クラウドの使い分け〜ハイブリッドクラウド〜
最終更新日:2026年8月10日
この記事でわかること
ハイブリッドクラウドとは?
| 項目 | AWS | Microsoft Azure | Google Cloud |
|---|---|---|---|
| 世界シェア | 約33%(首位) | 約22% | 約11% |
| 強み | サービス数・実績 | Microsoft製品連携 | データ分析・AI |
| 無料枠 | 12ヶ月+常時無料 | 12ヶ月無料 | 常時無料枠あり |
| 主な資格 | CLF / SAA / SAP | AZ-900 / AZ-104 | ACE / PCA |
ハイブリッドクラウドとは、オンプレミスの自社システム、プライベートクラウド、パブリッククラウドを上手く組み合わせて利用する方法です。組み合わせ方は自由で自社の運用方法に合った用途で使い分けることが出来ます。なお、複数のパブリッククラウド(AWS・Azure・GCPなど)を組み合わせて利用する「マルチクラウド」とは似て非なる概念であり、ハイブリッドクラウドは「オンプレミス/プライベート環境」と「パブリッククラウド」を組み合わせる点が特徴です。
特徴/メリット
・コストを抑えることが出来る
これはパブリッククラウドを取り入れることで生まれるメリットです。オンプレミスや自社で用意したプライベートクラウドはコストが高くなってしまいますが、パブリッククラウドは既に用意されたクラウド環境を利用するため低コストで導入することが出来ます。
・ピーク時のリソースの不足を追加することが出来る
こちらもパブリッククラウドを取り入れることで生まれるメリットです。プライベートクラウドは上限リソースが決まっている定額制のため、リソースの増減を調整することが出来ません。しかし、パブリッククラウドは、リソースが必要なときに必要な分だけ追加して利用することが可能です。
・高セキュリティでデータを保管することが出来る
これはオンプレミス型プライベートクラウドを取り入れることで生まれるメリットです。パブリッククラウドは複数のユーザーが同じクラウド環境を共有するためセキュリティ面では安全とは言い切ることが出来ません。しかしオンプレミス型プライベートクラウドはパブリッククラウドのクラウド環境や回線とは切り離されたクローズドクラウドのため高セキュリティ環境を構築することが可能です。そのため機密性の高いデータを保管することに向いています。ですので、機密データや個人情報を扱う部分はオンプレミス型プライベートクラウドで運用し、その他の部分はパブリッククラウドで運用するなどと使い分けることが出来ます。
・負荷分散が出来る
前項目にてセキュリティ面でシステムやデータを分けて、運用するクラウドを変えることが出来ると説明しましたが、データを分散させて保存することによりクラウドの負荷を分散することが出来ます。また、分散することにより予期せぬトラブルやマルウェアの攻撃を受けても素早く復旧することが可能となります。
このように仮想マシンをプライベートクラウドとパブリッククラウドを行き来させて両者のメリットをいいとこ取りすることを可能としたクラウドがハイブリッドクラウドなのです。なお、AWSでは「AWS Outposts」「AWS Storage Gateway」「AWS Direct Connect」といったサービスを使うことで、オンプレミス環境とAWSクラウドを組み合わせたハイブリッド構成を構築することが可能です。
デメリット
メリットがたくさんあるハイブリッドクラウドですが、デメリットも存在します。
パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスなどと組み合わせてメリットのいいとこ取りをしたものがハイブリッドクラウドですがその利点の反面、複数のクラウドサービスを組み合わせることによってシステム構成が複雑化し単一環境より管理をする手間がかかることになります。システムが複雑化することにより管理項目も多くなるため状況を把握することが難しくなってしまいます。つまり、システム構成が複雑になると同時に運用も難しくなります。
ハイブリッドクラウドのメリットの一つとしてコストのコントロールが出来る点がありますが、コストの試算を正しく行わなければ、結果的にコストをあまり抑えることが出来なかったという事態に陥る可能性もあるのです。パブリッククラウドのコストを下げようとした結果、プライベートクラウドのコストがかかり過ぎてしまう可能性もあるため試算や計画は慎重に行わなければなりません。なお、クラウドサービスの料金体系は改定される場合があるため、具体的な料金は必ず各クラウド事業者の公式サイトで最新情報をご確認ください。
また、トラブルが起きた際にパブリッククラウドであれば対象のクラウド事業者が対応を行いますが、オンプレミス型プライベートクラウドは自社で行わなければなりません。そのためパブリッククラウドとプライベートクラウドのどちらの運用にも精通している人材が必要となります。
運用例
Ⅰ.BCP対策(*)
災害があってもデータを保持し、トラブルがあっても出来る限り迅速に事業再開を求められてる企業の場合、ハイブリッドクラウドであればクラウドとオンプレミスの両者でデータバックアップをとることで対策をとることが可能となります。
(*)BCP(事業継続計画)とは地震などの自然災害、感染症などが発生しても重要な事業を中断させないように、また中断しても短い時間で復旧を試みる方針・体制・手順を示した計画のこと。
Ⅱ.短期的なサーバ負荷対策
通販サイトなどで繁忙期や一定期間にクラウドへのアクセスが集中する際、ハイブリッドクラウドは一時的にマシンスペックを強化することが出来るようになります。必要なタイミングだけクラウドサーバーを強化したり該当のトラブルが解消されたタイミングでクラウドサーバー契約を解除したり、自由に必要な分だけ契約することでコストを抑えながらサーバーダウンを回避出来るようになります。
押さえておきたいポイント
- コストとセキュリティのバランスをどう取るか、どのデータ・システムをどの環境に置くかを設計段階で明確にしておくことが重要です。
- 複数の環境を横断した運用となるため、パブリッククラウドとオンプレミスの両方に精通した人材や管理体制を事前に整えておく必要があります。
- BCP対策・負荷分散・コスト最適化など、導入目的に応じて構成パターンを使い分けることで、ハイブリッドクラウドのメリットを最大限に活かせます。
よくある質問
ハイブリッドクラウドとマルチクラウドは何が違いますか?
ハイブリッドクラウドは「オンプレミス(またはプライベートクラウド)」と「パブリッククラウド」を組み合わせる構成を指します。一方マルチクラウドは、AWS・Azure・GCPなど複数のパブリッククラウドを併用する構成を指し、両者は組み合わせる対象が異なります。実際にはハイブリッドクラウドとマルチクラウドを併用する企業も少なくありません。
中小企業でもハイブリッドクラウドは導入できますか?
企業規模を問わず導入は可能です。ただし複数環境の管理コストがかかるため、まずは機密性の高いデータのみオンプレミスに残し、それ以外をパブリッククラウドに移行するなど、小さい範囲から段階的に始めることが現実的です。AWSのようなパブリッククラウド事業者が提供する接続・連携サービスを利用することで、比較的小規模な体制でも構築しやすくなっています。
ハイブリッドクラウドへの移行はまず何から始めればよいですか?
まずは自社の保有するデータやシステムを棚卸しし、「機密性・可用性の要件からオンプレミスに残すべきもの」と「コストや拡張性を優先してパブリッククラウドに移すべきもの」を切り分けることから始めるのが一般的です。その上で、BCP対策や負荷分散など目的を明確にした上で段階的に移行計画を立てることが重要です。
まとめ
パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスのメリットを適宜利用することの出来るハイブリッドクラウドではありますが、便利な分導入や管理に時間を要してしまいます。自社に必要な運用方法を見極め、慎重に導入していくことが快適なクラウド環境を手に入れる鍵となるでしょう。
最後までご覧頂き、誠にありがとうございます。
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