ディープラーニングに関するGPU

最終更新日: 2026年8月7日

ディープマインドの囲碁ソフトAlphaGoや、プリファード・ネットワークス社の線画に色を付ける自動着色システムPaintsChainerなどでも使われているディープラーニング。近年、巨大で複雑なディープラーニングを使って、様々な問題の解決ができるようになってきました。ディープラーニングの計算は非常に計算が重く、普通のCPUだけで計算するととても時間がかかります。そんな中、現在のディープラーニングの計算の高速化にはGPU(Graphics Processing Unit)が使われています。本記事では、なぜGPUが使われるのか、種類と特徴、そして計算環境について解説します。

何故GPUが使われるのか

特徴の違い

CPUは高性能のコアが少数(通常4コア〜64コア程度)載っているのに対して、GPUは比較的低性能のコアが大量(600〜5000コア程度)載っているデバイスです。ディープラーニングでは、行列計算を多用します。そして、このような計算において、GPUは無類の強さを誇ります。GPUはCPUのような柔軟な計算(条件分岐がたくさんあるような計算や、並列化ができない計算)は不得意ですが、そのかわりに単純な計算を並列で計算することが得意です。この特徴がディープラーニングと相性がよく、なおかつ高性能なのに比較的安価であることも「深層学習するならGPU」という追い風になりました。

GPUの種類

NVIDIAとAMD

現在は、GPUのメーカとして有名なのは2社、NVIDIAとAMDです。NVIDIA製のGPUには、Geforce、Quadro、Teslaの3つのブランドがあります。そして、AMDは、Radeon Pro、Radeon Instinctがあります。一般の人が購入する機会があるのは、GeforceかRadeonでしょう。これらはゲーマーや科学計算用マシンを安価に組みたい人に人気です。どちらかというと、AMDのグラフィックボードよりはNVIDIAのグラフィックボードの方が深層学習の分野では活躍しています。主要なディープラーニングフレームワークが対応するまでは、AMD製グラフィックボードでの深層学習は初心者には難しいかもしれません。AMDも深層学習・機械学習の分野への対応を進めているので、今後の動向に注目です。

CUDAとOpenCL

GPUを使った計算を行うために、CUDAやOpenCLのようなGPU開発・実行環境が使われます。大雑把に言うと、CUDAはNVIDIAのGPUで使われるもので、OpenCLは様々なデバイスに対応しています。これらの言語はC言語の拡張ですが、Pythonからディープラーニングを開発する人はあまり直接触ることはないはずなので心配しないでください。実は、TensorflowやPytorch、Chainerなどの有名なディープラーニングフレームワークは内部でCUDAやOpenCLを使っています。ユーザーが直接CUDAなどを書かなくてもいいように、フレームワークが機能を提供してくれています。そして、ディープラーニングフレームワークのOpenCL対応が遅れているのに対して、CUDAは広く使われています。だから現状では、深層学習用のGPUと言ったらほぼNVIDIA製品となっているんですね。さらに、CUDAやOpenCLで高速なプログラムを書くには、GPUの特性をしっかりと知っていないといけません。その点、Pythonのフレームワークならば、そのあたりをあまり気にすることなく、高速なプログラムが書けて便利です。

最新NVIDIA GPU

最新NVIDIA GPUは、リアルタイムレイトレーシングとAI強化グラフィックスなどの新機能を備え、旧世代よりも数段高性能であることを謳っています。RTXシリーズやGTX10X0シリーズなども、ディープラーニング界隈でも移行が進んでいます。

