Azure ADを利用する費用
最終更新日:2026年8月5日
目次
はじめに
現代社会においてネットワーク技術が日々進歩し、クラウドサービスを利用しないことが少なくなりました。しかし、クラウドサービスを利用するためには避けては通れないのがユーザーアカウントの作成です。
所持アカウントが1つの場合や同一企業のサービスによって管理するアカウントが共通しているなどのケースでは必要ありません。ただしクラウドサービスにはそれぞれ強み弱みの特徴があり、複数のクラウドサービスを利用されている方も多いのではないでしょうか。
そこでよく生じる問題がアカウントの管理問題です。各サービスによってアカウントIDとパスワードを同じ内容にしていた場合、何らかの原因によって情報が漏洩した時点で他サービスにも不正利用のリスクが生じてしまいます。では各サービスそれぞれにアカウントIDとパスワードを別々にして管理をする。これは理想的なセキュリティマネジメントになります。ですが利用するサービスが増加するに従い、すべてのアカウントを管理することは非常に面倒な作業となります。そこでMicrosoft社が提供している「Microsoft Entra ID」(旧称:Azure AD)を利用すると1つのアカウント情報でセキュリティを高めつつすべてのサービスへ認証アクセスが可能となり、管理負担を軽減してくれます。
そんなMicrosoft Entra ID(Azure AD)を利用する前に、まずは利用するための費用をご紹介していきます。
Microsoft Entra ID(旧Azure AD)の主な機能
Microsoft Entra IDは主にクラウドサービスでのアカウント情報の認証情報を管理しており[シングルサインオンを可能とする][アクセスログ・デバイス・ユーザーとグループ・アプリケーションの管理][多要素認証]機能を持ったサービスになります。
Microsoft Entra IDを利用してシングルサインオンを実現するためには、各クラウドサービスと連携する必要がありますが、その連携対象として主だったアプリケーションはAzure側で予め用意されている一覧から選択し、簡単な手順を踏むだけで連携が行えるため非常にスムーズにシングルサインオンを実現できます。
またログイン認証処理のセキュリティを高めるため、認証を行った機器の管理はもちろん認証許可を行う対象の変更も個人ユーザーからグループ、アプリケーションに至るまで一括で変更可能です。さらに[多要素認証]を導入しているため、万が一ユーザーIDとパスワードが漏洩した場合でも高いセキュリティレベルを維持することが可能です。
Microsoft Entra IDの料金プラン
Microsoft Entra IDには現在4つの料金プランが用意されており、[Free][P1][P2][Suite]があります(旧称「Azure AD」時代にあった「Basic」プランは廃止されています)。機能がある程度制限されてしまいますが、Freeという無料で利用できるプランもありますので、説明を読むだけではイメージが付きにくい方でも気軽にお試しが可能です。
※以下は年間契約時のユーザーあたり月額料金の目安です。契約形態(直接購入/パートナー経由)や為替レートにより実際の請求額は変動するため、正確な金額は必ずMicrosoft公式サイトまたは契約先で最新情報をご確認ください。
Freeプラン
[料金]:無料
[概要]:Azure・Microsoft 365などのクラウドサブスクリプションに標準で含まれるプラン
[主な機能]:多要素認証、SaaSアプリ全体での無制限のシングルサインオン、基本レポート、クラウドユーザー向けのセルフサービスパスワード変更、基本的なユーザー・グループ管理
P1プラン(旧Premium P1)
[料金]:約¥1,049 / 月・ユーザーあたり(年間契約時)
[主な機能]:Freeプランの内容に加え、条件付きアクセスポリシー、ロールベースアクセス制御(RBAC)、動的グループによる高度なグループ管理、セルフサービスパスワード管理、詳細なセキュリティレポート
P2プラン(旧Premium P2)
[料金]:約¥1,499 / 月・ユーザーあたり(年間契約時)
[主な機能]:P1プランの内容に加え、ID Protectionによるリスクベースの条件付きアクセス、リアルタイムのサインイン・ユーザーリスク評価、特権ID管理(PIM)などの高度なセキュリティ機能
Suiteプラン(新設)
[料金]:約¥1,799 / 月・ユーザーあたり(年間契約時、P1プランの契約が前提)
[主な機能]:P1・P2の機能に加え、ネットワークアクセス(Internet Access/Private AccessによるZero Trustアクセス)、IDガバナンス、本人確認(Verified ID)などを統合した上位プラン。Azure AD時代にはなかった新しい料金体系です
<用語説明>
・ユーザープロビジョニング:AD(Active Directory)上のユーザーへの追加・変更・削除の処理をクラウドサービス上のユーザー情報へ自動反映させるシステムです。反映方法には自動と手動が存在します。
