エンジニアリングマネージャーの業務内容6つ!どのような役割を担うの?

エンジニアリングマネージャーとはどんなポジション?

エンジニアリングマネージャーとは、プロジェクトなどの責任者の一人で、主に技術者の支援や技術的なことがらの運用や管理をします。

それに対してプロジェクトマネージャーは、プロジェクト全体を統括する立場です。予算やスケジュールの管理、また、クライアントとの折衝なども行います。

エンジニアリングマネージャーの役割3つ

エンジニアリングマネージャーは、その名の通り、プロジェクトの技術的(エンジニア)なことの管理者(マネージャー)です。

クライアントやプロジェクトマネージャーは、必ずしも技術的なことに詳しいとは限りません。

エンジニアリングマネージャーの役割は、担当するプロジェクトで起こる技術的なことについての判断、生産性の向上の推進、開発メンバーのスキルを向上させる、です。

エンジニアリングマネージャーの役割1:技術的負債の受け入れと解消の程度を判断する

IT業界では「技術的負債」という言葉が出てきました。

技術的負債が発生する理由は、「早くシステムをリリースすればビジネスの速度を上げられる。そのためには、品質を犠牲にしてもよい」ということが挙げられます。

技術的負債を解消するのは難しく、エンジニアリングマネージャーはこの技術的負債をどれだけ受け入れるか、また、どのように解消するかを判断しなければなりません。

エンジニアリングマネージャーの役割2:エンジニアの生産性やスキルを向上させる

エンジニアリングマネージャーの業務のひとつに、メンバーの生産性の向上があります。生産性を向上させるには、各メンバーに気を配り、困ったことがあれば相談できる体制を作ります。

また、性能の良いハードウェアやソフトウェアを導入したり、スキル向上のための勉強会を開いたりすることも生産性の向上につながるでしょう。

生産性を向上させる際の費用が裁量の範囲を超えるときは、プロジェクトマネージャーに相談することになります。

エンジニアリングマネージャーの役割3:決定事項の摩擦を解消する

エンジニアリングマネージャーは、納期や仕様の変更が起こるとき、または起こったときに関係者に技術的な助言をするのも重要な仕事の一つです。

これは、クライアントは技術的なことに詳しくないにもかかわらず納期や仕様変更の依頼をしてくるからです。また、営業部門のスタッフも技術的なことに詳しいとは限らないために、クライアントの要望を受け入れてしまうことがあります。

エンジニアリングマネージャーに求められるスキル5つ

エンジニアリングマネージャーには技術面の統括者としてさまざまな技術や能力が必要になります。

ここではクライアントと開発メンバーの間に立つときに必要となる言語化能力や、技術、開発メンバー、プロジェクトなどについてのマネジメント能力を紹介します。

求められるスキル1:言語化能力

エンジニアリングマネージャーは技術的なことに詳しくないクライアントと開発メンバーの間に立ち、双方の主張を相手方に分かるように言語化する能力が必要になります。

これで、抽象的になりがちなクライアントの要望を技術的な要素に置き換えたり、開発時の技術的な内容をクライアントにもわかりやすく伝えたりすることが可能になります。その結果、開発側とクライアントとの意思疎通がスムーズになります。

求められるスキル2:テクノロジーマネジメント能力

テクノロジーマネジメントのキーポイントは知識と技術で、エンジニアリングマネージャーに不可欠な要素です。

プロジェクトマネージャーも技術的なことは分かっているかもしれませんが、より深く知っておく必要があります。

テクノロジーマネジメントの能力があれば、開発効率を最大限まで上げるには何をすればよいか、また、何が必要かの判断ができます。その結果、システムを安定して運用できるようになります。

求められるスキル3:ピープルマネジメント能力

ピープルマネジメントとは、メンバーの能力や意欲を向上させること、と言えます。

ピープルマネジメントのスキルが上がれば、それぞれのメンバーの能力が上がり、プロジェクトの品質も上がります。

エンジニアリングマネージャーがメンバーの能力や意欲を向上させるには、各メンバーとの面談などで目標を明確にし、会議などでも発言をしやすい環境を作ることが大切です。

求められるスキル4:プロダクトマネジメント能力

プロダクトマネジメントとは、どのような製品を作るかなどを考えることです。

「クライアントはなぜそのシステムを必要としているのか」から、どのような製品になるかを考えます。また、不特定多数の人が使うものであれば、その製品はどのような人が使うか、など、使う人のことをわかってないとその製品を作れません。

どのような人が使うか、は特にユーザーインターフェースやユーザーエクスペリエンスを考えるときに必要です。

求められるスキル5:プロジェクトマネジメント能力

プロジェクトマネジメントは、文字通りプロジェクトの進行を管理することです。

担当しているプロジェクトを遅滞なく進めるには、障害などの対応方法やスケジュールに遅れが出た時の対処を考えておく、より正確な予算やスケジュールをたてる、などがあります。

