ADをオンプレミス環境からAzure ADに移行するメリットデメリット

最終更新日:2026年8月6日

ネットワークが発達し、業務や個人的な趣味でAD(Active Directory)を使用されている方は多いのではないでしょうか。そのADには使用環境で大きく分けて2種類あり、「クラウドサービスでのAD」か「オンプレミス環境でのAD」に分けられます。今回はオンプレミス環境下でのADをクラウドサービス「Azure」の「Azure AD(現:Microsoft Entra ID)」へ移行した場合、どういった利点や欠点が生じるのかをご紹介していきます。

オンプレミスADとクラウドADの違い

Active Directory(AD)には主に2種類の運用形態があります。

比較項目 オンプレミスAD Azure AD(クラウドAD)
初期費用 高い(サーバー購入等) 低い(無料プランあり)
管理負担 高い(専任担当者必要) 低い
テレワーク対応 △(VPN等が必要) ◎(インターネット経由)
可用性リスク 自社管理 Azure障害時は影響あり
通信費 内部ネットワークのみ インターネット通信費が発生

クラウドAD vs オンプレミスAD:選択理由の比較

Azure ADなどのクラウドサービス環境でのADを選ばれている方の理由として多く挙げられるのが以下になります。

クラウドADを選ぶ主な理由:

  • 情報システム専任人員がいない、またはAD構築の技術が乏しい
  • 業務作業に必要なサービスの大半がすでに外部(クラウド)に存在する
  • 最初からオンプレミスを構築せずともクラウドサービスで十分対応できる
  • ADを構築するハードウェアやライセンスの管理負担を軽減したい

オンプレミスADを選ぶ主な理由:

  • 通信回線が細く、ネットワーク速度が遅い環境にある
  • WAN構築が複雑で手が出しづらい
  • 通信費がかさむことへの懸念
  • クラウドサービスに障害が発生した場合に業務が停止するリスクを避けたい

どちらが賢いかは使用されるユーザーの環境次第です。それぞれの環境でメリットとデメリットが存在するため、どちらを優先するかはユーザーそれぞれが判断する必要があります。ただし、クラウドの普及が進んだ現在では、テレワーク対応・管理負担の軽減といった観点からAzure ADなどのクラウドサービスを選ぶケースが増えています。

Azure ADを利用するメリット

クラウドサービス環境でADを利用するとネットワーク通信が必要になり、通信費が増えるデメリットはあります。しかし大規模なADを運用する場合、オンプレミス環境の構築にかかる初期費用と管理負担のほうが大きい出費となるケースがほとんどです。Azure ADを利用することで以下の恩恵を受けられます。

  • 設置初期費用が安く済む:サーバー購入・データセンター運用コストが不要
  • 管理負担が軽減される:パッチ適用・ハードウェア保守をMicrosoft側が実施
  • 便利なサービスが豊富:シングルサインオン・多要素認証・条件付きアクセスなどを標準で利用可能

オンプレミスADからAzure ADへの移行方法

既にオンプレミス環境でADを利用されていた場合、完全に移行するとなると膨大な手間と負担が発生します。そこでおすすめなのが同時運用(ハイブリッド構成)です。

Azureには「Azure AD Connect(現:Microsoft Entra Connect)」というサービスがあり、オンプレミスADのユーザー情報をAzure ADへ連携させることができます。この連携を行うことで、ユーザーは1つのアカウント情報だけを管理すれば(シングルサインオン)、自社ネットワーク内のリソースとクラウドサービス上のリソース、両方へのアクセスが実現します。

移行の一般的な流れ:

  1. 小規模な試験環境でAzure AD Connectのテストを実施
  2. 段階的に部署・グループ単位でクラウドへの移行を進める
  3. シングルサインオンの動作確認とユーザートレーニング
  4. 問題なければ全社展開・オンプレミスADの縮小・廃止

Azure ADの便利な機能

  • 社内ネットワーク外での作業が可能:シングルサインオンにより、テレワーク中でもオンプレミスADと同一アカウントでクラウドサービスにアクセスできます。モバイル端末からも一元管理された認証で作業を進めることが可能です
  • 導入費用の削減:サーバー購入やデータセンターの保守・運用コストを抑えられ、必要なサービスのみ選んで最低限の契約内容で利用できます
  • ユーザー管理の簡略化:従来のAD環境ではサービスごとにアカウント管理が必要でした。シングルサインオン導入により管理者の負担が大幅に軽減され、セキュリティも向上します
  • 多要素認証(MFA):Azure ADには多要素認証機能が標準搭載されており、パスワード漏洩時の不正ログインリスクを低減できます

よくある質問(FAQ)

Q. オンプレミスADとAzure ADは同時に使えますか?
A. はい、使えます。これを「ハイブリッドID環境」と言います。「Azure AD Connect(Microsoft Entra Connect)」を利用することで、オンプレミスADのユーザー情報をAzure ADに同期し、どちらの環境からも同じアカウントで利用できます。完全移行ではなく段階的な移行が可能です。
Q. Azure ADは無料で使えますか?
A. 基本的な機能(ユーザー管理・シングルサインオン等)はAzure AD Freeプランで無料利用できます。多要素認証・条件付きアクセス・Identity Protectionなど高度な機能はAzure AD Premium P1/P2プランが必要です(有料)。Microsoft 365 E3/E5などのライセンスにはAzure AD Premiumが含まれている場合があります。
Q. Azure ADとMicrosoft Entra IDは同じものですか?
A. はい、同じサービスです。2022年にMicrosoftがブランド名を変更し「Azure Active Directory(Azure AD)」から「Microsoft Entra ID」になりました。機能・料金体系に変更はなく、既存の設定・ユーザーへの影響もありません。ドキュメントや管理画面では両方の名称が混在していますが、同一サービスです。
Q. オンプレミスADからAzure ADへの移行はどのくらいの期間がかかりますか?
A. 組織の規模・現環境の複雑さによって大きく異なります。小規模(数十ユーザー)であれば数週間〜1ヶ月、中規模(数百ユーザー)であれば3〜6ヶ月、大規模(数千ユーザー以上)では1年以上かかるケースもあります。まずは小規模のテスト環境で検証してから段階的に本番移行することをおすすめします。

まとめ

オンプレミスADとAzure ADの選択・移行についてのポイントをまとめます。

  • AD環境がこれからなら、初期費用・管理負担を抑えられるAzure AD(クラウドAD)の導入がおすすめ
  • すでにオンプレミスADがある場合は、「Azure AD Connect」を使ったハイブリッド構成で段階的に移行するのが安全
  • Azure ADのデメリットはサービス障害時の影響・通信費・クラウド利用料金。まずは無料プランで試してから判断を
  • テレワーク・モバイルワーク推進にはシングルサインオンと多要素認証が鍵。Azure ADはこれを標準で提供
  • 「Azure AD」は2022年に「Microsoft Entra ID」に改称されたが、機能・料金体系は変わらず

▼ アクロビジョンについて

👔

一緒に働きましょう

一人ひとりのキャリアに向き合い、
活躍できる現場をご紹介します。

採用サイトを見る →
💻

システム開発のご依頼・ご相談

コンサルティングから運用保守まで、
ワンストップで対応します。

まずはお気軽にご相談ください →