Amazon RDSとは?ElastiCacheとは?

最終更新日:2026年8月5日

Amazon RDSとは?

この記事ではAmazon Web Servicesが提供するAmazon RDSとAWS ElastiCacheの2つのサービスについて、基礎から詳しく説明していきます。どちらも「AWS上でデータをどう保存・管理するか」を担うサービスですが、役割は大きく異なります。RDSは永続的にデータを保存するリレーショナルデータベースのマネージドサービス、ElastiCacheは高速なアクセスに特化したインメモリキャッシュのマネージドサービスです。まずはAmazon RDSから見ていきましょう。

Amazon RDSとは、Amazon Relational Database Serviceの略称であり、AWSが提供するマネージド型のリレーショナルデータベースをクラウド上で利用できるサービスです。データベースはデータをどのような方法で管理・利用するかによって分類され、リレーショナルデータベース以外のデータベースをNoSQLデータベースと呼ぶこともあります。リレーショナルデータベースは複数の表の形式でデータテーブルを管理するデータベースであり、複数のテーブルに分けて格納されたデータを関連づけて管理・利用するための機能を有しているため「リレーショナル」データベースと呼ばれます。

RDSで利用できるデータベースエンジン

Amazon RDSで利用できるリレーショナルデータベース管理システム(データベースエンジン)は、Amazon Aurora、MySQL、PostgreSQL、MariaDB、Oracle Database、Microsoft SQL Serverの6種類が長らく用意されてきました。これに加えて、現在ではIBM Db2もRDSのデータベースエンジンとして選択できるようになっており、業務システムで実績のあるDb2をそのままAWS上のマネージドサービスとして運用できます。

OracleとSQL Server、Db2に関しては本来利用するためにライセンスが必要になりますが、Amazon RDSにおいては従量課金制の時間単価の中にライセンス料も含まれているため、別途ライセンスを取得しなくてもこれらのデータベース管理システムを使うことができます(License Includedモデル)。また、すでにライセンスを取得している場合は、そのライセンスを持ち込んでそのままAmazon RDSに移行して利用するBYOL(Bring Your Own License)プランも用意されているため、既存のライセンス資産を無駄にせずに移行できます。

なお、RDSで利用できるデータベースエンジンとして紹介した「Aurora」は、AWSが独自開発したものですがMySQLやPostgreSQLとの高い互換性を持っています。そのため、オンプレミス環境から移行する際も、元々MySQL・PostgreSQLを利用していれば比較的スムーズに移行できる可能性が高いです。処理性能はAuroraの方が優れているとされており、クラウド化をきっかけに切り替えるのも一つの選択肢です。

補足:対応バージョンは公式サイトで随時確認を RDSでサポートされる各エンジンのバージョンは、AWSによって順次新しいメジャー/マイナーバージョンへの対応が進められる一方、古いバージョンは順次サポート終了(EOL)となります。移行・新規構築の際は、必ずAWS公式サイトの最新の対応バージョン一覧を確認してください。

RDSのメリット・デメリット

Amazon RDSを利用するメリットの大きな1つとして、DBを利用する際の気軽さがあります。独自にDBを構築する場合はデータベース管理システムをインストールし、セットアップを行い、管理・運用の体制を整えて…と様々な準備が必要です。組織にDBを導入する場合は想定される容量を見積もり、そのパフォーマンスを備えたハードウェアを準備する必要があり、拡張時にも要件定義やメンテナンス日の調整など手間がかかります。Amazon RDSを用いれば、こういった手間から解放されます。AWSの管理画面から利用設定を行うだけですぐにリレーショナルデータベースの利用を始められ、DBの拡張も管理画面から数クリックで完了します。自動バックアップなどの機能も用意されており、バックアップやパッチ適用などの日々のメンテナンスもAWSが管理して行ってくれるため、ユーザーはDBの利用に集中できます。料金も従量課金制であるため、使用した分だけ料金がかかり、不要になれば利用を止めればそれ以降の料金はかかりません。

その他の特徴として、参照専用のデータベース「リードレプリカ」を必要に応じて複数利用することで、大量なリクエストがあっても速度を落とさずに処理できる点があります。また、通常利用しているデータベースとバックアップ用のデータベースを別の場所に設置(ストレージとインスタンスの分離)し、通常利用している方が障害等で停止してもバックアップ用に自動的に切り替えて運用を継続する「Multi-AZ配置」も可能です。ただし切り替えは瞬時ではなく数十秒単位で時間がかかり、その間はデータベースへのアクセスが不可となるため、一時的に可用性が失われる点は覚えておきましょう。メンテナンスでセキュリティパッチを当てて再起動が必要な場合も同様です。

