Azureの障害への強みと冗長性
最終更新日:2026年8月10日
この記事でわかること
はじめに
| 項目 | Microsoft Azure | AWS | Google Cloud |
|---|---|---|---|
| シェア(国内) | 約30% | 約35% | 約15% |
| 強み | Microsoft製品連携 | サービス数・実績 | データ分析・AI |
| 無料枠 | 12ヶ月無料 | 12ヶ月無料 | 常時無料枠あり |
| 主な資格 | AZ-900 / AZ-104 | CLF / SAA | ACE / PCA |
Microsoft Azure(旧称:Windows Azure)は世界中に多数のリージョンを備え、幅広い国と地域で利用できます。リージョンとは、大規模かつ回復性の高いネットワークを経由して、相互に接続された一連のデータセンターです。
【要注意】
旧称「Windows Azure」は2014年に「Microsoft Azure」へ名称変更されています。また、提供リージョン数・対応国数は年々拡大しているため、具体的な数値は最新のAzure公式サイトでご確認ください。
Azureは他のクラウドサービスと比べデータセンターが多いという強みを持っており、その点データの冗長性、つまり障害時にデータのバックアップを作成する環境にも強みを持っていると言えます。
この記事では、Azureの障害に対する強みを主に冗長性という観点から解説し、障害への耐性のもう一つの概念であり、Azureの強みである可用性についても解説します。
Azureの冗長性
Azureは、耐障害性と冗長性を備えるように設計されており、耐障害性を備えたアプリケーションやサービスを設計・配置できます。ただし、Azure上でアプリケーションを稼働するだけで完全に耐障害性が保証されているわけではなく、Azureの機能・特性を理解した上で適切に設計する必要があります。
Azureのインフラストラクチャは、障害発生時にも運用を継続できるように設計されています。各層でネットワークデバイスの冗長化を行い、各データセンターで2社のインターネットサービスプロバイダーを利用しています。フェールオーバー(プライマリとして通常メインで稼働しているシステムに障害が発生した際に、代替となるシステムに切り替えが行われる処理)は殆どの場合、運用担当者の介入なしに自動で実行され、ネットワーク異常やネットワークの潜在的な問題を検出するために、ネットワーク運用センターで24時間365日常時監視されています。
ローカル冗長ストレージおよび地理的冗長ストレージ
Azureストレージでは、主に以下のような冗長化オプションを提供しています。
- ローカル冗長ストレージ(LRS)
持続性と可用性が強みのストレージを持ち、同一データセンター内で、同じ内容のコピー(レプリカ)を3つ保持します。これにより、一般的な(ディスク、ノード、ラックの)障害が発生した場合は確実に復旧できるようになっています。 - 地理的冗長ストレージ(GRS)
プライマリリージョン内での複製に加え、数百キロメートル離れた地理的に異なるペアリージョンにも非同期でデータを複製し、リージョン全体に影響する大規模障害が発生した場合でもサービスの持続性を高めることができます。例えば、東南アジア(シンガポール)のデータセンターを利用している場合、ペアリージョンである東アジア(香港)のデータセンターに複製が作られます。
このほか、同一リージョン内の複数のアベイラビリティゾーンにまたがって複製するゾーン冗長ストレージ(ZRS)や、GRSにゾーン冗長性を組み合わせたRA-GZRS等の選択肢も用意されています。
データセンターの冗長性
Azureは世界中の複数のデータセンターで稼働しています。データセンター全体に影響が及ぶ壊滅的な障害が発生した場合、バックアップ場所にある別のデータセンターに切り替えて運用し、サービスを継続できます。最初に述べたようにAzureはデータセンターの数が多いため、データセンターの冗長性という観点でも強みをもっていると言えます。
Azureの可用性
企業のITインフラにおいて、高可用性、つまりシステムの障害発生の少なさは必須条件です。ですが、コンピュータはいつか必ず止まります。Azureは、全てのネットワーク機器、サーバ、ストレージなどがロードバランサーの下に複数配置されており、単一障害点のない設計となっています。サーバーに障害があった場合、以下のようなことが自動で行われます。
