Amazon S3とAmazon Glacier両者の違いとは?

最終更新日:2026年8月5日

⚠️ 「Amazon Glacier」の名称について:かつて独立したサービスだった「Amazon Glacier」は、現在は「Amazon S3 Glacier」というブランドに統合され、S3のストレージクラスの一部として提供されています。具体的には「S3 Glacier Instant Retrieval」「S3 Glacier Flexible Retrieval」「S3 Glacier Deep Archive」の3つのクラスに分かれており、単一の「Amazon Glacier」というサービス名は現在使われていません。本記事では旧来の呼び方である「Amazon Glacier」を使いつつ、現在の名称・仕様に合わせて内容を更新しています。

はじめに

まずAmazon S3とAmazon Glacierについて焦点を当てこの2つのサービスがどういったものなのか紹介し、その後に2つのサービスの違いについて紹介していきます。

Amazon S3とは

Amazon S3(Simple Storage Service)はオンラインストレージサービスで、高い耐久性と価格が安価なところが特徴です。他にも、データ量が無制限に利用できたり、他のAWSサービスと連携できたりします。

Amazon S3の機能としては主に4つあります。1つ目はストレージサービス機能といってデータを自動的に複数のアベイラビリティーゾーンに保存し、データの整合性を確認、不具合が確認できた場合自動的に復旧を行う機能です。2つ目はデータ管理機能といって、ファイルごとにリージョンやバケットなどアクセス制限を細かく指定できます。3つ目はストレージクラス機能で、コスト削減のため、オブジェクトを自動移行させるためのライフサイクル管理ができ、転送中のデータのSSL暗号化をサポートします。4つ目はアクセス管理機能で、セキュリティ設定を行うことで細かなアクセス制限ができる。といった機能をAmazon S3は持っています。

Amazon Glacier(S3 Glacier)とは

Amazon Glacierは、アーカイブを目的としたオンラインストレージで、大容量のデータを安価に保管できますが、データへアクセスするには一定の時間が掛かります。特徴としては、価格が安価であることや高い耐久性、柔軟な対応が可能であるなどの特徴があります。柔軟な対応とは、要件に合わせて都度データの拡大・縮小が可能であるということです。

前述の通り、現在は単一の「Amazon Glacier」というサービスではなく、S3のストレージクラスの一部(S3 Glacierシリーズ)として提供されています。以前は「vault(保管庫)」に「archive(アーカイブ)」を保存し、独自のAPIやアーカイブIDで管理する仕組みでしたが、現在のS3 Glacierストレージクラスは通常のS3バケット・オブジェクトの仕組みの中で扱えるようになっており、S3コンソールやS3 APIから他のストレージクラスと同じ感覚で操作できます。

S3 Glacierの3つのストレージクラス

用途に応じて以下の3クラスから選択します。

ストレージクラス 取り出し時間の目安 主な用途
S3 Glacier Instant Retrieval ミリ秒単位(即時) 四半期に1回程度アクセスするが、必要な時はすぐ取り出したいアーカイブ
S3 Glacier Flexible Retrieval(旧Amazon Glacier) 数分〜数時間程度(取り出しオプションにより変動) 年に1〜2回程度しかアクセスしないアーカイブ
S3 Glacier Deep Archive 半日〜2日程度 法定保存など、長期間ほぼアクセスしないデータ

※本記事で「Amazon Glacier」と表記している内容は、主にこの中の「S3 Glacier Flexible Retrieval」に相当する特性を指しています。最新の正式な料金・取り出し時間の詳細はAWS公式サイトでご確認ください。

Amazon S3とAmazon Glacierの違い

ここまでAmazon S3とAmazon Glacierについて書いてきましたが、Amazon S3とAmazon Glacierで似ているところが多々ありました。では、Amazon S3とAmazon Glacierは何が違うのか紹介していきます。

項目 Amazon S3(Standard等) Amazon Glacier(S3 Glacierシリーズ)
保存コスト 比較的高め 大幅に安価(クラスによりさらに低コスト)
データの取り出し時間 即時取り出し可能 クラスにより異なる(即時〜最大2日程度)
操作性 S3コンソール・S3 APIで直接操作 同じくS3コンソール・S3 APIから操作可能(現行仕様)
データの堅牢性 99.999999999%(イレブンナイン) 99.999999999%(イレブンナイン・S3と同等)
主な用途 頻繁にアクセスするデータの保存・配信 長期保存・アーカイブ目的のデータ

Amazon S3とAmazon Glacierで特に大きな違いは、上述したデータ(ファイル)の取り出し時間と保存コストです。以前の独立した「Amazon Glacier」サービスでは任意のファイル名を設定できず、アーカイブIDと呼ばれるIDで管理する必要がありましたが、現在のS3 Glacierストレージクラスは通常のS3オブジェクトと同じ仕組みで扱われるため、この制約は基本的に解消されています。

