Azureでの冗長化を実現させる「可用性ゾーン」
最終更新日:2026年8月12日
1. 概要
| 項目 | Microsoft Azure | AWS | Google Cloud |
|---|---|---|---|
| シェア(国内) | 約30% | 約35% | 約15% |
| 強み | Microsoft製品連携 | サービス数・実績 | データ分析・AI |
| 無料枠 | 12ヶ月無料 | 12ヶ月無料 | 常時無料枠あり |
| 主な資格 | AZ-900 / AZ-104 | CLF / SAA | ACE / PCA |

1-1. リージョン
「リージョン」とは、データセンターを設置している独立したエリアのことを指します。
1-2. 可用性ゾーン
「可用性ゾーン」とは、「Azure リージョン」内で物理的場所であるデータセンターで起きる障害に対して高可用性のサービスを提供しています。
「可用性ゾーン(Availability zones)」は「リージョン」内における一意の物理的な場所を指します。ゾーンは独立した電源や冷却手段、ネットワークを備えた1つまたは複数の「データセンター」で構成されています。障害発生時の回復性を確保するため、対応リージョンにはいずれも最低3つのゾーンが別々に存在します。可用性ゾーンは1つのリージョン内で物理的に分離しているため、障害が発生してもアプリケーションやデータの保護が可能です。
2. 可用性ゾーンの特徴

2-1. ドメインの組み合わせ
リージョン内における「可用性ゾーン」は障害ドメインと更新ドメインの2つのドメインを組み合わせたものです。
「障害ドメイン」とは、電源とネットワークスイッチを共有する仮想マシンのグループを定義しています。つまり、1つの障害ドメイン上で動作する仮想マシンは電源・ネットワークスイッチが共有された状態にあるため、物理的な障害発生時には一斉に停止する可能性があるということになります。
「更新ドメイン」とは、Azureホストに対するアップデートを同時に実行する範囲を定義します。冗長化している2台の仮想マシンが同一の更新ドメイン上で動作している場合、2台の仮想マシンはメンテナンスで一緒に再起動する可能性があります。
2-2. 高可用性の構築
「高可用性」をアプリケーションに構築する場合、コンピューティング、ストレージ、ネットワーク、データリソースを1つのゾーンに併置して、他のゾーンとレプリケートします。これにより、複数のゾーンのうち一方が故障したとしても、もう一方が稼働してサービスを提供できるため、可用性を高められます。
2-3. サポートされるサービス
「可用性ゾーン(Availability zones)」をサポートしているサービスは以下のカテゴリに分類されます。
- ゾーンサービス
特定のゾーンにリソースがピン留めされます。該当するのは「仮想マシン、マネージドディスク、Standard SKUのパブリックIPアドレス」等です。 - ゾーン冗長サービス
複数のゾーンにわたって、Azureプラットフォームが自動的にレプリケートするサービスです。該当するのは「ゾーン冗長ストレージやAzure SQL Database」等になります。
3. ゾーン冗長仮想ネットワークゲートウェイ