ディープラーニング向けGPU 比較表

項目 NVIDIA(GeForce/RTX) AMD(Radeon) クラウドGPU(AWS/GCP等)
計算環境 CUDA(業界標準。TF/PyTorch完全対応) ROCm / OpenCL(フレームワーク対応は発展途上) CUDA(NVIDIA A100/V100等)
DL学習適性 ★★★★★(最もおすすめ。エコシステムが充実) ★★☆☆☆(初心者には環境構築が難しい) ★★★★☆(環境構築不要・コスト従量課金)
コスト感 RTX 3060〜4090 / 3〜20万円 RX 6600〜7900XTX / 3〜15万円 p3.2xlarge(V100)〜$3/時間〜
おすすめ用途 個人学習〜研究・本格的DL開発すべてに対応 ゲーム・グラフィック用途(DLには非推奨) 初学者〜大規模学習(ハードウェア不要)
入門向け選択肢 RTX 3060(6〜12GB VRAM)が価格/性能バランス良好 DL入門目的なら非推奨 Google Colab無料枠がDL入門の最安手段

よくある質問

Q. GPUを買わずにディープラーニングを学ぶ方法はありますか?
A. はい、あります。Google Colaboratory(Google Colab)を使えば、ブラウザ上でT4 GPU・A100 GPUを無料または安価で利用できます。Kaggle Notebooksも週30時間のGPU無料枠があります。初学者がPythonでTensorFlowやPyTorchの基礎を学ぶ段階ではクラウドGPUで十分です。本格的なモデル訓練や大規模実験を繰り返す段階になってから、ローカルGPUを検討するのが費用対効果の面で合理的です。
Q. CUDAとOpenCLの違いは何ですか?
A. CUDAはNVIDIAが開発した、NVIDIA GPUに特化したGPUプログラミング環境です。TensorFlow・PyTorch・Kerasなど主要なディープラーニングフレームワークがCUDAに対応しており、事実上の業界標準となっています。OpenCLはKhronos Groupが策定したオープンな標準規格で、NVIDIA・AMD・Intel・ARM等さまざまなプロセッサで動作します。ただしフレームワーク側のOpenCL対応が遅れており、現状のDL開発はCUDA=NVIDIA GPUが主流です。
Q. CPUとGPUはディープラーニングでどう使い分けますか?
A. ディープラーニングにおけるGPUの役割は主に「モデルの訓練(学習)」です。行列演算の並列化処理が得意なため、CPUと比べて数十倍〜数百倍高速に学習できます。一方CPUは「データの前処理」「学習済みモデルの推論(小規模)」「条件分岐が多い複雑な処理」に適しています。実際の開発では、データ前処理はCPU、バックプロパゲーションの行列計算はGPUと、PythonフレームワークがCPU/GPU間のデータ転送を自動で管理してくれます。
Q. ディープラーニング向けにGPUを購入する場合の選び方は?
A. まずNVIDIA製品を選ぶことが前提です。選定のポイントは主に「VRAMサイズ」と「予算」です。VRAMはモデルのバッチサイズと直結しており、LLM(大規模言語モデル)のファインチューニングなら24GB以上が必要なケースもあります。入門・個人学習向けにはRTX 3060(12GB VRAM)が費用対効果に優れた定番選択肢です。Kaggleの上位を目指す・研究用途では RTX 4090(24GB)や、より大規模な用途ではAWS/GCPのクラウドGPUインスタンスの利用を検討してください。

まとめ

  • ディープラーニングの計算は行列演算を多用するため、数千コアで並列処理できるGPUがCPUより圧倒的に高速。深層学習の実用化・高精度化を支えた立役者がGPU
  • GPU市場はNVIDIAとAMDの2強だが、ディープラーニング向けには「CUDAが業界標準」としてNVIDIA製品が圧倒的に有利。主要なフレームワーク(TensorFlow・PyTorch)はCUDAに完全対応している
  • PythonのディープラーニングフレームワークはCUDAをラップしており、ユーザーが直接GPU命令を書く必要はない。Pythonコードで書くだけでGPU加速の恩恵を受けられる
  • 入門段階はGoogle ColabやKaggle Notebooksのクラウド無料GPU枠を活用するのが費用ゼロで最効率。ローカルGPU購入はある程度学習が進んでから検討すればよい
  • ローカルGPUを買うならNVIDIA RTX 3060(12GB VRAM)が個人学習・入門には費用対効果に優れた選択肢

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