金融機関で採用されるAzureの魅力とは?

最終更新日:2026年8月12日

◎はじめに

項目 Microsoft Azure AWS Google Cloud
シェア(国内) 約30% 約35% 約15%
強み Microsoft製品連携 サービス数・実績 データ分析・AI
無料枠 12ヶ月無料 12ヶ月無料 常時無料枠あり
主な資格 AZ-900 / AZ-104 CLF / SAA ACE / PCA

近年クラウドサービスを活用する動きが業種問わず加速してきています。それは金融機関も例外ではなく、ITによる低コストかつスピーディーといった大きな変革を求められています。そんな中で世界中で使われているクラウドサービス「Microsoft Azure」(以下Azure)が注目され、実際に使用されている事例も多く聞きます。そこで今回は金融機関に採用されるAzureの魅力とその事例についてご紹介します。

◎金融機関に採用されるAzureの魅力とは?

金融機関におけるAzureの採用は年々加速しています。現に金融の分野では、Amazon社のクラウドであるAWSと並ぶ有力な選択肢として利用が広がっています。また日本マイクロソフトは金融機関向けのデジタルトランスフォーメーション支援に継続的に力を注いでおり、金融分野への取り組みを強化していることも分かります。そんな中で何故Azureが採用されているのか、その魅力について詳しくみていきます。

◯Azureのセキュリティなどの観点から評価

生命保険や銀行といった金融機関にとって、Azureの導入が加速している理由の一つにセキュリティ面が挙げられます。セキュリティにおいてとても重要になる要素が3つあります。それが「機密性・完全性・可用性」です。金融機関では個人情報をたくさん取り扱うためセキュリティ面がとても重要です。その中でAzureのサービスのセキュリティの高さが評価され、使用される頻度も高くなったというのが主な理由として考えられます。では具体的に、Azureのセキュリティの「機密性・完全性・可用性」の観点から詳しくみてみます。

【機密性・完全性:Microsoft Entra ID(旧Azure AD)によるID管理サービス】

⚠️ サービス名称の変更について:「Azure Active Directory(Azure AD)」は2023年に「Microsoft Entra ID」へ改称されています。機能・料金体系は基本的に引き継がれていますが、Azureポータルや公式ドキュメント上の表記は現在すべて「Microsoft Entra ID」に統一されているため、社内での呼称や資料作成の際はご注意ください。

機密性とは、大まかに言うとその情報を知る必要があるユーザーのみがデータにアクセス出来る事です。また完全性とは、データが全て揃っていて欠陥や不整合がないことを保証することを言います。その機密性を維持しているサービスとして、Microsoft Entra ID(旧Azure AD)があります。

Microsoft Entra ID(旧称:Azure Active Directory/Azure AD)とは、クラウドベースの認証サービスを提供しているサービスになります。クラウド上にある様々なアプリケーションをMicrosoft Entra IDに登録する事で、クラウドサービスのアカウントを一元的に管理する事が出来ます。機能としてはID管理機能やアプリケーションアクセス制限機能など、情報を知る必要があるユーザーのみがデータにアクセスしたり認証を一元的に管理する事が可能です。このサービスを使う事で機密性を維持するのに最適な製品となっています。

【可用性: 国内2つのリージョンによるサービス提供】

可用性とは、システムが安定的に稼働しデータがいつでも参照できることを言います。その可用性を維持できる一つの要素としてAzureのリージョンが大きく関わっています。日本国内にはリージョンが2つあり、それぞれ東日本リージョンと西日本リージョンがあります。リージョンが2カ所あることでBCP(事業継続計画)対策にとても有効です。

BCP(事業継続計画)対策とは、企業が災害やハッキングなどの緊急事態に遭遇した時に損害を最小限に抑えて事業を行ったり、早期復旧させたりするための計画のことをいいます。リージョンの構成を活用して、アプリケーションやデータを複数のリージョンで作成しておくことで、事業再開までの復旧時間を短縮することが出来ます。

◎金融機関での事例

では具体的に、金融機関ではどのようにAzureを利用したサービスが使われているのかをご紹介します。

◯ 株式会社沖縄銀行

株式会社沖縄銀行(以降沖縄銀行)では、モバイルアプリの利用を促進しています。その例が「おきぎん Smart」です。「おきぎん Smart」は、自身の口座間で振替や他ユーザーの口座への送金に対応したスマートフォン向けのアプリになります。利用者は順調に増え続けており、銀行の窓口に頻繁にいけないユーザーにとって効果的なサービスになっています。このようなモバイルアプリの利用増で増加したデータを有効活用するために、データ分析基盤のクラウド移行の構築が重要であるとの考えで、Azureを使われています。

