【AWS】Amazon ElastiCacheとEC2の活用法
最終更新日:2026年8月10日
■はじめに
| 項目 | AWS | Microsoft Azure | Google Cloud |
|---|---|---|---|
| 世界シェア | 約33%(首位) | 約22% | 約11% |
| 強み | サービス数・実績 | Microsoft製品連携 | データ分析・AI |
| 無料枠 | 12ヶ月+常時無料 | 12ヶ月無料 | 常時無料枠あり |
| 主な資格 | CLF / SAA / SAP | AZ-900 / AZ-104 | ACE / PCA |
ネット環境がより快適になっていく昨今、リアルタイム性の求められるアプリケーションには、軽快でスピーディな応答が求められるようになってきています。ユーザーのリクエストに対してより迅速に応答することが重要で、遅延の多いサービスではユーザーが他のサービスに流れていってしまうからです。一度に大量のユーザーがアクセスしたとしても、円滑にコンテンツを配信できるようなITリソースが必要です。「Amazon ElastiCache」は、ミリ秒単位の応答時間が必要とされるような、厳しい要件にも対応できるインメモリデータストアを構築・運用・スケーリングできるサービスです。
■そもそもキャッシュとは
キャッシュとは、一度アクセスしたウェブページの情報(データ)をブラウザやノード側で一時的に保管し、次にまた同じページにアクセスした際の表示を速くする仕組みまたはデータそのものを指します。ウェブページを表示する際には、都度そのページのデータをダウンロードする必要が出てくるわけですが、画像やテキスト情報などのキャッシュという一時的な保存データが、ユーザーの端末側にあることで、表示スピードを向上させる効果があります。一般的にキャッシュと言われたら上記のような仕組みやデータそのもののことを指すことが多いでしょう。
■Amazon ElastiCacheとは
メインメモリキャッシュのデプロイ、運用、スケーリングをクラウド内で簡単に実行できるAmazonが提供しているウェブサービスのうちのひとつです。このサービスは、低速のディスクベースのデータベースに依存せず、AWSによって管理されたメモリ内のキャッシュから情報を取得できるようにすることで、ウェブアプリケーションのパフォーマンスを向上させることができます。Amazon ElastiCacheはデータをノードのメモリに保存するので、非常に高速なデータの出し入れが可能となるのです。
●インメモリキャッシュとその仕組み
データベースのクエリは、キャッシュを検索するよりも常に時間がかかることが多く、コストがかさみます。インメモリキャッシュとは、データをディスクや SSD に保存するデータベースではなく、データストレージ用のメモリにキャッシュを保存することでディスクにアクセスする必要がなくなり、応答時間を短縮することができます。クエリの結果などもキャッシュすることで、クエリのコストは初回に発生するだけで済み、その後、クエリを再実行する必要がなく、複数回にわたってデータをすばやく取得できます。メインメモリキャッシュにデータが存在しない場合はデータベースにアクセスして取得することになります。
●インメモリデータベースとは
インメモリデータベースとは、専用データベースの一種です。データをディスクや SSD に保存するデータベースではなく、データストレージ用のメモリに主に依存しています。AWSのインメモリデータベースは、ディスクにアクセスする必要性を除くことによって、最小限の応答時間を達成するよう設計されています。
AWSクラウド内の様々なオープンソースと互換しているインメモリデータストアをデータベースとして使用することで、高スループットで低レイテンシーにデータを取得して、大量のデータを扱うアプリケーションを構築したり、既存のアプリケーションのパフォーマンスを向上させたりすることが可能です。なお、常時起動のクラスターを構築・管理する従来型の使い方に加えて、需要に応じて容量を自動でスケールする「Amazon ElastiCache Serverless」も提供されており、トラフィック予測が難しいワークロードやスモールスタートしたいケースで選択肢に入ります。
■サポートしているエンジン
Amazon ElastiCache は、オープンソース系のインメモリストア(エンジン)をサポートしています。長らく主なサポート対象はRedisとMemcachedの2つでしたが、現在はValkeyを含む複数のエンジンから選択できます。可用性の観点では色々な構成が取れるRedis系エンジンの方が高機能ですが、単一ノードとしてのパフォーマンスはマルチスレッドで動作するMemcachedに軍配が上がる場面もあります。ただ、Memcachedはシンプルなデータしか格納できないため、データを保存する場合にはアプリケーション側で格納できる型に変更する必要が出てきます。Redis系エンジンでは豊富なデータ型を扱えます。さらに正規表現を用いたキーの曖昧検索、トランザクションによるデータの更新など豊富な機能があります。シンプルさのMemcachedか痒い所に手が届くRedis系エンジンかといった感じだと思います。
【要注意】Redisのライセンス変更とValkeyの追加について
Redis社は2024年にRedis自体のライセンス体系を変更し、従来のオープンソースライセンス(BSD)での提供方針を見直しました。これを受けてLinux Foundation主導でRedis互換のオープンソースフォーク「Valkey」が誕生し、Amazon ElastiCacheも2024年11月からValkeyを新しいサポートエンジンとして追加しています。「ElastiCacheのエンジンはRedisとMemcachedの2択」という情報は古くなっているため、新規構築時はRedis OSS・Valkey・Memcachedのどれを採用するか、ライセンスやAWSの今後の対応方針も踏まえて検討することをおすすめします。最新のサポートエンジン・料金体系はAWS公式サイトでご確認ください。
■押さえておきたいポイント
- Amazon ElastiCacheは、低速なディスクベースのデータベースへの都度アクセスを避け、メモリ上のキャッシュから高速にデータを取得することでアプリケーションの応答時間を短縮するサービスです。
- サポートエンジンはMemcached・Redis(Redis OSS)に加えて、2024年11月以降はValkeyも選択できるようになっており、要件やライセンス方針に応じてエンジンを選ぶ必要があります。
- 常時稼働のクラスターを自分で設計・管理する従来型の使い方のほか、トラフィック量に応じて自動スケールする「ElastiCache Serverless」も用意されており、用途に応じて使い分けが可能です。
■よくある質問
Q. Amazon ElastiCacheとAmazon RDSはどう使い分ければよいですか?
A. Amazon RDSはディスクベースの永続的なリレーショナルデータベースで、データの正としての保存・管理を担います。一方Amazon ElastiCacheはメモリ上に一時的にデータを保持するキャッシュ層で、RDS等のデータベースへのアクセス頻度を減らし応答速度を向上させる目的で組み合わせて使うのが一般的です。ElastiCache単体をデータの永続保存先として利用する設計は推奨されません。
Q. RedisとMemcachedとValkey、どれを選べばよいですか?
A. 豊富なデータ型やレプリケーション、トランザクションなど高機能性を重視するならRedis系エンジン(Redis OSSまたはValkey)、シンプルなキャッシュ用途でマルチスレッドによる単一ノードの高スループットを重視するならMemcachedが向いています。RedisとValkeyのどちらを選ぶかは、ライセンス方針やAWSの今後のサポート方針を踏まえて公式サイトの最新情報をもとに判断することをおすすめします。
Q. ElastiCacheの料金はどのくらいかかりますか?
A. 料金はノードタイプ・台数・リージョン・エンジンやServerlessか否かなどによって変動し、随時見直されています。具体的な金額は本記事では割愛しますので、最新料金はAWS公式サイトでご確認ください。
■おわりに
EC2との疎通確認の方法やElastiCacheコンソール上でのクラスター作成・設定は色々なサイトで解説されているので割愛しました。本記事執筆時点でもさほど操作に違いはありませんでした。ElastiCacheを利用してみようと思っている方へ少しでも情報が提供できればと思います。
▼ アクロビジョンについて


