EC2のP2インスタンス~大きな分類から辿る~
最終更新日:2026年8月10日
はじめに
| 項目 | AWS | Microsoft Azure | Google Cloud |
|---|---|---|---|
| 世界シェア | 約33%(首位) | 約22% | 約11% |
| 強み | サービス数・実績 | Microsoft製品連携 | データ分析・AI |
| 無料枠 | 12ヶ月+常時無料 | 12ヶ月無料 | 常時無料枠あり |
| 主な資格 | CLF / SAA / SAP | AZ-900 / AZ-104 | ACE / PCA |
本記事では、AWS(Amazon Web Services)が提供しているサービスEC2(Elastic Compute Cloud)の選択インスタンスタイプの中から、P2インスタンスをはじめとした、その分類についてご紹介していきたいと思います。
P2インスタンスの起源
AWSがP2インスタンスの提供を開始したのは2016年でした。これは、より大規模な並列浮動小数点演算の性能の要求が高まり、その必要性が求められたため、実現に向けて発表されたものとされています。そのため、このP2インスタンスは比較的規模の大きな機械学習や科学や工学といったジャンルでの分析やシミュレーションなどに活用されることを想定し、作られたインスタンスです。以降からは、そんなP2インスタンスを広い分類から順に追ってみていきます。まずは、P2も含まれているGPUインスタンスから解説します。
GPUインスタンスとは?
GPUとは、Graphics Processing Unit(グラフィックスプロセッシングユニット)といって、3Dグラフィックス等の画像処理をおこなう際に必要となってくる計算処理のための半導体チップのことを言います。主にグラフィックスの処理を多くおこなうアプリケーションに利用されるとともに、その他にも計算処理を多くおこなうアプリケーションや、AIアプリケーションにも適しており、様々な問題を解決に導くことができます。PCやサーバーに搭載される半導体チップとしてはGPUの他にCPUというものもありますが、どちらかというとCPUのほうが一般的によく耳にするものではありますよね。GPUとCPUはどちらも、送られてきた0と1からなる問題を受け取り、計算処理をすることに違いはありません。
しかしここでなにが違うのかというと、その中に搭載されているコアの数に違いがあります。コアというのは、内部で実際に処理をおこなう部品のことで、例えるならば工場の従業員のようなものでしょうか。コアが多ければ多いほど、”同時に”解くことができる問題数が多くなるわけです。こうやって見るとGPUのほうがはるかに良いものに見えてしまいますが、ここで更に重要なのは、GPUにコア数が多いからといって、なんでも高速で処理をできる万能なものだとは言い切れないという事です。
なぜかというと、GPUは”並列計算”といって、簡単で似た問題処理を同時におこなう事を得意としており、突出して難解な問題をひとつひとつのコアがさばいていく事には向いていないからです。先述の例えのように、GPUは大きな工場で、コアはその中で働く、単純な作業を大勢で処理する従業員たちのようなものというイメージが分かりやすいかと思います。そして、GPUインスタンスだからといって、内部にGPUしか搭載されていないわけではありません。単純で膨大な量の計算はGPUに、その他の処理はCPUに、という事で、インスタンス内部にはCPUとGPUのどちらも搭載されているわけです。
AWSのGPUインスタンス
さて、GPUインスタンスを知ったうえで、ここからはAWSで提供されているGPUインスタンスの種類について紹介していきたいと思います。GPUインスタンスでは大きく分けて【Pシリーズ】と【Gシリーズ】があり、そのなかでそれぞれ『P2』『P3』、『G3』『G4』という種類に分類されます。Gシリーズのインスタンスでは主に、3Dレンダリングや動画のエンコーディングなどのグラフィック系の処理を多用するアプリケーションに向けたものとなっており、その後に提供されはじめたPシリーズについては機械学習や金融工学、分子モデルのシミュレーションなどの処理向けに提供されており、GPUならではの並列計算を活用した用途向けものとなっています。
【要注意】GPUインスタンスの世代について
本記事で紹介しているP2・P3、G3・G4は当時の世代です。現在はPシリーズでP4d/P4de・P5・P5e・P5en、GシリーズでG5・G6・G6eなど、さらに新しい世代のGPUインスタンスが提供されています。用途にあわせて、AWS公式サイトで最新のインスタンスタイプもあわせてご確認ください。
Pシリーズ内のインスタンス
それではここからは、【Pシリーズ】インスタンスのなかでも『P2』と『P3』インスタンスの違いについて紹介していきましょう。まず、”P”のあとの2と3の数字は何かというと、世代の値を表しています。そのため、『P3』がPシリーズの最新の世代だということになります。これらの大きな違いは、搭載されているGPUの種類が変わったことです。
