AzureのIaaSとPaaSの違いについて

最終更新日:2026年8月4日

AzureのIaaSとPaaSのサービスについての特徴と違いについて解説します。

IaaS・PaaS・SaaSの違いとは

クラウドサービスは、提供する機能の範囲によって「IaaS」「PaaS」「SaaS」の3種類に分類されます。

項目 IaaS PaaS SaaS
フルネーム Infrastructure as a Service Platform as a Service Software as a Service
提供範囲 ネットワーク・ハードウェア・OS 上記+ミドルウェア・開発環境 上記+アプリケーション本体
ユーザーが管理するもの OS・ミドルウェア・アプリ アプリケーションのみ データ設定・ユーザー管理のみ
Azure代表例 Azure Virtual Machines Azure App Service・Azure SQL DB Microsoft 365・Dynamics 365
向いているシーン 自由度の高い環境構築・既存システム移行 アプリ開発・DB管理・API公開 すぐに使いたい・管理不要

IaaSとPaaSの違いは、IaaSがネットワーク・ハードウェア・OSを提供するサービスであるのに対して、PaaSはそれに加えミドルウェアや開発環境まで提供するサービスです。仮想マシンやサーバーといった開発に必要なインフラのみを提供するのがIaaSだとすれば、開発ツールやデータベースといった開発環境(プラットフォーム)までカバーするのがPaaSです。

AzureのIaaSサービス:仮想マシン

IaaS型のサービスであるAzure仮想マシン(Virtual Machines)では、Windows ServerまたはLinuxの好みのOS(ディストリビューション、バージョン)を選択し、サーバー環境を構築・利用できます。Azure仮想マシンはMicrosoftのサーバー仮想化技術であるHyper-VをベースにしたIaaSのため、手持ちのHyper-Vで実行できるOSイメージをクラウド上でそのまま実行できます。

Azureの仮想マシンは、Azureのデータセンターの物理サーバー上に存在します。ハイパーバイザーがインストールされた物理サーバーをホスト、仮想マシンをゲストと呼び、AzureはHyper-Vで仮想化された仮想マシンをユーザーに提供する構造です。

Azure IaaSの主なサービス一覧

サービス名 概要
Azure Virtual Machines Windows/Linux仮想サーバーをクラウドで利用
Azure Virtual Network プライベートなクラウドネットワークの構築
Azure Managed Disks VMにアタッチする高可用ストレージディスク
Azure Load Balancer 複数VMへのトラフィック分散(負荷分散)
Azure VPN Gateway オンプレミス環境とAzureを安全に接続

AzureのPaaSサービス一覧

PaaSのサービスとしては、Azure App Service・Azure Functions・Azure SQL Database・Azure Cosmos DBなどが挙げられます。複合的な機能を持つ製品であればあるほど自社での構築・運用負荷が高まるため、PaaSで提供されることの価値は極めて高いと言えるでしょう。

サービス名 カテゴリ 概要
Azure App Service Webアプリ WebアプリやAPIをインフラ管理なしで公開
Azure Functions サーバーレス イベントドリブンな小さなコードをサーバーレスで実行
Azure SQL Database データベース フルマネージドのリレーショナルDB(SQL Server互換)
Azure Cosmos DB データベース グローバル分散対応のNoSQLデータベース
Azure Blob Storage ストレージ 大容量の非構造化データ(画像・動画等)を格納
Azure CDN 配信 静的コンテンツをエッジサーバーから高速配信
Microsoft Entra ID(旧Azure AD) 認証・ID管理 クラウドベースのID・アクセス管理(SSO・MFA対応)

データベース・Hadoopテーブル・キュー・BLOBなど、データ管理のサービスは全てPaaSです。PaaSを利用することのメリットは、ユーザーがメンテナンスから解放されることにあります。アプリケーション開発の際にPaaSを部品として使うことが可能であれば、運用管理の工数を大幅に削減できます。

