Azure Monitorで依存しているリソースを監視
最終更新日:2026年8月12日
押さえておきたいポイント
- Azure Monitorは仮想マシン・アプリケーション・ネットワークなど、Azure上のリソースを横断して監視する統合ツール
- 収集したデータは「メトリック(数値)」と「ログ(テキスト)」の2形式で扱われ、それぞれ用途が異なる
- Log AnalyticsダッシュボードやAzure Monitorブックを使うことで、複数リソースの状態を1つの対話型レポートにまとめられる
- コンテナ監視・VM監視の個別機能は名称が整理されており、最新のAzureポータル・公式ドキュメントでの呼称を確認するのが安全
1. Azure Monitorとは
| 項目 | Microsoft Azure | AWS | Google Cloud |
|---|---|---|---|
| シェア(国内) | 約30% | 約35% | 約15% |
| 強み | Microsoft製品連携 | サービス数・実績 | データ分析・AI |
| 無料枠 | 12ヶ月無料 | 12ヶ月無料 | 常時無料枠あり |
| 主な資格 | AZ-900 / AZ-104 | CLF / SAA | ACE / PCA |

クラウド上で稼働している仮想マシンや各種アプリケーション、ネットワークの運用において、正常かつ効率的に稼働しているかの監視を行う必要があります。
常時、Azureが安定して稼働しているか監視するためのツールとして「Azure Monitor」を使用します。
「Azure Monitor」は、Azureで構築したクラウドとオンプレミスの利用に関わる統計情報を収集して、事前に障害発生を防ぐとともに、最大限のパフォーマンスを発揮できるように支援する包括的な監視ツールです。
複数のツールから成り立っており、インフラストラクチャー、アプリケーション、ネットワークの運用状況を常時監視して、障害の発見、対処と適切なリソース確保に役立っています。
2. Azure Monitorの主な機能

Application Insights
Webアプリケーションのパフォーマンスを管理する機能です。使用状況の正常性を常にモニタリングして障害発生に備えています。
特長は、オンプレミス、クラウド、ハイブリッドクラウド等、Webアプリケーションがホストされている場所を問わず、.NET・Node.js・Java EE等の多様なプラットフォームで動作できる点です。パフォーマンスの異常が自動検出された場合は、強力な分析ツールを使用して診断を行い、問題解決をサポートします。
パフォーマンスの異常検出の仕組みは、Webアプリケーションにインストルメンテーションパッケージをインストールすることによってテレメトリデータを収集し、バックグラウンドのコンポーネントやWebページ内のJavaScriptの監視も可能になります。
収集されたデータは、スマート検出と手動アラート、アプリケーションマップ、メトリックエクスプローラー等のグラフィカルな方法で表示します。また、ダッシュボードで複数のデータを組み合わせて表示することで、チームメンバーと情報の共有が行えます。
コンテナ監視機能
コンテナー化によるアプリケーションのデプロイと管理を行う「Azure Kubernetes Service(AKS)」向けの監視機能です。
AKSクラスターやデプロイされたアプリケーションがどのように稼働しているかを知るために、コンテナー・ノード・コントローラーからメモリとプロセッサのメトリックを収集します。
メトリックとログの収集は、コンテナー化されたLinux向けのLog Analyticsエージェントを使用することで自動的に行うことが可能です。
VM監視機能
IaaS系の監視ツールとして、仮想マシンやネットワークの状態、仮想マシンスケールセットのパフォーマンスの正常性を監視する機能です。
Azure上でのWindowsやLinux搭載の仮想マシンのパフォーマンスのみならず、Azure外部にあるオンプレミスや別クラウドの監視サポートといった大規模な監視を可能としています。
またアプリケーションのパフォーマンスと可用性を予測することで、障害の早期発見やパフォーマンスを最大限発揮できるようにするためのボトルネック検討、そしてネットワーク問題をサービス全体を通して把握することができます。
3. 監視できるデータ

