Azureにおけるパフォーマンスの可視化とその役割
最終更新日:2026年8月12日
1. 概要

1-1. 監視ツール
クラウド上で稼働している仮想マシンや、アプリケーション、ネットワークの運用において、正常かつ効率的に稼働をしているかの監視を常に行う必要性があります。それはAzureも例外ではありません。
Azureでは「Azure Monitor」と呼ばれる監視ツールが稼働の監視を行っています。
「Azure Monitor」とは、Azure上で構築したクラウドとオンプレミス利用に関する統計情報を収集して障害発生を防ぎます。また、適切なスケーリングを行い、システムの安定性の確保、ネットワークの状況監視して問題点の発見を行うと同時にパフォーマンスの改善をも行っています。
2. 構成と役割

2-1. Azure Monitorの構成
Azure Monitorは以下2つの形態で収集したデータを用いた機能を有しています。
| 分類 | データリソースの例 |
|---|---|
| IaaS系 | 仮想マシンのメモリやディスク容量など |
| オペレーティングシステム | |
| PaaS系 | アプリケーション |
| サブスクリプション | |
| テナント(複数ユーザー間の共有状態)など |
2-2. 各形態のデータ検出
- 1. IaaS系
「Azure Monitor for VMs(現:VM insights)」を利用してインフラストラクチャーデータの検出を行います。
- 2. PaaS系
「Azure Application Insights」と「Azure Monitor for Containers(現:Container insights)」を利用してアプリケーションのデータを検出します。
2-3. 運用の対応
運用時の対応には「Log Analytics」を利用します。
「Log Analytics」とは、運用時のトラブルシューティングや正常状態を診断、分析を行います。また、アプリケーションの運用には機械学習アルゴリズムで自動作成される「スマートグループのアラート」、「自動化アクション」によるサポートによって運用負荷を軽減します。
2-4. 全体的機能
| 機能 | 機能詳細 | 解説 |
|---|---|---|
| Insight(洞察) | 仮想マシン(VM)の監視による洞察 | 様々なプロセスやリソースおよび、外部プロセスに対しての相互接続された依存関係など、各OSが設定された仮想マシンのパフォーマンスと正常性の分析が行われます。 |
| アプリケーション、コンテナーの監視による洞察 | 「Application Insights」はクラウドとオンプレミスのどちらでホストされていても、webアプリケーションの可用性、パフォーマンス等を監視します。一方でコンテナー向けは「Azure Kubernetes Service(AKS)」でコンテナーワークロードのパフォーマンスを監視します。API経由でメモリやプロセッサメトリックを収集することで可視化します。 | |
| 監視結果によるソリューション支援 | 特定のアプリケーションやサービスに関する洞察を提供するロジックを1つにまとめます。 |
| 機能 | 機能詳細 | 解説 |
|---|---|---|
| Visualize(可視化) | ダッシュボードによる可視化 | ダッシュボードを利用することでメトリックとログを含む種類のデータを組み合わせてportal内のウィンドウに表示し、可視化します。 |
| カスタムビューによる可視化 | ビューは、ログデータを視覚的に表現します。ビューにはそれぞれ単一のタイルが含まれているため、ドリルダウンすることで重要なデータを集約したリストの表示やグラフによる視覚的表現が可能です。 | |
| Power BIによる可視化 | さまざまなデータソースを対話操作で視覚化するビジネス分析サービスで、組織内外のユーザーとデータを効率的に共有できます。 | |
| ブックによる可視化 | レポートのニーズに合わせてさまざまなスタイルの可視化がサポートされています。 |
| 機能 | 機能詳細 | 解説 |
|---|---|---|
| Analyze(分析) | メトリックの分析 | 定期的に収集される特定の時点のシステム状況のことです。使用することで、シンプルなロジックで迅速にアラートの生成が行えます。 |
| ログの分析 | メトリックのデータは数値として表示します。一方でログはデータの詳細説明のテキストを追加して、他のデータと合わせて活用できます。 |
| 機能 | 機能詳細 | 解説 |
|---|---|---|
| Respond(対応) | アラートの発行 | Azureの分析プラットフォームはユーザーへのアラート発信の基盤として使用できます。 |
| スケーリング等の自動化 | 適切な量のリソースを実行してアプリケーションにかかる負荷の処理やリソース追加による負荷増加に対応し、アイドル状態のリソースを削除して経費の節約につなげます。 |
| 機能 | 機能詳細 | 解説 |
|---|---|---|
| Integrate(統合) | Logic Apps | さまざまなシステム、サービスと統合されたワークフローを使用して、タスクやビジネスプロセスの自動化ができるサービスです。 |
| APIへのエクスポート | メトリックとログの読み書き、生成されたアラートへのアクセスに複数のAPIが利用でき、構成や取得も可能です。 |
3. 視覚的な洞察機能

