SASエンジニアとは?仕事内容や年収・待遇、資格まで解説

最終更新日: 2026年8月7日

SASエンジニアの仕事内容・年収・資格を解説するイメージ

今回はデータの統計分析を主に行い、医療や通信など幅広い分野で活躍するSASエンジニアの概要や仕事内容、年収・待遇、役立つ資格などについて解説します。

SASエンジニアとは?

まずSASとは「Statistical Analysis System」の略であり、米SASインスティテュート(SAS Institute)社が開発したデータ解析・統計分析や解析結果の可視化が行えるソフトウェア、およびそのソフトウェアで使用されるプログラミング言語のことを指します。

そして、SASエンジニアとはSAS言語を用いデータの統計分析を行う職種です。医療・薬品をはじめ金融・通信・小売・学校や政府機関、その他の各業界で活躍しています。中でも医療や薬品関係でのニーズが高い傾向にあり、社会貢献度の高い職業といえます。

SASエンジニアが特に必要とされている医療や薬品関係の企業には外資系企業も多くあるため、時に語学力が求められることがあります。データの分析を行うので統計学や数学的な知識が必要な場面もある、ややハードルの高い職種との印象がありますが、実はSAS未経験や文系からでも携わることができます。

仕事内容

SASエンジニアはSAS言語を用い、データの統計分析を行うことが主な業務です。具体的にどういったデータを解析しているかは業界や企業によって異なりますが、例として新薬の治験データ・商品の流通データや顧客データなどが挙げられます。

SASシステムが使える環境を構築することデータの分析を行う下準備としてデータセット(注)を作成すること分析結果を統計学的に集計かつ傾向をまとめることも業務のうちです。

(注) データセット:解析用のデータを指します。

年収・待遇

SASエンジニアは、統計解析という専門性の高さから、他の職種と比べて年収水準が高めになりやすい傾向があるといわれています。求人情報などを見ると年収帯は数百万円台からスタートし、外資系企業や条件の良いベンチャー企業では1000万円台に達するケースも見られます。平均的には600万円台という情報もありますが、経験年数・スキルレベル・所属企業の業界や規模によって幅があるため、あくまで目安として捉えてください。

待遇面についても、他の一般的なエンジニア職と比較して働きやすい環境が整っている企業が多いといわれています。例えば残業時間について、求人票に月10数時間程度と明記されているケースが目立ち、比較的少なめの傾向がうかがえます(求人の記載内容は企業ごとに異なるため、応募前に必ず確認してください)。

役立つ資格

SASエンジニアに役立つSAS認定資格を紹介するイメージ

SAS

ポテンシャル採用を行う企業もあるので、SASが未経験であっても問題ありません。

取得が必須である、という資格はありませんが、SASプログラミングができるという証明になる「SAS®認定資格」があります。資格自体の認知度も高めで、学習・取得を通してSAS関連知識の定着が見込めるので、SAS関連の業務に携わる方におすすめの資格です。

SAS®認定資格は以下のようにレベル・領域ごとに分けられているので、受験の際は要確認です。

基盤ツール(Foundation Tool)

  • SAS認定スペシャリスト:Base Programming Using SAS 9.4 / SAS認定プロフェッショナル:Base Programmer for SAS 9
  • SAS認定プロフェッショナル:Advanced Programming Using SAS 9.4 / SAS認定プロフェッショナル:Advanced Programmer for SAS 9.4
  • SAS認定プロフェッショナル:Clinical Trials Programmer Using SAS 9

高度なアナリティクス(Advanced Analytics)

  • SAS Certified Statistical Business Analyst Using SAS 9: Regression and Modeling
  • SAS Certified Specialist: Machine Learning Using SAS Viya 3.4

ビジネス・インテリジェンス&アナリティクス(BI & Analytics)

  • SAS Certified BI Content Developer for SAS 9
  • SAS Certified Visual Business Analyst: Exploration and Design Using SAS Visual Analytics

データ管理(Data Management)

  • SAS Certified Data Integration Developer for SAS 9

運用管理(Administration)

  • SAS Certified Platform Administrator for SAS 9

SASパートナー向けの技術認定(Partners)

  • SAS Certified Deployment Specialist for Visual Analytics 7.3
  • SAS Certified Technical Specialist for Visual Analytics 7.4
  • SAS Certified Architecture and Design Specialist for SAS Grid Manager 9.4
  • SAS Certified Deployment and Implementation Specialist for SAS Grid Manager 9.4
  • SAS Certified Intelligence Platform Deployment Professional for SAS 9
  • SAS Certified Platform Upgrade Specialist for SAS 9.4

※資格の名称・体系は変更される場合があります。受験の際は必ず最新の情報をご確認ください。

語学

SASエンジニアを特に必要としている医療や薬品関連の企業には外資系企業が多い傾向にあるため、語学力が求められることがあります。未経験でも日常会話レベルもしくは資料を読解できるレベルの英語力があると有利に働く可能性があります。

