Azureとコグニティブコンピューティングについて
最終更新日:2026年8月10日
この記事でわかること
今回はAzureとコグニティブコンピューティングについて簡単に解説していきます。
そもそもコグニティブコンピューティングとは
| 項目 | Microsoft Azure | AWS | Google Cloud |
|---|---|---|---|
| シェア(国内) | 約30% | 約35% | 約15% |
| 強み | Microsoft製品連携 | サービス数・実績 | データ分析・AI |
| 無料枠 | 12ヶ月無料 | 12ヶ月無料 | 常時無料枠あり |
| 主な資格 | AZ-900 / AZ-104 | CLF / SAA | ACE / PCA |
コグニティブコンピューティングとは、まず英語で「Cognitive」という言葉がありそれらは「認識、認知」という意味を持ちます。つまるところ、従来のコンピューターのように与えられた命令を処理するだけでなく、自律的に考え、学習し、理解、行動するシステムのことを指します。代表的なシステムの1つとしてIBMの「Watson※」があります。
「Watson」を開発したIBMは、コグニティブ・コンピューティングをコンピューティングの発展と歴史の中で第3世代に位置付けています(第1世代はデータを数えるための計算機の時代、第2世代はOSやソフトウェアが作られ、プログラムによって動く現在のコンピューターやスマートフォンの時代としている)。
コグニティブ・コンピューティングは、答えが1つとは限らない、あいまいな問いかけに対して、自ら仮説を立てて最善の答えを導き出す能力を持ち、導き出した答えに対するフィードバックを蓄えることで、自ら学習し、正確な答えを出せるように進化するディープラーニングの機能も備えています。
AIが人間の脳を模倣しているのに対し、コグニティブ・コンピューティングは人間の意思決定に対してアドバイスし、人間の能力を補強、サポートすることを目的として設計されていることが大きな違いです。
※IBMが開発した質問応答システム・意思決定支援システム
Azureにおけるコグニティブコンピューティングサービスについて
【要注意】サービス名称の変更について
本記事で扱う「Azure Cognitive Services」は、2023年に「Azure AI services」へと名称変更されています。さらに現在はAzureのAI関連サービスを統合したポータル「Azure AI Foundry」(旧称:Azure AI Studio)から各種AIサービスを管理する形が主流になっています。基本的な概念やAPI・SDKで利用できるという特徴は変わりませんが、実際にAzureポータルで操作する際は名称の違いにご注意ください。
Azureではコグニティブコンピューティングサービスとして「Azure Cognitive Services」(現Azure AI services)というものがあります。この「Azure Cognitive Services」は、開発者が直接的なAI、データサイエンスのスキル、知識がない場合でも、インテリジェントアプリケーションを構築するために使用することのできるAPI、SDK、サービスです。
「Azure Cognitive Services」の目標には、開発者が聞いたり、話したり、理解したり、推論し始めたりできるアプリケーションの作成を支援することにあり、サービス カタログは、5つの主要な柱として、視覚、音声、言語、Web 検索、および意思決定に分類されます。
BingとOfficeでも10年以上にわたって利用されている統合Microsoft自然言語スタックに加え、視覚、言語、音声の AI サービスが使用されています。
Azure Cognitive Servicesの特徴
1.Web API経由ですぐに利用することが可能
学習アルゴリズムの作成や学習データの準備がいらず、自身のアプリケーションからWeb APIを呼ぶことで利用ができるサービスが多く用意されています。
2.開発言語やプラットフォームを問わない
REST形式のWeb APIの呼び出しが可能な多くのプログラミング言語で、基本的に利用することができます。また、C#、Python、Androidなど、さまざまな環境向けのSDK、クライアントライブラリ、サンプルも用意されています。
3.主に従量課金制のサービス
多くのサービスが一定の無料枠付きの従量課金制となっている。具体的な料金体系や無料枠の範囲は変更されることがあるため、最新料金はAzure公式サイトでご確認ください。
Microsoftがリリースする他のコグニティブコンピューティング
