AI開発の基本

最終更新日: 2026年8月7日

現在様々な企業がAI開発に力を注いでいますが、AI開発はどのように行われるのでしょうか。また、個人でも開発することはできるのでしょうか。本記事では、AI・機械学習・ディープラーニングの基礎から開発の流れ、AIでできること、プログラミング言語の選び方、さらに初心者でも使えるノーコードAIサービスまでをわかりやすく解説します。

AI(人工知能)とは

AIの定義は人それぞれで多少のずれがありますが、総務省平成28年版情報通信白書によると「人工的に作られた人間のような知能、ないしはそれを作る技術。人間のように知的であるとは、『気づくことのできる』コンピュータ、つまり、データの中から特徴量を生成し現象をモデル化することのできるコンピュータという意味である」と定義されています。人工知能を開発するには下記の知識が最低限必要になります。

機械学習

機械学習とは、人工知能における研究課題の一つで、人間が自然に行っている学習能力と同様の機能をコンピュータで実現しようとする技術・手法のことです。データから反復的に学習し、そこに潜むパターン(特徴)を見つけ出すこととされています。機械学習を理解するには数学の知識が必要になります。主に線形代数、確率・統計学、微分・積分を利用します。

ディープラーニング

ディープラーニング(深層学習)は「ニューラルネットワーク」と呼ばれるアルゴリズムを何層も使って機械がデータから自動で学習する方法のことを言います。ネットワークの層が多ければ多いほど、複雑な判断を正確に行えるため、「ディープ(深層)」「ラーニング(学習)」と呼ばれています。人間の脳に存在する脳神経細胞(ニューロン)を模して造られた仕組みで、まるで人間のように学習ができます。

AI開発の流れ(4フェーズ)

AIを開発する際は4つの工程に分かれて行われます。

  • 構想フェーズ:業務・事業がAIで自動化できるか検討し、AIを導入するために必要な定義を作成し、データを収集・整理します。
  • PoCフェーズ:機械学習の仮モデルを構築し、構想段階で考えたものが実現可能かを検証します。実際のデータを用いて機械学習モデルの構築を行います。
  • 実装フェーズ:PoCフェーズで構築したモデルを本番の運用で求められる性能などに向上させ、構想した業務やサービスを実現するシステムに組み上げていきます。
  • 運用フェーズ:これまでのフェーズを経て構築された機械学習モデルを搭載したシステムを運用していきます。構築した機械学習モデルの精度の監視とシステム全体の保守を行います。

AIでできること

予測

  • 数値予測:売上や需要の予測
  • ニーズ予測:個人や集団などの発注予測やニーズの推移
  • マッチング:コンテンツマッチ広告、検索連動広告

分類

  • 情報判断:画像、文章分類判断
  • 識別:音声認識、顔認証
  • 検知や予知:予兆検知、故障検知

実行

  • 自動化:自動運転、クレーム処理対応、Q&A
  • 生成:画像生成、機械翻訳、文章生成や作曲
  • 最適化:進路の最適化、ゲーム攻略

AI開発に使うプログラミング言語

AIはプログラミング言語で開発を行います。現在では多くのプログラミング言語での開発が可能です。主な言語は以下の通りです。

  • Python:現在、機械学習の分野でのシェア率No.1。豊富なライブラリ(TensorFlow・PyTorch・scikit-learn)が揃っている
  • R:統計解析に強みを持つプログラミング言語。学術研究でよく使用される
  • Julia(ジュリア):速度が高速で、文法がシンプル。数値計算に特化
  • C++:最高水準の速度で動作するが、やや難易度が高い。組み込みAIや高速処理が必要な場面で使用

初心者でも使えるAI作成サービス

初心者がAIを作る現実的な方法としては、「無料ツール」「API」「フレームワーク」を利用して開発する方法がおすすめです。この3つの方法のうち、最も簡単なのは無料ツールやWebサービスを使ってAIを作ることです。APIやフレームワークを利用するためには、プログラミングやIT開発のスキルが必要です。

Vertex AI AutoML(Google)

Googleが提供するクラウドAIプラットフォーム「Vertex AI」の一機能。機械学習の専門知識がなくても、学習データだけあれば機械学習モデルを自動で構築できます(旧称:Cloud AutoML)。画像分類・テキスト分類・表形式データの予測など多様なタスクに対応しています。

