いまさら聞けない「データサイエンティスト」とは

最終更新日: 2026年8月7日

データサイエンティストについて学習を進めていく中で、必ずと言っていいほど疑問に浮かぶのが「そもそもデータサイエンスとは何なのか?」なのではないでしょうか。データサイエンティストやデータサイエンスは言葉として広く認知され始めたものの、その意味や役割までを答えられる方は少ない状況です。本記事では、データサイエンスとは何か・データサイエンティストとはどのような職種か・必要なスキルの3点について解説します。

データサイエンスとは

データサイエンスは、データ=情報、サイエンス=科学で、直訳すると情報科学となります。IT技術が進歩し、企業や団体、個人が簡単に大量のデータを保有できるようになったことから、そのデータをさまざまな活動に利活用することで、大きな利益や発見を得られるようになりました。科学的手法やアルゴリズム、プロセスやシステムを使い、データを分析・分類することによって、知見や未来予測といった何らかの結論を導き出そうとする研究分野がデータサイエンスとなります。

データサイエンスの重要性

データサイエンスという言葉自体は新しいものではなく、当初は統計学者を中心として研究が行われていた分野でした。2010年以降、大量で複雑なデータ(ビッグデータ)を企業が収集できるようになり、現在AIや機械学習の普及によって、データサイエンスが実験・実証の域を越えて企業に利活用できる段階になったことから、社会的な認知が広まりました。

企業がビッグデータを収集・保有できるようになったものの、データが大量・複雑であることから整理されていないことも多く、データがただのデータのままになってしまうことが企業の問題でした。そこで、データを整理・分析することで、共通点や新しい知見、未来予測を行えるデータサイエンスが今注目されています。これまでただ保有されていたデータから、企業の経営に重要な影響をもたらす結果が導き出せるようになり、データサイエンスが企業において重要な分野のひとつとなりました。

データサイエンティストとは

データサイエンスの重要度の高まりを受け、企業においてデータサイエンスを用いてデータの分析を行えるデータサイエンティストの需要も高まっています。データサイエンティストは、文字通りデータサイエンスの実践者であり、データを分析することでビジネス的な価値を効率よく見つけ出し、その結果をビジネスに活用できる人材を指します。単なる分析を行うだけでなく、ビジネスにおける課題を理解し、データの分析結果をビジネスに利活用できるようにすることがデータサイエンティストの大きな役割です。

データサイエンティストとデータアナリストの違い

ビッグデータを分析するという点で共通する職業として、データアナリストをご存じでしょうか。これらの2つの職業はよく似ている職業として混同されがちですが、どこに主軸を置いて業務を遂行していくかや担当業務の範囲に違いがあります。

データアナリストは主に「収集」と「分析」を担っており、データの分析者としての役割が大きいことが特徴です。これに対してデータサイエンティストは担当領域が広く、「課題の抽出→データ収集・分析→仮説の構築→アルゴリズム・予測モデルの実装」までを担い、ビジネスでの活用までを見据えて課題の抽出から提案を行います。

データサイエンティストに必要なスキル

このように幅広い業務を担当するデータサイエンティストにとって必要とされるスキルを、一般社団法人 データサイエンティスト協会が以下の3つに定義しています。

1. ビジネス(business problem solving)力

このスキルは、どんなデータを対象にして収集分析を行うかを設定するフェーズや、分析結果を提案するフェーズで必要とされるスキルです。具体的なスキルとしては、ビジネスのプロセスやプロジェクトマネジメントに関する知識やロジカルシンキングのスキルなどがあたります。分析された結果をビジネスに活用することがデータサイエンティストとしての大きな役割のひとつであるため、このビジネス力は必須のスキルです。また、経営課題を知るにも、データを収集・分析するにも、チームや他部門との連携が必要です。経営全体やプロジェクトについて知ることで、スムーズなコミュニケーションが行え、適切な収集・分析が可能となります。

2. データサイエンス(data science)力

このスキルは、情報科学系の知識を理解し、利用する力を指します。主にデータの収集や分析、仮説検証のフェーズで必要とされるスキルです。具体的には、データの視覚化や機械学習、数学・統計学の知識があたります。データの分析結果を数値のみではなく、グラフや表といった視覚的な形で表すことで、直感的にデータの示す意味や結果を理解することができます。また、機械学習や数学・統計学の知識は、データの種類や特性に見合った手法を活用できるようになるために必要なスキルです。

3. データエンジニアリング(data engineering)力

このスキルは、プログラムを用いた加工処理やシステム・インフラに関する知識を使用し、分析アルゴリズムの実装や予測モデルを構築できる力を指します。具体的には、プログラミングや環境構築・データ蓄積、ITセキュリティの知識があたります。データサイエンティストが使用するプログラミング言語としては、R言語・Pythonが圧倒的なシェアを誇っています。

