Azure IOPSについて
最終更新日:2026年8月5日
目次
IOPS
「Input/output operations per second」の略で、1秒あたりにディスクが処理可能なI/Oアクセス数(インプットとアウトプットの数)のことです。アイオーピーエスもしくはアイオプスと読まれます。I/Oアクセス数の1回は、データ転送時間・平均アクセス時間を足した数です。I/Oアクセスが1秒間で何回実行できるかの数値がIPOSとなります。一般的には、IOPSの数値が高いほど高性能なディスクとされています。しかし、データ転送速度はインタフェース転送速度や平均メディア転送速度、CPUの処理時間などが加算されるため正しい数値把握は難しく、ただ単にIOPSの数値が高ければ高性能で高いパフォーマンスに繋がる訳ではなくIOPS以外にも様々な要因があります。HDD、SSDなどの入出力性能指標を示す単位として使用されています。
<算出方法の例>
・IOPS = 1/ 1回のIOにかかる平均時間(秒)
・IOPS = 1/ ディスク読み出し時間(秒)
・IOPS = 1/ (平均待ち時間(秒) + データ転送時間(秒))
・IOPS = 1/ (平均シーク時間(秒) + 平均回転待ち時間(秒) + データ転送時間(秒))
インプットとアウトプット
「インプット」とはデータの入力のことで、システムサーバからストレージにデータの書き込みを行うことを指しています。「アウトプット」とはデータの出力のことで、システムサーバからストレージ内のデータを参照、別ストレージへの移行など、データの読み込みを行うことを指しています。インプット・アウトプットは「I/O」と表現されます。
スループット(Throughput)
コンピュータやネットワークが一定時間内に処理可能なデータ量です。単位は「bps・kbps・Mbps」で1秒あたりのデータ量をビット数で表します。具体的には、使用するシチュエーションで異なりますが、例として通信分野での「スループット」は、一定時間内に転送可能なデータ量つまり転送速度を表します。ディスク性能を測定する上では「IOPS」と「スループット」の2つの指標の正しい把握が重要とされています。
<算出方法の例>
・IOPS × 1回に読み出すデータ量
仮想化環境とストレージ性能
仮想化環境でもストレージシステムを使用しており、ほとんどの場合共有ストレージです。仮想化環境のサーバは仮想マシンを多数搭載するためストレージへのアクセス集中による性能がネックとされています。
ストレージデバイス
ストレージデバイス(記録媒体)は「HDD」と「SSD」が代表的です。「HDD」は「Hard Disk Drive」の略で、プラッタと呼ばれる内蔵磁気ディスクの回転によってデータの読み書きを行います。「SSD」は「Solid State Drive」の略で、メモリーチップを内蔵した記録媒体です。HDDと違い、内部で駆動する部位がないため小型で軽量なのが特徴です。また、メモリーチップを使用していることでデータ読み書きの処理速度・起動速度も短縮できます。しかし、HDDに比べ容量あたりの価格が高く、データ復旧が困難などデメリットもあります。
シーケンシャルI/OとランダムI/O
「シーケンシャルI/O(もしくはシーケンシャルアクセス)」
シーケンシャルは「順次的な、逐次的な」という意味で、「シーケンシャルI/O」は先頭から順に連続してデータにアクセス(読み書き)を行います。データ構造によってはランダムにアクセスするよりも高速で行うことができます。スループットが指標として使用されることが多く、ファイルコピーなどの速さに直結する要素です。HDDはシーケンシャルI/Oが得意とされています。
「ランダムI/O(もしくはランダムアクセス)」
連続せず順序無関係に指定された領域・データへのアクセス(読み書き)を行います。IOPSが指標として使用されることが多く、OS・アプリケーションの起動、Webブラウザでの画像表示などの操作の目安になる要素です。SSDはランダムI/Oが得意とされています。
Azureストレージ
Azure StorageにはBlob(Binary large object)・Files・Queue・Tableの4種類+Diskのストレージ機能があり、ストレージアカウントを作成することで利用できます。4つの機能とストレージアカウントそれぞれでIOPSの制限が存在します。
・Azure Blob Storage:オブジェクトストレージ。テキストデータ、バイナリデータなどの格納を行います。page Blob/Block Blob/追加Blobに分けられます。
・Azure Files Storage:ファイル共有ストレージ
・Azure Queue Storage:メッセージ格納機能
・Azure Table Storage:NoSQLデータベース
・Azure Disk Storage: premium / Standard、仮想マシン用ストレージ
ストレージアカウント
ストレージアカウントは数種類あり、パフォーマンスを選択可能です。パフォーマンスレベルはStandard(HDD/SSD)とPremium(SSD)が用意されています。目的によって選択可能でそれぞれサポートする機能・価格が異なります。
<ストレージアカウントの種類>
