ベアメタルクラウドとは? Azureで使用されているサービスは?
最終更新日:2026年8月5日
目次
ベアメタルクラウドとは?
クラウド内の物理的なベアメタルサーバをユーザに提供することです。これにより占有されたリソースによる処理能力の向上、クラウド内リソースを使用したスケーラビリティ向上といったメリットがあります。順番に見ていきましょう。まず、何もインストールされていない状態のHDDやコンピュータのことをベアメタルと言います。元々の英語の意味は「bare」が「裸の」という意味なのでむき出しの状態の金属という意味です。そこからまっさらな状態のサーバやHDDを指す用語として使われました。そのベアメタルサーバを使用したサービスがベアメタルクラウドです。ベアメタルクラウドの概要とAzureでのサービスをご紹介します。
ベアメタルサービスの種類と特徴
ベアメタルを使ったサービスにはべアメタルサーバがあります。これはインフラ企業がユーザ専用の物理サーバを貸し出すサービスです。ベアメタルサーバは増設が必要になったらインフラ企業に掛け合って増設してもらいま必要があり、スケーラビリティが低い点が問題でした。
一方のクラウド環境のベアメタルサービスがベアメタルクラウドです。ベアメタルクラウドはクラウド内で専用の物理サーバを提供するという違いがあります。ベアメタルクラウドは他のクラウドサービスと同じように管理し必要な時に簡単に増設が可能なためベアメタルサーバよりもスピーディに需要に対応できます。
なぜベアメタルクラウドを使うのか
クラウドサーバでは共有リソースを使うため他のユーザの使用状況によってパフォーマンスが左右されます。さらにクラウド環境上ではコンプライアンスやライセンスの問題が発生するためクラウドを使用できないといった問題がありました。そのような理由からベアメタルサーバへの注目度が上がっていましたがスケーラビリティの問題がありました。そんな中AWSから2018年からスケーラビリティの問題を解決したベアメタルクラウドのサービス展開が開始し広まりました。そして他のクラウド会社も追随するようにベアメタルクラウドサービスを提供し始めました。
2018年当時はAWSが先行していましたが、現在ではAzure・GCPを含む主要クラウド各社がそれぞれの強みを活かしたベアメタル関連サービスを展開しており、選択肢は年々広がっています。次章ではAzureにおける最新のサービス展開を見ていきます。
Azureでのベアメタルクラウドを使用したサービス展開
ではAzureにはどのようなベアメタルクラウドを使用したサービスが展開されているのか紹介します。
ベアメタルクラウドを使用したいという目的はおおまかに下記に分類されるでしょう。
- ・独自の環境構築
- ・VMware環境構築
- ・DB/HPC環境構築
これらに対応したサービスは下記になります。
- ・独自の環境構築→Azure BareMetal Infrastructure(対応ワークロード限定)、Azure Dedicated Host(ハードウェア専有)
- ・VMware環境構築→Azure VMware Solution
- ・DB/HPC環境構築→Azure BareMetal Infrastructure(Oracle等)、SAP on Azure(現在は仮想マシンベースへ移行)
Azure VMware SolutionでベアメタルにVMware環境を構築、あるいはOracle・SAPといった特定ワークロード向けにベアメタルサーバに環境構築された状態の物理サーバを使用するといったように、ベアメタルのサーバをそのまま自由に使うのではなく、認定済みのワークロード向けに提供されるサービスが中心という点は変わっていません。どうしても完全に自由なOS・環境を1台の物理サーバに構築したいという場合はAWSのEC2ベアメタルインスタンスというサービスがあります。しかし、これらのサービスは他のサービスと違い柔軟な環境設定ができたり、オンプレミス環境からの移行を前提としたサービスが充実しています。そういった利点から特殊なオンプレミス環境のユーザがクラウド移行へ踏み切るためにこれらのサービスの需要があるといえます。
ではAzure VMware Solution・SAP on Azure・Azure BareMetal Infrastructure・Azure Dedicated Hostについて、それぞれ紹介します。
Azure VMware Solution
これはオンプレミスで使っていたVMware環境をそのままAzure上で動かすことができるサービスです。ベアメタルインフラから構築されたVMware vSphereベースのプライベートクラウドを提供します。VMwareネイティブで動かせることができるためこれまで使用していたオンプレミス環境との高い互換性があり、その上クラウドの利点も享受できるようになります。さらに既存のシステムを止めずにIPアドレスを変えずにリアルタイムマイグレーションができるという機能もあります。これは絶対に止められないシステムの移行をクラウドへ移行することを検討できる利点です。さらに管理、運用はMicrosoftが行うためユーザはワークロードの開発と実行に専念できます。最小構成は3ホストからで、1クラスタあたり最大16ホストまで拡張できます。
SAP on Azure
こちらもオンプレミス環境で使っていたSAPアプリケーションシステムをAzure上で運用できるというものです。以前は「SAP HANA on Azure(Large Instances)」という専用ベアメタルサーバ上でSAP HANAデータベースをスケールアップで最大24TB、スケールアウトで最大60TBもRAMを備えたシステムを数分で作成可能なサービスが提供されていました。
Azure BareMetal Infrastructure(新設サービス)
Azure BareMetal Infrastructureは、特定の認定ワークロード向けに物理サーバ(ベアメタルサーバ)をAzure内で提供するサービス群です。代表的な対応ワークロードは以下のとおりです。
- ・Oracle(Oracle Database、Oracle Applications等)
- ・Nutanix Cloud Clusters(NC2)on Azure(Nutanixのハイパーコンバージド基盤をそのままAzure上で稼働)
- ・Qumulo(大容量ファイルストレージ、Azure Native Qumuloとして提供)
- ・HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)向け構成