プロジェクトマネジメントには、メンバーを管理するピープルマネジメントや、技術的な点から考えるテクノロジーマネジメントの能力が必要になります。

エンジニアリングマネージャーの業務内容6つ

システム開発の技術面の統括者であるエンジニアリングマネージャーの仕事の内容は多岐にわたります。

開発環境の整備、参加する開発メンバーの選抜、プロジェクトのスケジュール管理、仕様変更などがあったときの対応、そしてシステム開発環境への投資の助言です。

エンジニアリングマネージャーの業務内容1:職場の環境の整備

エンジニアリングマネージャーは、開発メンバーの能力や意欲の向上のために、職場の環境を良くすることも大切な仕事です。

職場の環境を良くする方法はいくつかあります。

開発メンバーは働いているほどんどの時間をパソコンと向き合っています。そのため、椅子、机、パソコンやツールなどのハードウェアとソフトウェアを質の良いものにします。また、連絡方法やナレッジベースなども各メンバーが使いやすい方法を考えておきます。

エンジニアリングマネージャーの業務内容2:人材の採用活動

エンジニアリングマネージャーが開発チームを管理するには、どんなメンバーを参加させるか、の採用活動も重要な仕事になります。

社内にそのプロジェクトの内容に合ったスキルを持った社員がいるか、いないときは外注にするか新規に雇うかを決めます。その際には人事の責任者との折衝が必要になるでしょう。

メンバーを外注にするか新規に雇う場合は、応募者の素養を見極める必要があります。

エンジニアリングマネージャーの業務内容3:個人単位でのマネジメント

プロジェクトを効率よく、速く開発するには、各メンバーの能力を最大限に引き出すこと、が肝要と言えるでしょう。

そのためには、コミュニケーションスキルが必要になります。開発メンバーと面談してメンバーの目標を共有し、それに対してどのように取り組んでいるかを評価することが大切です。

目標がない、といったときは、そのメンバーの技量などから課題を設定して目標を作っていく、という方法もあるでしょう。

エンジニアリングマネージャーの業務内容4:プロジェクトの優先順位付け

プロジェクトの規模が大きくなると工程が増えるため、各工程をどのように優先順位をつけるかが重要になります。

プロジェクトが大きくなると仕様変更や開発メンバーの交代が起こる頻度も上がります。

このようなときは各工程の優先順位を考えて、どのように工程を変更するか、新しい工程を追加するか、などを考えなければなりません。

エンジニアリングマネージャーの業務内容5:開発現場で起きる課題の調整

エンジニアリングマネージャーはプロジェクトの仕様変更や開発メンバーの交代などが起こったときの対処も重要な仕事のひとつです。

仕様変更があったときは、システム全体にどのように影響するかを見極め、修正が必要な個所を洗い出さなければなりません。

開発メンバーの交代があったときは、後任のメンバーがどの工程を担当するかを考えます。このとき、交代のあったメンバー以外の配置換えもする必要が出てくるかもしれません。

エンジニアリングマネージャーの業務内容6:技術投資計画の提案

システム開発の現場には、ハードウェア、ソフトウェア、そして人的の投資が必要になります。

システム開発への投資は事業としての要素だけで考えるのではなく、技術的な知見が必要になります。

開発環境やインフラの構成などは経営者のビジネススキルだけでは適切な判断ができず、ITの専門知識のあるエンジニアリングマネージャーの助言が大切になります。

エンジニアリングマネージャーに向いている人の特徴4つ

エンジニアリングマネージャーに向いている人は、どのようなことに興味があり、また、どのような特徴があるのでしょうか。

ここではチームの育成ができる、責任者の一人として判断できる、こだわりがある、リーダーとして率先して行動できること、を紹介します。

向いている人の特徴1:エンジニアチームの育成に興味がある

エンジニアリングマネージャーがチームメンバーを育成することは、エンジニアリングマネージャー本人とチーム全体に利点があります。

プロジェクトチームのメンバーの能力が上がればチーム全体の能力も上がります。そしてチーム全体の能力が上がれば開発の効率も上がり、今後の予算交渉の材料になります。また、メンバー全員の能力が上がれば、特定のメンバーに仕事が集中することも少なくなります。

向いている人の特徴2:企業の経営に関わったことがある人

プロジェクトを企業の経営と置き換えると、エンジニアリングマネージャーの立場は重要になります。エンジニアリングマネージャーは、技術的な分野に限定されているとはいえ、責任者の一人です。

経営にかかわったことがあれば、プロジェクトを成功させるためのスケジュールの調整、メンバーの選定、開発に必要なツール類の選定などについてエンジニアとしての助言ができます。

向いている人の特徴3:プロダクトに徹底的にこだわる人

エンジニアリングマネージャーはプロダクト、つまり製品やシステムを、どのような人が使うか、をとことん掘り下げて、より使いやすいものを作ろうとします。

そのために、プロダクトをどのように使うかを想定してユーザーインターフェースやユーザーエクスペリエンスを考えたり、より速くデータ処理をするための方策を考えたりします。

向いている人の特徴4:主体性を持っている人

エンジニアリングマネージャーは、主に技術者のリーダーとしての役割もあります。

エンジニアリングマネージャーに向いている人は、リーダーとして主体性を持つことで率先してメンバーが働きやすい環境を作ります。

主体性を表す例として、率先して新しい技術やフレームワークなどを探し、プロジェクトで使用できるかどうかを判断することです。

エンジニアリングマネージャーを目指そう

エンジニアリングマネージャーになるには、相応の経験と知識が必要になります。マネジメントに関する思考やスキルなどは現場でなければ習得できません。

技術面に加えてマネジメント能力も身に付ければ、後々プロダクトマネージャーやプロジェクトマネージャーを任されることにもなるでしょう。

技術者であれば、ぜひエンジニアリングマネージャーを目指しましょう。