SE業務で違法な残業をさせるブラック企業の確認すべきポイント4つ|対処法も3つご紹介!

SEは残業が多い?

皆さんはSE(システムエンジニア)は残業が多いとか仕事量のわりには給与が低いといったイメージをお持ちではありませんか。

デスマーチ(死の行軍)も、米国のプログラマーが提唱した言葉です。この記事では違法な残業をさせるブラック企業の見分け方や対処法を紹介します。

SEの残業時間が多いとされる理由4つ

皆さんは「SEの仕事はキツイだろうな」とか「SEは残業が長いだろうな」というイメージをお持ちではありませんか。

ここでは、なぜSEは残業が多いのか4つの理由を取り上げていきます。

残業時間が多いとされる理由1:残業体質的な問題

エンジニア業界では、長年にわたり長時間残業文化があり、その中で昇進した上司は、仕事量的にも忙しいのが、当たり前という意識があります。

そのため、会社内で残業が普通のことだと思える環境だと言われています。

残業時間が多いとされる理由2:人手不足である

2015年の経済産業省の調査によれば、約17万人のSEが不足しているとのことです。過酷な労働環境にあるというイメージが若者を中心にあり、就業しないという状況も一因です。しかし、需要は伸びているのに日本の人口は減少しているため、人手不足に陥っています。

SEの案件は、発注元から直接請けることはほとんどなく、発注元から一次請け、下請け、孫請けというように委託していくのがほとんどです。このように委託先が下がるにつれて発注金額も低くなっていき、少ない人数で現場を回す必要が生じてきます。

残業時間が多いとされる理由3:突然の仕様変更がある

SEの案件は基本計画の段階で契約を結ぶことが多く、完全な仕様が固まることはありません。そのため、開発が終盤に差し掛かる頃にクライアントから機能変更の要望が入るケースがあります。

そうするとスケジュールが間に合わないので、残業しながら補い、スケジュールに間に合うように奮闘することがあるでしょう。

残業時間が多いとされる理由4:納期は絶対厳守する風潮がある

SEの残業を減らす動きは業界でもありますが、納期は絶対厳守する風潮があります。

納期を守るために現場の社員を酷使しようとする企業もあります。そのため、特に開発系のSEであれば、プロジェクトの進捗の遅れを取り戻したり、思わぬトラブルを回避するため、納期直前には長時間残業をしなくてはならないことがあります。

残業時間についての詳細2つ

これまで、残業体質の問題・人手不足・突然の仕様変更・納期厳守の4つの理由から残業時間が多いことを取り上げてきました。

ここでは、SEの平均残業時間と残業時間の決まりについて詳しく取り上げていきます。

残業時間についての詳細1:SEの平均残業は?

SEの平均残業時間は、2018年の厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、月16時間という結果が出ています。これは1日あたり1時間弱残業していることになり、性別・年代をみてみると、30~40歳代男性が月21時間と長く残業していることになります。

また、Tech総研のエンジニア300人を対象としたアンケート調査では、定時~19時までに退社する人は28%、19時~21時までに退社する人は41%と約7割の人が21時までに退社するということになります。

実態にあわないと思われる方も多いでしょうが、調査にあたって企業が過少申告している可能性もありますし、アンケートにも偏りがある可能性もあります。

残業時間についての詳細2:残業時間の決まりは?

労働基準法で1日8時間週40時間と法定労働時間が定められています。それを超えた労働する場合、「時間外・休日労働に関する協定書」いわゆる36協定を締結・届出をしなくてはなりません。

しかし、36協定を結んだら長時間残業ができるのかというとそうではありません。厚生労働省の「時間外労働の限度に関する基準」によって、原則として月45時間かつ年360時間を超えてはならないと限度時間が決められています。

SE業務で違法な残業をさせるブラック企業の確認すべきポイント4つ

ブラック企業は、法定の時間以上労働した場合にその分の割増賃金を支給しないなど違法な残業をさせることがあります。

フレクッスタイム制を悪用したり、固定残業制を悪用したり、裁量労働制を不当に悪用したり、年俸制だから残業代が出ないとしたりする手口があります。

残業させるブラック企業の確認すべきポイント1:フレックスタイム制を見分けよう

フレクッスタイム制とは始業や就業時間を自分で自由に決めることができる働き方です。

フレクッスタイム制を導入すると法定労働時間を超えて働くことが可能になります。また、予め決められた労働時間の枠内なら何時間働いても残業代が出ません。ただし、清算期間が1ヶ月とした場合、週平均40時間働くという基準が設けられています。

