Azure ADの概要とテナント作成の流れ
最終更新日:2026年8月6日
1.はじめに
| 項目 | Microsoft Azure | AWS | Google Cloud |
|---|---|---|---|
| シェア(国内) | 約30% | 約35% | 約15% |
| 強み | Microsoft製品連携 | サービス数・実績 | データ分析・AI |
| 無料枠 | 12ヶ月無料 | 12ヶ月無料 | 常時無料枠あり |
| 主な資格 | AZ-900 / AZ-104 | CLF / SAA | ACE / PCA |
Microsoft社が提供しているクラウドサービスAzureですが、それを利用した機能に[Microsoft Entra ID(旧称:Azure AD/Azure Active Directory)]があります。今回はそのMicrosoft Entra IDの基本的な概要とそれを利用した「テナントの作成」についてご紹介していきます。
本記事執筆時点の「Azure AD」は、その後Microsoft公式により「Microsoft Entra ID」に名称変更されています。機能や概念(テナント等)は継続していますが、Azure Portal上のメニュー表記は現在「Microsoft Entra ID」で検索・操作する形になります。以下、現行名称で解説します。
2.Microsoft Entra IDにおける[テナント]とは
実際にMicrosoft Entra IDを利用し始めると「テナント」という言葉を聞くことがあるのではないでしょうか。
「テナント」という言葉自体はMicrosoft Entra IDを利用していない場合でも聞くことはあるかもしれません。主にビルや建物などの建築関係でしょうか。言葉の意味としては「オフィスやビルなどの賃貸物件を契約して設ける店舗や事務所など」のことを指します。
ではAzure上での「テナント」とはなんでしょうか。公式からは以下のように説明されています。
「Microsoft Entra ID では、ユーザーやアプリなどのオブジェクトを “テナント” と呼ばれるグループにまとめます。 テナントを使用することで、管理者は組織内のユーザーと、組織が所有するアプリに対してポリシーを設定して、セキュリティおよび運用ポリシーを満たすことができます。」
要するにAzureという建物に利用するユーザーやソフトウェアをまとめたグループという意味を指します。
3.テナントを作成する前に
まず前提条件としてAzureのサービスを利用するためにはMicrosoftアカウントの作成を行わなければなりません。今回はアカウント作成の方法については割愛させて頂きます。
加えて、もし無料のMicrosoft Entra IDのテナントを作成する前に環境によってはテナントの必要性がなかったりと、いくつか注意点があります。
・所属する組織で使用しているメールが[Microsoft 365]である場合
→メールアドレスがそのままMicrosoft Entra IDのアカウントとして使用できます。
・既にCSP(クラウドソリューションプロバイダー)プログラムにサインアップしている等のパートナーセンターの機能を利用している場合
→リード管理や案件協業CRMなど、パートナーセンターの他の機能を使用する場合は既にパートナーセンターで利用しているMicrosoft Entra IDアカウントを利用してください。
・MAPS/Silver/Goldパートナーである場合
→利用していないMicrosoft 365社内使用ライセンス特典を所持している場合があり、その場合は特典からセットアップして利用が可能になります。
※CSPとは「ITシステム開発事業者向けに実施している業務用クラウドサービスの再販売制度のこと。加えて、Microsoftから正式に販売代理店として登録された業者のこと」を指します。
組織用アカウントとは、会社や特定の団体で使用される目的に用意されたアカウントを指します。MicrosoftではMicrosoft Entra IDが組織アカウントにあたり、ログイン画面上では「職場または学校アカウント」となっています。
4.無料テナント作成の流れ
作成方法としては手段は一つだけではなく、様々ありますが今回は[①Microsoft Entra IDテナントだけを取得する方法]と[②Microsoft 365の試用テナントを取得する方法]の2種類をご紹介していきます。
先にそれぞれの特徴だけを述べると前者は非常に基本的な作成方法になり、後者はもし[Microsoft 365]を運用されており、その他のアプリケーションの連携や埋め込み等をテストしたいなどの希望がある場合に向いている手段になります。
①Microsoft Entra IDテナントのみ取得する方法
