Excelでできるデータ解析

最終更新日: 2026年8月7日

今やIT業界のみにとどまらず、さまざまな業界でデータ分析の重要性が高まっています。LINEはAIによるスコアリングサービスの提供を開始し、日本電気株式会社はデータサイエンスの分野において能力給採用を導入するなど、データを解析できる人材の価値が高まっています。しかし、新しいツールの開発を行うことなく、すでに多くのビジネスパーソンが利用しているExcelでも、十分にデータ解析が可能です。本記事では、Excelでできるデータの解析方法についてご紹介いたします。

クロス集計分析とは

データの解析が企業側のみならず、データを提供する側にとっても広く認識されるようになってきており、企業も専門的なスキルを持つ人材の確保に尽力しています。そこで今回は、新しいツールや開発を行うことなく、Excelでできるデータ解析の手法についてご紹介いたします。

たとえば「売上」「年月日」「支店」「担当セールス」「製品」「数量」「得意先」のリストがあるとします。そこから、「どの製品」が「いくつ売れたか」といった、リスト中の2つの項目から集計することを単純集計といいます。単純集計に対して、クロス集計は、「どの支店」で「どの製品」が「いくつ売れたか」といった複数の項目を掛け合わせて集計する手法です。

単純集計では、製品ごとの売上数しかわかりませんが、クロス集計分析を用いることによってどの地域でどの製品のニーズがあるのかが明確になります。売上の低い支店から売上の高い支店へと特定の製品の在庫を移動させる、といった戦略が立てられるようになるのです。そして、Excelのピボットテーブルでこのクロスcollection集計を簡単に行うことができます。

ピボットテーブルとは

ピボットテーブルとは、Excelで作成された大量のデータリストを、関数や計算式を入力することなく、クロス集計を行うことのできる機能です。

クロス集計分析を行うためには、複数の項目をさまざまな切り口で集計する必要があります。たとえば、「売上」「年月日」「支店」「担当セールス」「製品」「数量」「得意先」のリストから、

  • ①「どの支店」で「どの製品」が「いくつ」売れたか
  • ②「いつ」「どの製品」を「誰が」売っているか
  • ③「どの得意先」が「どの製品」を「いくつ」買っているか

といったように、複数の項目をあらゆる角度から分析したい場合も、それぞれの集計に必要な項目ごとにリストを個別で作成することなく、元データ1つから集計が可能です。

また、複数の集計に用いた値(上記の例であれば、「製品」や「数量」)に修正が生じた場合も、元データ1つに修正を行うことで、集計結果に反映させることができるため、人為的なミスを防ぎ、解析業務の効率化を図ることができます。選択・ドラッグのみで集計ができるため、Excelでリストさえ作成できれば、関数や計算式の入力も不要なので、Excelもデータ分析も初心者の方にもおすすめです。

ピボットテーブルを使ってできる集計・分析

データを集め、さまざまな切り口から集計を行った後は、集計結果から解析を行います。その際に役立つExcelの機能、そして分析手法についてご紹介いたします。

ピボットグラフ

ピボットグラフとは、ピボットテーブルで作成した集計結果を、グラフに変換することができるExcelの機能です。縦棒や折れ線、円グラフといった基本的なグラフから、品質管理のデータ分析方法として用いられるQC七つ道具のヒストグラムや散布図の作成が行えます。ピボットテーブルで作成された集計結果は、数値で表示されているため、こちらをグラフとして可視化することで、結果の割合や推移などが一目で理解することが可能になり、結果の要因が見つけやすくなるでしょう。

スライス分析

作成した集計結果のより詳細な解析を行う為には、スライス分析が有効です。スライス分析とは、集計データに条件を追加してさらに詳細にデータを解析する手法を指します。たとえば、「売上」「年月日」「支店」「担当セールス」「製品」「数量」「得意先」のリストから、「どの支店」で「どの製品」が「いくつ」売れたかを集計したピボットテーブルを作成したとします。その集計結果に「誰が(=担当セールス)」というフィルタを追加し、解析を行う手法を指します。新しい条件が追加されたことで「どの支店」で「どの製品」を「いくつ」「誰が」が売ったかがわかります。集計結果の要因を、より詳細に解析していくためにスライス分析は有効です。Excelで作成したピボットテーブルは、スライス分析を行うためのスライサー機能を挿入することができます。テーブルの再作成をすることなく、マウスクリックのみで新しい条件を追加して再集計が可能な為、会議中などの迅速な対応が必要となる場面などにも非常に役立つ機能でしょう。

集計・分析手法の比較

機能・手法 できること メリット
単純集計 1つの項目からの集計(例: 製品ごとの売上数) シンプルで直感的・SUMIF等で実現可能
クロス集計(ピボットテーブル) 複数項目を掛け合わせた集計(例: 支店×製品×数量) 関数不要・ドラッグのみ・元データ修正が即反映
ピボットグラフ ピボットテーブルの集計結果をグラフ化 割合・推移が一目で把握・ヒストグラムや散布図も作成可
スライス分析 集計結果にさらに条件フィルタを追加して深掘り 再集計がマウスクリックのみ・会議中の即時対応に有効

よくある質問

Q. ピボットテーブルはExcelのどのバージョンから使えますか?
A. Excel 97から基本機能として搭載されており、現在のMicrosoft 365・Excel 2016/2019/2021でもすべて利用できます。スライサー機能(スライス分析用)はExcel 2010以降で対応しています。また、Google スプレッドシートでも「ピボットテーブル」として同様の機能が無料で使えます。
Q. ピボットテーブルで扱えるデータ量に上限はありますか?
A. Excelシート自体の行数上限が約104万行(1,048,576行)です。この範囲内ならピボットテーブルで集計できます。それ以上の大規模データはPower Query(Excel内蔵のETLツール)やPower BI(BIツール)、Pythonのpandasへの移行が一般的です。数千行〜数万行程度なら通常のExcelで十分快適に操作できます。
Q. Excelのデータ分析とPythonのデータ分析はどう使い分けますか?
A. 数十万行以下で「集計・グラフ化・フィルタリング」が中心ならExcelが適しています。百万行超・機械学習・自動化・繰り返し処理が必要な場合はPython(pandas・matplotlib等)が有利です。実務では「Excel でクイック分析 → Python/SQLで本格分析」という組み合わせが多く、Excel力はデータ分析の入口として今も重要なスキルです。
Q. ピボットテーブルを覚えると実務でどんな場面で役立ちますか?
A. 売上分析(商品×月×地域の交差集計)、顧客データの傾向把握、アンケート集計、在庫分析など幅広い場面で活用できます。関数を書かずにドラッグ操作だけで集計できるため、事務職・営業職・マーケター・企画職など非エンジニアでも「データで判断する力」を身につける入口として最適です。

まとめ

  • Excelのピボットテーブルを使うことで、関数や計算式なしに複数の項目を掛け合わせたクロス集計分析が実現でき、データ分析の専門ツールなしに解析が可能
  • 単純集計(1項目集計)をクロス集計(複数項目の掛け合わせ)に変えることで「どの支店でどの製品がいくつ売れたか」など、より戦略的な意思決定に活用できる情報が得られる
  • ピボットグラフで集計結果を可視化すると、数値の割合や推移が一目で把握でき、結果の要因を見つけやすくなる
  • スライサー機能(スライス分析)を使えば会議中にマウスクリックだけで条件を追加しリアルタイム再集計が可能で、迅速な意思決定に貢献する
  • 事務職・営業職を含む非エンジニアでもExcelのピボットテーブルから始めることで、データ解析のスキルを段階的に身につけられる

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