英語力測定テストのグローバルスタンダードである「TOEIC」で500点以上あれば良いでしょう。とはいえ、語学力を不問としている企業も多く存在しますので無理に学習する必要はありません。英語が得意な方は周りと差をつけるチャンスです。

統計

データの分析に携わる以上、統計学の知識や数学的な知識が必要とされる場面がありますが、本当に難解な作業に関しては別に組まれた統計チームが担当するので必須というわけではありません。高校レベルの数学知識でもSASエンジニアになることは可能です。

ですが、「統計学の知識があると証明したい」「統計学を身に付けたい」方には一般財団法人統計質保証推進協会が実施している「統計検定」の1級もしくは準1級をおすすめします。統計検定 1級:「統計数理」と「統計応用」の2種類の試験があり、準1級までの知識と応用、実社会において活用するスキルが身についているかが問われます。おおよそ大学の専門課程で習得するレベルと言われています。

統計検定 準1級:統計学の基礎知識と、具体的なデータ収集方法や解析手法などについて問われます。大学の基礎科目の応用レベルと言われています。

上記以外にプログラミング言語やデータベース関連・機械学習に関する知識も必要になるので、IPA(情報処理推進機構)が実施している「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」の取得もおすすめです。どちらもITに関する幅広い知識を問うもので、SASエンジニアにもその他のエンジニアにとっても大いに役立つ資格です。

SASエンジニアの将来性・他ツールとの違い

データ活用人材へのニーズは業界を問わず高まっており、SASも医療・製薬分野を中心に一定の需要が続いているといわれています。特に規制の厳しい業界では、長年の実績と信頼性を評価してSASを使い続けている企業も少なくありません。

一方で、統計解析やデータ分析に使われるツールはSASだけではありません。ここでは代表的なツールとの違いを簡単に整理します。

SASと他の統計解析ツールとの違い

ツール ライセンス 主な用途・特徴
SAS 商用(有償) 医療・製薬・金融など規制の厳しい業界で長年の実績。信頼性・サポート体制が強み
Python オープンソース(無料) 機械学習・AI開発分野で広く普及。ライブラリが豊富で汎用性が高い
R オープンソース(無料) 統計解析・可視化に強みを持ち、学術・研究分野でよく使われる
MATLAB 商用(有償) 数値計算・シミュレーションが得意で、工学・エンジニアリング分野に強い

※各ツールの位置づけは一般的な傾向であり、実際の使い分けは企業・プロジェクトによって異なります。

よくある質問(FAQ)

Q. SASエンジニアは未経験でもなれますか?
A. 企業によってはSAS未経験・文系出身者を対象としたポテンシャル採用を行っている場合があります。ただし求人ごとに条件は異なるため、応募前に募集要項を確認することをおすすめします。
Q. SASエンジニアとデータサイエンティストの違いは何ですか?
A. SASエンジニアはSAS言語を使った統計解析・データ処理を専門とする職種と位置づけられることが多いのに対し、データサイエンティストはSASに限らずPython・Rなど複数のツールを用いて、ビジネス課題の解決やモデル構築まで幅広く担う職種として語られることが多いです。業務範囲は企業によって異なります。
Q. SASとPython・Rはどちらを学ぶべきですか?
A. 明確な優劣というより、携わりたい業界・企業で採用されているツールに合わせて選ぶのが現実的です。SASは医療・製薬・金融など規制の厳しい業界で長年使われてきた実績があり、PythonやRはオープンソースで汎用性が高いという特徴があります。
Q. SASエンジニアの将来性はありますか?
A. データ活用のニーズは各業界で高まっており、SASも医療・製薬分野を中心に一定の需要が続いているといわれています。将来性についてさらに詳しく知りたい方は、下記の関連記事もあわせてご覧ください。
Q. SASエンジニアに必要な資格はありますか?
A. 必須資格はありませんが、SAS言語のスキルを証明できる「SAS®認定資格」や、統計学の知識を証明する「統計検定」などが役立つ資格として挙げられます。詳しくは本記事の「役立つ資格」セクションをご覧ください。

まとめ

  • SASエンジニアはSAS言語を用いてデータの統計分析を行う職種で、医療・薬品・金融など幅広い業界で活躍している
  • SAS未経験・文系出身でもポテンシャル採用の対象になる場合がある
  • 年収・待遇は専門性の高さから比較的良い傾向にあるといわれるが、幅があるため目安として捉える
  • 役立つ資格としてSAS®認定資格・統計検定・基本情報/応用情報技術者試験などが挙げられる
  • SASのほかPython・R・MATLABなど複数の統計解析ツールがあり、業界や企業によって使われるツールは異なる

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