Azureで法人契約をしていく前に知っておくべきこと
最終更新日:2026年8月7日
1. はじめに
| 項目 | Microsoft Azure | AWS | Google Cloud |
|---|---|---|---|
| シェア(国内) | 約30% | 約35% | 約15% |
| 強み | Microsoft製品連携 | サービス数・実績 | データ分析・AI |
| 無料枠 | 12ヶ月無料 | 12ヶ月無料 | 常時無料枠あり |
| 主な資格 | AZ-900 / AZ-104 | CLF / SAA | ACE / PCA |

これから先、企業の規模、業種業界を問わずして「ビジネスニーズ」に適したクラウドサービスの契約を取り付け、業務の一部として導入をしていくでしょう。例えば、マイクロソフト社が提供しているクラウドサービスである「Azure」で法人契約を申し込もうにも、まずは「Azure」の契約形態そのものについて知っておく必要があります。もし無知のまま契約を見誤ってしまったあとでは取り返しのつかない事になりかねません。当記事では、Azureで法人契約を進めていくにあたって知っておくべきことについてご紹介していきます。
この記事でわかること
2. Azureの契約形態

要最新確認:Microsoftのライセンス・契約プログラムは名称や提供条件が随時見直されており、旧来のOpenライセンス系プログラムはCSP等へ移行が進められる傾向にあります。実際に契約を検討する際は、以下の分類を大枠の参考としつつ、必ずMicrosoft社または正規パートナーに現行の契約形態・条件を確認してください。
2-1. 契約形態は複数に分けられる
Azureの導入を検討するにあたり、サービス側がAzureの利用に伴って用意している主な契約形態は以下の通りです。
Azure EA
「Azure EA」の「EA」とは「Enterprise Agreement(エンタープライズ)」契約を指しており、主に各会社が全社単位で利用契約を結ぶ契約形態になります。基本的に1社ごとに1契約を取り、契約期間は3年で支払いは年に1回行われます。支払金額は使った分だけを支払う従量課金制ではなく、あらかじめ契約時に定められた金額を支払う方法を採用しています。また、契約利用範囲を超過するような利用があった場合、追加料金の支払いが発生します。
Azure CSP
「Azure CSP」の「CSP」とは、「Cloud Solution Provider(クラウドソリューションプロバイダー)」、つまり仲介を通し、EAと同じく1社1契約という形をとった契約形式になります。プロバイダーとなる仲介は主に「Directパートナー」もしくは「Indirectパートナーからリセラー」を通す2パターンとなります。前者ではマイクロソフト社が「Azureを運用・管理できる技術を持っている」ことを認めた企業が仲介となって利用サイドと契約を取ります。後者では、「Indirectパートナー」が技術的なコンサルティング・構築を、「リセラー」は顧客情報や課金請求などの業務をそれぞれ分担して、利用サイドと契約を取っていきます。こちらでは翌月毎に請求書を発行して、使用した分だけ支払う従量課金制を支払い方法として採用しています。
Azure Open(オープンプラン系)
Azureのリセラーを通して法人が購入する、小規模なAzure利用を検討している企業向けの契約形態です。有効期限が設けられており、契約を開始したその日からではなく「Azure Portal」にキーを投入したその日から数える点が特徴です。前述の通り、Openライセンス系プログラムはCSP等へ移行が進む傾向にあるため、現在の取り扱い状況は必ず最新情報を確認してください。
Azure MOSP
「Azure MOSP(Microsoft Online Subscription Program)」とは、Webを通してAzureのサブスクリプションを開設し、利用しているクレジットカードの登録をする契約形式です。初回契約でサブスクリプションを開設する際に、クレジットカードの登録が必須です。登録後に請求書払いへの変更ができる場合もありますが、請求書払いでは一部サービスへの課金ができないことがあります。