データのリソースと機能
| IaaS系 | ・仮想マシンのメモリ、ディスク容量等 |
| ・オペレーティングシステム | |
| PaaS系 | ・アプリケーション |
| ・サブスクリプション | |
| ・テナント(複数のユーザーと共有状態)等 |
各形式によって収集されたリソースの状態、分析結果のデータは「Log Analyticsダッシュボード」「Azure Monitorブック」を介して視覚的に把握することができます。
「Log Analyticsダッシュボード」は保存されているすべてのログクエリを可視化し、組織のITデータを検索、関連付けおよび共有できるようにします。
「Azure Monitorブック」は、単一ツールでテキスト、分析クエリ、メトリック、パラメーターを組み合わせて内容豊富な「対話型レポート」を作成します。チームで運用している場合、同一のリソースを共有してメンバーがレポートの編集を行えます。
各形式のデータ検出と運用時の対応
IaaS系のインフラストラクチャーのデータ検出は「VM insights(旧称:Azure Monitor for VMs)」によって行われます。
この機能では、実行中のプロセスや他のリソースへの依存関係等、仮想マシンと仮想マシンスケールセットのパフォーマンスと正常に稼働しているかどうかの監視がされています。
パフォーマンスのボトルネック、ネットワークの問題を識別することによって、重要なアプリケーションのパフォーマンスと可用性を予測したり、発生した問題が他の依存関係に関連しているかどうかの把握もします。
PaaS系におけるアプリケーションのデータ検出には「Application Insights」「Container insights」があります。
「Application Insights」は、Azure Monitorが有する機能の1つです。開発者やDevOpsプロフェッショナル向けで、拡張可能なアプリケーションパフォーマンス管理サービス(APM)であり、実行中のアプリケーションの監視が行えます。
パフォーマンスの異常を自動検出し、APMに組み込まれている分析ツールを使用して問題を診断し、ユーザーがアプリを使用して実行している操作の把握が可能です。
「Container insights」とは、Azureのコンテナリソースの全体的なパフォーマンス、エラー、容量、運用上の正常性のビューを統一して対話型エクスペリエンスで提供する機能です。
運用中のトラブルシューティングや正常な状態の診断・分析には「Log Analytics」を利用します。
「Log Analytics」は、各種ログを「収集」「検索」「分析」「表示」する機能を提供する「データマイニングサービス」です。
4. 2つのデータ形式(メトリックとログ)

