【AWS】EC2のGPUインスタンスについて解説します。

最終更新日:2026年8月10日

この記事でわかること

話題のディープラーニングの学習には、高性能なGPUが欠かせません。ところが、ディープラーニングに適した高性能GPUを搭載しているサーバーは非常に高価で、気軽に導入できるものではありません。しかし、AWSのようなクラウドコンピューティング環境を用いることで、初期投資なしでGPUを使ったディープラーニングを始めることができます。
GPUを搭載したAWSのEC2インスタンスには、PインスタンスファミリーとGインスタンスファミリーが存在します。ここでは、それぞれの特徴や仕様について解説します。

【要注意】
本記事はG4・G3・P3・P2インスタンスを中心に解説していますが、これらは現在では旧世代の位置づけです。AWSはその後もG5・G6、P4・P5といった新世代インスタンスや、機械学習専用チップのTrainium・Inferentiaを搭載したインスタンスを次々とリリースしています。新規に構築する場合は、後述の「その後登場した新世代インスタンス」の項目や、AWS公式サイトの最新インスタンスタイプ一覧もあわせてご確認ください。

■AWSのGPUインスタンス

AWSのEC2では、GPU(高速コンピューティング)インスタンスとして主にPインスタンスGインスタンスが用意されており、ハードウエアアクセラレーター(コプロセッサ)を使用して、浮動小数点計算、グラフィックス処理、データパターン照合などの機能を、CPUで実行中のソフトウェアよりも効率的に実行します。

【Gインスタンスファミリー(G4、G3)】

Graphic用途のNVIDIAのアーキテクチャであるTuringを採用したGPUを搭載しています。G4インスタンスは2019年9月より利用が可能になったインスタンスで、登場当時から最新アーキテクチャでありながらコストの安さが際立っていました。

【Pインスタンスファミリー(P3、P2)】

NVIDIA K80 GPU(P2) / NVIDIA Tesla V100 GPU(P3)を搭載しています。本来グラフィック計算用途として使用されていましたが、数値計算に強いという性質から、機械学習・深層学習をはじめとする各種の並列計算処理を高速に行うことに長けており、グラフィック以外の目的でも広く利用されています。

■G4

G4インスタンスは、機械学習推論やグラフィックを大量に使用するワークロードを迅速化するために設計されたGPU対応インスタンスです。

特徴
・AWSカスタムIntel CPU(4~96個のvCPU)
・1~8個のNVIDIA T4 Tensor Core GPU
・最大384GiBのメモリ
・最大1.8TBの高速でローカルなNVMeストレージ
・最大100Gbpsのネットワーク

用途例:画像へのメタデータ追加、オブジェクト検出、レコメンドシステム、自動音声認識、言語翻訳といったアプリケーションの機械学習推論などに向いています。また、G4インスタンスを使用すると、リモートグラフィックワークステーション、動画トランスコーディング、フォトリアリスティックの作成、クラウド上のゲームストリーミングなど、グラフィックを大量に使用するアプリケーションの構築および運用を行うための非常にコスト効率が良いプラットフォームを実現できます。

■G3

G3インスタンスは、グラフィック集約型アプリケーション用に最適化されています。Citrix XenApp EssentialsおよびVMWare Horizonなどのアプリケーション仮想化ソフトウェアのために、NVIDIA Virtual Application機能を有効化し、GPUごとに最大25人の同時ユーザーをサポートできます。

特徴
・AWSカスタムIntel CPU(4~64個のvCPU)
・それぞれに2048個の並列処理コアと、8GiBのビデオメモリが搭載されたNVIDIA Tesla M60 GPU
・最大解像度4096×2160のモニター4台のサポートを含む、NVIDIA GRID Virtual Workstation機能を有効化
・プレイスメントグループ内における、25Gbpsの集約ネットワーク帯域幅(Elastic Network Adapter・ENA)を使用した拡張ネットワーク

用途例:3Dビジュアライゼーション、グラフィック負荷の高いリモートワークステーション、3Dレンダリング、アプリケーションストリーミング、動画エンコーディングおよびその他のサーバー側グラフィックワークロードに向いています。

■P3

P3インスタンスは、2017年に登場した汎用GPUインスタンスです。中でも、p3dn.24xlargeインスタンスにおいては、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)アプリケーションが多数のGPUに対応できる仕様になっています。

特徴
・高クロックのIntel Xeon E5-2686 v4(Broadwell)プロセッサ※p3.2xlarge、p3.8xlarge、p3.16xlarge向け
・高クロックの2.5GHz(ベース)Intel Xeon P-8175Mプロセッサ※p3dn.24xlarge向け
・5120のCUDAコアと640のTensorコアがペアとなったNVIDIA Tesla V100 GPUを最大8つ提供
・ピアツーピアのGPUに通信を行うNVLinkをサポート
・最大100Gbpsの集約ネットワーク帯域幅を提供
・p3dn.24xlargeインスタンスでのEFAサポート

用途例:機械学習や深層学習、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、計算流体力学、金融工学、耐震解析、音声認識、自律走行車、創薬など幅広く対応できます。

■P2

P2インスタンスは、汎用GPUコンピューティングアプリケーション用に設計されています。

特徴
・高クロックのIntel Xeon E5-2686 v4(Broadwell)プロセッサ
・それぞれに2496個の並列処理コアと12GiBのGPUメモリが搭載された、高性能のNVIDIA K80 GPU
・ピアツーピアのGPU通信のためのGPUDirect™をサポート
・プレイスメントグループ内において、最大25Gbpsの集約ネットワーク帯域幅(Elastic Network Adapter・ENA)を使用する拡張ネットワーキングを提供
・デフォルトでEBS最適化、追加料金なし

