Azure PaaSを利用する場合のセキュリティについて

最終更新日:2026年8月11日

この記事でわかること

マイクロソフト社が提供するクラウドプラットフォーム「Azure」。
今回はAzureの数ある機能の一部である「Azure PaaS」とそのセキュリティに関する話題を中心にご紹介いたします。

Azureとは?

項目 Microsoft Azure AWS Google Cloud
シェア(国内) 約30% 約35% 約15%
強み Microsoft製品連携 サービス数・実績 データ分析・AI
無料枠 12ヶ月無料 12ヶ月無料 常時無料枠あり
主な資格 AZ-900 / AZ-104 CLF / SAA ACE / PCA

Azureとはマイクロソフト社が提供する「クラウドプラットフォーム」のことです。
仮想マシンをクラウド上に作成・利用したり、仮想マシンのOS自体をマイクロソフト社に管理してもらうサービスなどを提供しています。
世界各地の数多くのリージョン(データセンター拠点)を展開しており、強力なWANバックボーンを持っているため、国内外を問わず多くの方が利用されています。

Azure PaaSとは?

Azureが提供しているプラットフォームには「PaaS」「IaaS」と呼ばれる2種類のサービスがあります。
「PaaS」は「Platform as a Service」の略称で、インフラストラクチャ (サーバー、ストレージ、ネットワーク) やミドルウェア、
開発ツール、ビジネスインテリジェンス(BI)サービス、データベース管理サービスなど多岐にわたるサービスが含まれているため、
作成、テスト、デプロイ、管理、更新といったWebアプリケーションのかかわるライフサイクル全体に対応するように設計されています。

Azure PaaSを使用する利点

Azure PaaSは基本的にIaaSの機能をさらに拡張したものなので、IaaSと同様の利点があります。
それに加えて、ミドルウェアや開発ツール、ビジネスツールといったものが追加されているため、次のような利点があります。

コーディング量の減少

Azure PaaSでは先述の通りインフラストラクチャをはじめとした開発に必要なものを一通り提供しています。
よって、開発者はネットワーク等の煩雑な環境の構築を考える必要がなくなり、コーディングに集中することができ、
さらにはAzure PaaSが提供している組み込みソフトウェアを利用することにより開発に必要なコーディングの量が減少し、さらには開発に掛かる時間も減少します。

多くのプラットフォームに対応したアプリケーション開発の簡易化

Azure PaaSでは一部のサービスプロバイダーに対し、コンピュータやモバイルデバイス、ブラウザーなどの数多くのプラットフォームに対応するための
開発オプションを提供しているので、クロスプラットフォームなアプリケーションの開発を非常に迅速に行うことができます。

遠隔参画者へのサポート

先述の通りAzureは世界各国にネットワークを構築する拠点があります。これによりAzure PaaSを利用することでインターネットを経由し、
開発環境へアクセスすることが可能なため、ニアショアやオフショアといった方式で遠く離れたメンバーもプロジェクトに参画してもらうことが可能です。

アプリケーションライフサイクルの効率化と管理

Azure PaaSではWebアプリケーションに関わる作成、テスト、デプロイ、管理、更新といった一連の業務の流れ全体を
同一の統合環境内で扱うために必要なすべての機能を提供しているため、とても効率的な管理が行えます。

Azure PaaSを使用する上でのセキュリティの注意点

Azure PaaSは世界中で使用されることを想定し、 ISOやHIPAAなどの国際的なコンプライアンスはもちろん、使用される国ごとにあるコンプライアンスにも適合しています。
運用や保守の面を気にすることなく利用できるAzure PaaSは非常に便利である一方、クラウドサービスであるが故のセキュリティ上の落とし穴があります。
例えば、以前は『セキュアな(ネットワーク分離された)環境を構築してもAzure PaaSのDBサービスであるAzure SQL Databaseはその中に置くことができない』という制約があり、
自前の環境内にDBを置けなかったために、DBサービスが対象外になっているAzure IaaSを使用するように変更するケースがありました。

【要注意】Azure SQL Databaseのネットワーク分離は改善されています
上記の制約は現在は解消されており、VNet統合のサービスエンドポイントやPrivate Linkを利用することで、Azure SQL DatabaseのようなPaaS型サービスも仮想ネットワーク内に組み込んでセキュアに構成できます。設計時は必ずAzure公式ドキュメントで最新の対応状況をご確認ください。

また、開発が完了した既存のアプリケーションをAzure PaaS上に移行する場合、それまで行っていたSDL(セキュリティ開発ライフサイクル)を組み込むことが困難な場合などもあります。
こうした場合、いくらAzure PaaSが堅固なセキュリティを提供していても未解決のアプリケーションレベルの問題を利用した攻撃を受ける可能性があります。
そのため、完成したアプリケーションに対しては、ある程度の防御をアプリケーションレイヤーに追加する多層防御の考え方が必要です。

押さえておきたいポイント

  • Azure PaaSはインフラの構築・保守をマイクロソフトに任せられるため、開発者はコーディングやビジネスロジックの実装に集中できる。
  • ISOやHIPAAなど国際的なコンプライアンスには対応しているが、アプリケーションレイヤーの脆弱性など自社側で対策すべきセキュリティ課題は別途残る。
  • Azure SQL DatabaseのVNet統合・Private Link対応など、PaaSサービスの機能は年々アップデートされているため、設計時は必ずAzure公式サイト・公式ドキュメントで最新の仕様を確認することが重要。

よくある質問

Azure PaaSとAzure IaaSの違いは何ですか?

IaaSは仮想マシンやネットワークなどのインフラのみを提供するのに対し、PaaSはミドルウェアや開発ツール、データベース管理サービスなどアプリケーション開発・運用に必要な要素を含めて提供します。PaaSを使うことでインフラ管理の手間を減らし、開発そのものに集中しやすくなります。

Azure PaaSはどのような国際的なセキュリティ認証に対応していますか?

ISOやHIPAAをはじめとする国際的なコンプライアンス、および利用国ごとの法令・基準にも幅広く対応しています。ただし、対応状況はサービスやリージョンによって異なる場合があるため、詳細はAzure公式サイトでご確認ください。

Azure PaaSを利用する場合、自社側ではどのような対策が必要ですか?

プラットフォーム自体のセキュリティが堅固であっても、アプリケーションレベルの脆弱性は別問題です。既存アプリケーションの移行時にもセキュリティ開発ライフサイクル(SDL)の考え方を組み込み、アプリケーションレイヤーでの多層防御を行うことが重要です。

まとめ

今回はAzure PaaSのメリットとセキュリティについてご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
Azure PaaSは世界中で使用されているだけあり、非常に堅固なセキュリティを提供していますが、それでもカバーしきれない部分が存在することがわかりました。
Azure PaaSを利用することがあった際はこういったセキュリティの穴に気を付けて設計・開発を行いたいと思います。
この記事を読んでくださった方に少しでもAzure PaaSの魅力が伝わったら幸いです。

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