メトリック
メトリックとは、特定の時点における定期的に収集されるシステムの状況データを表す数値を言います。
収集したデータを活用してAzureメトリックスエクスプローラーによるデータのグラフ化や「ブック」の機能を用いて複数の対話型レポートにまとめることができます。
またデータが軽量なメトリックを使用すると、シンプルなロジックで迅速なアラートの作成ができます。ゆえにアラート発行の目的に適しているといえます。
メトリックでできること
| データ利用 | 説明 |
| 分析 | メトリックスエクスプローラーを使用し、収集されたメトリックをグラフで分析して異なるリソースからのメトリックを比較します。 |
| 視覚化 | メトリックスエクスプローラーのグラフをAzureダッシュボードにピン留めします。また、ブックを作成して複数のデータセットを対話型レポートにまとめ、視覚化できるように表示します。加えて、クエリをGrafanaにエクスポートし、ダッシュボードを利用してほかのデータソースと組み合わせます。 |
| アラート | メトリックがしきい値を超えた時に、通知を送信または自動化されたアクションを実行する「メトリックアラートルール」を実行します。 |
| 自動化 | 自動スケーリングを使用してしきい値を超えるメトリック値に基づいてリソースの増減を行います。 |
| エクスポート | メトリックをログにルーティングし、メトリックデータとログデータを一緒に分析したり、既定の保持期間より長くメトリック値を保存したりします。 |
| 取得 | PowerShellコマンドレットを使用して、コマンドラインからメトリック値にアクセスします。カスタムアプリケーションからメトリック値にアクセスするにはREST APIを使用します。またコマンドラインからのアクセスにはCLIを使用します。 |
| アーカイブ | コンプライアンス、監査、オフラインレポートの目的で、リソースのパフォーマンスや正常値の履歴をアーカイブします。 |
ログ
メトリックのような数値を含めることができますが、通常は詳細な説明付きのテキストデータが付加されます。メトリックとは構造が異なり、定期的にデータが収集されないという点がログにはあります。ログとして格納された利用統計データは、他のデータと組み合わせて活用できます。
ログでできること
| データ利用 | 説明 |
| 分析 | Azure portalでLog Analyticsを使用してログクエリを書き、強力なデータエクスプローラー分析エンジンを使用してログデータを対話形式で分析します。また、Azure portalでApplication Insights分析コンソールを使用し、ログクエリを記述してApplication Insightsからログデータを対話形式で分析します。 |
| 視覚化 | テーブルかグラフのいずれかで表示されるクエリ結果をダッシュボードにピン留めします。クエリの結果はPower BIにエクスポートして様々な視覚化を施し、Azureの外部ユーザーと共有できるようにします。また、ブックを作成して複数のデータセットを対話型レポートにまとめ、視覚化できるように表示します。加えて、クエリをGrafanaにエクスポートし、ダッシュボードを利用してほかのデータソースと組み合わせます。 |
| アラート | クエリの結果が特定の条件と一致した時、通知を送信するか自動化したアクションを実行するログ警告ルールを構成します。また、メトリックとして抽出した特定のログデータに対しては、メトリック警告ルールを構成します。 |
| 取得 | コマンドラインからログクエリにアクセスする場合は、Azure CLIもしくはPowerShellコマンドレットを使用します。また、カスタムアプリケーションからログクエリの結果にアクセスする場合はREST APIを使用します。 |
| エクスポート | Logic Appsを使用して、ログデータを取得して外部にコピーするワークフローの構築を行います。 |
5. よくある質問
Q. Azure Monitorの利用に別途ライセンス費用はかかりますか?
Azure Monitorの基本的な機能はAzureサブスクリプションに含まれていますが、Log Analyticsでのログ保存量やApplication Insightsのデータ量、アラートルール数などに応じた従量課金が発生する項目があります。具体的な料金体系や無料枠は変更されることがあるため、利用前にAzure公式サイトの最新の料金ページで確認することをおすすめします。
Q. Azure Monitorだけでオンプレミス環境も監視できますか?
可能です。Azure Monitorはクラウド上のリソースだけでなく、Azure Arc等と組み合わせることでオンプレミスや他クラウド上の仮想マシンも監視対象に含めることができます。ハイブリッド環境全体を1つの監視基盤で一元管理したい場合に適しています。
Q. メトリックとログはどちらを優先して使うべきですか?
用途によって使い分けます。しきい値超過をすばやく検知したいアラート用途には軽量なメトリックが適しており、原因調査や詳細な分析にはテキスト情報を含むログが適しています。実運用では両方を組み合わせ、メトリックで異常を検知し、ログで原因を掘り下げるという使い方が一般的です。
6. まとめ

優れたアプリケーションをリリースしても、アクセス数の増加等によるパフォーマンスの低下は、顧客満足度の低下やビジネスの機会損失、信頼の毀損につながります。
Azure Monitorを利用することで、効率的にクラウド運用が行えるほか、迅速な問題解決など人の手がかかる面を自動化できるといった費用削減やユーザーに安定したサービスの提供が実現できます。
この記事のポイント:
- Azure Monitorはインフラ・アプリケーション・ネットワークを横断して監視できる統合ツール
- データは「メトリック(数値・軽量・アラート向き)」と「ログ(詳細情報・分析向き)」の2形式で扱われる
- VM監視・コンテナ監視は現在それぞれ「VM insights」「Container insights」という名称で提供されている
- Log AnalyticsダッシュボードやAzure Monitorブックで複数リソースの状態を対話型レポートにまとめられる
- 料金体系は変更されることがあるため、利用前に最新の公式情報を確認するのが安全
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