安全にリモートワークを実現できる味方?Azure Private Linkについて解説。
最終更新日:2026年8月10日
この記事でわかること
「Azure Private Link」とはどんなもの?
| 項目 | Microsoft Azure | AWS | Google Cloud |
|---|---|---|---|
| シェア(国内) | 約30% | 約35% | 約15% |
| 強み | Microsoft製品連携 | サービス数・実績 | データ分析・AI |
| 無料枠 | 12ヶ月無料 | 12ヶ月無料 | 常時無料枠あり |
| 主な資格 | AZ-900 / AZ-104 | CLF / SAA | ACE / PCA |
Azure Private Linkとは、Microsoftが提供する「Azure」というクラウドサービスの1つです。Azure Private Linkを使うことで、ユーザーはプライベートIPアドレスを付与されることになり、それによってセキュアなプライベート接続を実現できるようになります。
これは、接続元や接続先へのアクセスを施行する際に、いわゆる公共のパブリックIPアドレスを使うこと無く、仮想ネットワーク上からプライベートIPアドレスを使った通信を行うことで、プライベートリンクリソースへのアクセスを可能にしています。
実際にプライベート接続を可能にするための手順としては、まずオンプレミスのシステム上から、VNet内に設定したプライベートエンドポイントにアクセス。そこからさらにAzure Private Linkにアクセスし、最終的に各PaaSシステムへアクセスするという流れになります。プライベート接続を行う場合の通信時にはインターネットを使用しないので、Azure Private Link内にはデータが残らないようになっているのが特徴です。注意点として覚えておかなければいけないのは、Azure Private Linkを利用できるのはAzure Private Linkに対応しているAzure PaaSサービスのみであるという点です。
Azureサービスエンドポイントと Azure Private Link はそれぞれ異なる
Azure PaaSへのアクセスそのものには、基本的にインターネットを経由することになりますが、もしPaaS上で外部に漏洩したくないような重要な情報などを取り扱う際には、外部にも公開可能なネットワークを使用することはセキュリティの観点から好ましいとは言えません。
対策としてAzureサービスの中で設けられている手段の1つにAzure PaaSのファイアウォールはあるものの、これはパブリックIPアドレスに対するフィルタリングを行うものであり、アクセスに対する制限をかけることができるとは言っても結局はインターネットを経由していることになります。そのため、外部からのアクセスを完全に遮断することを保証できるわけではありません。
プライベートな内部通信のみを行おうとするのであれば、セキュリティを確実に確保しようとした場合「Azureサービスエンドポイント」か「VNet内プライベートエンドポイントとAzure Private Linkの組み合わせ」を利用することが推奨されます。どちらもセキュアな通信を行うためのサービスとして知られていますが、それぞれに異なる特徴があります。
Azure サービスエンドポイントとは?
Azureサービスエンドポイントは、VNet内にある特定のネットワーク範囲から、PaaSサービスに直接アクセスできるという機能を保有しています。Azureの高度なセキュリティなど、安心して使えるバックボーンを利用した機能を生かしたダイレクト接続が可能になり、インターネットへのアクセスを制限しつつ、安全も担保した接続を行うことが可能になるのです。
VNetからPaaSへの接続を行う場合、VNetとPaaS双方のパブリックIPアドレス間で通信が行われることになります。この場合に使用するのはインスタンスがインターネットにアクセスする場合のパブリックIPアドレスになりますが、仮にAzureのネットワークセキュリティグループでインターネットへの接続を拒否するように設定されている場合にはPaaSを使用することができないようになっています。
Azure Private Link との違いは?
Azureサービスエンドポイントで接続できるPaaSはPaaS側から指定された特定のリソースに限定されています。そのため、Azureサービスエンドポイントのみを使用する場合はオンプレミス側からプライベート接続を行うことができません。
Azure Private Linkの場合はどうかというと、Azure Private Linkの場合はVNet内に作られたプライベートエンドポイントを経由してPaaSへアクセスすることになるので、VNetとオンプレミスからVPNゲートウェイなどを経由することでPaaSへ接続することが可能になります。この場合に懸念されるのがセキュリティ面のリスクですが、このようなリスクは外部からのPaaSアクセスに対して制限をかけたりブロックを行うことでセキュアな接続を確保することができるようになります。
注意しておきたいのは、Azure Private LinkとAzureサービスエンドポイントのどちらかが明確に優れているわけではない、ということです。Azure Private LinkにもAzureサービスエンドポイントにも、いずれか一方にしか対応されていないPaaSサービスがありますし、双方に対応しているものがあります。それぞれのサービスに特徴があり、自社の環境やプライベート接続、セキュリティ、利便性についての考え方によってどちらを使うのがメリットが大きいのかをよく検討し吟味することが必要です。
Azure Private Link のメリット
Azure Private Linkのメリットとして最も大きいのは「プライベート接続を行う際の柔軟性が高いこと」です。この点を中心に、Azure Private Linkのメリットをいくつかご紹介します。
Azure PaaS サービスへのプライベート接続ができる
すでにこの記事の中でも紹介していますが、Azure Private Linkのメリットの1つとして、VNet中に設定されたプライベートIPアドレスを経由することでAzure PaaSへの接続が可能になるという点があげられます。同様に、オンプレミス環境側からPaaSへ接続することもできるようになります。
他の VNet やオンプレミスから Azure 上の自社サービスに、柔軟にプライベート接続できる
例えば自社が開発・提供するサービスを、クライアントに導入してもらうというビジネスモデルがあった場合、クライアント側や自社の課題として双方のシステム間接続をどのように円滑化するかというものがあります。クライアント側のセキュリティ確保の観点や、自社がパッケージとして提供するサービスをカスタム対応するかどうかも含めて様々な対応が求められることになるのですが、このように自社のサービスに対して異なるVNetや相手先のオンプレミスからアクセス可能とするためには何が必要となるのでしょうか?