・汎用v1:従来のBlob・Files・Queue・Table・Disk用アカウント、パフォーマンスレベルStandard・Premiumをサポートする。
・汎用v2:最新機能のサポートも行う基本的なBlob・Files・Queue・Table・Disk用アカウント、パフォーマンスレベルStandard・Premiumをサポートする。
・BlobStorage:従来のBLOB専用のStandardパフォーマンスレベルのアカウント
・BlockBlobStorage:BLOB専用ののPremiumパフォーマンスレベルのアカウント
・FileStorage:ファイル専用のPremiumパフォーマンスレベルのアカウント
<パフォーマンス>
「Standardストレージ」は、パフォーマンス面で制約はありますがコスト効率に優れているのが特徴です。使用量(ディスクサイズ)、トランザクション量、送信データ転送回数などに応じて課金が行われます。「Premiumストレージ」は、高いIOPSとスループットが提供されているのが特徴です。ディスクサイズのプラン(P4 32GB 、P6 64GB、P10 128GB、P20 512GB、P30 1TB、P40 2TB、P50 4TB)に応じた課金が行われます。
Azure Managed Disks
従来Azure仮想マシンを使用するためにはストレージアカウントを準備する必要がありましたが、2017年よりストレージアカウントが不要のAzure仮想マシン専用ディスクサービス「Managed Disks」の提供が開始されました。ストレージアカウント同様にStandard(HDD/SSD)・Premium(SSD)両方に対応しており、2019年よりさらに高パフォーマンスなUltra Disk(SSD)も登場しています。さらに2022年には、Premium SSDより高いパフォーマンスをより低コストで実現できる新しいディスク種別「Premium SSD v2」が一般提供(GA)されました。現在(2026年時点)のAzure Managed Disksは、Standard HDD・Standard SSD・Premium SSD・Premium SSD v2・Ultra Diskの5種類から目的に応じて自由に選択することが可能です。利用料金はプラン(S4 32GB、S6 64GB、S10 128GB等)による月額料金に加えてトランザクション量、送信データ転送回数など使用した量に応じて課金が行われます。
Azureのディスク種別ごとの最大IOPSとスループット一覧
Azure Managed Disksで選択できる各ディスク種別(Standard HDD・Standard SSD・Premium SSD・Premium SSD v2・Ultra Disk)は、それぞれ最大IOPS・最大スループットの上限が異なります。まずは5種類の最大値を一覧で比較し、その後にディスクサイズ(プラン)別の詳細な数値を紹介します。
| ディスク種別 | 種類 | 最大IOPS | 最大スループット | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| Ultra Disk | SSD | 400,000 IOPS | 10,000 MB/s | SAP HANA等のIO集中型・トランザクション過多な最上位ワークロード |
| Premium SSD v2 | SSD | 80,000 IOPS | 2,000 MB/s | 低レイテンシ・高IOPSが常時必要な本番/性能重視ワークロード |
| Premium SSD | SSD | 20,000 IOPS | 900 MB/s | 本番環境・性能重視のワークロード |
| Standard SSD | SSD | 6,000 IOPS | 750 MB/s | Webサーバー・軽負荷の業務システム・開発/テスト環境 |
| Standard HDD | HDD | 2,000 IOPS | 500 MB/s | バックアップ・重要度の低い/アクセス頻度の低いデータ |
※Microsoft Learn「Azure IaaS VM 向けディスクの種類の選択」に基づく2026年時点の最大値。実際に使えるIOPS/スループットはディスクサイズ(プラン)によって変わります。
Premium SSD Managed Disks
| プラン | IOPS | スループット |
| P1 4GB | 最大120 IOPS | 25MB/s |
| P2 8GB | 最大120 IOPS | 25MB/s |
| P3 16GB | 最大120 IOPS | 25MB/s |
| P4 32GB | 最大120 IOPS | 25MB/s |
| P6 64GB | 最大240 IOPS | 50MB/s |
| P10 128GB | 最大500 IOPS | 100MB/s |
| P15 256GB | 最大1,100 IOPS | 125MB/s |
| P20 512GB | 最大2,300 IOPS | 150MB/s |
| P30 1TB | 最大5,000 IOPS | 200MB/s |
| P40 2TB | 最大7,500 IOPS | 250MB/s |
| P50 4TB | 最大7,500 IOPS | 250MB/s |
| P60 8TB | 最大16,000 IOPS | 500MB/s |
