Amazon SageMakerとは何なのか、使い方について。

最終更新日:2026年8月5日

はじめに

皆さん、「Amazon SageMaker」という言葉は聞いたことはないでしょうか? IT業界に携わっている多くの方は聞いたことがあるかもしれませんね。この記事では、「Amazon SageMaker」とはなんなのかという基本的なことから、使い方についてわかりやすく解説していきます。あわせて、近年強化が進んでいる生成AI・基盤モデル関連機能(SageMaker JumpStart、SageMaker Canvas)や、Amazon Bedrockとの関係についても紹介します。

「Amazon SageMaker」とは

まずは、「Amazon SageMaker」についてです。読みは「Amazon SageMaker( アマゾンセージメイカー )」です。どのようなサービスなのかというと、機械学習モデルを高速に開発、学習、デプロイ( 使える状態にすること )するためのモジュールが用意されているフルマネージド型サービスです。ちなみにフルマネージド型サービスとは、サーバー運用管理、保守、障害時の対応などの業務を請け負うサービスの事です。

⚠️ 名称・位置づけの変更について:2024年以降、AWSは「Amazon SageMaker」というブランドを、データ処理・分析・AIをまとめて扱う統合プラットフォーム(SageMaker Unified Studio)を指す名称として再定義しました。従来から本記事で紹介している「モデルの構築・学習・デプロイを行うMLサービス」は、現在は「Amazon SageMaker AI」という名称で提供されています。本記事で解説する基本的な使い方・特徴は、この「SageMaker AI」部分に相当します。

そもそも機械学習とはなんなのか

機械学習とは言葉の通り、機械、AIが学習する事です。学習データを使用して、AIがテストデータや実世界のデータを分類するために使用できるモデルを構築することが出来ます。

「Amazon SageMaker」の特徴

「Amazon SageMaker」は、「Jupyter Notebook」をインターフェイスとして「インスタンス作成」、「モデル構築」、「トレーニング」、「デプロイ」までのフローを実施することが可能という特徴があります。では、そもそも「Jupyter Notebook」とはなんなのかというと、読みは「Jupyter Notebook( ジュピターノートブック )」で、データ分析を行うことが出来る対話型ブラウザ実行環境の事です。ノートブックにプログラムを記述すると、実行結果がプログラムの直後に表示されるようになっているので、結果がすぐにわかり大変便利です。2つ目の特徴としては、「Amazon SageMaker」は、主要な機械学習フレームワーク( Apache MXNet、TensorFlowなど )に対応しており、Dockerコンテナ( Dockerエンジン上で動いている仮想環境 )で実行するように事前に構成されているという特徴があります。3つ目の特徴としては、「Amazon SageMaker」は、一般的な機械学習アルゴリズムが事前にインストール、最適化が行われており、他の機械学習サービスと比較して最大10倍のパフォーマンスでこれらのアルゴリズムを実行できるという特徴があります。4つ目の特徴としては、ワンクリックトレーニングというものがあります。「Amazon SageMaker」のコンソールを使用し、ワンクリックでモデルをトレーニングすることが可能です。高度なトレーニングやチューニングの自動化にも対応しているので、モデルを自動的に調整し精度を高めることも可能となっております。5つ目の特徴としては、フルマネージメントスケーリングというものがあります。「Amazon SageMaker」のインフラ部分は自動的に管理され、スケーリング( 規模の増減、面積の拡大縮小の事 )されるので、ペタバイト規模のモデルトレーニングでも簡単にスケーリングできるという特徴があります。このように「Amazon SageMaker」は様々な特徴があり、非常に便利で、利用者の負担も大幅に軽減することが可能です。

生成AI・基盤モデルとSageMakerの関係

「Amazon SageMaker」は当初、独自の機械学習モデルをゼロから構築・学習させるためのサービスとして提供されてきましたが、生成AI・基盤モデル(Foundation Model)の普及にあわせて関連機能が大きく拡張されています。ここでは代表的な3つの機能・サービスとの関係を紹介します。

SageMaker JumpStartで基盤モデルを簡単に利用

「SageMaker JumpStart」は、Meta LlamaやMistralをはじめとするオープンウェイトモデルや、各種プロバイダーの基盤モデルを、あらかじめ用意されたカタログから選んで利用できる機能です。Studioの「Models」ランディングページからモデルを検索・選択し、詳細カードから「Fine-tune(ファインチューニング)」「Customize(カスタマイズ)」「Deploy(デプロイ)」「Evaluate(評価)」といった操作をワークフローに沿って実行できます。ゼロからモデルを学習させなくても、公開されている基盤モデルをベースに自社データでファインチューニングし、そのままエンドポイントとしてデプロイできる点が特徴です。