P2インスタンスの搭載GPUは『NVIDIA K80 GPU』、P3インスタンスは『NVIDIA Tesla V100 GPU』で、NVIDIAが開発するGPUもまた更新されているのに伴い、インスタンスに搭載されるGPUもより新しいものに改善されています。内容としてはコア数が飛躍的に多く設けられている点などが挙げられますが、それにより、更に大量の計算処理が集約された用途に向けたニーズに応えているインスタンスがP3だと言えます。そしてその分、コストも高価にはなってしまいます。
P2インスタンスについて
さて、ここではP2インスタンスがメインですので、P2インスタンスについて詳しく見ていきましょう。先述の通り、P2には『NVIDIA K80』というGPUが搭載されています。このGPUは、2496個の並列処理コアと12GiBのメモリが設けられています。そんなP2インスタンスですが、その中でまたどのような種類があるのか見ていきましょう。
ここまで説明してきたP2やP3などのワードは、AWSのインスタンスタイプと呼ばれるインスタンスの名称の中でも『インスタンスファミリー』という部分でした。例えば、【p2.xlarge】というインスタンスタイプがあれば、ドット(.)より前にある”p2”がインスタンスファミリーです。ドット(.)以降に示されている部分では、インスタンスサイズという内容で更に区別させることができます。多くの場合、インスタンスサイズにはmicroやsmall、mediumやlargeなどがありますが、P2インスタンスには下記のようなlargeの3種類が用意されています。
p2.xlarge
GPUの数:1
vCPUの数:4
メモリ(GiB):61
GPUメモリ(GiB):12
ネットワークパフォーマンス:高
価格:0.900 USD
p2.8xlarge
GPUの数:8
vCPUの数:32
メモリ(GiB):488
GPUメモリ(GiB):96
ネットワークパフォーマンス:10ギガビット
価格:7.200 USD
p2.16xlarge
GPUの数:16
vCPUの数:64
メモリ(GiB):732
GPUメモリ(GiB):192
ネットワークパフォーマンス:20ギガビット
価格:14.400 USD
※価格は米国東部 (バージニア北部)、及び米国西部 (オレゴン) の価格
※上記の料金は記事公開時点の参考値です。料金は変動する場合がありますので、最新料金はAWS公式サイトでご確認ください。
インスタンスサイズが増えるとその分CPUやメモリの量が増えるため、料金もそれに伴い増加します。
このように現在もP2インスタンスは提供され続けていますが、AWSでは世代の新しいものの使用を薦めています。ただし、P3インスタンスはP2インスタンスに比べ処理速度も速く性能がはるかに高い事に伴い、コストが高いのが難点です。インスタンスタイプを選ぶ際は、コストパフォーマンスも是非考慮しながら各インスタンスを比べてみてください。
押さえておきたいポイント
- P2インスタンスは2016年に登場したPシリーズ最初の世代で、「NVIDIA K80 GPU」を搭載し、並列浮動小数点演算を活かした機械学習・科学技術計算向けに設計されている。
- AWSのGPUインスタンスは、グラフィックス処理向けの「Gシリーズ」と、並列計算処理向けの「Pシリーズ」に大別され、それぞれ用途が異なる。
- 現在はP2より新しい世代(P3・P4・P5など)も提供されており、性能とコストのバランスを見ながら最新のインスタンスタイプもあわせて検討するのがおすすめ。
よくある質問
P2インスタンスは現在も利用できますか?
はい、本記事更新時点でもP2インスタンス(p2.xlarge・p2.8xlarge・p2.16xlarge)は提供されています。ただしAWSは、より高性能な新しい世代(P3・P4・P5など)の利用を推奨しています。
P2とP3の違いは何ですか?
搭載されているGPUの世代が異なります。P2は「NVIDIA K80 GPU」、P3は「NVIDIA Tesla V100 GPU」を搭載しており、P3のほうがコア数・処理性能ともに大きく向上している一方で、コストも高くなります。
GシリーズとPシリーズの違いは何ですか?
Gシリーズは3Dレンダリングや動画エンコーディングなどのグラフィックス処理向け、Pシリーズは機械学習や科学技術計算など並列計算処理向けに設計されています。用途に応じて選択することが重要です。
おわりに
いかがでしたでしょうか。今回はP2インスタンスと、そこまでの大まかなインスタンスの分類について触れていきましたが、この他にも様々な面でのパフォーマンスに特化したインスタンスが多く提供されています。本記事で少しでもインスタンスタイプについて参考にしていただければ幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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