【Azureを採用したメリット】

沖縄銀行がAzureを採用した理由として以下のことを挙げられています。

・Power BIのレポートのバリエーション

・大量のデータを高速に処理できること

またオンプレミス環境のデータ分析基盤には、膨大な入出金情報を処理するインターフェイスが大変です。しかし、状況に応じてパフォーマンスを調整できる「オートスケール機能」などを備えたAzureがとても有効な選択肢となりました。先程ご紹介したセキュリティ面でも安全な認証を実現できるMicrosoft Entra ID(旧Azure AD)や、閉域網を利用するExpressRouteなどを組み合わせることで効果的なシステム構築に貢献する事が出来たとのことです。

◯ 三井住友海上火災保険株式会社

不正な保険金請求を効率的に検知し、多くの顧客からの正当な保険金請求への迅速な支払いを可能とすることは保険業界の課題の1つになります。そんな中、三井住友海上火災保険株式会社は不正検出ソリューション「FORCE(フォース)」を導入しました。

【システム:FORCE(フォース)】

「FORCE」は保険の不正請求の検知に特化したAzureをプラットフォームとするクラウドサービスです。損害保険・生命保険会社の過去の保険金請求データをAIで分析・学習し、不正を判断するためのシナリオを作成します。そしてそのシナリオ基に請求データをチェックし疑がれる案件を発見した場合は、速やかに担当者にアラートを送信する仕組みになっています。

【Azureを採用したメリット】

Azureを採用した理由として以下のことを挙げられています。

・簡単かつ低コストで導入できる

・運用後も業務の要請に応じた機能の実現

クラウド上でシステム開発を行い、基幹システムと連携することで今後不正検知だけでなくその時々の業務に柔軟に対応する事が出来るAzureは、とても有効なクラウドサービスとなっています。

押さえておきたいポイント

この記事の要点:

  • 金融機関がAzureを採用する主な理由は「機密性・完全性・可用性」というセキュリティ3要素への対応力の高さ
  • ID・アクセス管理の中核サービスは、旧「Azure AD」から改称された「Microsoft Entra ID」が担う
  • 国内東日本・西日本の2リージョン構成により、BCP(事業継続計画)対策として高い可用性を確保できる
  • 沖縄銀行や三井住友海上火災保険のように、データ分析基盤や不正検知ソリューションなど幅広い業務領域で実導入が進んでいる
  • ExpressRouteなどの閉域網接続と組み合わせることで、金融機関特有の高セキュリティ要件にも対応しやすい

よくある質問(FAQ)

Q. 「Azure AD」と「Microsoft Entra ID」は同じサービスですか?

はい、同一サービスです。Azure Active Directory(Azure AD)は2023年に「Microsoft Entra ID」へ改称されました。従来のID管理・シングルサインオン・多要素認証といった機能はそのまま引き継がれており、名称のみが変更されています。既存の資料やシステム連携先で「Azure AD」という表記を見かけた場合も、現行の「Microsoft Entra ID」と読み替えて差し支えありません。

Q. 金融機関がAzureを選ぶ際、AWSなど他のクラウドと比べてどこを重視すべきですか?

本文でご紹介した「機密性・完全性・可用性」の3要素に加え、既存のオンプレミス環境(Active Directoryなど)との親和性、閉域網接続(ExpressRoute)の利用有無、金融機関向けの認定・準拠状況などを総合的に比較することが重要です。自社のシステム構成やコンプライアンス要件によって最適な選択は異なるため、複数のクラウドサービスを機能面・コスト面から比較検討することをおすすめします。

Q. Azureの導入を検討する際、まず何から始めればよいですか?

まずは自社のどの業務・データ基盤をクラウド化したいのか目的を明確にし、既存システムとの連携要件やセキュリティ要件を整理することが第一歩です。その上で、Microsoft Entra IDによるID管理やリージョン構成といった基盤部分の設計を検討し、必要に応じて専門ベンダーへの相談やPoC(概念実証)を行うと、導入後のミスマッチを防ぎやすくなります。

◎まとめ

金融機関に採用されるAzureの魅力とまたその事例についてご紹介しました。IT化が進む中Azureといったクラウドサービスを利用することは、大きな変革になることでしょう。Azureも他のメリットやデメリットが存在するので、是非この際にAzureに興味を持って調べてみてください。

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