Amazon Transcribeの使い方と日本語の精度。議事録にも対応可能か
最終更新日:2026年8月10日
この記事でわかること
AmazonのサービスにAWSがありますが、その中の1つにAmazon Transcribeという自動で文字起こしをしてくれる機能があります。2019年11月頃、日本語に対応したためこのサービスを利用する人が続々と出始めました。この記事では実際に使ってみた感想と使い方、日本語はどれくらいの精度で対応しているのか。そしてリアルタイムの文字起こしを必要とする議事録でも使えるのか、お伝えしていきます。
【要注意】記事公開当時(2020年)から変わった点があります
本記事は2020年頃に公開した内容をベースにしていますが、Amazon Transcribeはその後アップデートが重ねられています。特に「S3バケットのリージョンを米国にする必要がある」「リアルタイム(ストリーミング)文字起こしは日本語未対応」「カスタムVocabularyは日本語非対応」という当時の制約は、現在はすべて解消されています。詳細は本文中で解説します。
Amazon Transcribeとは
| 項目 | AWS | Microsoft Azure | Google Cloud |
|---|---|---|---|
| 世界シェア | 約33%(首位) | 約22% | 約11% |
| 強み | サービス数・実績 | Microsoft製品連携 | データ分析・AI |
| 無料枠 | 12ヶ月+常時無料 | 12ヶ月無料 | 常時無料枠あり |
| 主な資格 | CLF / SAA / SAP | AZ-900 / AZ-104 | ACE / PCA |
Amazon TranscribeとはAmazonが提供するAWSの1つで、自動で文字起こしをしてくれる機能を持つサービスです。自動音声認識で音声ファイルや動画ファイルを文字起こししてくれたり、講演会でのリアルタイム文字起こしを可能にしてくれます。
すでにGCPやIBMなどでは同様の文字起こしサービスはリリースされていますが、AWSではようやく日本語に対応した形になります。英語版のAmazon Transcribeはとても精度が高いようで、日本語版でも精度の高さには期待が持たれています。また、AWSのサービスであるため、他のAWSのサービスと併用して利用できる点も、Amazon Transcribeが期待される一因になっているでしょう。
Amazon Transcribeの使い方
Amazon Transcribeの使い方は簡単です。
- AWSにログイン
- S3でバケット作成
- バケットにファイルをアップロード
- Amazon TranscribeでJOB作成
- 文字起こし完了
使い方は以上です。
【要注意】S3バケットのリージョンについて
公開当初は「Amazon Transcribeが東京リージョンに対応していないため、S3バケットは米国リージョンで作成する必要がある」という制約がありました。しかし現在はAmazon Transcribe(ストリーミングを含む)が東京リージョン(ap-northeast-1)でも利用可能になっているため、S3バケットも東京リージョンで作成して問題ありません。国内リージョンで完結させたほうがデータ転送の観点でも扱いやすくなっています。最新のリージョン対応状況はAWS公式サイトのリージョン表でご確認ください。
文字起こしをした文字をメモ帳やドキュメントに表示する
Amazon Transcribeでの文字起こしの方法については上記で説明したように対応すればできますが、詳しい説明については先人たちが画像つきで解説してくれていますので、ここでは省略し、文字起こしが完了したあとにメモ帳やドキュメントに文字起こしをした文字を表示する方法についてを解説していきます。
Transcribeで作成したファイルはJSONファイルなので、ノンプログラマーにとっては聞き慣れないファイル名かもしれません。なので当然使用したこともないと思います。使用したことがある方はこの説明は飛ばして頂いて結構です。
ここでの最終目標はメモ帳もしくはドキュメントに表示することです。まず、文字起こしが完了したJSONファイルをダウンロードしてください。
次はそのJSONファイルを別のファイルに変換していきます。ファイルの変換方法はオンライン無料サービスがあるので、そちらを利用しても良いですし、いつも使用しているファイル変換サービスがあるならそちらを利用してください。
今回はJSONファイルをCSVファイルへと変換していきます。CSVファイルに変換できたらダウンロードをします。
次にGoogleスプレッドシートを開けます。スプレッドシートはサクサク軽快に動くのとてもおすすめです。Googleスプレッドシートを開いたら、左上の「ファイル」→「インポート」→「アップロード」と順に進んでいき、さきほどダウンロードしたCSVファイルを選択しアップロードしていきます。
アップロードが完了すると、『ファイルをインポート』という画面が出てきます。
基本的にはデフォルトのままで大丈夫です。「場所のインポート」には「スプレッドシートを置換する」を選択し、「区切り文字の種類」は「自動的に検出する」を選択。「テキストを数値、日付、数式に変換」は「はい」を選択の状態で、『データをインポート』を押下します。
するとA2のセルに起こした文字がインポートされているのが確認できます。
あとはこれをコピーしてメモ帳やドキュメントに貼り付けて修正を加えていくだけです。
実際にやってみればすぐに終わることなので、文字起こしが完了してJSONファイルの扱いに悩まれている方は試してみてください。
Amazon Transcribeの日本語の精度は?