- サーバー、仮想マシンなどの障害を断定する。
- それをネットワークから切り離す。
- 別のハードウェア上に仮想マシンを構築する。
- ヘルスチェックを行う。
- ネットワーク・ロードバランサーにつなぎ直す。
典型的な障害に関しては、自動で処理されます。Azureで管理されているハードウェア、ネットワーク、ストレージ、OSなどの各レイヤーごとに管理・監視されています。
PaaSになれば、例えば、ミドルウェアであるSQL Serverの管理・監視までマイクロソフトが対応します。IaaSの場合は、OS部分の詳細までは関知しませんが、ハードウェアから下のレイヤーには対応します。IaaSとPaaSでは、対応するサポート範囲に違いは出てきます。
重要な点は、人を介さずに自動的に行われているという事です。それによって正確に同じ作業を行う事ができます。もちろん、全ての障害対応が自動化できるわけではないので、クラウドの中でも、運用のエンジニアは重要です。ですが障害対応の全てを人がやる必要性はなくなっている、という事です。
可用性の高いシステムを構築するには、①個々のパーツレベルでの冗長化を高め、耐障害性に優れた部品を選択する、②並列に並べたサーバー上のアプリケーションで可用性を担保しながら分散処理を行う(スケールアウト)という2つの方向性があります。
可用性セット
可用性を高める上での具体的な例として、Azureでは可用性セットという概念があります。データセンターのラックの中に電源ユニットなどの物理ハードウェアが数多く設置されています。可用性セット内に複数のサーバーを置くという設定をすると、仮想マシンを作った時に電源障害などの単一障害点を避けて配置されます。
つまり、別のラックに配置されるといった事になります。IaaSの場合でも2つ以上のサーバーを可用性セットの中に設定することできます。ちなみに、AzureのIaaSでは、可用性セットを採用する事で、稼働率としてSLA:99.95%となっています。この稼働率の高さも他サービスと比較しての強みと言えます。なお、複数のデータセンターにまたがるアベイラビリティゾーンを組み合わせることで、さらに高い稼働率(SLA:99.99%)を目指すことも可能です。
押さえておきたいポイント
- Azureは各層でのネットワーク機器冗長化、複数ISPの利用、24時間365日のネットワーク運用センターによる監視によって、障害発生時も自動的にフェールオーバーする設計になっている。
- ストレージにはローカル冗長ストレージ(LRS)・地理的冗長ストレージ(GRS)・ゾーン冗長ストレージ(ZRS)など複数の冗長化オプションがあり、想定する障害の規模やコストに応じて選択できる。
- 可用性セットを利用することでSLA99.95%の稼働率を実現でき、さらにアベイラビリティゾーンを組み合わせることでSLA99.99%まで高めることも可能。ただし自動化される障害対応にも限界があるため、アプリケーション側の冗長設計も重要。
よくある質問
Q. Azureの「冗長性」と「可用性」はどう違うのですか?
冗長性は、データやシステムの複製を用意しておき、障害発生時にも失われないようにする仕組みを指します。一方、可用性はシステム全体が継続して稼働し続けられる度合いを指す概念です。両者は密接に関連しており、適切な冗長化設計を行うことで結果的に高い可用性を実現できます。
Q. ローカル冗長ストレージ(LRS)と地理的冗長ストレージ(GRS)はどちらを選ぶべきですか?
コストを抑えつつ、同一データセンター内で起こりうる一般的な障害(ディスク・ノード・ラック障害等)に備えたい場合はLRSが適しています。リージョン全体に影響するような大規模災害にも備えたい場合は、ペアリージョンへの複製が行われるGRSを検討してください。要件と予算に応じて選択するのがポイントです。
Q. 可用性セットを設定するだけで障害対応はすべて自動化されますか?
典型的なハードウェア障害についてはAzure側で自動的に検知・復旧が行われますが、アプリケーションの設計やスケールアウト構成など、利用者側で考慮すべき点も残ります。可用性セットやアベイラビリティゾーンの設定だけに頼らず、システム全体としての冗長設計を検討することが重要です。
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