MicrosoftはAzure Cognitive Services以外にも、コグニティブコンピューティングサービスを提供しています。ここではそれらについて解説していきましょう。
Azure Machine Learning
アルゴリズムをドラッグ&ドロップで作るGUIが用意されていて、学習モデルのカスタマイズが可能です。学習データを用意して学習させることで、独自の学習モデルを構築することができます。
Cognitive Toolkit
深層学習フレームワークで、Python、C#、C++などでアルゴリズムを構築することができます。独自に用意した学習データから学習モデルを構築するので、自由度が高いですが学習コストは大きいことが特徴です。
【要注意】Cognitive Toolkit(CNTK)について
Microsoft Cognitive Toolkit(CNTK)は現在積極的な開発・更新が行われておらず、事実上のメンテナンス終了状態にあります。新規に深層学習フレームワークを選定する場合は、PyTorchやONNX Runtimeなど現在も活発に開発が続くフレームワークの利用をご検討ください。
Cognitive Servicesは自由度が低いのでデメリットが大きいように感じますが、マイクロソフトのあらゆる分野のスペシャリストによって構築されてきたものです。個人では集められないような大量のデータから構築された高精度の学習モデルを利用できるので非常に有用性が高いでしょう。
押さえておきたいポイント
- コグニティブコンピューティングは、あいまいな問いかけに対して自ら仮説を立て、フィードバックから学習して精度を高めていく点が従来のコンピューティングとの大きな違い。
- Azure上のコグニティブコンピューティングサービスは「Azure Cognitive Services」から「Azure AI services」へ名称変更されており、現在は「Azure AI Foundry」から統合的に管理する形が主流になっている。
- 自由度重視でゼロから学習モデルを構築するなら「Azure Machine Learning」、Web API経由で手軽にAI機能を組み込みたいならAzure AI services(旧Cognitive Services)というように、目的に応じて使い分けるのが基本的な考え方。
よくある質問
Q. コグニティブコンピューティングとAI(人工知能)は何が違いますか?
AIが人間の脳の働きそのものを模倣することを志向しているのに対し、コグニティブコンピューティングは人間の意思決定を補助・支援することを主目的として設計されている点が異なります。あいまいな問いかけに対して仮説を立てて回答を導き、フィードバックによって学習を重ねる点が特徴です。
Q. Azure Cognitive Services(Azure AI services)はプログラミング未経験でも使えますか?
多くの機能はWeb API経由で呼び出す形で提供されているため、学習アルゴリズムの構築や学習データの準備といった専門知識がなくても利用できるサービスが多く用意されています。ただし、実際にアプリケーションへ組み込む際はAPI呼び出しのための最低限のプログラミング知識は必要です。
Q. Azure Machine LearningとCognitive Toolkitはどちらを使うべきですか?
GUIでのドラッグ&ドロップ操作により手軽に学習モデルをカスタマイズしたい場合はAzure Machine Learningが適しています。一方、独自データから自由度高くモデルを構築したい場合はCognitive Toolkitのようなコードベースのフレームワークが候補になりますが、前述の通りCognitive Toolkit自体は開発が停滞しているため、現在はPyTorch等の利用が現実的です。
まとめ
・コグニティブコンピューティングとは、従来のコンピューターのように与えられた命令を処理するだけでなく、自律的に考え、学習し、理解、行動するシステムのことを指す。
・コグニティブコンピューティングは、人間の意思決定に対してアドバイスし、人間の能力を補強、サポートすることを目的として設計されている。
・Microsoft Azureでは、「Azure Cognitive Services」(現Azure AI services)というコグニティブコンピューティングサービスが展開されている。
・「Azure Cognitive Services」は、直接的なAI、データサイエンスのスキル、知識がない場合でも、インテリジェントアプリケーションを構築することが目指されている。
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