・特権ID管理(PIM):管理者権限などの強い権限を持つアカウントを、必要なときだけ一時的に有効化する仕組みで、P2プランから利用できます。
使用目的によってプランを選ぶ
[Free]プラン:単体で契約するサービスではなく、AzureやMicrosoft 365といったクラウドサービスを利用した場合のサブスクリプションに含まれています。そのためAzureを利用されている方は既にFreeプランへの契約が完了しています。基本的なシングルサインオンと多要素認証だけで足りる場合はFreeプランで十分です。
[P1]プラン:Freeプランの内容に加え、[条件付きアクセス][ロールベースアクセス制御][動的グループによる詳細なユーザー・グループ管理][より詳細なセキュリティ・使用状況レポートの確認]といった、企業利用でよく求められるガバナンス機能が使用可能になります。Freeプランでも高いセキュリティは維持していますが、部署・役職に応じたアクセス制御が必要な場合はこのプラン以降を推奨します。
[P2]プラン:P1プランの内容に加えてMicrosoft社が提供する脆弱性とリスクの高いアカウントの検出や集計に基づいたリスクベースの条件付きアクセスポリシーや特権ID管理(PIM)を利用したより高いセキュリティ機能が使用可能になります。金融・医療など特に機密性の高い情報を扱う組織で選ばれることが多いプランです。
[Suite]プラン:P2までのID・アクセス管理機能に加え、社内ネットワークへのZero Trustアクセスや、外部とのやり取りにおける本人確認機能までを一括で導入したい組織向けの上位プランです。複数の単体製品を個別契約するよりコストを抑えられるケースがあるため、複合的なセキュリティ強化を検討している場合は候補になります。
よくある質問(FAQ)
Q. Azure ADとMicrosoft Entra IDの違いは何ですか?
両者は同じサービスです。2023年7月に「Azure AD(Azure Active Directory)」から「Microsoft Entra ID」へ名称変更されましたが、提供している認証・認可・シングルサインオンなどの機能自体に変更はありません。プラン名も「Free/Basic/Premium P1/Premium P2」から「Free/P1/P2/Suite」に整理され、旧「Basic」プランは廃止されています。
Q. Freeプランだけで運用できますか?
多要素認証と基本的なシングルサインオンだけで十分な小規模利用であれば、Freeプランのみでも運用可能です。ただし条件付きアクセスやロールベースアクセス制御など、組織的なアクセス管理が必要になった場合はP1以上のプランへのアップグレードが必要です。
Q. 費用は必ずMicrosoft社から直接支払う必要がありますか?
いいえ。同一プランであっても、契約する方法が「Microsoft社からの直接購入」か「パートナー経由の購入」かによってライセンスの契約費用が変動する場合があります。導入形態によって条件が異なるため、契約前に確認することをおすすめします。
Q. 既存のAzure ADのライセンス契約は名称変更後も使えますか?
はい、名称変更はブランディング上のもので、既存のテナント設定・ユーザー・ライセンス契約はそのまま引き継がれています。管理画面やAPIの一部に、移行期間として旧称「Azure AD」の表記が残っている場合もあります。
Q. 料金プランはどこで最新情報を確認できますか?
料金は為替や契約条件によって変動するため、契約前には必ずMicrosoft公式の価格情報や、契約予定のパートナー企業から最新の見積もりを取得することをおすすめします。本記事の金額はあくまで目安としてご参照ください。
まとめ:Microsoft Entra ID(旧Azure AD)を利用する費用
この記事のポイント:
- 「Azure AD」は2023年7月に「Microsoft Entra ID」へ正式名称が変更された(機能自体は同じ)
- 料金プランは現在「Free/P1/P2/Suite」の4種類で、旧「Basic」プランは廃止されている
- Freeプランは無料でAzure・Microsoft 365等のサブスクリプションに標準付帯、P1・P2は条件付きアクセスやリスクベースのセキュリティ機能が段階的に追加される有償プラン
- Suiteはネットワークアクセスやガバナンス機能まで統合した新しい上位プランで、Azure AD時代にはなかった選択肢
- 契約方法(直接購入/パートナー経由)や為替により実際の費用は変動するため、契約前に必ず最新情報を確認する
Microsoft Entra ID(旧Azure AD)のプランは上記の4つがありますが、当然ながら費用が高くなればなるほどサービスも充実します。最低限の費用で最大限のサービスを利用するためにも、導入する前に必ずユーザー自身が正しく把握・理解を深め、まずは無料プランにて使い勝手を試してみてください。ここまで読んで頂きありがとうございました。
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