【AWS】Amazon Elasticsearch Serviceについて解説します。
最終更新日:2026年8月10日
この記事でわかること
「Elasticsearch」とは、Elastic社が提供しているオープンソースの全文検索エンジンです。 大容量のデータの中から必要なデータを高速で取り出すことができます。今回は、AWSでのElasticsearchについて解説していきます。
【要注意】サービス名が「Amazon OpenSearch Service」に変更されています
本記事で解説している「Amazon Elasticsearch Service(Amazon ES)」は、2021年9月に「Amazon OpenSearch Service」へ名称変更されており、現在のAWSマネジメントコンソールやドキュメントでは新名称で案内されています。これはElastic社がElasticsearch/Kibanaのライセンスを2021年1月にApacheライセンス2.0から独自ライセンス(Elastic License/SSPL)へ変更したことを受け、AWSがApacheライセンス2.0のまま開発を継続するフォークとして「OpenSearch」プロジェクトを立ち上げたためです(管理ツールのKibanaも「OpenSearch Dashboards」に相当する名称になっています)。なお、Elastic社は2024年8月にElasticsearchおよびKibanaへAGPLライセンスを追加し、再びオープンソースライセンスでの提供を選択できるようになっています。本記事の機能解説自体は現行のAmazon OpenSearch Serviceにもおおむね当てはまりますが、サービス名・製品名は最新情報を確認のうえお読みください。
■Elasticsearch
ElasticsearchとはElastic社によって開発されたデータの格納&解析ツールで、分類的にはNoSQLにわけられます。かつてはApacheライセンス2.0で公開され無料かつ改変・再配布も自由でしたが、2021年1月にElastic社がライセンス体系を独自の「Elastic License」「SSPL(Server Side Public License)」へ変更したため、現在は利用形態によってライセンス条件が異なります(2024年8月以降はAGPLライセンスでの提供も再開されています)。利用の際はElastic社公式サイトで最新のライセンス条件をご確認ください。
■Kibana
KibanaとはElastic社によって開発されたデータの可視化ツールで、Elasticsearchと連携をして棒グラフや円グラフなど様々なグラフを出力できるツールです。セットアップもとても簡単にできるように設計されており、上記のライセンス変更はElasticsearchと同様にKibanaにも適用されています。なお、AWSのOpenSearchプロジェクトにおける同等のツールは「OpenSearch Dashboards」という名称で提供されています。
■Amazon Elasticsearch Service
Amazon Elasticsearch Service(Amazon ES)は、AWSクラウドのElasticsearchクラスターを、簡単にデプロイ、運用、スケールするマネージド型サービスです。Amazon ESを使用するとElasticsearchのAPIに直接アクセスできるため、既存のコードとアプリケーションをシームレスに連携することができます。前述の通り、本サービスは2021年9月に「Amazon OpenSearch Service」へ名称変更されており、内部的にはApacheライセンス2.0のOpenSearchエンジンをベースに提供されています。
■Amazon Elasticsearch Serviceの利点
- 【デプロイと管理が簡単】
- Amazon ESを使用すれば、Elasticsearchクラスターを数分でデプロイできます。このサービスは、ハードウェアプロビジョニング、ソフトウェアのインストールとパッチ適用、障害復旧、バックアップ、モニタリングといった管理タスクを簡素化します。クラスターをモニタリングするために、Amazon ESには組み込みのイベントモニタリングとアラートが含まれているため、データの変更に関する通知を受け取り、問題を事前に対処することが可能になります。
- 【高度なスケーラブル】
- Amazon ESを使用すると、単一クラスターに最大3PBのデータを保存できます。そのため、単一のKibanaインターフェースを介して大規模なログ分析ワークロードを実行できます。クラスターを簡単にスケールアップまたはスケールダウンするには、APIコールを1回実行するか、AWSコンソールでクリックを数回するだけです。Amazon ESはマルチAZ配置を使用して高い可用性を確保するように設計されているため、同じリージョン内の3つのアベイラビリティーゾーン間でデータをレプリケートできます。