3つのスキルを完璧にマスターしている人材は非常に少ないのが現状です。それぞれのスキルに特化した専門家でデータサイエンスのチームを立ち上げる企業や、データの収集は他企業の製品やサービスを利用するといった一部業務をアウトソーシングする企業がほとんどです。データサイエンティストを目指している方は、企業のコンサルやマーケティングといった部門やエンジニアとして、上記3つのスキルのうちどれかの実践経験を積むことが大切です。

データサイエンティスト vs データアナリスト 比較

項目 データサイエンティスト データアナリスト
主な役割 課題抽出→収集→分析→モデル実装→ビジネス提案(全体) データ収集・分析・レポーティング
必要スキル ビジネス力+統計・機械学習+プログラミング 統計・集計・SQL・可視化ツール
担当範囲 広い(ビジネス〜エンジニアリングまで横断) 収集と分析に限定されることが多い
予測モデル構築 ◎ アルゴリズム設計・実装まで担う △ 分析結果の活用が中心(実装は別担当が多い)
需要・難易度 高需要・高難度(人材不足) 需要あり・比較的入りやすい職種

よくある質問

Q. データサイエンティストになるにはどのようなキャリアパスが一般的ですか?
A. 記事内でも触れていますが、3つのスキル(ビジネス・データサイエンス・データエンジニアリング)のうちどれかを先に実務経験として積むのが現実的です。例えば「エンジニアとしてPython・SQLを習得→機械学習を独学→データサイエンティストへ転換」「マーケターとして数値分析の経験→統計学を学ぶ→データアナリスト経由でデータサイエンティストへ」などのルートが多いです。未経験からの直接転職は難しいケースが多く、まず関連職種から実績を積むことが推奨されます。
Q. データサイエンティストの年収はどのくらいですか?
A. 国内では経験3年以上のデータサイエンティストの年収は600〜1,000万円台が相場です。外資系企業や金融・コンサルティング業界では1,200万円以上も珍しくありません。一方、データアナリストは400〜700万円程度が多い状況です。スキル不足からの人材不足が続いているため、3つのスキルを兼ね備えたデータサイエンティストの市場価値は引き続き高い状態が続いています。
Q. データサイエンティストに必要な3つのスキルのうち、最初に学ぶべきはどれですか?
A. バックグラウンドによります。エンジニア出身なら「データエンジニアリング力」が既にある状態なので「データサイエンス力(統計・機械学習)」を先に補強するのが効率的です。ビジネス職出身なら「ビジネス力」を活かしながら「データサイエンス力」を補完し、最後に「エンジニアリング力」という順が自然です。いずれにせよPythonの基礎とSQL、それに統計学の基礎(平均・分散・回帰分析)を並行して学ぶのが最初のステップとしてお勧めです。
Q. データサイエンティスト協会の定義する3スキルと「データサイエンス力」の中の機械学習はどう関係しますか?
A. 「データサイエンス力」は機械学習の理論・原理を「理解して活用する力」、「データエンジニアリング力」は機械学習モデルを「実際にコードで実装する力」という役割分担があります。両者は密接に関係しており、理論を理解せずに実装だけするとモデルの精度が上がらない原因を特定できない、逆に実装力がないと理論を学んでも業務で使えないという問題が生じます。現実的には両スキルを並行して学ぶことが多く、Jupyter Notebookを使ってPythonで機械学習を実践しながら理論を理解するスタイルが効率的です。

まとめ

  • データサイエンスとは「科学的手法・アルゴリズムを使い、大量のデータを分析・分類して知見や未来予測を導き出す研究分野」。ビッグデータとAI・機械学習の普及により企業活用が本格化した
  • データサイエンティストは「分析するだけでなく、課題抽出からビジネス活用の提案まで担う」点がデータアナリストとの最大の違い。担当範囲が広いため高い需要があり、国内でも人材不足が続いている
  • 必要なスキルはデータサイエンティスト協会が定義する3つ:①ビジネス力(課題設定・提案)②データサイエンス力(統計・機械学習)③データエンジニアリング力(プログラミング・システム構築)
  • 3スキルを完璧に持つ人材は希少。現実的には1つのスキルを先に実務で積み、段階的にデータサイエンティストを目指すキャリアパスが多い
  • データサイエンティストを目指すなら、コンサル・マーケティング・エンジニアなどの関連職種で実践経験を積みながら、Python・統計学・機械学習の学習を並行して進めることが有効

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