ITアーキテクトとは何か?年収や仕事内容など詳細を4つ解説!
ITアーキテクトとはどんな職種?
まず、ITアーキテクトとは何かについてご説明します。
ITアーキテクトとは企業の経営戦略に合致したWebシステムの設計図を作り、運用しやすい最適なシステム基盤を設計する職種のことを指します。
ITアーキテクトとは、システムの根本から企画・検討・提案をする非常に重要な役割を持った職種となります。
ITアーキテクトとは何かの詳細4つ
ITアーキテクトの特徴は、平均年収が高いこと、仕事内容の幅が広いこと、必要とされるスキルが多岐に渡ること、合格が必要な国家試験があることの4つです。
ITアーキテクトとは、一般的なSEやプログラマよりも高度な技術を必要とするIT関連職種と言えます。
ITアーキテクトの平均年収、仕事内容、必要とされるスキル、必要とされる資格の4項目について説明します。
ITアーキテクトとは何かの詳細1:ITアーキテクトの平均年収
2017年に経済産業省がまとめた「IT産業の給与等に関する実態調査結果」によれば、ITアーキテクトの平均年収は778.2万円です。
これはSEやプログラマといったIT系エンジニア職よりも高い水準です。ITアーキテクトとは、IT関連の職種のなかでも平均年収がもっとも高い職種といえます。
まず、SEやプログラマとして実績を積み、キャリアアップとして、ITアーキテクトを目指すというのが一般的なキャリアパスといえます。
ITアーキテクトとは何かの詳細2:仕事内容
ITアーキテクトとは、その高い平均年収を反映して、高度な仕事内容を求められる職種です。
主なITアーキテクトの仕事内容は、ビジネス戦略や課題の解決と、Webシステムの設計の2つに分けられます。
課題解決の手法や、システム設計といった複合的な技術を求められるのが、ITアーキテクトです。
ビジネス戦略や課題の解決
ITアーキテクトとは、詳細に決められたビジネス戦略や課題を受け取り、その解決のために他のIT系職種の人たちと共に戦略的情報化の企画をします。
戦略的情報化の企画をする時に、ITアーキテクトはITの専門知識を複合的に用いて、最適化されたアーキテクチャを作り出します。
Webシステムの設計
実際に企業で使われるWebシステムを設計するのもITアーキテクトの仕事です。
開発のフェーズにおいて、ITアーキテクトは構築済みのアーキテクチャに従い、実際に企業で使われるWebシステムを設計します。
この開発のフェーズには様々なIT系職種の人たちが参加するので、ITアーキテクトは専門分野ごとの作業だけではなく、アーキテクチャ全体の整合性を管理する必要があります。
ITアーキテクトとは何かの詳細3:必要とされるスキル
ITアーキテクトになるには、IT業界の動向を把握する能力、アーキテクチャの設計スキル、交渉能力、コミュニケーション能力、リーダーシップ能力、マネジメント能力の6つが必要となります。
ITアーキテクトに求められる6つのスキルや能力について、ひとつずつ解説していきます。
IT業界の動向を把握する能力
企業の経営戦略を踏まえWebシステムを最適化するためには、IT業界の動向を常に把握している能力が必要です。
業界全体の流れや先端技術の動向を敏感に掴んでいれば、最新のIT技術を駆使した最適な組み合わせのシステムを構築することが目指せます。
業界標準や最新技術を踏まえた上で、アーキテクチャの設計に関する技術的な提言をできるかどうかがポイントとなります。
アーキテクチャ設計スキル
ITアーキテクトに必要なアーキテクチャ設計スキルとは、要件の分析と定義、設計指針の定義を行うスキルのことを指します。
課題解決となるアーキテクチャ構築に加え、代替となる課題の分析や提案、要件分析というスキルがITアーキテクトには求められています。
クライアントの要求をアーキテクチャ要件に分解、再構成し、アーキテクチャを設計する。また、その実現可能性が評価できるかどうかがポイントです。より大きなプロジェクトの設計を手掛けるITアーキテクトには熟達度が高いスキルが必要です。
交渉能力
ITアーキテクトは、プロジェクトを進行させる中で、状況に応じてクライアントや経営層と交渉しなければならない場面があります。
クライアントや経営層との話し合いをスムーズに進めるために、ITアーキテクトには交渉能力が必要です。
技術チームのメンバーとコミュニケーションを取りながら、クライアントの責任者とアーキテクチャ設計に関する技術的かつ複雑な交渉をして、同意を得られるかかがポイントとなります。
コミュニケーション能力
意思疎通を通して情報を収集・整理・周知するためには、コミュニケーション能力が必要です。
ITアーキテクトとは、ソリューション設計の責任者としての一面がある職種です。プロジェクト内でチームメンバーとソリューション設計に関する技術的な意思疎通を図るスキルが求められます。