企業側が基準を超えた労働時間を求めていないか確認することは重要です。

残業させるブラック企業の確認すべきポイント2:固定残業代制を見分けよう

固定残業代制(みなし残業制)とは一定の残業時間分の残業代を最初から給料として払っておく制度のことです。一見基本給が高額に見えるので人が集まりやすくなったり、従業員を低賃金で長時間使うことができるということから、ブラック企業が導入しがちな制度です。

想定する残業時間が異常に長い場合または想定する残業時間を超えても残業代を払わない場合、あるいは基本給とみなし残業代を区別せずに残業代を払わない場合など違法な手口があります。
必ず想定する残業時間・超えた分の残業代・給与のいくらがみなし残業代にあたるかを確認してください。

残業させるブラック企業の確認すべきポイント3:上流工程業務に裁量労働制を適用している

裁量労働制とは労働時間を実際に働いた時間ではなく一定の時間働いた時間働いたとみなす制度のことです。

誰でも適用できるわけではなく、「専門業務型」のうち19種の業務に限定されます。そのうちのひとつ情報システムの分析または設計にあたるのがSEです。

SEの場合、上流工程業務にあたる開発系のSEが適用されます。それに該当しないSEやプログラマーに不当に適用して「名ばかりSE」を仕立てるブラック企業があるといわれています。

残業させるブラック企業の確認すべきポイント4:年俸制でも残業代が出るのかを確認する

年俸制とは給与の額を1年単位で決める仕組みのことです。

なかには「年俸制は残業代が発生しない」といって誤った情報を流すブラック企業がありますが、これは間違いです。

労働基準法で法定労働時間が決められていますが、年俸制でも変わりません。したがって、残業代のルールも変わらないので、1日8時間・週40時間のどちらか一方を超えて働いた場合、残業代が発生します。

SEの残業関連のトラブルが見られる場合の対処法3つ

ここまでは残業やブラック企業の見分け方などを取り上げたて詳しくみてきました。それらに関してトラブルが起きたらどう対処すればよいのでしょうか。

会社とは揉め事はしたくないと思うのも至極当然ですが、辛いのに耐えるのがベストとも言えません。ここでは、労働基準監督署、弁護士に相談することなど3つの対処法を取り上げていきます。

トラブルが見られる場合の対処法1:労働基準監督署に相談する

労働基準監督署は全国に321署あり、労働基準法の違反がないか会社を監督するところです。(2020年8月時点)

賃金未払いや長時間残業、不当解雇など労働基準法に違反するトラブルの相談・申告に応じてくれます。

メールや電話の相談ができますが、労働基準法に準じたアドバイスをくれるくらいの対応になります。労働基準監督署に何らかの動き(立ち入り調査・是正勧告・逮捕)を求める場合、直接訪問して申告することになります。

トラブルが見られる場合の対処法2:弁護士に相談する

弁護士に相談するには、労働問題に強い弁護士に相談・依頼するのが良いでしょう。

弁護士に依頼するメリットとしては、専門的なアドバイスや解決策を提示してくれる他、手続き等を丸投げできたり、未払賃金などのお金を回収できる可能性が高くなります。残業代を正しく支払われていない場合は有効な手段となります。

トラブルが見られる場合の対処法3:転職を視野に入れる

長時間残業が耐え難いようになったら、転職を視野に入れることも良いでしょう。

SEは人の行き来が多いので転職はキャリアにはマイナスにはなりません。辛い残業が過度のストレスとなり体を壊したら元も子もありません。健康上のリスクが高くなった場合は有効な手段です。

SEの残業時間や残業代を確認しよう

SE業務で違法な残業をさせるブラック企業の確認すべきポイント4つと、違法な残業をさせるブラック企業への対処法を3つご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。

法定の時間以上労働した場合は、その分の割増賃金が払われているか確認することが重要になります。そのため必ず雇用契約書や給与明細、協定書などを確認するようにしましょう。

万が一、トラブルが見られた場合は労働基準監督署や弁護士に相談する等、自分の身を守る対応をしていきましょう。