【AWS】ELBについて特徴を解説します

最終更新日:2026年8月5日

はじめに

本記事をご覧のあなたはロードバランサーという言葉にどのようなイメージをお持ちでしょうか。「アクセス数の多いWebサービスに用いられる」と考える方もいるかもしれません。ところが、Amazon Web Service(以後、AWS)でWebサービスを運用するとき、AWS ELBという機能を用いることで少ないコストで高性能のロードバランサーの実装ができます。AWSを用いて多岐にわたる目的で安定したWebサービスを運用したい場合、ぜひELBを導入してみてください。

本記事ではこのAWS ELBの概要をご紹介いたします。読み終わるころにはELBの仕組みや特徴を身に着けることができるでしょう。

AWS ELBとは

ELB(Elastic Load Balancing)は、AWS上で動作するロードバランサーサービスです。Webサーバーならびにアプリケーションサーバーが複数存在する場合に通信の負荷が統一されるように、トラフィックを分けてくれる機能を持っています。

ELBはアベイラビリティゾーン(データセンターをまとめたもの)に散らばって設置されるため、アベイラビリティゾーンが異なって設置されているEC2のトラフィックも分散させることが可能です。

ELBはロードバランサーのこと

AWSでロードバランサーを用いるときにCLB、NLB、ALB、GWLBなどのキーワードをよく目にします。その理由については下記で紹介するAWSにおけるロードバランサーの過去を読み解くことで理解できるでしょう。

元をたどるとAWSのロードバランシングサービスはELBでした。しかし、追加のオプションとしてALB(Application Load Balancer)の開発が行われ、既存のELBはCLB(Classic Load Balancer)と呼ばれるようになりました。その後、このALBとCLBを総称してELBとして利用されるようになり、NLB(Network Load Balancer)、さらにGWLB(Gateway Load Balancer)も加わり、現在は4種類のロードバランサーでサービスが構成されています。

つまりELBは、ALB、NLB、GWLB、CLBの4種類のロードバランサー機能を持ち合わせたAWSのロードバランシングサービスの総称なのです。

ALB(Application Load Balancer)

AWS ELBの中で、新しく高性能なロードバランサーのことです。HTTPトラフィックとHTTPSトラフィックの負荷を分散し、アプリケーションを自由に管理するのに向いています。コンテナやマイクロサービスにも対応しています。

  • ・L7リバースプロキシ
  • ・HTTP、HTTPSに対応

NLB(Network Load Balancer)

毎秒数百万のリクエスト処理を行うことができるため、より高度なパフォーマンスを要する際に向いており、急に発生したトラフィックにも対応しています。トランスポートレイヤー、TCP / UDP / TLSに対するトラフィック負荷の分散にも適しています。

  • ・L4 NATロードバランサ
  • ・TCPに対応

Gateway Load Balancer(GWLB)

ファイアウォールや侵入検知・防止システム(IDS/IPS)、ディープパケットインスペクションといった「仮想アプライアンス」の展開・スケーリング・管理を目的としたロードバランサーです。ALB・NLBとは異なり、OSI参照モデルの第3層(ネットワーク層)で動作し、すべてのポートのIPパケットを監視して、あらかじめ登録したターゲットグループ(仮想アプライアンス)へトラフィックを転送します。

透過的なネットワークゲートウェイ(トラフィックの単一の出入口)としての役割と、ロードバランサーとしての負荷分散の役割を兼ね備えている点が最大の特徴です。ロードバランサーと登録済みの仮想アプライアンスの間は、GENEVEプロトコル(UDPポート6081)でアプリケーショントラフィックをやり取りします。また、VPC間で安全にトラフィックをやり取りするための「Gateway Load Balancerエンドポイント」を使うことで、サービス提供者側VPCとサービス利用者側VPCをまたいだ通信を実現します。

  • ・L3(ネットワーク層)で動作するトランスペアレントゲートウェイ
  • ・全ポートのIPパケットを監視
  • ・ファイアウォール等の仮想アプライアンスの負荷分散・スケーリングに特化

ALB・NLBがWebアプリケーションやAPIへのトラフィックを分散させるのに対し、GWLBはセキュリティ製品(仮想アプライアンス)そのものをスケールさせるための専用ロードバランサーという位置づけです。用途がまったく異なるため、「Webサービスの負荷分散をどれにするか」で迷った場合はALBかNLBを検討し、GWLBは自社でファイアウォール等のセキュリティアプライアンスをAWS上に構築・スケールしたい場合の選択肢と考えるとよいでしょう。

CLB(Classic Load Balancer)

⚠️ 現在の位置づけについて:CLBはELBの前世代のロードバランサーです。AWS公式ドキュメントでも、現行世代のロードバランサー(ALB・NLB・GWLB)への移行が推奨されています。互換性などの理由で既にCLBを利用している場合を除き、新規構築時にCLBを選ぶ必要は基本的にありません。