クライアントと技術チームの橋渡し、情報伝達、情報の整理・分析・検索ができるかが重要となります。
リーダーシップ能力
プロジェクトを滞りなく進めるために、ソリューション設計チームをリードするリーダーシップ能力が必要です。
チームのリーダーとして、技術面の指揮・命令をしながらプロジェクトを速やかに完了させる必要があります。チーム内の人間関係に気を配るなど人間的な成熟度も求められます。
ITアーキテクトとはソリューション設計の責任者としての一面を持つ職種です。問題が発生した時などには欠かせない能力と言えます。
マネジメント能力
プロジェクトを進めるにあたっては、人材面からコストやリスク面まで総合的なマネジメント能力が必要となります。
具体的には、適材を配置して計画を策定し、実行に移す、遅れや不測の事態に対応した計画変更や変更管理などを行います。スコープ管理や品質等の多角的な観点も欠かせません。
また、プロジェクトに参画するメンバーが流動的になる場合もあります。人材の確保や再配置、リスク管理なども必要です。
ITアーキテクトとは何かの詳細4:必要とされる資格
ITアーキテクトになるためには、「システムアーキテクト試験」「プロジェクトマネージャ試験」に合格する必要があります。
どちらもIPA(情報処理推進機構)が運営している情報処理技術者試験であり、経済産業省が認定している国家試験です。
情報処理技術者試験は春と秋の年2回行われますが、システムアーキテクト試験は秋季のみ、プロジェクトマネージャ資格は春季のみと年1回ずつです。同時に受験することはできません。
システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験は、情報システム開発のための要件を定義し、それを実現するためのアーキテクチャを設計する人を対象にした試験です。
試験では、「情報システム」と「組込システム・IoTを利用したシステム」について出題されます。
この資格があると多岐にわたるスキルや業界知識を持っていることの証明となるため、市場価格の向上が目指せます。
受験料は、2020年度では5,700円(税込)です。
プロジェクトマネージャ資格
プロジェクトマネージャ資格は、プロジェクト全体の意思決定をし、制約のなかで責任を持ってプロジェクトを成功に導くマネージャを対象にした試験です。
試験では、プロジェクトの「立ち上げ・計画」、「実行・管理」、「終結」について出題されます。
この資格があるとプロジェクトマネージャとしての知識を客観的に示すことができ、仕事の幅を広げやすくなります。
受験料は、2020年度では5,700円(税込)です。
ITアーキテクトとはどんな専門分野を担うのか
ITアーキテクトが担う3つの専門分野には、「インテグレーション・アーキテクチャ分野」、「インフラストラクチャ・アーキテクチャ分野」、「アプリケーション・アーキテクチャ分野」があります。
それぞれの分野について、特徴を説明していきます。
インテグレーション・アーキテクチャ分野
ITアーキテクトが担う、企業内・企業間で統合できる部分の連携を可能にするための設計の分野をインテグレーション・アーキテクチャ分野と呼びます。
インテグレーション・アーキテクチャ分野を専門とするITアーキテクトには、上述したスキルに加えて統合要件の定義、インテグレーション・アーキテクチャ設計や実現可能性の評価のスキルが求められます。
インフラストラクチャ・アーキテクチャ分野
ITアーキテクトが担う、セキュリティやプラットフォームなどを中心としたインフラストラクチャを設計する分野をインフラストラクチャ・アーキテクチャ分野と呼びます。
インフラストラクチャ・アーキテクチャ分野を専門とするITアーキテクトには、上述したスキルに加えて非機能要件の定義、インフラストラクチャ・アーキテクチャの設計や実現可能性の評価のスキルが求められます。
アプリケーション・アーキテクチャ分野
ITアーキテクチャが担う、業務的機能の設計や、ユーザーの操作性を意識した設計の分野をアプリケーション・アーキテクチャ分野と呼びます。
アプリケーション・アーキテクチャ分野を専門とするITアーキテクトには、上述したスキルに加えて機能要件の定義、アプリケーション・アーキテクチャの設計や実現可能性の評価のスキルが求められます。
ITアーキテクトとは複合的なスキルが必要な職種である
ITアーキテクトとは、ビジネス戦略や課題の解決、Webシステムの設計を行いシステムの根本から企画・提案ができる重要な職種です。
そのため、ITアーキテクトに求められるスキルは多く、IPAが運営する国家試験の合格も必要となります。
しかし、SEやプログラマよりも年収が高く、仕事の幅も広いため、ITアーキテクトを目指すことは、自分自身の価値を高めることに繋がります。
課題解決やWebシステム設計に興味のある方は、ぜひITアーキテクトを目指してみましょう。