを調整し、製品のすべての製造履歴を記録し、追跡できる必要があります。

QLDBを使用すれば、各トランザクションの履歴を記録することができました。そのため、施設で製造された製品の詳細を得ることができました。製品のリコールが発生した場合も、製品の生産流通全体の履歴を簡単に特定、追跡できる仕組みでした。

押さえておきたいポイント

  • Amazon QLDBは2025年7月31日にサポートが終了しており、現在新規に利用することはできない。
  • 台帳データベースとしての設計思想(追加専用のイミュータブルな変更履歴、暗号的な検証機能)は、他の台帳ソリューションを検討する際の考え方として今も参考になる。
  • 移行・後継の選択肢としてAWSはAmazon Aurora PostgreSQL、およびパートナー製品のScalarDLとの組み合わせを案内している。

よくある質問

Q. Amazon QLDBは今でも新規に使えますか?

使えません。2024年7月に新規サインアップの受付が停止され、2025年7月31日には既存顧客向けのサポートも終了しました。現在AWSアカウントから新たにQLDB台帳を作成することはできません。

Q. QLDBを使っていたシステムはどこに移行すればよいですか?

AWSは移行先として、台帳向けの拡張機能を備えたAmazon Aurora PostgreSQLを推奨しています。監査証跡やイミュータブルな変更履歴といったQLDB特有の要件が強い場合は、AWS Marketplaceで提供されているパートナーソリューションのScalarDLをAurora等と組み合わせる方法も案内されています。

Q. QLDBとブロックチェーンサービス(Amazon Managed Blockchain)は何が違いますか?

QLDBは単一の信頼できる管理者(中央組織)が運用する集中型の台帳データベースで、複数の当事者間で管理者を分散させる必要がない用途向けに設計されていました。一方Amazon Managed Blockchainは、複数の組織間で台帳を共有・検証する分散型のユースケース向けのサービスです。QLDBが終了した現在、集中型の台帳要件はAurora PostgreSQL等、分散型の要件はManaged Blockchainで検討することになります。

まとめ

本記事では、Amazon QLDBの概要、Amazon QLDBの応用について解説しました。Amazon QLDBは、追加専用のイミュータブルな変更履歴や暗号的な検証機能など、従来のリレーショナルデータベースとは異なる設計思想を持つ台帳データベースでした。

ただし前述のとおり、Amazon QLDBは2025年7月31日にサポートが終了しており、現在は新規利用も既存利用もできません。これから台帳データベースの要件を検討する場合は、AWSが移行先として案内しているAmazon Aurora PostgreSQL等、現行のサービスを確認することをおすすめします。

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