Neural Network Console(Sony)

ソニーが提供するディープラーニング(深層学習)のプログラムを生成できる総合開発環境です。GUIでニューラルネットワーク構造を視覚しながら直感的に設計、学習、評価ができます。

AIメーカー

誰でも手軽に機械学習を始められるWebプラットフォームです。画像認識と文字起こしの2つに対応しており、環境構築も不要なので非常に手軽にAI作成を試すことができます。

AI開発ツール比較

ツール 提供元 難易度 主な対応タスク
Vertex AI AutoML Google 初級〜中級(コーディング不要) 画像分類・テキスト分類・表形式予測
Neural Network Console Sony 中級(GUI操作だが理解が必要) ディープラーニングモデルの設計・学習
AIメーカー 個人開発 入門(環境構築不要) 画像認識・文字起こし
Python + scikit-learn / TensorFlow OSS 中級〜上級(コーディング必須) 機械学習・ディープラーニング全般

よくある質問

Q. 機械学習とディープラーニングの違いは何ですか?
A. ディープラーニングは機械学習の一分野です。機械学習は「人間が特徴量を設計してモデルに与える」手法が多いのに対し、ディープラーニングは「多層ニューラルネットワークがデータから自動で特徴量を抽出して学習する」点が異なります。画像認識・音声認識・自然言語処理など、人間が手動で特徴量を設計することが困難なタスクでディープラーニングが特に威力を発揮します。
Q. AI開発の「PoCフェーズ」とは何ですか?
A. PoC(Proof of Concept:概念実証)とは、アイデアや技術が実際に実現可能かどうかを小規模に検証するフェーズです。AI開発のPoCでは「このデータでこのモデルを学習したら、目標の精度が達成できるか」を確認します。大規模な本番実装の前にPoCで実現可能性を確認することで、コストやリスクを抑えながら開発を進められます。PoCで精度が出なかった場合は構想フェーズに戻り、課題設定やデータ収集方法を見直します。
Q. 個人がAI開発を始めるのに最低限必要な数学知識は何ですか?
A. 機械学習の理解に必要な最低限の数学は「線形代数(ベクトル・行列)」「確率・統計学(確率分布・ベイズ定理)」「微分・積分(勾配降下法の理解)」の3分野です。ただし、Vertex AI AutoMLのようなノーコードツールを使う場合は数学知識がなくても始められます。深く理解したい場合は「機械学習のための数学」系の入門書と並行してPythonのコーディングを実践することが効率的です。
Q. 「生成AI」はAI開発の「生成」カテゴリと同じですか?
A. 概念的には同じカテゴリに含まれます。本記事の「生成(画像生成・機械翻訳・文章生成・作曲)」が生成AIの代表的な応用例です。2022年以降、ChatGPT(テキスト生成)・Stable Diffusion・DALL-E(画像生成)・Sora(動画生成)などの登場で生成AIが急速に発展しました。Transformer・拡散モデル・GAN(敵対的生成ネットワーク)などのアーキテクチャが基礎になっており、いずれも本記事で解説したディープラーニングを基盤としています。

まとめ

  • AIとは「データの中から特徴量を生成し現象をモデル化できるコンピュータ技術」。機械学習(データからパターン学習)とディープラーニング(多層ニューラルネットワークで特徴量を自動抽出)が中核技術
  • AI開発は「構想→PoC→実装→運用」の4フェーズで進行。PoCで実現可能性を確認してから大規模実装することでコストとリスクを最小化できる
  • AIは「予測(売上・需要)」「分類(画像・音声)」「実行(自動化・生成・最適化)」の3カテゴリで活用でき、ビジネスの多様な場面で応用可能
  • AI開発言語はPythonがシェアNo.1(TensorFlow・PyTorch等の豊富なライブラリ)。初心者はノーコードツール(Vertex AI AutoML等)から始めて段階的にステップアップする方法が現実的
  • 個人でのAI開発は敷居が下がっており、ノーコードサービスなら環境構築なしで今日からAI作成を体験できる。まず試してみることが学習の近道

▼ アクロビジョンについて

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