ブリッジエンジニアに必要な能力5つ!オフショア開発について知っておこう

ブリッジエンジニアとはどんな職種?

ブリッジエンジニアはブリッジSEとも呼ばれ、日本と海外の開発拠点を結びつける役割を担っています。

オフショア(海外)開発では、日本側は主に日本語を使って作業を進め、開発を請け負う海外拠点では現地のメンバが現地の言語を使って作業を進めます。

言語も文化も異なる拠点間では、資料に誤字・脱字があるだけでも意思疎通の齟齬が発生しやすくなります。拠点間を円滑につなぐために、ブリッジエンジニアが必要になります。

ブリッジエンジニアの必要性3つ

海外拠点と日本の拠点で言語の違いだけが問題ならば、ブリッジエンジニアというIT技術職ではなく翻訳者が必要だと感じられるでしょう。

プロジェクトを進める中で、日本と海外拠点ですれ違いが発生してしまうのは、言語の違いだけが原因ではなく、仕様書の粒度に対する考え方や契約の考え方など、文化の違いに起因することも多々あります。

ここでは、ブリッジエンジニアという技術者が必要とされる理由を紹介します。

ブリッジエンジニアの必要性1:意見のすれ違いを防ぐ

プロジェクトを進めるときは、メンバの意見の衝突やすれ違いといった事象が発生します。

日本人のプロジェクトでも揉めごとは発生しますが、オフショアの場合は、単なる意見の違いだけが原因ではありません。文化の違いによる考え方の相違に起因して、トラブルがなかなか収束しないこともあります。

ブリッジエンジニアには、オフショア開発ならではのトラブルを把握し、両者が理解し合うレベルまで導くことが期待されます。

ブリッジエンジニアの必要性2:希望のシステムソフトウェアを製作させる

日本人には「行間を読む」ことが求められます。指示する側に立ったときに、相手が行間を読んでくれることを期待してしまいます。

オフショアへ実装指示を行う仕様書に、「不明確な指示」が含まれていると、期待と異なるプログラムが出来上がってくることがあります。

仕様書に「不明確な指示」を作らず、不明確な指示があった場合には、双方にフォローできるブリッジエンジニアがいれば、期待通りの製品が出来上がります。

ブリッジエンジニアの必要性3:納品が間に合わなくなるのを防ぐ

オフショア開発では納期管理が重要だといわれます。国内で管理するよりも、工数がかかります。開発工数も、国内調達で見積もる工数より多くかかるので、オフショア開発では多めの工数と期間をあらかじめ見積もれなければなりません。

日本人と比べて、どの国の技術者もスケジュール管理がルーズである点も考慮し、オフショアの特性を踏まえてプロジェクト管理のできるブリッジエンジニアが必要になります。

ブリッジエンジニアに必用な能力5つ

ブリッジエンジニアが必要とされる理由を紹介しましたが、期待に応えられるのは、どのような技術や能力を持ったブリッジエンジニアなのでしょうか。

ここでは、ブリッジエンジニアになるために必用な能力を紹介します。

必用な能力1:ITスキル

ブリッジエンジニアは「ブリッジSE」とも呼ばれるようにシステムエンジニアの一種なので、当然ITスキルが必要になります。

小さなプロジェクトの場合は、設計や実装に直接関わることもありますが、大規模プロジェクトでは、国内の技術者と海外の技術者の間で発生する齟齬を埋めるのが主業務になります。

ブリッジエンジニアには最低限のITスキルとして、仕様を理解し伝えられるレベルが必要になります。

必用な能力2:オフショア開発先の言語

ブリッジエンジニアは、オフショア先との橋渡し的役割を担うので、現地の言葉を話せる語学力が必要になります。必要とされる語学力として、仕様を現地語に翻訳できる力というよりも、現地のメンバとコミュニケーションを取れる能力が必要になります。

現地に赴いて対面で交渉するだけでなく、メールや電話、テレビ会議などを活用する場面もあるので、様々な形態のコミュニケーションでも齟齬を発生させない言語力が必要になります。

必用な能力3:オフショア開発先のビジネス習慣

国が違えば文化も違います。文化はビジネス習慣にも及び、お辞儀と名刺交換から始まる日本に対し、欧米では握手からビジネスがスタートします。

相手の国の文化やビジネス習慣を理解していないと、日本の働き方を押しつけることにもなりかねません。押しつけから信頼関係を築くことはできません。

ブリッジエンジニアには、オフショア先のビジネス習慣を熟知し、プロジェクトのマネジメントに活かせる力が必要になります。

必用な能力4:プロジェクトマネージャーとしてのスキル

大規模プロジェクトの場合は、ブリッジエンジニアは橋渡し的業務が主業務になりますが、プロジェクト全体が見えていなければなりません。小規模プロジェクトでは、ブリッジエンジニアが現地で日本のプロジェクトマネージャーの役割を担うこともあります。

