ディープラーニングの基礎知識2つ|7ライブラリ別のプログラム実装方法も紹介

ディープラーニングを実現するプログラムとは

現在の人工知能開発に欠かせないディープラーニングの技術では、かつてメジャーだったCOBOLやFORTRANではなく、ディープラーニングに適したプログラミング言語が使われています。

ディープラーニングの実装では、PythonやC、C++などが使われます。それぞれのプログラミング言語によって得意な分野は異なり、実装速度や品質を安定させるためのライブラリやフレームワークが、言語ごとに用意されています。

ディープラーニングの基礎知識2つ

ディープラーニングを学ぶうえで、「人工知能に必要な技術らしい」と理解している人は多いものの、ディープラーニングとは何かを理解できている人は多くはないでしょう。

ここでは、ディープラーニングを語るうえで、基礎となる知識を2つ紹介します。ディープラーニングの基礎概念を理解し、ディープラーニングのプログラミングに取り組んでみましょう。

ディープラーニングの基礎知識1:基本的な仕組み

ディープラーニングは、コンピューターが自動的に学習する仕組みのことで、人間の脳が経験からものごとを学ぶのと同じような過程をたどります。

人間が経験から事象を学ぶのと同じように、ディープラーニングでは大量のデータからデータの特徴を学びます。

人間が脳から情報を引き出すためにニューロン・シナプスという仕組みがあるように、ディープラーニングではニューラルネットワークという仕組みで学習データを引き出せます。

ディープラーニングの基礎知識2:ディープラーニングでできること

ディープラーニングは人工知能に用いられていることが知られていますが、それ以外にも現代の生活に馴染んでいる仕組みに組み込まれています。

SNSの写真から自動的にタグ付けされる仕組みや、スマホやIT家電が音声を認識して動作する仕組みもディープラーニングの技術が使われています。

自動運転技術やロボットによる異常検知システムなどにもディープラーニングの技術が使われています。

Pythonがディープラーニングのプログラムに適している理由3つ

ディープラーニングのプログラムには、多種のプログラミング言語が使われていますが、その中でも多く使われているのがPythonです。

ここでは、ディープラーニングのプログラムにPythonが選ばれる理由を3つ紹介します。ディープラーニングに関するプログラムに興味があるという人は、Pythonがディープラーニングに適していると考えられるポイントを押さえておきましょう。

プログラムに適している理由1:C・C++言語の作成プログラムを呼び込める

Pythonでは、異なるプログラミング言語であるCやC++で作成されたプログラムを呼び込むことができます。

機能によってはCやC++で書かれたプログラムを呼び出して使うということもでき、プログラム全てをPythonで実装するという縛りがありません。CやC++で作成された既存のプログラムを部品として使うことも可能です。

プログラムに適している理由2:ライブラリが豊富であるため

Pythonには標準ライブラリが付属しており、Pythonをインストールするとライブラリも一緒にインストールされるので、すぐに使い始めることができます。

標準でも多種類のライブラリがインストールされますが、不足する場合は追加でライブラリを入手してインストールすることも可能です。

多彩なライブラリを利用することで、コーディング量を減らせることもPython人気の一因となっています。

プログラムに適している理由3:教育機関で多く採用されている

Pythonは、日本では少ないものの海外では教育機関で積極的に取り入れられているプログラミング言語です。

Pythonで作成されているプログラムには、YoutubeやEvernote、Instagramなど注目度の高いアプリケーションが多く、教育機関も積極的に教育の場を設けています。教育機関で研究する人工知能や機械学習に利用しやすい点も、多くの教育機関が採用しているポイントでしょう。

【7ライブラリ別】ディープラーニングのプログラム実装方法

Pythonには標準ライブラリを含め、多種類のライブラリがあり、用途に応じて活用できます。ここでは、ディープラーニングの実装に活かせる7つのライブラリの使い方を紹介します。

いずれのライブラリも環境にインポートする記述から始める点で共通しており、異なるライブラリを1つのプログラムの中で併用することも可能です。

プログラム実装方法1:NumPy

PythonのプログラムでNumPyを使えば、大量データを使う数学処理の時間を短縮できます。NumPyは拡張モジュールなので、NumPyを含むライブラリもしくはNumPy単体をインストールしておく必要があります。

[例]
import numpy as np
sample = np.array([0,1,2])

