Chainer (チェイナー)とは?

最終更新日: 2026年8月7日

ディープラーニングの開発には、TensorFlow・Keras・PyTorchなど様々なライブラリ・フレームワークが使われています。この記事では、日本発の深層学習フレームワーク「Chainer(チェイナー)」について、その特徴・拡張ライブラリ・活用事例をわかりやすく解説します。

ディープラーニングのライブラリ・フレームワーク

ディープラーニングとは、十分なデータ量があれば、人間の力なしに機械が自動的にデータから特徴を抽出してくれるディープニューラルネットワーク(DNN)を用いた学習方法のことをいいます。人工知能の中の1つの要素技術となっています。

ライブラリとは、特定の処理を再利用するために切り出されたプログラムの一部であり、複雑な処理もライブラリをうまく活用すれば、簡単に実装することも可能となります。フレームワークとはソフトウェアに必要な汎用的な機能や骨組みを提供するものであり、利用することで経験が浅い開発者でもプログラムを正しく作成することができます。

主なディープラーニングのライブラリ・フレームワークには以下のものがあります。

  • TensorFlow(テンソルフロー)
  • Keras(ケラス)
  • PyTorch(パイトーチ)
  • MXNet(エムエックスネット)
  • Deeplearning4j(DL4j)
  • Microsoft Cognitive Toolkit(マイクロソフトコグニティブツールキット)
  • PaddlePaddle(パドルパドル)
  • Caffe(カフェ)
  • Chainer(チェイナー)

Chainerとは

Chainerは、Pythonで深層学習のプログラムを実装する際に使用できるフレームワークです。

Chainerは日本の企業であるPreferred Networksが開発しており、ニューラルネットワークを使用した学習を行うための機能がオープンソースで提供されています。

Python 2.x系および3.x系で使用することができ、GPUによる演算もサポートしています。

なお、Preferred Networksは2019年にChainerの開発終了を発表し、PyTorchへの移行を推奨しています。ただし、Chainerが示した「Define-by-Run」という動的グラフ設計の思想は、PyTorchをはじめとする後続フレームワークに大きな影響を与えており、深層学習フレームワークの歴史において重要な位置を占めています。

Chainerの特徴

Chainerは「Flexible(柔軟性)」「Intuitive(直感的)」「Powerful(高機能)」の3つを掲げています。

国産のフレームワーク

Chainerは国産のフレームワークであるため、不明点があった時または困ったことがあった時、Web上で調べると日本語の情報がたくさん見つかります。

「Flexible(柔軟性)」「Intuitive(直感的)」「Powerful(高性能)」

初心者が直感的にコードを記述できるようにChainerは開発されています。

もしコーディングを失敗しても分かりやすいエラーメッセージやデバッグ機能などが提供されているため、コーディング中の問題発見が容易になっています。

そのためコーディングの失敗を恐れずにより多くの手法を試すことが可能となります。

また、作成したモデルを柔軟に編集することも可能となっています。

初心者が使用するだけでなく高性能であるため、様々な企業や研究で人工知能(AI)開発に生かせる機能も持っています。

様々な拡張ライブラリ

Chainerは、画像認識、化学・生物学、強化学習などの分野における応用をシームレスに行える様々な拡張ライブラリを提供しています。

  • 画像認識タスク向けに ChainerCV
  • 化学・生物学分野向けに Chainer Chemistry
  • 深層強化学習のために ChainerRL

上記ライブラリは、各分野の最先端の手法や、学習済みモデルを実装しています。

そのため初心者だけでなく、企業や、研究での活用、実用アプリケーションの開発に至るまで、研究開発のあらゆる段階で直ちに使用することが出来ます。

Chainerで出来ること(活用事例)

Chainerを使用したプログラムではどのようなことが出来るのかを説明します。

画像に表示されている物体を認識する画像認識、PaintsChainer(線画自動着色サービス)にて白黒等で描かれた線画ファイルをアップロードすることで自動的に着色された画像をダウンロードするなどがあります。

また、Chainerは深層学習のプログラムを実装する時に使用できるフレームワークのため深層学習の活用事例が主なChainerの活用事例になります。

DLフレームワーク比較表

フレームワーク 開発元 特徴 向いている用途 現在の状況
TensorFlow Google 大規模分散学習・本番デプロイに強い。Keras統合で使いやすく改善 産業利用・大規模モデル・スマホ(TFLite) 活発に開発継続中
PyTorch Meta(旧Facebook) 動的グラフ・直感的なデバッグ。研究向けに人気 研究・論文実装・最新モデル実験 現在最も人気のフレームワーク
Keras Google(TF統合) シンプルなAPIで初心者に優しい高レベルライブラリ プロトタイプ開発・入門・教育 TensorFlow 2.xに統合済み
Chainer Preferred Networks(日本) Define-by-Run(動的グラフ)を世界で初めて実装。日本語情報豊富 深層学習研究・日本語情報での学習 2019年に開発終了(PyTorchへ移行推奨)

よくある質問

Q. Chainerは今も使えますか?
A. インストールして使うこと自体は可能ですが、Preferred Networksが2019年12月に開発終了を発表しているため、新規プロジェクトへの採用は推奨されません。現在は後継のPyTorchへの移行が強く推奨されています。既存のChainerコードをメンテナンスしている場合は、長期的にPyTorchへ移行することを検討してください。
Q. Define-by-Runとは何ですか?
A. ニューラルネットワークのグラフ(計算構造)を「実行しながら定義する」方式です。従来のTensorFlowなどが採用していた「Define-and-Run(先にグラフを定義してから実行する)」方式とは異なり、Pythonのコードそのものでモデルを記述できるため、デバッグが直感的で柔軟なモデル設計が可能です。ChainerはこのDefine-by-Runを世界で初めて採用したフレームワークで、後にPyTorchが同様の思想を取り入れ、現在の研究コミュニティの主流となりました。
Q. TensorFlowとPyTorchはどちらが良いですか?
A. 目的によって異なります。研究・論文実装なら現在はPyTorchが圧倒的なシェアを持っています。産業利用・本番デプロイではTensorFlow(TFLite・TFServingなどのエコシステム)が強みを発揮します。ただし両者の差は縮まっており、どちらを学んでも転用は比較的容易です。初心者にはまずPyTorchを推奨する声が多いです。
Q. ChainerRLとは何ですか?
A. Chainerの拡張ライブラリで、深層強化学習(Deep Reinforcement Learning)の実装に特化しています。DQN・A3C・PPO・SACなど主要な強化学習アルゴリズムが実装済みで、ゲームAI・ロボット制御・自動運転の研究に活用されていました。現在は開発が終了しており、後継として「PFRL(Preferred Networks Reinforcement Learning Library)」がPyTorchベースで公開されています。

まとめ

  • Chainerは日本のPreferred Networksが開発した深層学習フレームワーク。「Flexible(柔軟性)」「Intuitive(直感的)」「Powerful(高機能)」の3つが特徴
  • 世界初の「Define-by-Run(動的グラフ)」方式を採用し、後のPyTorchなど多くのフレームワークに影響を与えた歴史的に重要なフレームワーク
  • 画像認識(ChainerCV)・化学・生物学(Chainer Chemistry)・強化学習(ChainerRL)などの拡張ライブラリで分野別の応用が可能
  • 日本語情報が豊富で、国産フレームワークとして日本の研究者・企業での導入事例も多い
  • 2019年に開発終了が発表されており、新規プロジェクトにはPyTorchへの移行が推奨される

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