SageMaker Canvasの生成AI機能

「SageMaker Canvas」は、コードを書かずにMLモデルを構築できるノーコードツールですが、こちらにも生成AI関連の機能が追加されています。自然言語でビジネス課題を説明するとMLのプロセス全体をガイドしてくれるAmazon Q Developerとのチャット連携、タスクに適した基盤モデルの比較・選定、数クリックで行えるファインチューニング、社内ドキュメントを参照して回答を生成するRAG(Retrieval Augmented Generation)機能、マーケティングコピーや商品説明文などのコンテンツ生成といった機能が利用できます。エンジニアでなくても、基盤モデルを使った業務効率化を試せる入り口として位置づけられています。

Amazon Bedrockとの違い・使い分け

生成AI関連でよく比較されるのが「Amazon Bedrock」です。Amazon BedrockはAnthropic Claude、Amazon Nova、Meta Llamaなど複数プロバイダーの基盤モデルを、インフラを意識せずAPI経由で呼び出せるフルマネージドサービスで、生成AIアプリケーションを素早く構築・スケールしたい場合に向いています。現在はSageMaker Unified Studioの中で統合的に利用できるツールの一つとしても位置づけられています。一方、本記事で解説している「Amazon SageMaker(SageMaker AI)」は、独自データでの本格的なモデルの学習・ファインチューニング・インフラ制御を伴う開発に向いています。「まずはAPIで基盤モデルをすぐ試したい」場合はBedrock、「自社データで学習・ファインチューニングを行い、モデルの挙動やインフラを細かく制御したい」場合はSageMaker(JumpStartの基盤モデル活用を含む)、と使い分けるとイメージしやすいでしょう。

「Amazon SageMaker」の使い方

⚠️ UIの変更について:以下で紹介する手順は、ノートブックインスタンスを作成して操作する従来型のワークフローです。この画面は現在「Studio Classic」と呼ばれており、新規利用の受付は終了し既存ワークロードの保守のみとなっています。新規に始める場合は、更新された「SageMaker Studio」またはSageMaker Unified Studioからの利用が推奨されています。基本的な考え方(ノートブック環境でモデルを構築・学習・デプロイする)は共通しているため、まずは全体の流れを把握する目的で参考にしてください。

「Amazon SageMaker」の使い方の前に、AWSアカウントをまだ作っていない方はAWS公式サイトからアカウント作成を行っておきましょう。注意点としてはアカウント作成にはクレジットカードかデビットカードが必要です。もう一つの準備としてモデルのトレーニングデータとモデルのトレーニング中に生成されるモデルアーティファクトが必要です。これらのデータを保存するS3バケットを作成します。バケットの名前は「sagemaker」という文字列を含める必要があります。ここまでが事前準備となります。以降が使い方となります。まずステップ1として「Amazon SageMaker」のトップページからノートブックを作成します。トップページの左側からノートブックインスタンスの作成を押下します。ノートブックのインスタンス作成では、ノートブックの名前を決めることが出来るので、管理しやすい好きな名前を入力しましょう。次にIAMロールを選択します。他は初期設定でも可能です。S3バケットで使いたいバケットがある場合は「指定するバケット」を選択します。特にない場合は「なし」を選択し、「ロールの作成」を押下します。最後に「ノートブックインスタンスの作成」を押下すると、ノートブックが作成されます。作成後はAWSで一時的に保留となりますが、数分待つとステータス部分が緑色にかわり「InService」となります。ステップ2は、Jupyterノートブックの作成です。ノートブックインスタンスのステータスが「InService」に変わると右にある「オープン」を押下していただき、Jupyterノートブックを開きます。次に、「SageMaker Examples」タブの「Introduction to Amazon algorithms」から「Image-classification-lst-format.ipynb」を選択し「USE」を押下します。確認画面が表示されるので「Create copy」ボタンを押下すると、先ほど選択した「Image-classification-lst-format.ipynb」ノートブック画面が表示されます。次にJupyter上で順次コードを実行していきます。「Shift」+「Enter」を押下すると、処理が次々に実行されていきます。すべての処理が完了するまで大体40分程度かかります。最後にJupyterの「Running」タブから確認できるので、終了したいノートブックを選択し「Shutdown」ボタンを押下します。Jupyterはこれで終了できたので、最後にノートブックインスタンス画面で停止ボタンを押下します。これが簡単ではありますが「Amazon SageMaker」の使い方です。

なお、ゼロからモデルを学習させる前述の手順に対し、既存の基盤モデルを試したいだけであれば、前章で紹介した「SageMaker JumpStart」からモデルを選んで「Deploy」するほうが、事前準備・学習時間が少なく済むケースが多い点もあわせて覚えておくとよいでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q. Amazon SageMakerとAmazon Bedrockはどちらを使えばいいですか?