大前提となる方法は、自社のサービスが使えるVNetにパブリックIPアドレスで接続し、そこを経由して自社のサービスへアクセスすることになりますが、この方法の場合は双方のVNetでインターネット接続をそれぞれ許可することが求められます。
VNet同士を接続する方法が取られることもあるのですが、アドレスの重複を避けるために複数のアドレスを設定することになるため、アドレスが足りなくなる可能性も考えられます。そのためこの「VNet同士を接続する」という方法は長期間の継続利用には適さないと考えられています。
このような複雑な接続方法の設定や、アドレス重複を避けるために注意しなければならない課題の解決に関して有効なのがプライベートエンドポイントやAzure Private Linkを使う方法です。Azure Private Linkを使うことで、複数のVNetに存在するそれぞれのプライベートエンドポイントを繋いで利用することが可能になります。接続のための通信を許可する作業も重複して行う必要がなくなるので、アドレスを重複する可能性を考慮することなく接続を行うことができます。
SaaS サービスへプライベート接続できる
ソフトウェアやアプリケーションを、Web上で使う形で完結させることを前提に考えられているSaaSサービスも、PaaSと同じくパブリックIPアドレスでの接続を基本として構成されています。クラウドベースのサービスである以上外部からの不正なアクセスを受けたり、情報セキュリティの観点でリスクが存在することは否定できません。Azure Private Linkの場合はPaaSだけでなくSaaSに対しても使うことができるため、セキュリティを確保した接続を行うことができ、セキュリティリスクを軽減することが可能です。
これは、Azure Private LinkがPaaSサービスのリソースの一部分だけを使うような設定を行うことができることが理由です。許可された利用者のみが、最低限必要な情報やデータ領域のみにアクセスできるよう制限をかけることが可能なので、禁止されている重要情報に対して無意味にアクセスを試みたり、悪意のある不正な接続を試行することを未然に防ぐことが可能になります。
【要注意】料金について
Azure Private Linkはプライベートエンドポイント単位の時間課金・データ処理料金が発生する有償サービスです。料金体系は改定されることがあるため、最新料金はAzure公式サイトでご確認ください。
Azure Private Link の活用例
Azure Private Linkの活用事例としてよく挙げられるのがリモートワークにおける利用です。Azure Private Linkを使えば、安全で柔軟性のあるリモートワーク環境を整備することが可能です。
Azureのサービスには仮想デスクトップサービスであるAzure Virtual Desktop(かつてのWindows Virtual Desktop)がありますが、Azure Virtual DesktopからAzure Private Linkを使い、クラウド上のストレージサービスやSQLなどのデータベース・サーバーに接続することも可能になります。この手法であれば必要以上に外部に権限を移すこと無く、社員が個々に使用している端末を使って、オフィスではない場所から社内環境にアクセスし、社内とほぼ同等の環境で業務を行うことが可能になるのです。
働く場所を固定しないハイブリッドワークやリモートワークは、業種・職種を問わず定着した働き方の一つとなっており、居住地を変更せずに遠隔地の業務をリアルタイムで行う体制を採用する企業も増えています。
Azure Private Linkはこのような働き方の多様化にも対応できるというメリットがあります。
押さえておきたいポイント
- Azure Private Linkは、VNet内のプライベートエンドポイントを経由してAzure PaaS/SaaSにインターネットを経由せず閉域接続できる仕組みである。
- Azureサービスエンドポイントとは似て非なるもので、オンプレミス側からのプライベート接続可否や対応リソースの範囲など特徴が異なるため、どちらか一方が常に優れているわけではなく用途に応じて選ぶ必要がある。
- リモートワーク環境の整備や、複数VNet・オンプレミスから自社サービスへの安全な接続提供など、柔軟なプライベートネットワーク構築に活用できる。
よくある質問
Azure Private LinkとAzureサービスエンドポイントはどちらを使えばよいですか?
接続対象のPaaSが両方式に対応しているかどうか、オンプレミス側からプライベート接続を行う必要があるかどうかで選択します。オンプレミスからの閉域接続が必要な場合はAzure Private Linkが適しており、VNet内からのアクセスに限定してよい場合はAzureサービスエンドポイントもシンプルな選択肢になります。
Azure Private Linkの利用に追加費用はかかりますか?
はい、プライベートエンドポイントの作成・稼働に対して時間課金とデータ処理料金が発生します。料金は改定される可能性があるため、最新の料金はAzure公式サイトでご確認ください。
すべてのAzureサービスでAzure Private Linkは使えますか?
いいえ、利用できるのはAzure Private Linkに対応しているAzure PaaS/SaaSサービスに限られます。対応状況はサービスごとに異なり随時追加されているため、導入前に対応可否を公式ドキュメントで確認することをおすすめします。
まとめ
ここまで、Azure Private Linkについてご説明してきました。Azure Private Linkとはどのようなものか?活用事例や導入のメリットについてご紹介してきましたが、参考になる点、現状の働き方の多様化に対応したサービスである点が多いということを理解して頂けたのではないでしょうか。これを機会に是非導入を検討してみてください。
▼ アクロビジョンについて