一方でデメリットも存在します。セットアップやDBの管理を自分で行わなくてもいいというのはメリットでもありますが、逆に言うとそういった部分は自分では制御できないということになります。その結果、OSコマンドが利用できずデータベースの機能に制限がかかることもあります。特に顕著なのはPostgreSQLで、同期レプリケーション機能が使用できなかったり、導入できる拡張機能が制限されていたりします。使い方によっては気にならないデメリットではありますが、こういった制限があることは知っておくべき事項です。

AWS ElastiCacheとは?

まずAWS ElastiCacheですが「エラスティック・キャッシュ」ではなく「エラスティキャッシュ」であることに注意してください。細かい部分ですが、よく間違える方がいらっしゃる部分です。AWS ElastiCacheとはAWSが提供する分散型メモリキャッシュのサービスであり、インメモリデータストア(インメモリデータキャッシュ)の環境のセットアップや管理、拡張が簡単に行えるクラウドサービスです。従来であれば使用中のマシンのHDDやSSDに書き込みを行っていたデータをメモリ上のキャッシュとして保持することで、データの読み書きを高速化できます。ただし、あくまでメモリ上に保存しているため、ノード(AWS EC2でいうところのEC2インスタンスに相当)が終了してしまった場合にはデータは失われる点に注意が必要です。

用途としては基本的にセッションの管理やアプリケーションのキャッシュとしての利用など、データストアのクッションとしての役割が期待できます。RDSやDynamoDBなどの本体のデータベースの手前にElastiCacheを置き、頻繁に参照されるデータをキャッシュすることでDB自体への負荷を減らし応答速度を向上させる、といった活用例も多く見られます。

ElastiCacheのキャッシュエンジン(Valkey・Redis OSS・Memcached)

ElastiCacheのキャッシュエンジンは、長らくRedisMemcachedの2種類から選択する形でしたが、2024年以降AWSは新たにValkeyへの対応を追加しました。Valkeyは、Redisのライセンス方針変更をきっかけにLinux Foundation配下でスタートしたRedis互換のオープンソースフォークで、AWS公式サイトでも現在は「Valkey、Memcached、Redis OSS」の3エンジンに対応していることが明記されています。

Valkeyは既存のRedisクライアント・コマンド体系との互換性を保ちながら開発が進められているオープンソースプロジェクトで、AWSはRedis OSSと並ぶ選択肢として推奨するようになっています。既存でRedisを利用してきたシステムであっても、互換性を確認した上でValkeyへの切り替えを検討できるようになった、という点が近年の大きな変化です。Memcachedは従来通りシンプルなキーバリュー型のキャッシュに特化したエンジンとして提供が続いています。

⚠️ エンジン選択時の注意:新規にElastiCacheを構築する場合、Redis OSS・Valkeyのどちらを選ぶかは、既存システムとの互換性・移行コスト・今後のロードマップを踏まえて検討する必要があります。既存のRedis運用実績があるチームは、まず互換性検証環境でValkeyの挙動を確認してから本番移行を判断することをおすすめします。最新の対応バージョン・料金体系は必ずAWS公式サイトで確認してください。

なお、Redis/Valkey互換のインメモリデータベースとして、ElastiCacheとは別にMemoryDBというサービスも用意されています。ElastiCacheが「あくまでキャッシュ」であり障害時にデータが消える可能性があるのに対し、MemoryDBは複数のAZにまたがるトランザクションログによってデータの永続性・高可用性を確保しており、プライマリデータベースとしての利用も想定されている点が異なります。用途に応じてElastiCache(キャッシュ用途)とMemoryDB(永続化が必要なインメモリ用途)を使い分けることが可能です。