Azure portalにサインインし、左にあるメニューから[+リソースの作成]をクリックします。
そして[Microsoft Entra ID]を検索して選択、すると[ディレクトリの作成]が表示されます。
表示された[ディレクトリ作成]画面の各項目に任意の情報を入力して[作成]を選択します。
以上で新規テナントの作成は完了になります。
しかし、既にMicrosoft Entra IDテナントを所持している場合、新規作成を行う必要はありません。
既存テナントの確認方法
・Azure portalにログインし、自身のアカウント名をクリックしてディレクトリ/テナントIDを取得。
・Azure portalにログインして [Microsoft Entra ID] > [プロパティ] > [ディレクトリ ID] の順に選択。
②Microsoft 365試用テナントの取得方法
今回はMicrosoft 365 E3の無料試用版を利用して説明を行っていきます。
Microsoft 365 E3の公式サイトへアクセスし、無料試用版を選択します。
画面に表示されている必要事項を各項目に入力し、[次へ]を選択します。
ユーザーIDの作成画面に移動しますが、ここで入力する[@マーク以下であるxxxxx.onmicrosoft.com]がMicrosoft Entra IDのドメイン名になりますので留意ください。この値はグローバルで一意な値となります。
問題なければ[アカウント作成]を行って認証を行っていきます。画面に表示される指示に従って進んでください。
サインイン等は求められず、Microsoft 365の管理画面が表示されたらMicrosoft Entra IDのテナントも同時に作成されています。Azure portalにアクセスするとMicrosoft Entra IDの管理が可能ですし、今回使用したMicrosoft 365の試用版で作成されたMicrosoft Entra IDテナントはMicrosoft 365の無料試用の期限が切れた後でも有効です。
5.さいごに
Azureだけに限らず、現代社会において クラウドサービスは無くてはならないサービスになってきています。Microsoft Entra IDもその例に漏れず非常に便利で、Microsoft社のサービスを利用するには必須レベルでしょう。そんな便利なサービスを知らないという理由で利用しないのは非常にもったいない話です。今回に限らず自身が利用しているサービスを少しでも快適にするために、これを機に調べ直すのも良いかもしれません。その切っ掛けになれば幸いです。ここまで読んで頂きありがとうございました。
この記事のポイント
- 「Azure AD」は現在「Microsoft Entra ID」に改称されている(機能・テナント概念は継続)
- 「テナント」とはユーザーやアプリなどのオブジェクトをまとめて管理するグループのこと
- テナント作成方法は「Microsoft Entra IDテナントのみ取得」と「Microsoft 365試用テナントを取得」の2通りがある
- Microsoft 365のメールを既に利用している場合、そのままMicrosoft Entra IDアカウントとして使える
- Microsoft 365試用版で作成したテナントは、試用期限切れ後もMicrosoft Entra IDテナントとして有効
よくある質問
Q. 既に持っているMicrosoft Entra IDテナントがあるか、どう確認すればよいですか?
A. Azure portalにログインし、自身のアカウント名をクリックしてディレクトリ/テナントIDを確認するか、[Microsoft Entra ID] > [プロパティ] > [ディレクトリ ID] の順に選択して確認できます。
Q. テナントは複数作成できますか?
A. 可能です。1つのMicrosoftアカウントで複数のテナントを管理することもできます。ただし、用途や組織の管理体制に応じて適切な数に留めるのが望ましいでしょう。
Q. Microsoft 365試用版で作成したテナントは試用期間終了後どうなりますか?
A. Microsoft Entra IDのテナント自体は試用期間終了後も有効です。ただしMicrosoft 365側のライセンス機能は試用期間終了とともに利用できなくなるため、継続利用したい場合は正式契約への切り替えが必要です。
Q. CSPパートナーとは何ですか?
A. CSP(クラウドソリューションプロバイダー)は、ITシステム開発事業者向けにMicrosoftのクラウドサービスを再販売できる制度、およびMicrosoftから正式に販売代理店として登録された業者を指します。既にCSPプログラムを利用している場合は、既存のテナントを活用することが推奨されます。
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