ブリッジエンジニアは、現地の言葉ができてコミュニケーションが取れるだけでは務まらず、プロジェクトのQCDを見ることができる管理能力も求められます。

必用な能力5:SEとしてのスキル

ブリッジエンジニアは、仕様を理解し、オフショアの開発者に正しく伝えなければなりません。オフショア開発者が実装する際は、仕様に対する疑問点に答えたり、日本の仕様担当者に仕様問い合わせをしたりすることも必要です。

SEとしての設計能力やプログラミング言語に対する知識を駆使し、日本とオフショア先の疑問や回答を咀嚼して、相手が理解しやすいように伝えられる能力が必要になります。

ブリッジエンジニアに不可欠であるオフショア開発のメリット5つ

ブリッジエンジニアが必要とされるオフショア開発には、言語や文化が異なるなどの不自由な面があっても、利用したくなるメリットがあります。

ここでは、オフショア開発のメリットについて紹介します。

オフショア開発のメリット1:中長期的にラボ型開発を運用できる

一定期間固定メンバを確保し、その期間は発注する仕事量を保証する「ラボ型契約」というオフショア特有の契約形態があります。ラボ型契約では、優秀な人材や作業に慣れた人材の囲い込みができるというメリットがあります。

オフショアならではの契約形態を活用してラボ型開発を行うことで、優秀な人材を囲い込んで、高い品質の製品を短納期低コストで開発することも可能です。

オフショア開発のメリット2:素早い納品ができる

納期管理については、表裏一体ともいえます。オフショア開発では人材コストが低価格なので、一気に大量投入して短納期を実現することが可能です。

人材の大量投入ができる一方、開発に携わる人間が増えることとオフショアであることの両面で管理コストが増えるので、短納期で品質を確保するためには、質の高いマネジメントが必要になります。

オフショア開発のメリット3:IT人材不足を解消できる

国内ではIT人材が常に不足しており、優秀な人材ほど確保するのが難しくなっています。オフショア開発先となる国々では、IT業界は高収入の職種であるため、優秀な人材がたくさん育っています。

現地では高収入だと感じられる価格でも、日本からの発注としては国内調達よりも低価格で押さえられ、かつ、優秀な人材を確保できることは、オフショア開発の大きなメリットといえます。

オフショア開発のメリット4:人件費を削減できる

オフショア先の国々では、IT関連職種は高給職として人気があります。現地で高給でも、日本の人件費に比べると低価格になります。

オフショア開発なら、国内で考えている人数より多い人数がプロジェクトに携わり、海外出張などを考慮したとしても、コスト的には国内でまかなう際の見積もりよりも低価格に抑えられます。

ソフトウェア開発の費用の多くを人件費が占めるため、オフショア開発はメリットが高いといえます。

オフショア開発のメリット5:開発手法として敷居が低い

海外の優秀な人材を現地で雇用するとなると、現地法人を設立するという方法がありますが、コストも期間もかかるので、海外活用の敷居が高くなってしまいます。

ブリッジエンジニアを活用したオフショア開発なら、同じプロジェクトメンバとして現地の企業に雇われている人を加えることが可能なので、海外活用の敷居が低くなります。

ブリッジエンジニアのキャリアプラン2つ

日本と海外を行き来して活躍できるブリッジエンジニアを目指したい場合は、どのようなキャリアプランを考えておけばよいのでしょうか。

また、ブリッジエンジニアになれた後、自分のキャリアをどのような方向へ広げていける可能性があるのでしょうか。

ここでは、ブリッジエンジニアとして選べるキャリアプランを紹介します。

キャリアプラン1:ブリッジエンジニアへキャリアアップする場合

ブリッジエンジニアを目指すのなら、最低限SEとしてのキャリアは積んでおくべきです。SEとしてのスキルに加え、語学力とマネジメント力を身につけましょう。

オフショア開発を行うプロジェクトに積極的に参加し、ブリッジエンジニアの近くで実際に働いてみるのも有効です。

キャリアプラン2:ブリッジエンジニアからキャリアアップする場合

ブリッジエンジニアは、日本と海外を行き来して、プロジェクトの拠点間の橋渡しをします。SEとしての一般的なスキルのほか、高い語学力とマネジメント力を要求されるので、プロジェクトマネージャーとしても活躍できる人材になります。

ブリッジエンジニアとしての経験を活かしてキャリアアップできる仕事として、現地法人の総合的な管理者への道があります。

現地に留まって、現地側の代表としてプロジェクトマネジメントを実施できます。

ブリッジエンジニアの役割を理解しよう

ブリッジエンジニアの業務内容について理解できたでしょうか。システム開発は、今後もオフショア開発がますます盛んになるといわれています。

ブリッジエンジニアは、難しく高いスキルが要求されますが、それだけにやりがいも感じられ、人材も不足しているので将来的にも有望とされています。

オフショア開発とブリッジエンジニアの関連性を理解しましょう。