用途例:機械学習、ハイパフォーマンスデータベース、計算流体力学、金融工学、耐震解析、分子モデリング、ゲノミクス、レンダリング、サーバー側のその他のGPUコンピューティングワークロードに向いています。

~参考~

NVIDIA T4 GPU
NVIDIA T4 GPUは、320個のTuring Tensor Core、2560個のCUDA Coreと16GBのメモリを搭載しています。Machine Learning推論およびビデオ処理のサポートに加えて、T4はリアルタイムレイトレーシング用のRT Coreを含み、NVIDIA M60を上回るグラフィックス性能を提供できます。
EFA(Elastic Fabric Adapter)サポート
ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)と機械学習アプリケーションを高速化するために、Amazon EC2インスタンスにアタッチできるネットワークデバイスです。EFAでは、AWSクラウドが提供するスケーラビリティ、柔軟性、伸縮性により、オンプレミスのHPCクラスターのアプリケーションパフォーマンスを実現できます。
ENA(Elastic Network Adapter)
EC2インスタンスで高スループット、高いパケット毎秒(PPS)、安定した低レイテンシーを実現できるよう最適化されたカスタムネットワークインターフェースです。ENAを使用すると、特定のEC2インスタンスタイプで最大20Gbpsのネットワーク帯域幅を利用できます。

■その後登場した新世代インスタンス

本記事で解説しているG4・G3・P3・P2は、いずれも数年前に登場した世代のインスタンスです。AWSはGPU・機械学習向けインスタンスの世代交代が非常に速く、その後も以下のような新しいインスタンスタイプが順次リリースされています。導入を検討する際は、必ず最新のラインアップも比較したうえで選定することをおすすめします。

G系(グラフィックス・推論向け)の後継
・G4dn:G4のNVMe強化版として広く利用
・G5:NVIDIA A10G GPU搭載。グラフィックスと機械学習推論の両方に対応
・G6 / G6e:NVIDIA L4 / L40S GPU搭載の新世代。生成AI推論用途にも対応
P系(大規模学習・HPC向け)の後継
・P4d / P4de:NVIDIA A100 GPU搭載。大規模な深層学習トレーニング向け
・P5 / P5e / P5en:NVIDIA H100 / H200 GPU搭載。生成AI・大規模言語モデルの学習向けに設計
AWS独自チップを搭載したインスタンス
・Trn1 / Trn2:機械学習の学習(トレーニング)に特化したAWS独自チップ「Trainium」搭載
・Inf1 / Inf2:機械学習の推論に特化したAWS独自チップ「Inferentia」搭載

なお、GPUの数値計算能力を活かした暗号資産マイニング目的での利用が語られることもありましたが、主要な暗号資産のマイニング方式の変化により、現在はGPUインスタンスの用途としては機械学習・グラフィックス処理・HPCが中心となっています。

■料金

それぞれの料金体系は以下のようになっています。

【要注意】
以下の料金表は本記事作成時点のスクリーンショットであり、現在の料金とは異なる場合があります。AWSの料金は改定されることがあるため、最新料金は必ずAWS公式サイトでご確認ください。

・G4

G4インスタンス料金表

・G3

G3インスタンス料金表

・P3

P3インスタンス料金表

・P2

P2インスタンス料金表

押さえておきたいポイント

項目 AWS Microsoft Azure Google Cloud
世界シェア 約33%(首位) 約22% 約11%
強み サービス数・実績 Microsoft製品連携 データ分析・AI
無料枠 12ヶ月+常時無料 12ヶ月無料 常時無料枠あり
主な資格 CLF / SAA / SAP AZ-900 / AZ-104 ACE / PCA
  • 用途で選ぶ:グラフィックス処理・機械学習推論が中心ならG系、大規模な学習やHPC用途ならP系、さらに大規模な生成AIの学習・推論であればTrainium/Inferentia搭載インスタンスも比較検討する。
  • GPUインスタンスは世代交代が速い分野のため、選定時は本記事の世代だけでなく必ず最新のインスタンスタイプ一覧・仕様をAWS公式サイトで確認する。
  • 料金は変動するうえ、リージョンや購入形態(オンデマンド・リザーブド・スポットなど)によっても大きく異なるため、コスト最適化の観点でスポットインスタンスの活用なども検討する。

よくある質問

GインスタンスとPインスタンスの違いは何ですか?

Gインスタンスはグラフィックス処理や機械学習の推論用途に強みがあり、コスト効率の良さが特徴です。一方Pインスタンスは大規模な機械学習の学習(トレーニング)やHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)向けに設計されており、より高い計算性能を必要とする用途に向いています。

G4・G3・P3・P2は現在も利用できますか?

はい、いずれも引き続き利用可能です。ただし後継となるG5・G6やP4・P5などの新世代インスタンスも登場しているため、新規に構築する場合は性能・コストの両面で最新世代とあわせて比較検討することをおすすめします。

AWSのGPUインスタンスの料金はどこで確認できますか?

AWS公式サイトのEC2料金ページで、インスタンスタイプ・リージョンごとの最新料金を確認できます。料金は改定されることがあるため、本記事内の料金表はあくまで参考情報としてご利用ください。

■あとがき

自身でGPU環境を構築し利用しようとすると、学習を始めるまでに必要な環境構築があまりにも大変だったり、手順が多いなどでうんざりしてしまうことが多いと思います。しかし、ディープラーニングなどに必要な環境がプリインストールされたAWSのマシンイメージを利用することにより、簡単にGPUを使った学習を行うことができます。クラウドで手軽にテストしてみたい場合などは、簡単に環境を用意することができるため、この機会にGPUの環境を利用してみるのはいかがでしょうか。

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