では実際にAmazon Transcribeでmp4の動画ファイルを文字起こしをした日本語の精度についての感想をお伝えします。英語版のAmazon Transcribeはかなり優秀な精度で文字起こしをしてくれると話題になっていましたが日本語での精度は、正直完璧とは言えません。感覚としてはだいたい60%程度の精度です。ただし個人差によるところが大きいと思いますので、もっと精度が高いと感じる方もいるでしょう。
今回は動画ファイルの音声を文字起こしに挑戦しましたが、録音したマイクの性能や距離、BGMや人数などの要素によって文字起こしの精度は変わってくるでしょう。
また、先に辞書登録にあたる、カスタムVocabulary(カスタム語彙)を登録しておけば、専門用語などは正しく出力してくれる確率が上がります。公開当初の2020年4月時点では日本語のカスタムVocabularyは非対応でしたが、現在はカスタム語彙・カスタム言語モデルともに日本語(バッチ・ストリーミング双方)に対応しています。専門用語や社内用語が多い議事録では、事前に登録しておくと精度改善が期待できます。
リアルタイムの議事録にも対応可能か
Amazon Transcribeは録音済みの音声ファイルや動画ファイルの文字起こしに便利ですが、リアルタイムで字幕表示することも可能です。話し手が複数人いる場合は事前に話し手の人数を登録しておきます。そうすることで誰が話しているのかを認識し表示してくれます。
ただ注意しなければならないことは、話し手が「あのー」「えーっと」など意味のない言葉を発するとそれも文字化されてしまうので、気をつけましょう。これはリアルタイムの文字起こしだけに限った話ではありませんが・・・
ある程度内容がわかればOKという場合にはリアルタイムの文字起こしでも十分に対応できます。議事録など重要な場面で活用する場合は、あとから聞き直しやすいよう録音・録画も残しておき、リアルタイム表示と併用するのが無難でしょう。
後述する通り、現在はリアルタイム(ストリーミング)でも日本語での文字起こしに対応しています。また医療的な専門用語を利用する場合はAmazon Transcribe Medicalというサービスもあります。
Amazon Transcribe Medicalをクラーク(シュライバー)代わりに
Amazon Transcribe Medicalは医療分野に特化したAWSのサービスです。具体的には内科、耳鼻咽喉科、小児科、産婦人科などの専門分野で音声文字起こしサービスが利用できます。
クラーク(シュライバー)の育成には数ヶ月かかりますが、Amazon Transcribe Medicalを導入すれば育成にかかるコストが抑えられ、クラーク(シュライバー)を雇用する人件費が浮きます。また、ドクターが発言した内容を文字に起こすため、聞き間違いや書き間違いによるミスを防ぐことも可能です。
Amazon Transcribe Medicalの精度については実運用での評価が分かれるところですが、精度が高く安定した稼働が可能であれば、実用化の検討は十分に考えられるのではないでしょうか。料金はサービスの改定によって変わることがあるため、最新料金はAWS公式サイトでご確認ください。
ただし、Amazon Transcribe Medicalは英語(米国英語)のみの対応が続いており、日本語での医療用語文字起こしには利用できません。日本語対応の有無は今後変更される可能性もあるため、導入を検討する際はAWS公式サイトの最新情報を必ずご確認ください。
リアルタイム文字起こしの日本語対応状況(2026年時点)