3-1. ゲートウェイの概要
「ゲートウェイ」とは、異なるネットワーク同士を接続するためのネットワーク機器のことです。他のネットワークと通信する際に必ず通らなければならない「接続ポイント」の役割を担っています。
3-2. ゲートウェイの種類
接続ポイントであるゲートウェイには以下2つの種類があります。
- VPNゲートウェイ
「VPN」を使用して、パブリックインターネットでトラフィックを暗号化して送信します。サイト間、VNet間、ポイント対サイト接続のいずれの接続でもVPNゲートウェイを使用します。 - ExpressRouteゲートウェイ
「ExpressRoute」を使用して、プライベート接続でネットワークトラフィックを送信します。ExpressRouteの構成時に使用するゲートウェイです。
3-3. ゲートウェイのデプロイ
可用性ゾーンは、上記で紹介した2種類のゲートウェイをデプロイし、仮想ネットワークゲートウェイに回復性、スケーラビリティ、高可用性を提供します。これにより、オンプレミスネットワークからAzureへの接続をゾーンレベルの障害から保護できるだけでなく、ゲートウェイを1つのリージョン内に分離できます。
3-4. 可用性ゾーンにわたるゲートウェイ
- ゾーン冗長ゲートウェイ
複数の可用性ゾーンを使用して、仮想ネットワークゲートウェイを自動的にデプロイする際に使用します。メリットは、Azure上のミッションクリティカルかつスケーラブルなサービスへのアクセスにおけるゾーンの回復性です。 - ゾーンゲートウェイ
特定のゾーンにゲートウェイをデプロイする際に使用します。使用した場合、すべてのゲートウェイインスタンスが同一の可用性ゾーンにデプロイされます。
3-5. SKU
- ゲートウェイSKU
ゾーン冗長ゲートウェイとゾーンゲートウェイは、新しいゲートウェイとして使用することが可能です。これらのSKUは、VPNやExpressRouteの既存SKUに似ていますが、ゾーン冗長ゲートウェイとゾーンゲートウェイに固有である点で異なるため、SKU名に含まれる「AZ」で識別します。 - パブリックIPのSKU
いずれのゲートウェイも「Azure パブリックIPリソース」のSKUに依存しています。リソースの構成により、デプロイするゲートウェイがゾーン冗長・ゾーン・リージョンのいずれになるかが決まります。- ゾーン冗長ゲートウェイ:ゾーンを指定せず、Standardパブリック IP SKUを使用してパブリックIPアドレスを作成した場合。VPNかExpressRouteのどちらのゲートウェイかによって動作が異なります。
- VPNの場合、2つのゲートウェイインスタンスが3つのゾーンのうち2つにデプロイされ、ゾーン冗長性が提供されます。
- ExpressRouteの場合、3つ以上のインスタンスを作成でき、ゲートウェイは3つのゾーンを行き来できます。
- ゾーンゲートウェイ:Standardパブリック IP SKUを使用してIPアドレスを作成し、ゾーンを1つ・2つ、あるいは複数指定した場合。すべてのゲートウェイインスタンスが同一のゾーンにデプロイされます。
- リージョンゲートウェイ:Basicパブリック IP SKUを使用してIPアドレスを作成した場合。ゲートウェイはリージョンゲートウェイとしてデプロイされ、ゾーン冗長性は組み込まれません。
- ゾーン冗長ゲートウェイ:ゾーンを指定せず、Standardパブリック IP SKUを使用してパブリックIPアドレスを作成した場合。VPNかExpressRouteのどちらのゲートウェイかによって動作が異なります。
押さえておきたいポイント
- 可用性ゾーンは1つのリージョン内にある独立したデータセンター群で、対応リージョンには最低3つのゾーンが物理的に分離して存在するため、単一の障害がシステム全体に波及しにくい。
- 「障害ドメイン」と「更新ドメイン」の組み合わせにより、電源・ネットワーク障害時の同時停止や、メンテナンス時の同時再起動のリスクを抑える設計になっている。
- 仮想ネットワークゲートウェイもゾーン冗長ゲートウェイとしてデプロイすることで、ゾーン障害からオンプレミス接続を保護できる。
よくある質問
Q. リージョンと可用性ゾーンの違いは何ですか?
リージョンはデータセンターが設置されている地理的なエリア全体を指し、可用性ゾーンはそのリージョン内にある物理的に独立したデータセンター群を指します。1つのリージョンの中に、通常は複数の可用性ゾーンが存在する関係になります。
Q. すべてのAzureサービスが可用性ゾーンに対応していますか?
いいえ、対応状況はサービスやリージョンによって異なります。特定のゾーンにリソースがピン留めされる「ゾーンサービス」と、複数ゾーンに自動でレプリケートされる「ゾーン冗長サービス」に大別されるため、利用前にAzure公式サイトで対象サービス・対象リージョンの対応状況を確認することをおすすめします。
Q. 可用性ゾーンを利用すると料金は高くなりますか?
ゾーンをまたいだ冗長構成にする場合、リソースの複製やゾーン間のデータ転送などにより追加の費用が発生することがあります。具体的な料金はサービス内容やリージョンによって変動するため、最新料金はAzure公式サイトでご確認ください。
まとめ

Azureは世界中にある複数のデータセンターで運用されており、それを「リージョン」という単位で地理的な地域に区分して各ユーザーに提供しています。
今回取り上げた「可用性ゾーン(Availability Zones)」は、リージョン内のデータセンターを3つ以上の区域に分けたうえで、システムを単純に「バックアップ」するのではなく、レプリケーション、つまり「複製」という形で物理的障害に対応する仕組みです。
この記事のポイント:
- 可用性ゾーンはリージョン内の独立したデータセンター群で構成され、最低3つのゾーンが物理的に分離している
- 障害ドメイン・更新ドメインの組み合わせにより、同時停止・同時再起動のリスクを軽減する
- ゾーン冗長ゲートウェイを使えば、仮想ネットワークゲートウェイもゾーン障害から保護できる
- すべてのサービスが可用性ゾーンに対応しているわけではないため、利用前に対応状況を確認する
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