Azureの契約形態について概要を含めてご紹介すると、上記のような形になります。一般に上に挙げたものほど規模の大きい企業向けの契約形態となり、逆に下へ行くほどベンチャー、あるいは中小企業向けの契約形態となる傾向があります。どの契約に従ってAzureを利用していくかの1つの目安として参考にすることができます。
3. 個人/法人での違い
上項にてAzureが設けている主な契約形態についてご紹介しました。その中には法人でしか契約できないものがあれば、個人および法人の両方ともに購入できるプランがあります。前者でしか契約できないものは、EAやCSP、オープンプランなど、社内外で作業を要するに向いているものばかりです。一方の後者は使用した分だけ課金といったように個人利用およびWebから直接申し込めるなど使い勝手に優れた「従量課金プラン」が存在します。こちらはユーザー単位で課金されるため、個人で利用したい場合、最もコスト面でも最適なAzureの利用ができます。
またAzureにログインする際に必要となるアカウントは大きく分けて、個人で作成できる「マイクロソフトアカウント(MSアカウント)」と法人利用する際に作成する「組織アカウント」の2つに分けられます。この2種類のアカウントの違いとしては「格納される場所」「認証されるサービス」がそれぞれ異なります。
まずアカウント作成後、格納される場所の違いです。個人でも作成ができる「マイクロソフトアカウント(MSアカウント)」は、会員制のWebサイトのように、アカウント管理のデータベースに格納されます。一方で法人契約をして作成した「組織アカウント」はAzureのサブスクリプション内にある「Microsoft Entra ID」(旧称:Azure Active Directory)というディレクトリサービス内に管理されます。
アカウントの形式が違う場合、マイクロソフトサイドから認証されるサービスにも違いがあります。
マイクロソフトアカウント(MSアカウント)で認証されるサービス例
- Xbox
- Outlook.com
- 個人向けMicrosoft 365(Microsoft 365 Personalなど)
組織アカウントで認証されるサービス例
- Microsoft 365(法人向け)
- Intune
- Dynamics CRM
- そのほか、Microsoft Entra IDを使用して認証できるサービス
個人と法人契約をして作成したアカウントで利用・制御できるサービスをまとめると上記のようになります。Azureを法人利用していく場合、ほかのシステムとのインテグレーションはもちろんのこと、Microsoft 365とのSSOは当然のことながらスコープに入ります。また、組織単位でAzureを利用していくほうが、新入社員向けのAzureの用意や退職者が出た際の処理などのコントロールが容易に行えます。つまり、Azureは個人で利用するよりも法人契約を行い、組織アカウントを用いて利用したほうが得することが多いといえます。
4. 法人契約前後で注意すべきこと

4-1. 法人契約をする前の段取り
Azureの法人契約をしていく前に、社内でこれだけはしておくことがいくつか存在します。
社内向け利用申請書および請求方法
社内でAzureを利用していくにあたり、属する各部署、事業所でも利用を検討する場合があります。利用部署を把握するためにあらかじめ申請書やフローを作成しておくと契約時にどのプランで契約をするかを決める決定打になります。また、部署や事業所あてとなる請求方法を定めておくことも大事です。Azureの利用詳細は基本的に「サブスクリプション単位」で発行されます。よって「1つの部署につき1サブスクリプション」という考えで利用詳細を定めておくと、手間が省けます。そのほか、共有サービスの人数割りなど細々とした計算が発生するため、事前に料金メニュー表のようなものを作成しておくとより作業の段取りがスムーズになります。
ポータル管理とサイト内での命名規則
Azureの管理は責任ある立場となります。部署単位で管理を分散するのか、あるいは一括して管理を行うのか、またサービスの作成者や障害発生時の対応者、課金閲覧者などの役割や責任範囲をポータルサイトにある「RBAC」機能を用いて決めていきましょう。またAzure内で作成するリソースグループや仮想マシンに付ける名前の規則も定めておく必要があります。仮に社内規約において命名規則のようなものが定まっている場合は、そのまま利用する手もあります。
Azureとの接続方法