複数のAmazon EC2インスタンスにおいて負荷分散を実行する、ELBの前世代にあたるロードバランサーです。EC2 Classicネットワーク内で構築されたアプリケーションがすでにある場合は、CLBの使用が必須となっています。アプリケーションレイヤーとトランスポートレイヤーのどちらでも動いています。

  • ・L4/L7リバースプロキシ
  • ・TCP、SSL、HTTP、HTTPSに対応

※互換性などの理由がなければ、現在はALBまたはNLBの利用が推奨されています。GWLBはセキュリティアプライアンス用途に特化した別の選択肢です。

ALB・NLB・CLBの3種類の特徴と違い

1、通信経路
・ALB、CLBはリバースプロキシなので行きも帰りもロードバランサーを経由
・NLBは宛先IPをクライアントIPに変えるので帰りにロードバランサーを通らない

 

2、アクセス制限
・ALB、CLBはポートでのアクセス制限が可能
・NLBはシンプルではあるがアクセス制限が不可

 

3、IPアドレス
・ALB、CLBはIPアドレスが可変のため、DNSの利用が必要
・NLBは固定IPのため、DNSとIPを利用できる

 

4、アクセスログ
・NLBのみアクセスログの出力が非対応(設定が必要)

4種類の比較一覧表

GWLBはWebトラフィックの振り分けではなく仮想アプライアンスの負荷分散に特化しているため、他の3種類とは比較の軸が異なります。用途で選ぶ際の目安として一覧にまとめました。

種類 レイヤー 主な用途 現在の位置づけ
ALB L7(アプリケーション層) Webアプリケーション、コンテナ、マイクロサービス 現行世代・推奨
NLB L4(トランスポート層) 大量リクエスト・低レイテンシが求められるTCP/UDP通信 現行世代・推奨
GWLB L3(ネットワーク層) ファイアウォール等の仮想アプライアンスの負荷分散 現行世代・特定用途向け
CLB L4/L7 EC2 Classicネットワーク内の既存アプリケーション 前世代・移行推奨

AWS ELBの特徴

【負荷分散】

トラフィックをいくつものターゲットに分散させることで、ひとつあたりの負担を減らすことができ、システムとして可用性や耐障害性、信頼性が高まります。また、ハイブリッド負荷分散も行えて、オンプレミスサーバー上でAWSリソースの負荷分散を実施します。

【自動スケーラブル】

ELBはトラフィックが増えると自動的にスケーリングを行い、情報量の突然の増加にも耐えることのできる仕組みになっています。

情報量に合わせて、手動でELBの追加設定は不要です。キャンペーンやイベントにて突然のトラフィックが増える可能性があるときなどはAWS Auto Scalingと併用し、情報量に合わせたサーバーの増減もできます。

【低コスト】

ELBは一般的な負荷分散装置と比較して、非常に安価な利用ができます。稼働時間や処理したトラフィック量に応じた従量課金制になっているため、リーズナブルに利用できます。また、初回のコストや最低料金はかからず、ハードウェアにおけるロードバランサーといった維持管理にかかるコストや人手も必要としません。

【ヘルスチェック】

ELBは接続中のEC2の状態を検出でき、EC2に異常が発生した際は該当するEC2にトラフィックを送ることなく別のインスタンスに振り分けるような動作をします。

【独自ドメインで利用可能】

ELBのドメイン名をDNSに設定すると、独自ドメインで利用可能になります。
ただし、固定IPアドレスを使う際はAWSのDNSサービスであるAmazon Route53が必要になります。

【アプリケーションを運用・管理するのに手間がかからない】

ELBの機能はAWSマネジメントコンソール画面から一括して管理・運用が可能です。

【セキュリティを強化できる】

ELBにSSLの設定をすることで、SSL証明書の設定にて集中管理を行い、セキュリティの強化ができます。SSL証明書は無料で利用可能です。また、DDoS攻撃に対応するAWS Shield Standardもあります。

【監視、モニタリング】

ELBは常にアプリケーションのモニタリングを行っています。そのリアルタイム性によってパフォーマンスを詳細に把握することができ、問題発生時に素早く見つけて対応が可能です。さらに、正常に稼働するターゲットに絞ってトラフィックの分散をすることが可能です。

AWS ELBの料金形態

ELBの料金は従量課金で、利用しただけの料金を支払う仕組みとなっています。一方でこちらは無料枠では使用できません。利用料は使用するロードバランサーの種類とリージョンによって変わるため、お使いの環境に適した選択が必須です。最新の料金は必ずAWS公式サイトの料金ページで確認してください。

※料金が発生するものは次の2項目
・ロードバランサーを活用した時間(1時間単位)
・転送データ量(GB単位)

