Azure vs AWS ~どちらのクラウドを選ぶべき?~
最終更新日:2026年8月6日
この記事でわかること
AmazonやMicrosoftに加え、GoogleやIBMなど多くの企業が参入しているパブリッククラウドですが、何を基準に選べばよいのかと悩むケースも多いのではないでしょうか。パブリッククラウドの中でも特にシェアが高い「Amazon Web Services(AWS)」と「Microsoft Azure」について、特徴や強み・弱みなどを詳しく解説します。
AWSとAzureの概要
AWSとは?
Amazon Web Service社が提供するクラウドプラットフォームで、母体はあの通販サイトのAmazonです。Amazonが培ってきた社内ITシステムの構築・運営の技術・知識を基にクラウドサービスを提供しており、クラウドプラットフォームのパイオニア的存在です。2006年のサービス開始以来、世界シェアNo.1を維持しています。
Azureとは?
Microsoft社が提供するクラウドプラットフォームです。Windowsを基に構築されたサービスであるため、すでにWindowsを利用している企業にとって非常に導入・利用しやすいサービスです。Office 365との連携機能や、PaaSの提供、さらに近年はOSS(オープンソースソフトウェア)との連携にも注力しています。
それぞれの特徴
Amazon提供のAWS
最速で世界中の豊富な情報とグローバルに接しており、数多くの分野で利用することができます。多様な分野に対応するために豊富なサービスを数多く展開しているため、使いたいシステムだけに課金して柔軟かつ的確にコストを抑えられるのが特徴の1つです。
Microsoft社のAzure
利用者に良い技術やサービスを提供するために技術と生産性を高め続けており、それがAzureの急成長の裏付けとなる理由でもあります。最新AI技術とデータを活用してインテリジェントな次世代アプリを生み出すことが可能で、IT業界のAI分野を促進すると予測されています。
得意分野の違い
より多くの国で利用したいならAWS
AWSは190か国以上で利用ができ(Azureは140か国以上)、AWSは利用可能国が多いです。サービスの海外進出も考慮している場合、対象国でのサービス提供可否を検討する必要があります。AWSは特に公共機関のサービス(電子行政)や教育分野(ゲノム研究などの高度計算処理等)の活用が加速しています。
Microsoftの得意分野を利用するならAzure
Azureは金融・航空・電力などの業界の問題解決ができる強みを持っています。IT業界に強い影響力を持つためオンプレミスサーバーとの親和性が高く、専門性や外に漏れないセキュリティ面を前提とした情報管理がAzureの大きな特徴の1つです。
AWSとAzureの共通点
1. 共通の機能
AWSとAzureは両方、コンピューティング・ストレージ・DB(データベース)およびネットワークサービスで主に構築されたサービスです。また「リソースグループ」と呼ばれるリソースを整理する機能もどちらにも備わっており、VM(仮想マシン)やストレージ・仮想ネットワークデバイスなどのリソースを整理できます。
2. 時間単位の従量課金制度
AWSもAzureも「時間単位の従量課金制度」を採用しています。サービスを使った分だけ支払いをすればいいので、無駄なコストが抑えられるというクラウドサービスならではのメリットがあります。
3. アプリケーションの展開も瞬時に可能
世界中に拠点があり、数クリックでそれぞれのリージョン(エリア)に対してアプリケーションを展開することができます。
便利であるがゆえのデメリットも
多様なサービス群:メニューが豊富で何にでも対応できるというメリットを活かすには、サービス選定および設計に対する知識が必要です。
変動するコスト:初期コストを0円にし変動費として利用できる一方、毎月の費用が読めないという問題もあります。ある程度のデータ予測をして費用を事前に見積もる対策が必要になります。
それぞれの強みを比較
AWSを利用する強み
- 最速で世界中の情報とグローバルに接し、豊富なサービスを展開しているので様々な分野で対応可能
- 10年以上の安定したサービス提供実績と豊富なノウハウ・経験
- 天災にも対応可能なクラウド構成を設計できる(マルチAZ・マルチリージョン設計)
- 必要なサービスのみ利用でき、小額の資金で大きな構成を構築できる
- 世界を視野に入れて活動する人・グローバル展開する企業に特に向いている
Azureを利用する強み
- Microsoft製品(Office 365・Windows Server・Active Directory等)との高い親和性
- 特定業界(金融・航空・電力等)への特化型サービスが充実
- オンプレミスのActive DirectoryとのID連携がスムーズ(Microsoft Entra ID)