3-1. 3つの重要機能
「Monitor」によって収集したデータを可視化し、KPI(重要業績評価指標)に統合したパフォーマンスを発揮しているかを視覚的に洞察します。以下はその中でも重要なものになります。
- 1. Azure Application Insights
webアプリケーションのパフォーマンス管理機能で、主に使用状況のモニタリングを行っており、障害に対して高い可用性の維持とパフォーマンスを最大限発揮します。
特長はオンプレミス、クラウド、ハイブリッドクラウド等にアプリケーションがホストされていても場所を問わないことや、.NET、Java EE等のプラットフォームで機能することです。
異常を検知する機能は、インストルメンテーションパッケージをwebアプリケーションにインストールしておくことでテレメトリデータを収集します。また、バックグラウンドのコンポーネントやwebページ中のJavaScriptの監視も可能です。
収集したデータはシンプルかつスマート検出と手動アラートのほかに、アプリケーションマップ、メトリックエクスプローラー等によるライブメトリックスストリーム等のグラフィカルな表示方法があります。それらをダッシュボードで複数のデータと組み合わせてチーム内で共有することが可能です。
- 2. Azure Monitor for Containers(現:Container insights)
コンテナー化によるアプリケーションのデプロイと管理を行う「Azure Kubernetes Service(AKS)」の監視機能です。
特長はオープンソースによるコンテナー化のデプロイやスケーリング運用を自動化するツールである点です。開発チームと運用チームを連携させ、継続的なインテグレーションとデプロイを行うことで、エンタープライズの開発レベルを迅速化させます。
パフォーマンスの把握には、「Kubernetes」のコントローラー、ノード、コンテナーからメトリックならびにログを収集して行います。収集は、コンテナー化したLinux向けの監視エージェントを使用することで自動的に集めます。
- 3. Azure Monitor for VMs(現:VM insights)
IaaS系の監視ツールとして仮想マシンやネットワークの状態を監視する機能です。
特長はAzure上の各種OSの仮想マシンのパフォーマンスだけではなく、外部のオンプレミスや別クラウドの監視サポートも行っています。
また、アプリケーションのパフォーマンスと可用性の予測が可能であり、障害の早期発見やパフォーマンスを最大限発揮させるためにボトルネックの検証やネットワークの問題をサービス全体で把握します。
問題発生時はメインの仮想マシン以外のオンプレミスや他に利用しているクラウドと関連しているかの確認をします。
- 「Azure Monitor for VMs」は現在「VM insights」、「Azure Monitor for Containers」は現在「Container insights」という名称に変更されています(いずれもAzure Monitorの「Insights」機能群として提供されており、基本的な役割は本記事の説明と同様です)。Azureポータルやドキュメントを参照する際は新名称で検索してください。
- データ収集エージェントとして案内されていた「Log Analyticsエージェント(MMA/OMSエージェント)」はレガシー化しており、2024年8月31日にサポート終了しています。現在は後継の「Azure Monitorエージェント(AMA)」への移行が案内されているため、未移行の環境は移行を検討してください。
押さえておきたいポイント
- Azure Monitorは、仮想マシン(IaaS系)とアプリケーション(PaaS系)の両方を対象に、統計情報の収集から障害予防、スケーリング、パフォーマンス改善までを担う統合監視基盤です。
- 機能は「Insight(洞察)」「Visualize(可視化)」「Analyze(分析)」「Respond(対応)」「Integrate(統合)」の5つに整理でき、それぞれ役割が異なります。
- 仮想マシン監視・コンテナー監視の機能は、それぞれ「VM insights」「Container insights」という名称に変更されているため、最新情報を確認する際は新名称で調べる必要があります。
- データ収集の基盤となるエージェントもレガシー版(Log Analyticsエージェント)から「Azure Monitorエージェント(AMA)」への移行が進んでいるため、既存環境の構成確認が推奨されます。
よくある質問
Q. Azure Monitorとは何ですか?
Azure上で稼働する仮想マシンやアプリケーション、ネットワークなどのリソースを対象に、統計情報の収集・分析を行い、障害の予防やパフォーマンス改善、適切なスケーリングを支援するAzureの統合監視サービスです。IaaS系・PaaS系のいずれのリソースにも対応しています。
Q. 「Azure Monitor for VMs」「Azure Monitor for Containers」は今も使えますか?
機能自体は引き続き利用できますが、現在はそれぞれ「VM insights」「Container insights」という名称に変更されています。ポータルやMicrosoft公式ドキュメントを参照する場合は、新しい名称で検索するようにしてください。
Q. 監視データの収集にはどのようなエージェントを使いますか?
従来は「Log Analyticsエージェント(MMA/OMSエージェント)」が使われていましたが、このレガシーエージェントは2024年8月31日にサポートが終了しています。現在は後継の「Azure Monitorエージェント(AMA)」の利用が案内されているため、既存環境で旧エージェントを使用している場合は移行を検討してください。
4. まとめ

「パフォーマンス」の低下は作業効率を下げるだけでなく、顧客満足度の損失を招くきっかけになりかねません。低下させないためにも常に監視して正常値での稼働が検出できるように問題解決に対応しておくことが大事です。
Azure Monitorを活用することで監視や問題解決の自動化によって柔軟なスケーリングが実現し、運用する上での負荷軽減等のメリットがあります。
この記事のポイント:
- Azure MonitorはIaaS系・PaaS系両方のリソースを対象にした統合監視サービス
- 「Insight/Visualize/Analyze/Respond/Integrate」の5機能で監視から対応・自動化までを一貫してカバー
- 「Azure Monitor for VMs」「Azure Monitor for Containers」は現在「VM insights」「Container insights」に名称変更されている
- データ収集エージェントはレガシー版(Log Analyticsエージェント)から「Azure Monitorエージェント(AMA)」への移行が推奨されている
▼ アクロビジョンについて