- マルチAZ配置:必要に応じて(または自動フェイルオーバー向けに)、プライマリDBインスタンスが別のアベイラビリティーゾーンにあるスタンバイインスタンスに同期的にレプリケートを可能にした構造。
- 【高い安全性】
- Amazon ESでデータを使用して実現できるのは、Amazon VPCによるネットワーク隔離であり、AWS KMSを使用して作成、制御するキーによる保存時または転送中のデータ暗号化、そしてAmazon CognitoおよびAWS IAMポリシーによる認証とアクセスコントロールの管理です。また、Amazon ESはHIPAAに適合しているほかPCI DSS、SOC、ISO、FedRamp標準に準拠しており、業界固有の要件または法規制要件の適合を支援しています。
- HIPAA:医療情報の電子化の推進とそれに関係するプライバシー保護やセキュリティ確保について定めた法律。
- PCI DSS:事業規模の大きさに関わらず、クレジットカードによる決済を受け付ける全ての事業者を対象に、カード情報の受付、保管、処理、伝送に至るまでのプロセスを安全に行うために策定された基準。
- SOC:企業などにおいて情報システムへの脅威の監視や分析などを行う、役割や専門組織。
- ISO:国際標準化機構、各国の国家標準化団体で構成される非政府組織。
- FedRamp:米国連邦政府クラウドの統一セキュリティ基準。
- 【優れた費用対効果】
- Amazon ESでは、実際に消費したリソースに対してのみ料金が発生します。前払いや長期契約がないオンデマンド料金や、リザーブドインスタンス料金を選択してコストを大幅に削減できます。Amazon ESは、完全マネージド型サービスとして、クラスターを監視および管理する専任Elasticsearch専門家チームの必要性を取り除くことで、運用の総コストをさらに削減します。最新の料金体系・料金プランはAWS公式サイトでご確認ください。
- オンデマンド料金:長期契約なしで、時間または秒単位 (最低 60 秒) で支払う、従量課金。
- リザーブドインスタンス料金:一定期間継続して利用することを前提に、大幅な割引を受けられる料金形態。
■Amazon Elasticsearch Serviceの機能
Amazon ESには、以下の特徴があります。
- ◇スケール
- ・インスタンスタイプと呼ばれる、CPU、メモリ、ストレージ容量が複数設定可能
- ・最大3PB のアタッチ済みストレージ
- ・読み取り専用データ用のコストパフォーマンスに優れたUltraWarmストレージ
- ◇セキュリティ
- ・AWS Identity and Access Management(IAM)アクセスコントロール
- ・Amazon VPCおよびVPCセキュリティグループと簡単に統合
- ・保管時のデータの暗号化およびノード間の暗号化
- ・Amazon CognitoまたはKibanaのHTTP基本認証
- ・インデックスレベル、ドキュメントレベル、フィールドレベルのセキュリティ
- ・Kibanaマルチテナンシー
- ◇安定性
- ・リージョンおよびアベイラビリティーゾーンと呼ばれる、リソース用の複数の地理的場所
- ・マルチAZ配置による、同じAWSリージョン内の複数のAZにまたがるノード割り当て
- ・クラスター管理タスクをオフロードする専用マスターノード
- ・Amazon ESドメインをバックアップおよび復元する自動スナップショット
- ◇柔軟性
- ・ビジネスインテリジェンス(BI)アプリケーションとの統合のためのSQLサポート
- ・検索結果を改善するためのカスタムパッケージ
- ◇人気のあるサービスとの統合
- ・Kibanaを使用したデータの可視化
- ・Amazon ESドメインメトリクスのモニタリングとアラームの設定のためのAmazon CloudWatchとの統合
- ・Amazon ESドメインへの設定API呼び出しを監査するためのAWS CloudTrailとの統合
- ・Amazon ESにストリーミングデータをロードするためのAmazon S3、Amazon Kinesis、Amazon DynamoDBとの統合
- ・データが特定の閾値を超えたときのAmazon SNSからのアラート
■Amazon Elasticsearch Serviceのユースケース
- アプリケーションのモニタリング
- アプリケーションとインフラストラクチャのログデータを保存、分析、および相関させて、問題をより迅速に発見して修正し、アプリケーションのパフォーマンスを向上させます。アプリケーションのパフォーマンスが低下している場合は、自動化されたアラートが届き、問題を事前に対処できます。
- オンライン旅行会社で例えるなら、Amazon ESを使用してアプリケーションのログを分析し、パフォーマンスのボトルネックや可用性の問題を特定して解決し、合理化された予約エクスペリエンスを確保することが可能になります。
