仕事が奪われてきた歴史とAI(人工知能)について

最終更新日: 2026年8月7日

現在、AIによって仕事が奪われてしまうと話題になっています。しかし、これまでの歴史の中でも何度か発明による失業はありました。例として農業(生産)革命のときと、産業革命のときです。AIによる社会変革の本質を理解するために、歴史上の技術変革と比較しながら解説します。

農業革命による仕事の変化

生産革命のとき、人々は狩りの生活から農業の生活へ変わりました。農業は定住生活で、狩りの生活より食料供給が安定し、生産性も高いものでした。定住生活を始めると狩りを行う必要がなくなるので、狩りをしていた人は、農業をするようになり、次第に狩りという仕事はなくなっていきました。

農業革命のイメージ

皆が農業をすると農業が上手になる。そうなると、皆が農業をする必要がなくなる。つまり、農業をしなくなる人が出る。この農業をしなくなる人は農業が下手な人ではなく、上手な人です。農業をしなくなった人は何をするか?農業が上手な人は「神官」になります。

「神官」は、「こんな工夫をすると生産力があがる」「今年は洪水が早く来るから早めに収穫すべきだ」といったように、農業が下手な人に指導をしていきます。神官は、農業が上手という実績があるから農業が下手な人はそのノウハウを欲しがって、ノウハウを教えてもらった対価として、神官に作物を渡すといった生活が始まりました。

神官のノウハウは「神のおつげ」として伝わりますが、神官の言うことは必ず役に立つとは限らなかったので、農業が下手な人の生活が悪化していきました。この政治を「神権政治」と呼びます。神権政治の代表例は「卑弥呼」が有名です。

神のおつげが外れても対価は作物として払わないといけませんでした。この対価がのちの税金となりました。この結果として農業が下手な農民は奴隷になります。

神権政治のイメージ

産業革命による仕事の変化

産業革命とは、機械化による生産性が大幅に向上した革命で資本主義の原点です。当時、ノーフォーク農法というのが発明されて、土地単位あたりの生産性が急上昇したといわれています。そうすると、今までよりも少ない農民の数で、同じ量の農業生産物を作れるようになります。次第に、多くの農民は失業者となりました。

この失業者はどうなるか?それは、都市に渡り、賃金労働者になりました。賃金労働者は資本家に労働力を提供することでお金をもらい、そのお金で生活するようになりました。

この2つの例に共通して言えることが、明確な上下関係ができ、下の者は大変苦しい生活を送っていた、ということになります。これは歴史においていつの時代でも言えることだと思います。

産業革命のイメージ

AIによって仕事が奪われるとどうなるか

では、AIによって人間の仕事が奪われるとどうなるか?歴史的に見れば、

  • 新しい仕事が作られる
  • 仕事をしない人間が生まれる

のどちらかになると言えます。新しい仕事ができれば仕事を作った人が上位階級となり上下関係が生まれ、下で働く人間は苦労することになります。

仕事を作れない場合は?それは古代ギリシャや古代ローマの時代にあたります。

古代ギリシャの例

古代ギリシャは「奴隷に仕事をやってもらうことによって仕事をうばわれる」例です。古代ギリシャのアテネはイオニア人という人が作った都市で、もともとはアカイア人が住んでいました。それをイオニア人が征服しアカイア人を奴隷にしていました。

そして、アテネの人々は働かなくても食べていける生活をしていました。そのころ、アテネの人々は、広場で談笑したり、神話を作ったり、神殿に行き神への祈りを捧げたり、哲学にふけったり、脚本を作って上演したりしていました。現在でいう、YouTuberなどが同じような感じです。

しかし、他の都市で自由なことをしていた人々は国防をしていて、他の都市を滅ぼして勢力圏を広げ、もっと裕福な生活を求めていました。結果、古代ローマに滅ぼされました。

古代ギリシャのイメージ

古代ローマの例

古代ローマにも、仕事をしていない人がいました。その人たちは、周辺国を服属させてその富を奪っていきました。そして、ローマ帝国まで成長し、ローマ帝国は、収穫物を税金としていましたが、やがて、通貨(お金)を税金として集めました。

当時の通貨は、金で作られそれだけで価値があるので、世界的にも大変裕福な国に成長しました。ローマでも階級があり、貴族と平民で、貴族にお金が集中する仕組みになっていました。