オンプレミスサイドとAzureの接続においては、「オンプレミス接続」「Azure接続」「オンプレミス間接続」の3つの層に分けて、どの層が要件に最適なパターンであるかを見定めることがネットワーク設計の糸口となります。また接続時の注意として、「VPN Gateway」や「ExpressRoute」ではスタティックNAT設定ができないほか、拠点サイドと重複IPセグメントの付与が行えません。加えてAzure経由で拠点同士の重複も不可能ですが、場合によっては重複をせざるを得ない状況もあります。この問題の解決策としては、拠点サイドに設けるルーターにNAT設定を設けることで解決します。しかし、この問題は極力避けるべき問題でもあります。
セキュリティ面
Azureでの「セキュリティ面」を考えていく上で大切になるのは、「Azure環境でセキュリティポリシー」が満たせられるかという点です。仮にセキュリティポリシーが満たせていない場合はAzureを考慮したセキュリティポリシーを策定するのもありです。その際情報セキュリティの「三要素」である「機密性」「完全性」「可用性」の3つを当てはめていくと明確になってきます。
5. 法人契約後、利用しはじめ後のユーザー権限
法人契約を無事に済ませ、早速Azureを利用していくに当たって必ずやっておくべきことがあります。それは、各ユーザーに設けるアクセス権限の設定です。Azureをはじめとしたクラウドサービスなどの利用において、ユーザーに与える権限管理は、セキュリティ管理の中でも序盤に済ませておくほど大事なことになります。原則として、作業に支障をきたさないレベルかつ最小限の権限を付与するほか、業務上不必要となる権限は付与しないことです。Azureでは「RBAC(Role Based Access Control)」という権限管理機能を用いることで設定を行えますが、以下のビルトインのロールで設定することもできます。
所有者
ほかのユーザーにアクセス権限を委任するだけでなく、すべてのリソースに対するフルアクセス権を有しています。
共同作成者
リソースの作成から管理が行える一方で、他のユーザーに付与するアクセス権を持ち合わせていません。
閲覧者
既存のリソースを表示することができます。
ユーザーアクセス管理者
リソースに対するユーザーアクセスの管理をメインに行います。
この記事のポイント
- Azureの法人契約形態には主にEA・CSP・オープンプラン系・MOSPがあり、企業規模や利用状況に応じて向き不向きがある(ライセンス制度は変更されることがあるため契約前に最新情報の確認が必要)
- 個人アカウント(MSアカウント)と法人の組織アカウントでは、格納場所・認証できるサービスが異なり、法人利用では組織アカウントの活用が推奨される
- 契約前の申請フロー整備・命名規則の策定・接続方式の検討・セキュリティポリシーの確認、契約後のRBACによる最小権限設定が重要
よくある質問
- Q. AzureのEAとCSP、どちらを選ぶべきですか?
- A. 一般的に、大規模かつ長期的な利用が見込まれる場合はEA、パートナー経由できめ細かいサポートを受けながら柔軟に利用したい場合はCSPが向いているとされます。詳細は自社の利用規模や要件に応じてMicrosoftまたはパートナーに相談することをおすすめします。
- Q. 個人アカウントで契約したAzureを後から法人契約に切り替えられますか?
- A. アカウントの種類やサブスクリプションの移行方法によって対応可否・手順が異なるため、切り替えを検討する場合はMicrosoftサポートまたはパートナーに確認することをおすすめします。
- Q. RBACの権限設定は誰が行うべきですか?
- A. Azure環境全体の管理責任者(IT管理者等)が、最小権限の原則に基づいて各ユーザー・部署ごとに設定するのが一般的です。
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6. まとめ

Azureを利用するにあたって、契約プランによって支払い方法や契約先などが変わってきます。法人契約でAzureを導入している企業の大半がEAかCSPのいずれかを選択して契約を交わしています。いずれも契約形態におけるメリット・デメリットが存在します。これらを理解したうえで、契約して快適にAzureを活用していきましょう。
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