本記事の公開当初(2020年頃)は、Amazon Transcribeの日本語対応はファイル(バッチ)の文字起こしのみで、リアルタイム(ストリーミング)の文字起こしは日本語に対応していませんでした。日本語対応となったのは音声ファイルや動画ファイルの文字起こし機能のみで、当時できることはインタビューや会議の議事録、後で配布する用の動画ファイルなどの「事後」の文字起こしに限られていました。
【要注意】現在はリアルタイム文字起こしも日本語に対応済みです
その後のアップデートにより、Amazon Transcribeのストリーミング(リアルタイム)文字起こしは日本語(ja-JP)にも対応しています。講演会やセミナー、社内会議などでリアルタイムに字幕表示・文字起こしを行いたい場合も、日本語のまま利用可能です。対応リージョンや機能の詳細は変更されることがあるため、導入前にAWS公式ドキュメントの最新情報(サポート言語・リージョン一覧)を確認することをおすすめします。
押さえておきたいポイント
- Amazon Transcribeは音声・動画ファイルのバッチ文字起こしに加え、リアルタイム(ストリーミング)の文字起こしも日本語に対応している。議事録・字幕どちらの用途にも使える。
- S3バケットや文字起こしジョブを東京リージョンで完結させられるようになっており、公開当初の「米国リージョンでなければ使えない」という制約はない。
- カスタムVocabulary・カスタム言語モデルも日本語対応済みのため、社内用語や専門用語が多い議事録では事前登録で精度改善が見込める。ただしAmazon Transcribe Medicalは引き続き英語のみの対応。
よくある質問
Amazon Transcribeは無料で使えますか?
無料利用枠が用意されており、一定量まではお試しで利用できます。無料枠を超えた分や本格運用時は従量課金となるため、最新の料金体系・無料枠の範囲はAWS公式サイトでご確認ください。
議事録用途で使う場合、精度をさらに上げるにはどうすればいいですか?
マイクの性能や録音距離、周囲のBGM・雑音の少なさが精度に大きく影響します。加えて、社内用語や専門用語をカスタムVocabulary(日本語対応済み)に登録しておくと、誤変換を減らせます。重要な議事録では、リアルタイム表示だけに頼らず録音データも残しておくと安心です。
Amazon Transcribe MedicalはAmazon Transcribeと同じ料金・仕様ですか?
Amazon Transcribe Medicalは医療分野に特化した別サービスで、料金体系も通常のAmazon Transcribeとは異なります。また対応言語も英語のみに限られているなど仕様面での違いがあるため、導入を検討する場合は公式サイトで個別に仕様・料金を確認してください。
まとめ
Amazon Transcribeの日本語の精度は使い方次第で改善の余地がありますが、現時点でもすでに音声や動画の文字起こしの労力がかなり低減されるのではないでしょうか。かつては日本語のリアルタイム文字起こしができない、S3バケットは米国リージョン限定といった制約がありましたが、現在はこれらが解消され、東京リージョンで完結しつつリアルタイムでも日本語の文字起こしが可能になっています。また、Amazon Transcribe Medicalは引き続き英語のみの対応ですが、導入すれば大幅なコスト削減も可能です。Amazon Transcribeは無料利用枠もあるのでまずはお試し程度で利用されてみてはいかがでしょうか。
ちなみに筆者は友人の結婚式で使用するサプライズムービーの文字起こしに使用してみました。Transcribeの無料枠の範囲内で利用することができ、時間短縮にもなったので利用して良かったです。
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