すぐにAPI経由で基盤モデル(Anthropic Claude、Amazon Novaなど)を呼び出して生成AIアプリケーションを作りたい場合はAmazon Bedrockが向いています。自社データでモデルを学習・ファインチューニングしたり、インフラやモデルの挙動を細かく制御したい場合はAmazon SageMaker(SageMaker AI)が向いています。両者は排他的ではなく、SageMaker Unified Studioの中で組み合わせて利用することもできます。

Q. SageMaker JumpStartではどのようなモデルが使えますか?

Meta LlamaやMistralなどのオープンウェイトモデルをはじめ、複数のモデルプロバイダーが提供する基盤モデルがカタログとして用意されています。掲載モデルは随時見直しが行われており、提供終了となったモデルの既存エンドポイントはそのまま稼働を継続できますが、新規デプロイができなくなる場合があります。利用前にライセンス条件を確認することが推奨されています。

Q. 記事内で紹介している「ノートブックインスタンス」の作成手順は今も使えますか?

従来型のノートブックインスタンス作成の画面(Studio Classic)は既存ワークロードの保守目的で引き続き利用できますが、新規の利用受付は終了しています。これから始める場合は、更新されたSageMaker Studio、またはSageMaker Unified StudioからJumpStartのモデル一覧を利用する方法が推奨されています。

Q. SageMaker Canvasはプログラミング未経験でも使えますか?

はい。SageMaker Canvasはノーコードでモデルを構築できるツールとして設計されており、自然言語でのチャット支援(Amazon Q Developer)や基盤モデルの比較・ファインチューニングなど、コーディングをせずに生成AI機能を試せる点が特徴です。

Q. Amazon SageMakerの料金体系はどうなっていますか?

Amazon SageMakerは基本的に従量課金制で、使用したインスタンスタイプや稼働時間、ストレージ量などに応じて費用が発生します。具体的な料金はサービス内容やリージョンによって変動するため、利用前にAWS公式サイトの料金ページで最新情報を確認することをおすすめします。

まとめ

この記事のポイント:

  • Amazon SageMakerは、機械学習モデルの開発・学習・デプロイをフルマネージドで行えるサービス(現在のモデル構築部分は「SageMaker AI」という名称)
  • 2024年以降、「Amazon SageMaker」ブランドはデータ処理・分析・AIを統合するSageMaker Unified Studioを指す名称に再定義されている
  • 生成AI・基盤モデル関連では、SageMaker JumpStart(基盤モデルのデプロイ・ファインチューニング)、SageMaker Canvas(ノーコードでの生成AI活用)が主要な機能
  • Amazon Bedrockは基盤モデルをAPI経由で手軽に使いたい場合に、SageMaker(AI)は自社データでの本格的な学習・ファインチューニングやインフラ制御が必要な場合に、それぞれ向いている
  • 従来のノートブックインスタンス作成の流れ(Studio Classic)は保守フェーズのため、新規に始める場合は更新されたStudio/JumpStartの利用が推奨される

本記事では「Amazon SageMaker」とはなんなのか、「Amazon SageMaker」でどのようなことが出来るのか、使い方について紹介させていただきました。「Amazon SageMaker」は大変便利で、慣れれば使い方も簡単です。本記事に書いてあるのは最低限の使い方なので、まだまだ色々な使い方があります。「Amazon SageMaker」に興味を持っていただけた方は、本記事に書いてある使い方を読んでいただき、実際に実行して理解を深めるのもいいでしょうね。

▼ アクロビジョンについて

👔

一緒に働きましょう

一人ひとりのキャリアに向き合い、
活躍できる現場をご紹介します。

採用サイトを見る →
💻

システム開発のご依頼・ご相談

コンサルティングから運用保守まで、
ワンストップで対応します。

まずはお気軽にご相談ください →