| P70 16TB | 最大18,000 IOPS | 750MB/s |
| P80 32TB | 最大20,000 IOPS | 900MB/s |
Standard SSD Managed Disks
| プラン | IOPS | スループット |
| E1 4GB | 最大500 IOPS | 100MB/s |
| E2 8GB | 最大500 IOPS | 100MB/s |
| E3 16GB | 最大500 IOPS | 100MB/s |
| E4 32GB | 最大500 IOPS | 100MB/s |
| E6 64GB | 最大500 IOPS | 100MB/s |
| E10 128GB | 最大500 IOPS | 100MB/s |
| E15 256GB | 最大500 IOPS | 100MB/s |
| E20 512GB | 最大500 IOPS | 100MB/s |
| E30 1TB | 最大500 IOPS | 100MB/s |
| E40 2TB | 最大500 IOPS | 100MB/s |
| E50 4TB | 最大500 IOPS | 100MB/s |
| E60 8TB | 最大2000 IOPS | 400MB/s |
| E70 16TB | 最大4000 IOPS | 600MB/s |
| E80 32TB | 最大6000 IOPS | 750MB/s |
※スループットはMicrosoft Learn記載の現行値に更新しています(E1〜E50は記事公開当初の60MB/sから100MB/sへ引き上げられています)。
Standard HDD Managed Disks
| プラン | IOPS | スループット |
| S4 32GB | 最大500 IOPS | 60MB/s |
| S6 64GB | 最大500 IOPS | 60MB/s |
| S10 128GB | 最大500 IOPS | 60MB/s |
| S15 256GB | 最大500 IOPS | 60MB/s |
| S20 512GB | 最大500 IOPS | 60MB/s |
| S30 1TB | 最大500 IOPS | 60MB/s |
| S40 2TB | 最大500 IOPS | 60MB/s |
| S50 4TB | 最大500 IOPS | 60MB/s |
| S60 8TB | 最大1300 IOPS | 300MB/s |
| S70 16TB | 最大2000 IOPS | 500MB/s |
| S80 32TB | 最大2000 IOPS | 500MB/s |
Ultra Disk
| ディスクサイズ | IOPS上限 | スループット上限 |
| 4GiB | 最大4,000 IOPS | 1,000MB/s |
| 8GiB | 最大8,000 IOPS | 2,000MB/s |
| 16GiB | 最大16,000 IOPS | 4,000MB/s |
| 32GiB | 最大32,000 IOPS | 8,000MB/s |
| 64GiB | 最大64,000 IOPS | 10,000MB/s |
| 128GiB | 最大128,000 IOPS | 10,000MB/s |
| 256GiB | 最大256,000 IOPS | 10,000MB/s |
| 512GiB | 最大400,000 IOPS | 10,000MB/s |
| 1,024GiB〜65,536GiB | 最大400,000 IOPS | 10,000MB/s |
※Ultra Diskはディスクをアタッチしたまま、IOPS・スループット・容量を24時間以内に最大4回まで個別に変更できる点が最大の特徴です(変更反映まで最大1時間程度)。OSディスクとしては使用できず、データディスク専用です。
Premium SSD v2
Premium SSD v2は2022年に一般提供が開始された比較的新しいディスク種別で、Premium SSDより高いパフォーマンスをより低コストで実現できる点が特徴です。従来のPremium SSDのようにP4・P10・P30のような固定サイズ・固定性能のプランから選ぶ方式ではなく、容量(1GiB〜64TiB)・IOPS・スループットをそれぞれ個別に、ダウンタイムなしで自由に調整できるのが最大の違いです。SQL Server・Oracle・MariaDB・SAP・Cassandra・MongoDB・ビッグデータ分析・ゲーミングなど、常に低レイテンシと高IOPSが求められる本番ワークロードに向いています。
| 項目 | 内容 |
| ディスクサイズ | 1GiB〜65,536GiB(1GiB単位で自由に設定) |
| IOPS | ベースライン3,000 IOPS無料。6GiB超から1GiBごとに最大500 IOPSずつ増加、上限80,000 IOPS |
| スループット | ベースライン125MB/s無料。設定したIOPSに応じて最大2,000MB/sまで拡張可能 |
※Premium SSD v2はOSディスクおよびAzure Compute Galleryとしては利用できず、データディスク専用です。またホストキャッシュ非対応ですが、その分低レイテンシで補われる設計です(2026年8月時点、一部リージョンで利用可能)。
よくある質問(FAQ)