この例では、NumPyをインポートし、arrayメソッドにより高速度の多次元配列を作成します。

プログラム実装方法2:SciPy

SciPyは、科学計算を必要とするプログラムに使えるライブラリです。積分、三角関数などの高校数学や分散、標準偏差などの統計学を簡単にコード化できます。

[例]
import scipy as sp
data=[0,1,2,3,4]
sp.std(data, ddof = 0)

この例では、stdメソッドを使って、data配列の数値の標準偏差を求めています。

プログラム実装方法3:Matplotlib

Matplotlibは、Pythonでアニメーションやインタラクティブなプログラムを作成するときに使用できます。

[例]
import matplotlib.pyplot as plt
year = [1, 2, 3, 4]
weight = [3, 30, 25, 50]
plt.plot(year, weight)

pyplot はMatplotlibに用意されているグラフ化に使えるAPIです。showメソッドで描画できます。

プログラム実装方法4:Pandas

Pandas(パンダ)は、高速で強力なデータ分析を提供するライブラリです。

[例]
import pandas as pd
df = pd.read_csv(‘./data/Sample1.csv’, sep=’,’)

この例ではPandasを利用してSample1というCSVファイルを読み込んでいます。Pandasにはデータ整形や置き換え、集計、可視化などのメソッドがあり、これらを順次使用してデータ分析を行います。

プログラム実装方法5:Scikit Learn

Scikit Learnは予測データ分析が必要となるプログラムに適したライブラリです。スパム検出や画像分析、株価予想などのプログラムに活用できます。

[例]
from sklearn.datasets import svm
dataset = svm()

この例では、scikit-learn を使ってデータセットに読み込みます。NumPyよりも大きなデータセットを適用して重回帰分析が行えます。

プログラム実装方法6:TensorFlow

TensorFlowは、機械学習モデルの開発だけでなく、トレーニングにも役立つPythonのライブラリです。TensorFlowでは、ニューラルネットワークの構築が可能です。

[例]
import tensorflow as tf
a = tf.constant(‘Hello”‘)
sess = tf.Session()
print(sess.run(a))

この例はTensorFlowを使って文字出力を行うコードです。

プログラム実装方法7:Seaborn

Seabornは、統計データを視覚化するライブラリです。

[例]
import matplotlib.pyplot as plt
*import seaborn as sns
~中略~
*sns.set()
plt.plot(x, y)
plt.show()

この記述では、matplotlibを使ったグラフ描画のコードにSeabornを使った*印の行を追記することで、目盛り表示のある見やすいグラフが描画されます。

Pythonでのディープラーニング実装に役立つ本2選

Pythonでディープラーニングの実装を学びたいと考えている場合、インターネットのWebサイトで情報を入手することもできますが、基礎知識はじっくりと書籍で学ぶ方が確実な情報が手に入ります。

ここでは、Pythonでディープラーニングを実装するときの参考書として役立つ書籍を2冊紹介します。自分自身が現在Pythonやディープラーニングについて、どの程度理解しているかを考えたうえで書籍を選択しましょう。

実装に役立つ本1:ゼロから作るDeep Learning

本書はディープラーニングの入門書です。本書では、外部ライブラリを使わずにディープラーニングを作り、原理を学べます。

本書に従ってディープラーニングを学ぶことで、ニューラルネットワークの基礎を学び、実装レベルで理解を深めることができます。

基礎を学べる書籍ですが、ディープラーニングを使った技術として注目されている自動運転や画像生成などの知識も得られます。

実装に役立つ本2:はじめてのディープラーニング2

本書は、ディープラーニングの基礎を教える書籍の第2弾です。第1弾でニューラルネットワークとバックプロパゲーションについて解説されているので、これらの知識があることを前提とした内容で記載されています。

本書では、再起型ニューラルネットワーク(RNN)と、VAE(Variational Autoencoder)、GAN(Generative Adversarial Networks)の実装方法を学べます。

ディープラーニングのプログラム方法を学ぼう

ディープラーニングの技術が組み込まれた仕組みが増えており、ディープラーニングを理解し、使いこなせることはどのような仕事に就いていても役立つ知識となります。

ディープラーニングのプログラミング方法や、プログラミングに必要なプログラム言語、ライブラリなどを理解し、ディープラーニングを学んでみましょう。