サーバーが1台のみでもELB利用でメリット

サーバーが1台のみであってもAWS ELBを使用可能です。AWS ELBの利用には様々なメリットが存在します。

 インスタンスの差し替えが簡単 
メンテナンスや障害対応を実施する際にインスタンスの操作が簡単になります。あらかじめAMIを使って他にインスタンスを用います。続いてロードバランサーで切り替えを設定し、ユーザーに影響を出さずにメンテナンスを実施できます。

 

 サーバーのヘルスチェック 
ELBは常時サーバーのモニタリングを実施しているため、問題発生時には素早く見つけることができ、対応にかかる時間の削減に繋がります。

 

 無料でSSL証明書の使用もできる 
ELBを導入により、SSL証明書を無料で使用可能です。また、Webサイトのセキュリティ面を強めることもできます。

よくある質問(FAQ)

Q. ELBとALB・NLB・GWLB・CLBの違いは何ですか?

ELBはAWSのロードバランシングサービス全体の総称です。その中に含まれる具体的なロードバランサーの種類がALB(アプリケーション層)、NLB(トランスポート層)、GWLB(ネットワーク層・仮想アプライアンス用)、CLB(前世代)の4つになります。「ELBを使う」というときは、実際にはこの4種類のいずれかを選んで利用することになります。

Q. どのロードバランサーを選べばよいですか?

一般的なWebアプリケーションやAPIのトラフィック分散にはALBが向いています。大量のリクエストや低レイテンシが求められるTCP/UDP通信、固定IPが必要な場合はNLBを検討してください。ファイアウォールなどのセキュリティ製品(仮想アプライアンス)をAWS上でスケールさせたい場合はGWLBが専用の選択肢になります。CLBは前世代のロードバランサーのため、互換性の都合がない限り新規に選ぶ必要はありません。

Q. Gateway Load Balancer(GWLB)はいつから使えるサービスですか?

GWLBはALB・NLB・CLBと比べて後から追加されたサービスで、ファイアウォールや侵入検知・防止システムなどの仮想アプライアンスをAWS上で運用する需要の高まりを受けて提供が始まりました。他の3種類のロードバランサーとは目的が異なり、Webサービス向けというよりはセキュリティ・ネットワーク機器向けのロードバランサーです。

Q. CLB(Classic Load Balancer)はもう使えなくなるのですか?

既存のCLBがすぐに使えなくなるわけではありませんが、AWS公式ドキュメントでは現行世代のロードバランサー(ALB・NLB・GWLB)への移行が推奨されています。新規にロードバランサーを構築する場合は、特別な互換性上の理由がない限りCLBを選ぶ必要はありません。

Q. サーバーが1台しかなくてもELBを導入するメリットはありますか?

あります。ELBを経由させることで、メンテナンス時のインスタンス差し替えが容易になるほか、常時ヘルスチェックによる異常検知、無料のSSL証明書の利用といったメリットを1台構成でも受けられます。将来的にサーバーを増やす際もスムーズに拡張できます。

まとめ

この記事のポイント:

  • ELB(Elastic Load Balancing)はAWSのロードバランシングサービスの総称で、ALB・NLB・GWLB・CLBの4種類で構成される
  • ALBはアプリケーション層(L7)向け、NLBはトランスポート層(L4)向け、GWLBはネットワーク層(L3)でファイアウォール等の仮想アプライアンス向け
  • CLBは前世代のロードバランサーであり、互換性上の理由がなければALB・NLBへの移行が推奨されている
  • 負荷分散・自動スケーリング・低コスト・ヘルスチェック・SSL無料対応など、ELBには多くのメリットがある
  • サーバーが1台のみの構成でもELBを導入するメリットは大きい

いかがでしたでしょうか?AWSにおいて、ELBは有効活用したいサービスのひとつです。事業に取り入れるために、まずはELBの概要を理解してキーワードにおける特徴や違いを把握しながらどれを使用していくか見極めましょう。ALB、NLB、GWLB、CLBを総称したAWS ELBには、ユニークで便利な機能が多く存在します。本記事が最後まで読まれたあなたの判断材料の手助けとなっていたら幸いです。

AWSにはほかにも様々な機能が数多くあるので幅広い知識を掛け合わせて実際の運用を目指していくことになるでしょう。ぜひ引き続き学習を継続し、本記事でご紹介したELBも取り入れてみてください。

本記事を最後までご閲覧いただきありがとうございました。

▼ アクロビジョンについて

👔

一緒に働きましょう

一人ひとりのキャリアに向き合い、
活躍できる現場をご紹介します。

採用サイトを見る →
💻

システム開発のご依頼・ご相談

コンサルティングから運用保守まで、
ワンストップで対応します。

まずはお気軽にご相談ください →