RDSとElastiCache 比較一覧表

RDSとElastiCacheは役割が異なるサービスですが、混同されやすいポイントを一覧表にまとめました。

項目 Amazon RDS AWS ElastiCache
データの永続性 あり(ディスクベース) 基本的になし(メモリベース)
主な用途 業務システムのマスタデータ・トランザクションデータの管理 セッション情報・頻出データの一時キャッシュ
対応エンジン Aurora / MySQL / PostgreSQL / MariaDB / Oracle / SQL Server / Db2 Valkey / Redis OSS / Memcached
データ構造 テーブル形式(複雑な結合・検索が可能) キーバリュー形式が中心(高速な読み書き優先)
障害時のデータ Multi-AZ構成でバックアップに自動切替 ノード終了でデータ消失の可能性(MemoryDBなら永続化可)
併用のイメージ 正データの保存先 RDSの手前に置く高速キャッシュ層

※対応エンジンやバージョンは変更されることがあるため、最新情報はAWS公式サイトでご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q. RDSとElastiCacheは併用するものですか?それともどちらか一方を選ぶものですか?

多くのシステムでは併用されます。正データの保存先としてRDSを使い、アクセス頻度の高いデータやセッション情報をElastiCacheでキャッシュすることで、RDS自体への負荷を減らしつつ応答速度を向上させる構成がよく採られます。どちらか一方だけで完結させる設計ではなく、役割分担して組み合わせるのが基本的な考え方です。

Q. ElastiCacheはRedis OSSとValkey、どちらを選べばいいですか?

新規構築であれば、AWSが公式に推奨する選択肢としてValkeyも有力な候補になります。既存でRedisを利用してきたシステムを移行する場合は、互換性を検証環境で確認したうえで判断するのが安全です。どちらもRedis互換のコマンド体系を持つため、アプリケーション側の大きな作り直しは基本的に不要ですが、最終判断は必ず最新のAWS公式情報を確認してください。

Q. RDSはどのデータベースエンジンを選べばいいですか?

オンプレミスから移行する場合は、これまで利用してきたエンジン(MySQL、PostgreSQL、Oracle、SQL Server、Db2等)にそのまま近いものを選ぶと移行がスムーズです。新規構築で高い処理性能・拡張性を重視する場合は、MySQL/PostgreSQL互換のAuroraを検討する価値があります。ライセンス費用を抑えたい場合はMySQL・PostgreSQL・MariaDBなどのオープンソース系エンジンが有力です。

Q. ElastiCacheに保存したデータは消えることがありますか?

はい、ElastiCacheは基本的にメモリ上にデータを保持する仕組みのため、ノードが再起動・終了した場合にデータが失われる可能性があります。そのため、消えても問題のない一時的なデータ(セッション情報やキャッシュ)の保存に向いています。データの永続性が必要な場合はRDSでの保存、またはRedis/Valkey互換で永続性を備えたMemoryDBの利用を検討してください。

Q. RDSとElastiCache、どちらもマネージドサービスとしての運用の手間は同じですか?

どちらもAWSがセットアップ・パッチ適用・スケーリングなどの管理を代行するマネージドサービスである点は共通しています。ただし、RDSはバックアップ・Multi-AZ構成などデータの永続性・可用性に関わる設定項目が多く、ElastiCacheはノード数・キャッシュエンジンの選択がパフォーマンスチューニングの中心になるなど、運用時に意識するポイントは異なります。

まとめ:Amazon RDSとElastiCache

この記事のポイント:

  • Amazon RDSはリレーショナルデータベースのマネージドサービスで、Aurora・MySQL・PostgreSQL・MariaDB・Oracle・SQL Serverに加え、現在はIBM Db2も選択できる
  • AWS ElastiCacheは分散型のインメモリキャッシュサービスで、セッション管理やDBの手前のキャッシュ層として利用される
  • ElastiCacheのキャッシュエンジンは従来のRedis・Memcachedに加え、2024年以降Valkey(Redisのオープンソースフォーク)にも対応している
  • RDSはデータを永続的に保存する用途、ElastiCacheは高速だが基本的に消えてもよい一時データのキャッシュ用途と役割が異なる
  • 実際のシステムではRDSとElastiCacheを併用し、正データの保存はRDS、頻出データの高速化はElastiCacheという役割分担で構成されることが多い

ここまでお読みいただきありがとうございました。本記事ではAmazon RDSとAWS ElastiCacheについて紹介させていただきました。どちらも有効活用することで業務の効率化を図ることのできるサービスですが、不得手とする作業やデメリットも存在するため導入する際は慎重に検討する必要があります。本記事がAWSのどのサービスを業務に取り入れるか、検討する際の一助となりましたら幸いです。

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