PaaS利用のメリット

運用管理の負担を大幅に軽減

PaaSを利用することで解放される運用管理作業の例として、以下が挙げられます。

  • ミドルウェアのインストール・設定
  • パフォーマンスチューニング
  • 更新プログラム(セキュリティパッチ)の適用
  • サポート切れ対応・バージョンアップ

例えばフェールオーバークラスターのインストール・設定には高度なスキルが必要で、優秀なエンジニアでも相当の工数がかかります。データベースのパフォーマンスチューニングも高度なスキルと経験が必要です。PaaSを利用することで、基本的なデータベースそのもののチューニングはクラウド事業者に任せられるため、エンジニアはアプリケーション開発に集中できます。

IaaSとPaaSの選び方

現在オンプレミスや仮想OSで運用しているシステムをPaaSに移行できるかどうかの判断基準として、以下の点が参考になります。

判断基準 IaaSが向く PaaSが向く
OSカスタマイズ ◎ 自由にカスタマイズしたい △ OS管理は任せたい
既存システムの移行 ◎ オンプレと近い構成で移行 ○ アプリ変更が少なければ可
開発スピード △ インフラ設計が必要 ◎ すぐにアプリ開発に着手
運用管理の負担 △ OS・MW管理が発生 ◎ インフラ管理不要
コスト ○ 柔軟な料金設定 ○ 運用人件費が削減

例えば、データベースを利用している場合、SQL文の互換性が高ければPaaSへの移行が容易です。SQL ServerとAzure SQL DatabaseのSQL文は高い互換性があります。また、Azureの日本リージョン(東日本・西日本)が利用可能になって以降、社外へのデータ配置に対する心理的なハードルも大きく下がっています。

よくある質問(FAQ)

Q. IaaSとPaaSはどちらが費用が高いですか?
A. 一概にはいえません。IaaSは仮想マシンの稼働時間分の料金が発生し、OS管理の人件費も別途かかります。PaaSはマネージドサービス分の上乗せがありますが、運用人件費の削減で総合的にコストを抑えられるケースも多くあります。
Q. AzureのIaaSとAWSのEC2は同じようなサービスですか?
A. はい、役割は同様です。Azure Virtual MachinesとAWS EC2はどちらもIaaS型の仮想マシンサービスで、用途や目的は共通しています。主な違いはデフォルトOSの選択肢・VM(インスタンス)タイプの粒度・他サービスとの連携方法などです。
Q. BizTalk ServicesはまだAzureで使えますか?
A. いいえ。BizTalk Servicesは2024年9月30日にサービス廃止となっています。後継サービスとしてはAzure Logic AppsやAzure API Managementへの移行が推奨されています。
Q. 既存のオンプレミスシステムはIaaSとPaaSどちらで移行すべきですか?
A. まず「リフト&シフト(そのままクラウドに移行)」を目的とするならIaaSが簡単です。将来的にアプリケーションをクラウドネイティブに最適化するのであれば、PaaSへの段階的移行を検討してください。既存のSQL文との互換性が高い場合はAzure SQL Databaseへの移行も有力な選択肢です。

まとめ

AzureのIaaSとPaaSの違いについて、ポイントをまとめます。

  • IaaSはネットワーク・ハードウェア・OSを提供するサービスで、Azure Virtual Machinesが代表例。ユーザーはOS以上の層を自由に管理できる
  • PaaSはIaaSにミドルウェア・開発環境を加えたサービスで、Azure App Service・Azure SQL Database・Azure Functionsなどが代表例
  • PaaSを利用することで、ミドルウェア管理・パフォーマンスチューニング・セキュリティパッチ適用などの運用負担から解放される
  • 既存システムをそのままクラウド化するならIaaS(リフト&シフト)、新規アプリ開発や運用工数削減が目的ならPaaSが向いている
  • なお、BizTalk Servicesは2024年9月に廃止済みのため、後継のAzure Logic Apps / API Managementへの移行が必要

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