- 高い専門性を要する分野で独占的に活用できる特化型サービス
それぞれの弱み
AWSの弱み
- 保守運用の自由度の低さ:定期メンテナンスは2週間前通知で実施。ダウンタイムが発生するケースもある。年に1回程度は大規模障害が発生することがある
- 法務上の準拠法:デフォルトの準拠法はアメリカの法律だが、2017年4月から任意で日本法・東京地裁へ変更可能になった。ただし、変更を忘れるとアメリカの法律適用のままになるため注意が必要です。
Azureの弱み
- 仮想マシンの起動速度:AWSが約1分なのに対し、Azureは2分30秒以上かかるケースがある
- 情報量:AWSと比べると日本語情報やコミュニティ情報が少ない場合がある
主要サービス・機能 比較表
| 比較項目 | AWS | Azure |
|---|---|---|
| 世界シェア | 約31〜33%(1位) | 約22〜25%(2位) |
| サービス開始年 | 2006年 | 2010年 |
| 対応国数 | 190か国以上 | 140か国以上 |
| 仮想サーバー | Amazon EC2 | Azure Virtual Machines |
| 仮想マシン起動時間 | 約1分 | 約2〜3分 |
| 課金単位 | 1秒単位 | 1分単位 |
| 日本のリージョン | 東京・大阪 | 東日本・西日本 |
| 日本円決済 | △(オプションで可) | ◎(標準で対応) |
| Microsoft製品連携 | △ | ◎ |
| 日本語情報量 | ◎ 豊富 | ○ やや少ない |
使い分けと併用
AWSとAzureの最も単純な使い分けは、消費者向けのアプリやサービスはAWS、社内のIT基盤や企業間のシステム連携にはAzureがおすすめです。
障害や災害の対策として、AWSとAzureを併用するという方法もあります。例えばAzure Site Recoveryを使えば、万が一AWS側で大規模な障害が発生しても、最新のレプリカを用いてAzure IaaSで早期に復旧することが可能です。
無料枠について
AWSの無料枠(2種類)
1つめは、期間限定で1年間のみ利用できる無料枠です。代表的なもの:
- Amazon EC2 – 特定サーバーが無料
- Amazon RDS – 20GBのデータ及び特定のサーバーが無料
- Amazon S3 – 5GBのストレージが無料
※期間内(1年)でも無料枠を超過した場合は請求が自動的に発生するため、要注意です。
2つめは、各種サービスにおける一部機能が常に無料で使えます。例えばAmazon CloudFrontは、CDN転送量1TBおよび1,000万リクエストが期限なく無料で利用できます。その他の詳細はAWS公式サイトをご確認ください。
Azureの無料枠(3種類)
- 1年間無料のサービス(仮想マシン・ストレージ・データベース等)
- 最初の30日間$200相当のクレジット(無料トライアル)
- 期限なしで常時無料のサービス(55種類以上)
仮想サーバーの機能比較
AWSにおける仮想サーバーは「EC2」
- 定められたインスタンスタイプから選択して起動
- インスタンス作成時間は1分ほど
- 1秒単位の課金
- 日本国内のリージョン:東京・大阪
インターネット上で得られる情報が豊富で、導入実績・豊富な情報量のある大手を利用したい場合に特におすすめです。
Azureにおける仮想サーバーは「Virtual Machines」
- 定められた構成から選択して起動
- インスタンス起動時間は数分ほど
- 1分単位の課金
- 日本国内のリージョン:東日本・西日本
Windows Serverの実行環境として多く利用され、オンプレミスのActive Directoryとも相性が良いです。日本国内2拠点に展開する場合や、国内で災害対策環境を構築する場合にはAzureが有力な選択肢となります。
よくある質問(FAQ)
まとめ
AWSとAzureについてのポイントをまとめます。
- AWSは世界シェアNo.1で多機能・豊富な情報量・実績から感じられる安定さが特徴。グローバル展開・幅広い業種に向く
- Azureは開発元Microsoftの高い技術力とWindowsとの相性が特徴。金融・航空・電力などの業界特化型サービスに強く、日本法準拠・日本円決済が可能
- 課金は両社とも従量制。AWSは1秒単位、Azureは1分単位(Linux VM)。料金水準は同等スペックで概ね近い
- 既存のMicrosoft環境が多い企業はAzure、グローバル展開・幅広い用途ならAWS、BCP対策・高可用性構成にはマルチクラウド(両社の併用)が有効
- どちらが優れているかは一概に言えない。自社のIT環境・使用目的・コスト要件を多角的に検討し、まずは無料枠で試してみるのがおすすめ
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