- セキュリティ情報とイベント管理(SIEM)
- リアルタイムの脅威を検出してインシデントを管理するために、ネットワーク全体の異なるアプリケーションとシステムからのログを集中化して分析します。
- 通信会社で例えるなら、Amazon ESとKibanaを使用して、ルーター、アプリケーション、その他のデバイスのログをすばやくインデックス化、検索、視覚化します。これにより、データ侵害、不正ログイン試行、DoS攻撃、詐欺などのセキュリティ脅威を発見して防止することができます。
- 検索
- アプリケーション、ウェブサイト、データレイクカタログ向けに高速でパーソナライズされた検索エクスペリエンスを提供しています。Elasticsearchのすべての検索APIにアクセスして、自然言語検索、オートコンプリート、ファセット検索、位置認識検索をサポートし、ユーザーが関連データをすばやく検索できるようにします。
- 不動産ビジネスで例えるなら、Amazon ESを使用して、消費者が希望する場所にある数百万件の不動産の中から特定の価格帯の家を見つけられるように支援します。
- インフラストラクチャのモニタリング
- サーバー、ルーター、スイッチ、仮想マシンからログとメトリックを収集して、インフラストラクチャを包括的に可視化することができます。そして、平均検出時間(MTTD)と平均解決時間(MTTR)に関する問題を減らし、システムのダウンタイムを短縮します。
- ゲーム会社で例えるなら、Amazon ESを使用してサーバーログを監視および分析し、アプリケーションのダウンタイムにつながるサーバーパフォーマンス問題を特定できます。
押さえておきたいポイント
| 項目 | AWS | Microsoft Azure | Google Cloud |
|---|---|---|---|
| 世界シェア | 約33%(首位) | 約22% | 約11% |
| 強み | サービス数・実績 | Microsoft製品連携 | データ分析・AI |
| 無料枠 | 12ヶ月+常時無料 | 12ヶ月無料 | 常時無料枠あり |
| 主な資格 | CLF / SAA / SAP | AZ-900 / AZ-104 | ACE / PCA |
- 現在の正式名称は「Amazon OpenSearch Service」で、管理コンソールやAWS公式ドキュメントもこの名称で案内されている。Kibana相当のツールは「OpenSearch Dashboards」と呼ばれる。
- マルチAZ配置・暗号化・IAMアクセスコントロールなど、可用性とセキュリティを両立するマネージド型サービスとしての基本的な特徴は、名称変更後も引き続き提供されている。
- 料金体系はオンデマンド/リザーブドの選択やインスタンスタイプによって変動するため、導入検討時は必ずAWS公式サイトで最新の料金・仕様を確認する。
よくある質問
Q. Amazon Elasticsearch ServiceとAmazon OpenSearch Serviceは何が違いますか?
基本的には同じサービスの名称変更です。2021年9月にElastic社のライセンス変更を受けて、AWSがApacheライセンス2.0を維持するOpenSearchプロジェクトへ移行し、サービス名も「Amazon OpenSearch Service」に改められました。既存の利用者向けには互換性が保たれる形で移行が案内されています。
Q. Elasticsearch単体をEC2上に自前で構築する場合とAmazon ES(OpenSearch Service)を使う場合、何が違いますか?
自前構築ではOSやミドルウェアのパッチ適用、クラスター障害対応、バックアップ運用などを自社で担う必要があります。Amazon ES(OpenSearch Service)はこれらの管理タスクをAWSが肩代わりするマネージド型サービスのため、運用負荷を抑えつつスケールできる点が大きな違いです。
Q. どのような用途に向いていますか?
アプリケーション/インフラのログ監視、セキュリティ情報とイベント管理(SIEM)、サイト内検索、大規模ログ分析基盤の構築など、大量データからの高速な検索・可視化が求められる用途に広く利用されています。
■まとめ
Elasticsearchは奥が深く、規模を大きくする場合は調整も色々必要になりますが、高速でスケーラブル、しかも多様なコンテンツをインデックスすることができ、幅広い場面で便利なツールです。Amazon ES(現Amazon OpenSearch Service)や全文検索システムに触れたことがない方、または興味はあるけどサーバ構築に手間がかかると思っている方、Amazon OpenSearch Serviceではすぐに試せるのでこの機会に挑戦してみるのはいかがでしょうか。
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