AWS Ground Stationの利点とは?〜人工衛星の課題から考える〜
最終更新日:2026年8月12日
この記事でわかること
AWS Ground Stationとは?
| 項目 | AWS | Microsoft Azure | Google Cloud |
|---|---|---|---|
| 世界シェア | 約33%(首位) | 約22% | 約11% |
| 強み | サービス数・実績 | Microsoft製品連携 | データ分析・AI |
| 無料枠 | 12ヶ月+常時無料 | 12ヶ月無料 | 常時無料枠あり |
| 主な資格 | CLF / SAA / SAP | AZ-900 / AZ-104 | ACE / PCA |
AWS Ground Stationは2018年11月にアメリカのラスベガスで発表された、AWSのサービスの一つです。このサービスは、世界各地に設置された衛星通信アンテナによって、衛星経由のデータ通信を、AWSの通信ネットワークとデータ処理能力と共に利用する事が出来ます。そのため、衛星を介したデータの送受信が気軽にかつ容易に利用する事が可能です。
AWS Ground Stationのユースケース
◆自然災害
自然災害が発生した場合、ダウンリンクされた映像を分析し、生存者の割り出しや、構造映像の査定、及びデータに迅速に応答した人や救助隊にストリーミングする事が可能です。また、このデータを適用して安全な避難経路や、一時的避難場所を割り出す事が出来ます。
◆正確な天気予報
AWSクラウドを使用する事で、世界中からダウンリンクされたデータを分析し、正確に天気パターンを予測できます。予測することによって、船舶や飛行機などその地区の荒れ模様の天気に対する認識を高める事ができ、危機的な状況を避けるのに役に立ちます。
AWS Ground Stationの料金
AWS Ground Stationでは、ユーザは基地局を利用した時間分だけを支払いする事で、衛星と通信する事が出来ます。アンテナシステムのアクセス1分単位で課金される「オンデマンド」に加え、月単位の利用量をあらかじめ予約することで割引が適用される「Reserved(予約)」プランも用意されています。サービス開始当初は米国東部(オハイオ)・米国西部(オレゴン)・中東(バーレーン)・欧州(ストックホルム)・アジアパシフィック(シドニー)・欧州(アイルランド)の6拠点でしたが、現在はハワイ・南アフリカ(ケープタウン)・シンガポールなどにも拡大しています。
【要注意】提供拠点数と料金体系は拡大・更新が続いています
AWS Ground Stationの提供拠点は2018年のサービス発表時から順次拡大されており、対応リージョンも増加を続けています。また課金プランもオンデマンドに加えReserved(予約)プランが追加されるなど、内容は変化しています。最新の対応拠点一覧・料金は必ずAWS公式サイトでご確認ください。
人工衛星の課題から考える、AWS Ground Stationの利点とは?
ここまででもAWS Ground Stationはとても画期的なサービスであると分かりました。では具体的に、AWS Ground Stationは人工衛星と比べて、どのような利点があるのか?という事を人工衛星の課題に触れながらご紹介していきます。
人工衛星の課題とは
現在、地球の周りには何千という人工衛星が飛んでいます。近年は技術の革新によって人工衛星の小型化や低コストが進んでいます。そのことによって、人工衛星が打ち上げられやすくなり、多くの組織が参画し人工衛星の用途も多様化しています。例えば、位置情報の取得やテレビ配信、通信ネットワークの構築など、大量のデータを人工衛星を利用して取得するようになりました。しかしここで課題なのが、取得したデータを地球に送信する時のコストがかかるということです。大規模なプロジェクトだと、多額の費用が嵩んでしまったり、人工衛星のデータを取得する為に自前の地上局を構築・運用したりするなど、多大なるコストがかかってしまいます。
AWS Ground Stationの利点とは
人工衛星の課題に対して、AWS Ground Stationは「初期費用を抑えつつ積極的に新しい技術を試す事が出来る」のが、最大の利点になっており、これはクラウドサービスと同じ原理で適用されています。つまり、人工衛星データ受信の地上局をAmazonが保有します。ユーザはデータを受信する際、Amazonの地上局を利用した分だけ支払う事で、初期費用を抑える事が出来るといったサービスです。データ受信コストが下がる事で、衛星ビジネスに参画する企業が増え、人工衛星や宇宙開発の速度を上げることが出来ます。また、AWS Ground Stationで取得したデータはVPCやAWS Cloudで利用する事が可能であるなど、AWSのあらゆるサービスと連携する事が出来ます。これらの事から、AWS Ground Stationの利点をまとめると以下の通りになります。
・人工衛星のデータ受信コストを抑える事が出来る
・受信したデータを、AWSにある色々なサービスと連携する事が出来る
AmazonがAWS Ground Stationを提供する意味とは?