お金のある貴族の政治家は平民に食べ物を配っていました。理由は、「食べ物を与えているんだから、選挙は俺に投票しろ」ということです。つまり、

政治家が平民に食べ物を配る

平民はその政治家を支持する

その政治家が当選する

政治家がローマの政治を動かす(お金の流れを操作できる)

周辺国からの利益を、政治家が独り占めする

そこから生まれたお金で平民に食べ物を配る

という流れができていました。

古代ローマのイメージ

歴史的な技術変革 比較

変革 主な出来事 失業した人の行方 生まれた新しい役割
農業革命 狩猟→農業へ移行・定住生活の始まり 農業が上手な人が神官へ、下手な人は奴隷に 神官(知識・ノウハウの提供者)・税金制度の誕生
産業革命 機械化・ノーフォーク農法による生産性向上 農民が都市へ移住→賃金労働者に 資本家・工場労働者という新しい階級構造の誕生
奴隷制(ギリシャ・ローマ) 奴隷が労働を担うことで支配階級が非労働生活へ 支配者層は哲学・政治・文化活動へ 学問・民主主義・エンターテインメントの発展
AI革命(現在進行中) AIが定型業務・データ処理を代替 未確定(新仕事創出 or 非労働層の誕生) コミュニケーション・創造・新規事業創出など人間固有スキルへ

この記事のポイント

  • 農業革命・産業革命など、歴史上の技術革新はいずれも既存の仕事を奪い、新たな上下関係や新しい仕事を生み出してきた
  • 「仕事を作れない場合」の代表例として、古代ギリシャ・古代ローマでは奴隷や属国からの富の収奪によって働かない階層が生まれた
  • AI社会変革でも、「コミュニケーション能力」「新しい仕事を考える力」のように機械に代替されにくいスキルの重要性が増すと考えられる

よくある質問(FAQ)

Q. AIによって仕事が奪われるのは歴史上初めてのことですか?
A. いいえ、農業革命や産業革命など、過去にも技術革新によって既存の仕事が失われ、新しい仕事や生活様式が生まれた例が繰り返されてきました。
Q. AIに代替されにくいスキルにはどのようなものがありますか?
A. 本記事では「人と人を繋げるコミュニケーション能力」と「新しい仕事を考えること」を挙げています。これらは深い知識と経験が求められるスキルとされています。
Q. 歴史を学ぶことはAI時代の働き方を考える上でどう役立ちますか?
A. 過去の技術革新が社会構造や仕事のあり方をどう変えてきたかを知ることで、AI変革に対してどのような備えが必要かを考えるヒントが得られます。
Q. 古代ギリシャ・古代ローマのように仕事をしなくなる未来は現実的ですか?
A. AIが大量の仕事を代替した場合、古代ギリシャのように支配者層(テクノロジーを持つ側)が富を独占し、多くの人が非労働状態になるシナリオは歴史的に見ても起こりうる変化です。ただし現代では民主主義・社会保障などの制度が緩衝材として機能することも考えられます。

まとめ

このように現在起きている社会変革も、歴史が繰り返されているだけと考えられます。そして、今後起きる社会変革も今までどのようにされてきたのかを、歴史をさかのぼって学ぶことが参考になります。これから起こりうる、AIによる社会変革には、何が特徴でどんなスキルが必要とされるのかを考えておくことが重要です。

AIの特徴は、「ルールを定義して、そのルールに従って多くの試行を行わせることで、正しい回答を導き出せるようにする」というものです。逆に、できないもの、ないものとは「人と人を繋げるコミュニケーション能力」「新しい仕事を考えること」です。しかし、このスキルに特化した職業は少なく、カウンセラーや、恋愛コンサルタント、ホスト、キャバ嬢、起業家、企業コンサルタントなどが挙げられます。他に新しく何らかの形として新しい職業が生まれるかもしれません。

1つ言えるのは、コミュニケーション能力と、新しい仕事を考える力は決して簡単なスキルではなく、とても深い知識と能力が必要となります。

▼ アクロビジョンについて

👔

一緒に働きましょう

一人ひとりのキャリアに向き合い、
活躍できる現場をご紹介します。

採用サイトを見る →
💻

システム開発のご依頼・ご相談

コンサルティングから運用保守まで、
ワンストップで対応します。

まずはお気軽にご相談ください →