Q. IOPSとスループット、どちらを優先して確認すべきですか?
ワークロードの種類によって異なります。データベースのトランザクション処理やOS・アプリケーションの起動のように、小さなデータへのランダムアクセスが多い用途はIOPSを重視します。一方、大容量ファイルのコピーや動画配信のようにシーケンシャルにデータを読み書きする用途はスループットを重視するのが一般的です。両方の指標をあわせて確認することが重要です。
Q. Azure Managed DisksでIOPSが不足している場合、どう対処すればよいですか?
まずは現在のディスク種別・プランのIOPS上限を確認し、上位プランへの変更や、より高性能なディスク種別(Standard SSD→Premium SSD→Premium SSD v2→Ultra Diskの順)への切り替えを検討します。Premium SSDにはディスクバースト機能があり、一時的な負荷増加であればバーストで吸収できる場合もあります。恒常的に不足する場合はPremium SSD v2やUltra Diskのように、IOPS・スループットを個別に調整できるディスク種別への移行が有効です。
Q. Premium SSD v2とUltra Diskはどちらを選べばよいですか?
一般的な本番ワークロード(SQL Server、Oracle、SAPなど)で低レイテンシ・高IOPSが必要かつコスト効率も重視する場合はPremium SSD v2が適しています。SAP HANAのような最上位のIO集中型・トランザクション過多なワークロードで、業界最高水準のIOPS・スループットとサブミリ秒のレイテンシが求められる場合はUltra Diskを検討します。Ultra DiskはPremium SSD v2よりも上位の選択肢と位置づけられています。
Q. Standard HDD・Standard SSDでもIOPSは重要ですか?
重要です。IOPSの上限が低いディスク種別ほど、ランダムアクセスが多いワークロード(データベースやOSディスクなど)では性能不足になりやすくなります。Standard HDD・Standard SSDはバックアップ用途や軽負荷の開発・テスト環境、アクセス頻度の低いデータの保管に向いており、本番の基幹システムには基本的にPremium系以上のディスク種別が推奨されます。
Q. ディスクのIOPS・スループットはあとから変更できますか?
ディスク種別やプランによって異なります。Premium SSDはディスクサイズ(プラン)を変更することでIOPS・スループットの上限が変わります。Premium SSD v2とUltra Diskはディスクをアタッチしたまま、容量・IOPS・スループットを個別に、ダウンタイムなしで変更できる点が特徴です(24時間以内に変更できる回数には上限があります)。
まとめ:Azure IOPSについて
この記事のポイント:
- IOPSは「1秒あたりにディスクが処理可能なI/Oアクセス数」を示す指標で、数値が高いほど一般的に高性能なディスクとされる
- ディスク性能を測る際はIOPSだけでなく、一定時間内に処理できるデータ量を示す「スループット」もあわせて確認する必要がある
- Azure Managed Disksには現在、Standard HDD・Standard SSD・Premium SSD・Premium SSD v2・Ultra Diskの5種類があり、最大IOPSは2,000〜400,000、最大スループットは500MB/s〜10,000MB/sまで幅広い
- Premium SSD v2・Ultra Diskは容量・IOPS・スループットを個別に、ダウンタイムなしで柔軟に調整できる点が従来のPremium SSDとの大きな違い
- 本番の基幹システムやデータベースにはPremium系以上、バックアップや低負荷用途にはStandard系というように、ワークロードに応じたディスク種別選定が重要
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