データの取り出し時間とアーカイブ管理の仕組み

Amazon Glacierはなぜデータの取り出しに時間が掛かるクラスがあるのか疑問に思ったのではないでしょうか。時間が掛かるのにはちゃんと理由があります。

S3 Glacier Flexible RetrievalやDeep Archiveのようなクラスからデータを取り出す際は、「取り出しリクエスト」を発行し、そのリクエストが処理された後にダウンロードが可能になるという流れになります。取り出しの緊急度に応じて速い(コストが高い)オプションと遅い(コストが低い)オプションを選べる仕組みになっており、急ぎでなければコストを抑えた取り出し方法を選択できます。この処理待ちの時間があるため、即時アクセスが可能なS3 StandardやS3 Glacier Instant Retrievalと比べて取り出しに時間が掛かるのです。

なお、前述の通り現在のS3 Glacierストレージクラスは通常のS3オブジェクトとして扱われるため、独立したAmazon Glacierサービス時代のような「vault」「archive」「アーカイブID」といった専用の概念を意識せずに、他のS3ストレージクラスと同様のファイル名・オブジェクトキーで管理できます。

Amazon S3とAmazon Glacierの用途

2つのサービスの違いや似た点を知った上で、Amazon S3とAmazon Glacierはどの状況で使用するのがベストかというと、すぐにダウンロードしなければならないファイルやよく取り出すファイルなどはAmazon S3を使うのが合っています。Amazon GlacierはAmazon S3とは逆で、ほとんど取り出す機会がないデータやダウンロードに時間が掛かってもいいデータはAmazon Glacierが合っています。

実際の運用では、S3のライフサイクルポリシーを設定することで、一定期間アクセスがなかったオブジェクトを自動的にS3 StandardからS3 Glacierシリーズへ移行させることも可能です。頻繁にアクセスするデータと長期保存が目的のデータが混在する場合は、こうした自動移行の仕組みを活用することでコストを最適化できます。

よくある質問(FAQ)

Q. 「Amazon Glacier」という名前のサービスは今もありますか?

単一の独立したサービスとしての「Amazon Glacier」という名称は、現在はAWSの公式サービス一覧上では使われていません。機能自体は「Amazon S3 Glacier」というブランドに統合され、S3のストレージクラスの一部(Instant Retrieval / Flexible Retrieval / Deep Archive)として提供されています。

Q. S3とGlacierはどちらを選べばよいですか?

頻繁にアクセスするデータ、あるいは即時に取り出す必要があるデータはAmazon S3(S3 Standard等)が適しています。逆に、長期保存が目的でめったにアクセスしないデータ(バックアップ、法定保存文書など)はAmazon Glacier(S3 Glacierシリーズ)が適しています。判断に迷う場合は、S3 Intelligent-Tieringを使うとアクセスパターンに応じて自動的に最適なクラスへ移動してくれます。

Q. Glacierに保存したデータはすぐに取り出せますか?

選択するクラスによります。S3 Glacier Instant Retrievalであればミリ秒単位で即時取り出しが可能ですが、S3 Glacier Flexible Retrievalは数分〜数時間、S3 Glacier Deep Archiveは半日〜2日程度かかるのが一般的です。急ぎで取り出す必要があるデータをDeep Archiveに保存するのは適していません。

Q. S3とGlacierでデータの安全性(堅牢性)に差はありますか?

いいえ、S3とGlacier(S3 Glacierシリーズ)はいずれも99.999999999%(イレブンナイン)という同水準のデータ耐久性を持つよう設計されています。差があるのは主に保存コストと取り出し時間・取り出しコストです。

Q. 一度S3 Standardに保存したデータを後からGlacierに移すことはできますか?

可能です。S3のライフサイクルポリシーを設定することで、一定期間アクセスがないオブジェクトを自動的にS3 Glacierシリーズへ移行させることができます。手動で個別に移行する必要はなく、運用の中でコストを最適化できます。

まとめ:Amazon S3とAmazon Glacierの違い

この記事のポイント:

  • Amazon S3は即時アクセスに向いた汎用ストレージ、Amazon Glacier(S3 Glacierシリーズ)は長期アーカイブ向けの低コストストレージ
  • 「Amazon Glacier」は現在、独立したサービスではなく「S3 Glacier」ブランドの3クラス(Instant Retrieval / Flexible Retrieval / Deep Archive)に再編されている
  • 取り出し時間はクラスによって異なり、即時〜半日〜2日程度まで幅がある
  • データの堅牢性(99.999999999%)はS3・Glacierともに同水準
  • ライフサイクルポリシーを使えば、アクセス頻度の低いデータを自動的にS3からGlacierシリーズへ移行しコストを最適化できる

Amazon S3とAmazon Glacierの違いを書いてきましたがいかがだったでしょうか。データの取り出し時間や保存コストなど異なる点が結構ありましたね。また、明確に異なる部分を知ることで、そのサービスの使用用途がはっきりとわかります。今回紹介したAmazon S3とAmazon Glacierを使う機会があったときにこの記事が参考になれば嬉しいです。Amazon S3自体の機能やストレージクラスの詳細については、次の関連記事「Amazon S3サーバーとは」もあわせてご覧ください。

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