AWS Ground Stationの利点はわかったけど、Amazon側から見てメリットはあるのかといった疑問を持つかもしれません。しかし、AWS Ground Stationはクラウド上で展開されるサービスという所に、大きな意味があります。AWS Ground Stationで受信したデータは、必然的にインターネット経由でAmazonのクラウド上に蓄積されていきます。先程利点の部分でも取り上げたように、「AWS Ground Stationで受信したデータを、AWSのサービスと連携すること」が出来ます。つまり、データ処理や解析もAmazonのクラウド上で行われる事が非常に高くなります。このことから、ユーザが衛星を打ち上げる頻度が高くなるほど、AWS Ground Stationの利用料はもちろんのこと、Amazonのクラウドサービス利用料も増えるといった仕組みになっています。
AWS Ground Stationを開始するには?
AWS Ground Stationの魅力がわかったところで、ではどうやったら利用する事が出来るのかを紹介します。次の5ステップで利用申請をする事が出来ます。
1.AWSのコンソールにログインします。
2.コンソール画面から、AWS Ground Stationを選択します。
3.基地局を選択します。
4.利用者情報を入力し、利用リクエストを送信します。
5.利用リクエストを受理後、AWSから利用案内が届きます。
押さえておきたいポイント
- AWS Ground Stationは自前の地上局を構築・運用する必要をなくし、利用した分だけ支払う従量課金で衛星データの受信・処理コストを抑えられるサービスである
- 対応拠点はサービス開始時の6拠点から現在はハワイ・南アフリカ(ケープタウン)・シンガポールなどにも拡大しており、今後もリージョンの追加が続く見込みである
- 受信したデータはS3やEC2など既存のAWSサービスとそのまま連携できるため、データ処理・解析までを一気通貫でクラウド上に構築できる
よくある質問
Q. AWS Ground Stationはどんな企業・組織が利用していますか?
衛星データを扱う気象・防災関連の組織や、地球観測・リモートセンシング事業を行う企業など、自前で地上局を持つことが難しい組織に多く利用されています。自然災害時の被害状況把握や天気予報の精度向上といった用途のほか、衛星を用いた新規事業の検証にも活用されています。
Q. 自前の地上局とAWS Ground Stationはどちらが良いですか?
打ち上げる衛星の数や運用頻度によって最適な選択は異なります。地上局を自前で構築・運用すると初期投資と維持コストが大きくかかる一方、AWS Ground Stationは利用した分だけの従量課金のため、小規模から始めたい場合や新しい技術を試したい段階では初期費用を抑えやすい選択肢になります。
Q. AWS Ground Stationの最新の料金や対応拠点はどこで確認できますか?
料金体系・対応拠点はサービス開始以降も更新が続いているため、必ずAWS公式サイトの最新情報でご確認ください。
まとめ
この記事のポイント:
- AWS Ground Stationは自前の地上局を持たずに衛星データの送受信ができるAWSのサービスである
- 初期費用を抑えつつ人工衛星データを活用できる点が最大の利点である
- 受信データをAWSの各種サービスと連携し、データ処理・解析まで一気通貫で行える
- 対応拠点・料金体系は拡大・更新が続いているため、利用前に最新情報の確認が必要である
AWS Ground Stationについていかがでしたでしょうか。AWS Ground Stationを利用する事で、組織にとって、コストが高かった地上局の初期構築費用を抑える事ができ、新たな宇宙開発や挑戦をする事が可能となりました。対応拠点は今も拡大が続いており、今後も期待できそうなサービスになっています。是非この記事を読んで、AWS Ground Stationについて興味を持っていただけたら幸いです。
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