いずれも「特定ソフトウェアをベアメタル基盤で動かす」という形態で提供されており、任意のOS・任意のソフトウェアを自由にインストールできる汎用サービスではありません。それでも、ライセンスやパフォーマンス要件からベアメタルが必須となるOracleユーザ・Nutanixユーザにとっては、オンプレミスと同等の構成をAzure上で維持しながらクラウドの運用性を得られる選択肢になっています。Azure上でのOracle利用についてはこちらの記事もあわせてご参照ください。
Azure Dedicated Host
Azure Dedicated Hostは、1つ以上の仮想マシンを自社専用の物理サーバ上でホストできるサービスです。内部的にはAzureの仮想化基盤(ハイパーバイザー)を使用するため、OSを直接インストールする「純粋なベアメタル」とは異なりますが、物理サーバそのものを他テナントと共有しない点が大きな特徴です。ハードウェアレベルでの分離が求められるコンプライアンス要件や、ソケット単位・コア単位のライセンス(BYOL:Bring Your Own License)を持ち込みたい場合に選ばれています。VMware SolutionやBareMetal Infrastructureほど大掛かりな構成を必要としない、比較的軽量な「専有インフラ」の選択肢といえます。
用途別 比較表
| サービス名 | 形態 | 主な用途 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| Azure VMware Solution | 認定ワークロード向けベアメタル | VMware環境の丸ごと移行 | オンプレミスVMwareをそのままクラウド化したい場合 |
| SAP on Azure(仮想マシン) | 認定仮想マシン(Mv2/Mv3等) | SAP HANA・SAPアプリケーション運用 | SAPシステムをクラウド化したい場合(HLIは提供終了) |
| Azure BareMetal Infrastructure | 認定ワークロード向けベアメタル | Oracle・NC2(Nutanix)・Qumulo・HPC | ライセンス・性能要件でベアメタルが必須な特定製品を使う場合 |
| Azure Dedicated Host | 専用物理ホスト(仮想化あり) | ハードウェア分離・BYOLライセンス | コンプライアンス上「他テナントと同居しない」ことが必須な場合 |
| AWS EC2ベアメタルインスタンス | 汎用ベアメタル | 任意のOS・ハイパーバイザーを自由に構築 | Azureにない「完全に自由な物理サーバ」が必要な場合 |
※料金・提供リージョンは変更される可能性があるため、導入検討時は各サービスの公式ドキュメントで最新情報をご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q. Azureで完全に自由なOSをインストールできるベアメタルサーバは使えますか?
2026年8月時点では、AWSのEC2ベアメタルインスタンスのような「任意のOSを自由にインストールできる汎用ベアメタルサービス」はAzureには存在しません。AzureのベアメタルサービスはAzure VMware SolutionやAzure BareMetal Infrastructure(Oracle・NC2・Qumulo・HPC向け)のように、対応する製品・ワークロードが限定されています。
Q. SAP HANA on Azure Large Instancesはまだ使えますか?
いいえ、ベアメタル型の「SAP HANA on Azure Large Instances(HLI)」は2025年12月31日で提供が終了しています。現在はMv2/Mv3シリーズなどSAP HANA認定済みの仮想マシンへ移行して運用する形が主流です。
Q. ベアメタルクラウドとAzure Dedicated Hostの違いは何ですか?
ベアメタルクラウド(Azure VMware SolutionやBareMetal Infrastructure)は物理サーバ上に特定のソフトウェア基盤を直接構築するサービスです。一方Azure Dedicated Hostは物理サーバを専有しつつも内部ではAzureのハイパーバイザーを使って仮想マシンを動かす仕組みで、純粋なベアメタルではありませんが、物理的な分離とライセンスの持ち込み(BYOL)を実現できます。
Q. Azureのベアメタルサービスは費用が高いですか?
ベアメタルサービスは物理サーバを専有するため、一般的な共有型のパブリッククラウド仮想マシンよりも費用がかさむ傾向にあります。プライベートクラウドの利用や、要件次第ではAzure Dedicated Hostのような軽量な選択肢で十分な場合もあるため、どのような位置づけでベアメタルサービスを使うのかを事前に検討することが重要です。
まとめ:Azureのベアメタルクラウドサービス
以上ベアメタルについての概要とAzureにおけるベアメタルクラウドサービスの紹介をしました。ベアメタルサービスは普通のパブリッククラウドよりも費用がかさみますし、ベアメタル以外にもプライベートクラウドを使用することで解決することもあるかもしれません。どのような位置づけでベアメタルクラウドサービスを使用するのかを検討することが大事でしょう。
AWSはベアメタルクラウドを先行して導入していただけあって他社に比べて充実しています。GCPも負けじとサービスの拡充を行っており、Azureも従来のAzure VMware Solution・SAP on Azureに加えて、Azure BareMetal Infrastructureという新たなサービス群を展開するなど、各社の差別化が続いています。
この記事のポイント:
- ベアメタルクラウドは、クラウド内で専有の物理サーバを利用できるサービス
- Azureでは「独自OSを自由に構築できる汎用ベアメタル」はまだ提供されておらず、対応ワークロードが限定されている
- Azure VMware Solutionはオンプレミスのvsphere環境をそのままクラウド化したい場合に有効
- 従来のベアメタル型SAP HANA on Azure Large Instancesは2025年12月末で終了し、現在は認定仮想マシンへの移行が案内されている
- Oracle・Nutanix(NC2)・Qumulo・HPC向けにはAzure BareMetal Infrastructureという新しい選択肢がある
- 完全に自由な物理サーバが必要な場合はAWSのEC2ベアメタルインスタンスも選択肢に入る
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